酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

Xシリーズの決定版!FUJIFILM X-T1の1ヶ月試用まとめ

 約1ヶ月間にわたりFUJIFILM X-T1をお借りしていました。事前の期待も高かったこともあり、非常に印象深いカメラでしたので、既に返却してしまった後ですが、ここでお復習いをしておこうと思います。X-T1は現在のXシリーズの中では最新にして最良の一台なのは間違いありません。X-T1に関する一番最初のエントリーで「これでもまだOVFにこだわるの?」と(自分自身に対して)挑戦的なタイトルを付けましたが、その答えはとりあえず出たような気がします。

IMGP7894.jpg
 細かいことを語り出すとキリがないので、良いところと悪いところを少しだけ書き出して、最後に上の問いかけに対する答えをまとめたいと思います。


このレビューで使用されている商品はWillVii株式会社が運営するレビューサイト「みんぽす」 が無償で貸与しています。本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません。(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)レビュー商品無償貸し出しサービス 「モノフェローズ」に関する詳細はこちら
(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)


 以下、これまでのエントリーで没にした写真を何枚か貼っておきます。断りがない限り本文とは特に関係ありません。

X-T1の良いところ1:デザインと操作性

 私がX-T1で一番気に入ったのはデザインです。ダイヤルだらけながらもクラシック過ぎず非常に機能的。レンズ光軸上に配置されたEVFを収めたペンタ部も綺麗にまとまっていると思います。登場時に賛否があった「FUJIFILM」ロゴも悪くはありません。非常に多彩な機能を持ちながらも、一方でボディはミラーレス機らしくとてもコンパクトで軽量です。

DSCF0066.jpg
FUJIFILM X-T1, XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS, 1/35sec, F4.5, ISO200, AWB

 ここまで一眼レフ"風"に仕上げたのだから、グリップもそれらしいものを付けてしまっても良かったのではないかと思えてきます。どうせレンズは出っ張るわけで、カバンへの収まりにそう影響はないでしょう。...って考えていくと、どんどんOLYMPUSのOM-D E-M1に近づいていきますが。でも実はホールディングも悪くないし、シャッターボタンにも自然に指がかかります。

 「操作性」も広義の「デザイン」だと思うのですが、このカメラを使っていて改めて感じたのはダイヤル操作のしやすさです。特に絞りリングは本当に秀逸です。それはX-T1特有のものではなく、"R"のついたXFレンズをつけたXシリーズのカメラすべてに共通する部分です。が、一眼レフスタイルのX-T1では特に強く感じました。

DSCF0290.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/3000sec, F1.8, ISO100, AWB

 絞りはやはりレンズの絞りリングで操作するのが一番理にかなっていると思います。これはレトロ風味とかそういうことではなく、絶対的な真理ではないかとさえ思えてきました。絞りリングの操作性の良さを実感してしまうと、ボディ側の電子ダイヤルで操作する絞りなんて、実にまだるっこしく感じてしまいます。

 絞り以外にも、X-T1の操作系といえばこれでもかと言うほどのダイヤル操作が満載です。感度ダイヤルについては当初「どうかな?」と懐疑的に思っていたのですが、これもまた使ってみると便利でした。一覧性が良く、それに切り替えも面倒などころか、メニューを呼びだしてチマチマ変更するよりはよほど直感的で便利です。ロックがない方が私的には好みですが。

DSCF0821.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/110sec, F1.2, ISO400, AWB

 ということで、X-T1で一番気に入ったのは、小さなボディに凝縮された高機能を操る、ダイヤルを中心とした操作系と、それを存分に生かすようにデザインされたボディの佇まいです。これを気に入るかどうかは慣れや好みだとは思いますが、操作系含めてある意味筋の通ったボディデザインだと思います

X-T1のよいところ2:高感度性能

 これもまたX-Trans CMOSを搭載したXシリーズすべてに共通する特徴です。2年以上前のX-Pro1の時にはその高感度性能の良さに驚いたものですが、それは2年経ったこのX-T1でも変わりません。相変わらずAPS-Cサイズのセンサーを積むカメラの中では、高感度性能の高さは一番ではないかと思います。

DSCF0786.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/75sec, F1.2, ISO3200, AWB

 ISO800までは何ともないし、ISO1600でもノイズを感じることは滅多にありません。シャドーもしっかり粘るしExifを見ないとどのくらいの感度で撮ったのか気がつかないくらいです。私の判断基準ではISO3200になってようやく高感度っぽさが感じられるようになりますが、ここまではほとんど常用可能と言っても良いかも。ISO6400も条件付きで十分に使えそうです。拡張感度領域に入るISO12800以上になると急に画質は崩れ始めます。

 単焦点のXFレンズは手ぶれ補正が入っていないので、ブレには注意が必要です。ですので、無理に低感度で頑張るよりは高感度を躊躇無く使った方が、良い結果が得られるのではないかと思います。明るいレンズと高感度性能で手ぶれを押さえ込むというのは、力業のようですがそれなりに効果的だと思います。実際、手ぶれ補正はなくて済むならそれに越したことはないわけですから。

DSCF0793.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/280sec, F2.0, ISO51200, AWB

 ちなみにX-T1はXシリーズで初めてISO51200まで対応しています。このカットはそのISO51200で撮ってみました。NRはデフォルト設定(±0)のまま。さすがに色、輝度ともにノイズだらけなのがこの縮小画像からも分かります。緊急用で条件付きでも厳しい仕上がりだとは思いますが、それでも撮れると言うことが重要な場合もあるかも知れません。

