奈良に行く前に読み直しておくべきだった:「天平の甍」など最近読んだ本4冊

 最近の読書記録です。行ってきたばかりの旅先に関係する小説を読み直す、というのは、最近お気に入りの旅の思い出を追体験する方法です。3月に沖縄旅行から行ってから「太陽の子」を読み直したのに続き、先月末に初めて奈良を訪れたのをきっかけにして、奈良に関する小説を思い出し、改めて読み直して見ることにしました。

天平の甍:井上靖

天平の甍(新潮文庫)

天平の甍(新潮文庫)

天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した若い僧たちがあった。故国の便りもなく、無事な生還も期しがたい彼ら――在唐二十年、放浪の果て、高僧鑒真を伴って普照はただひとり故国の土を踏んだ……。鑒真来朝という日本古代史上の大きな事実をもとに、極限に挑み、木の葉のように翻弄される僧たちの運命を、永遠の相の下に鮮明なイメージとして定着させた画期的な歴史小説。

天平の甍 (新潮文庫) | 井上 靖 | Kindleストア | Amazon

続きを読む “奈良に行く前に読み直しておくべきだった:「天平の甍」など最近読んだ本4冊”

北原亞以子さんの遺作「慶次郎縁側日記」最後の四巻を読む

あした 慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

あした 慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

祭りの日: 慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

祭りの日: 慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

雨の底 慶次郎縁側日記

雨の底 慶次郎縁側日記

乗合船 慶次郎縁側日記

乗合船 慶次郎縁側日記

元同心・森口慶次郎、最後の事件。著者入魂の傑作シリーズ、ついに完結! 「二十年の恨みだ」男はそう言って晃之助を刺した。それは義父である慶次郎に向けられた復讐の刃ではなかったのか。やがて浮かび上がる一人の罪人とその切ない人生に、「仏」と呼ばれた元同心は何を思う――。いつの世も変わらぬ苦悩と人情がここにはある。円熟の境地でこの世を去った筆者の絶筆までを収録したシリーズ最終巻。

Amazon CAPTCHA

続きを読む “北原亞以子さんの遺作「慶次郎縁側日記」最後の四巻を読む”

北原節が冴える深川澪通り木戸番小屋シリーズに再会する

新地橋 深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)

新地橋 深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)

江戸・深川澪通りの木戸番小屋に住まう夫婦、笑兵衛とお捨。そこには、人々の悲しみ、愁いを癒してくれる灯がある。訪れる人の心の奥を、そっと照らしてくれる。労り、助け合う市井の人情。人の世の機微を穿った逸品揃い。思わず挫けそうな、いつの間にか冷めかけた心を優しく温めてくれる珠玉の時代小説集。

深川澪通り燈ともし頃 (講談社文庫)

深川澪通り燈ともし頃 (講談社文庫)

江戸で五指に入る狂歌師となった政吉は、野心のあまり落ちこぼれて行くが、唯一救いの燈がともっていて…。幼い頃親を失ったお若は、腕のよい仕立屋になれたが、一人の心細さがつのる時は、まっすぐに深川澪通りに向って…。辛い者、淋しい者に、無条件に手をさしのべる木戸番夫婦を描く、傑作時代長編。

続きを読む “北原節が冴える深川澪通り木戸番小屋シリーズに再会する”

川音を聞きながら暮らす深川の女たち:澪つくし 深川澪通り木戸番小屋 /北原亞以子

澪つくし 深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)

澪つくし 深川澪通り木戸番小屋 (講談社文庫)

流れる川音に包まれた江戸・深川澪通りの木戸番小屋に住む笑兵衛とお捨の夫婦。押しつぶされそうな暮らしを嘆き、ままならない運命に向き合い、挫けそうな心を抱えた人々が、今日もふたりのもとを訪れる。さりげないやさしさに、誰もが心の張りを取り戻していく。人生の機微を端正な文章で描く傑作時代短篇集。