X-T1のイマイチなところ:シャッターとAFエリア選択

 X-T1を使っていて残念に感じたのは主に2点。ひとつはシャッターです。いえ、シャッターフィールは非常に良いし、ボタンの感触も問題ありません。問題なのはそのスペック。最高速が1/4000secというのは、当初は十分だと思っていたのですが、実際に使ってみると非常に不満を感じました。もちろんそれはXF56mmF1.2みたいな明るいレンズを組み合わせて使っていたせいです。大口径レンズだからと言って、何でもかんでも絞りを開ければ良いってものではありませんが、せっかくの明るさが生かし切れないもどかしさを感じることが多々ありました。

DSCF0415.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/3200sec, F2.5, ISO200, AWB

 もちろん1/8000secに対応したところで1段分しか変わらないわけですが、それでも絞りがあと1段開けられたら自由度は相当に広がります。そして同時に常用感度がISO100まで下がり、拡張感度でISO50まで下げられたら完璧かと思います。単焦点レンズを売りにしているXシリーズですので、露出連動範囲はもっと重要視されても良いのではないかと思います。

 しかしシャッタースピードの高速化は、コスト以外にも色々と難しい問題があるだろう事は想像に難くありません。サイズが大きくなったり、電池の持ちが悪くなったり、シャッターフィールが悪化したり。バランスを考えると現状が精一杯なのかも知れませんが、是非今後は大口径をいつでも生かせるボディを期待したいところです。

 そしてもう一つイマイチに感じたのが、背面の十字キーです。AFエリアを選択するときなどに多用するこのボタンが恐ろしく押しにくいのです。

DSCF0436.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/200sec, F1.2, ISO200

 ボタンの感触悪いとか、クリック感がないとか言われているようですが、そういうことではなくて、位置と形状の問題だではないかと思えます。この十字キーはなぜか窪んだところに配置されており、ボタンの表面はさらに凹んでいます。そして特に左側のキーを押すとき、さらに左にある液晶のわずかな出っ張りに指が干渉し、押したつもりで押されていないと言うことが多発します。悪いことに干渉するものがない右方向はそれなりに押せてしまうので、このアンバランスさがまた気に触って仕方ありません。

 これは非常にストレスが溜まります。ダイヤル操作についてはずいぶん気を遣った形跡があるのに、このボタンだけ無頓着に配置された理由がちょっと理解できません。

それでもOVFにこだわるのか?

 さて、そろそろ結論です。良いところ、悪いところでは敢えてファインダー、特にEVFには触れませんでした。レンズ光軸上に配置された高倍率のEVF、多彩な表示モードを持ち、表示ディレイも非常に少ない、現時点では最良のEVFと言えるでしょう。間違いなくX-T1の「良いところ」の筆頭にあげられると思います。

DSCF0534.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/3000sec, F1.6, ISO200, +1.67EV, AWB

 実際その恩恵は計り知れないものがあります。カメラを構えて自然と覗き込むことができる位置にあり、ファインダー像は高倍率で情報表示も豊富。それらを確認し、撮影パラメータをダイヤルで操作し、良し!と思ったところでシャッターを切る。するとわずかなタイムラグで静かにシャッターが切れ、像のフリースもほとんど気にならない...

 という一連の撮影リズムの中心にはこのEVFがあります。そのスペック以上にこのEVFの存在はX-T1にとって大きなものだと思います。私は試すことはできませんでしたが、マウントアダプターを使ってMFをする場合には、その恩恵はさらに増すことでしょう。

DSCF0467.jpg
FUJIFILM X-T1, XF56mm F1.2 R, 1/1250sec, F1.8, ISO200, +1EV, AWB

 しかし残念ながら、やはり違和感は拭いきれませんでした。特に今回はX-T1とK-3をほぼ同時に使ってみましたが、EVFとOVF(一眼レフ)を同時に見比べてしまうと、私としては圧倒的にOVFに軍配を揚げざるを得ません。ほぼ撮影結果がそのまま見える、ピントが正確に合わせられる、真に視野率100%である、情報表示が充実している、倍率が高いと言った特徴を持ってしても、被写体の実像が見えるというOVFの自然さには敵いません。これは理屈ではなくて半分以上が感情によるものです。

IMGP7886.jpg

 明るいものを見ると暗く感じ、暗いところを見ると明るすぎてノイズが浮き立ち、、ハイライトの階調は見えず、シャドーは潰れ、そしてどんなにディレイが小さくても、カメラを振ったときにエッジががたつく感じはゼロではありません。「それが実際の撮影結果なのだからそう見えるのが正しい」のかも知れませんし、理屈では分かるのですが「いや何かが違う」と感じてしまいます。撮影結果ではなくて撮影前の生の姿を見せてくれ!と。

 正直なところ、私は自分がそこまでOVFにこだわっているとは思っていませんでした。X-T1を気に入ったら買ってしまおうと思ってたくらい。いや、実際そこそこ気に入ったし、自分にとっての理想のミラーレス機はこっちの方にあると言うことは確信しました。しかしまだ一眼レフの代わりにはなりません。かといってサブにするほどX-T1は(いろんな意味で)安くはありません。また私自身も両方使い分けるほど器用ではありません。

IMGP7921.jpg
 偉そうなこと言っていても、どっちにしろ撮れる写真はへっぽこです。しかし趣味としては結果以前にそのプロセスを楽しんでいるわけで、だとしたら「凡人筆を選ぶ」となってしまうわけです。私はまだもう少し一眼レフを使っていたいと思います。