続きを読む “川音を聞きながら暮らす深川の女たち:澪つくし 深川澪通り木戸番小屋 /北原亞以子”

白雨

白雨―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

白雨―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

滝のような夕立に、江戸が白く煙る午後、木綿問屋の宗右衛門が軒先に飛び込んできた。飯炊き寮番の佐七は煎餅をふるまって、老いの孤独な境遇を語りあう。普段は慶次郎だけが示してくれる優しい気遣いに触れ、佐七はうれしさを抑えがたいが、それを聞いた蝮の吉次は胸騒ぎが収まらない…。老境の日々を照らす小さな陽だまりを描く表題作ほか、江戸の哀歓を見守る慶次郎の人情七景。

Amazon CAPTCHA

続きを読む “白雨”

江戸風狂伝

江戸風狂伝 (講談社文庫)

江戸風狂伝 (講談社文庫)

無謀にも将軍綱吉に衣装自慢を仕掛けた豪商の石川屋六兵衛とその妻およし。危ないと知りつつ幕府批判の風刺画を引き受けた人気浮世絵師の歌川国芳。曰くつきの家を買った平賀源内が起こした殺傷事件の顛末。時代の風潮に反発し、心の赴くままに意地を貫き、破滅をも恐れない風狂な人々を描いた七作の短篇集。女流文学賞受賞作品。

Amazon CAPTCHA

続きを読む “江戸風狂伝”

あんちゃん

あんちゃん (文春文庫)

あんちゃん (文春文庫)

夫婦の気持ちのすれ違いを巧みに描いた「冬隣」、江戸に出てきた若い百姓が商人として成功した後に大きなものを失ったことに気づく表題作「あんちゃん」など、江戸を舞台にしながら、現代にも通じる深いテーマの数々を、時代小説の名手が描ききる。冷えた心に、ほんのりと明かりを灯す、珠玉の全七話。

続きを読む “あんちゃん”

【再掲】まんがら茂平次:北原亞以子

 作家の北原亞以子さんが亡くなったそうです。今日の昼間、何気なくネットのニュースを見ていてこの訃報に触れ、自分でも意外なくらいに大きなショックを受けてしまいました。本屋さんで「北原亞以子」と書かれた新刊(文庫ですが)を見つけると、中身も確かめず名前買いしてしまう作家さんの一人。
 「慶次郎縁側日記」シリーズ、「深川澪通り木戸番小屋」シリーズはじめ、たくさんの素晴らしい作品がありますが、一冊選ぶとしたら絶対にこれ、というのがあります。だいぶ前(2008年12月)に古いブログに書いた感想文なのですが、ここに再掲しておきたいと思います。

まんがら茂平次 (徳間文庫)

まんがら茂平次 (徳間文庫)

 

続きを読む “【再掲】まんがら茂平次:北原亞以子”

月明かり

月明かり―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

月明かり―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

月明かりに淡く浮かんだのは蹲る父と、鼻の脇に大きなほくろのある男。あのときは、幼子の見間違いと誰も相手にしなかったが…。建具職人の弥兵衛はなぜ刺し殺され、敵はなぜ逃げおおせたのか。月夜の晩から十一年後、敵は江戸に舞い戻る。惨劇の記憶が弥兵衛をめぐる人々の消せない過去をあぶり出し、娘を殺された慶次郎の古傷もうずく。文庫版大幅改稿で送るシリーズ初長篇。

続きを読む “月明かり”

父の戦地

父の戦地 (新潮文庫)

父の戦地 (新潮文庫)

ゲンキデ、アソンデ、オリマスカ。南方ビルマに出征した家具職人の父は、昭和17年から3年間、おさない著者に70通もの絵入り軍事郵便を送り続けた。そこにはいつも娘の健康を気にかける言葉と、現地ののどかで珍しい風物のイラストが、ユーモアたっぷりの筆致で添えられていた。時代小説の名手が、戦争のむごさ、そしてついに生きて会えなかった父への限りない愛惜を綴る慟哭の記。

続きを読む “父の戦地”