ですから、メインカメラであるK-1には潔くDFA★50mmF1.4のみの一本勝負。それ以外のKマウントレンズは一切持っていきません。ワイド側や望遠側を使いたくなったときにはQマウントに任せることにしましょう。
そこでどこへ行くか考えてみたのですが、真冬らしい良く冷えて晴れた休日、午後になってからという時間的な問題もあって、遠出するのは諦め近場で済ませることにしましょう。となると、東京スカイツリーか浅草か… やはりその辺ですよね。
これまでにも何度も訪れて写真も数え切れないくらい撮ったことがある場所ですが、まずは浅草寺を目指すことにしました。いまや外国からやってきた観光客で溢れる都内随一の人気観光地ですが、まだ1月中ですからお正月気分も少し残っているかも知れません。
雷門〜仲見世 の人混みに飲まれる
門前はいつも通り非常に多くの人で溢れていました。雷門は幕末期に焼失したままになっていたのですが、戦後になって松下幸之助氏の寄付により現在の門が再建されました。なので門にかかる巨大な提灯には今でも「松下電器」の銘がつけられています。
ここでいきなり魚眼を使ってしまいました。Q7に03 FISH EYEの組み合わせです。このレンズはもっともQらしい1本と言えるかも。それにしてもこんなにキリッと写るものだったっけ? と、ちょっと見直しました。これがあればKマウントの魚眼なんか要らない気がしてきます。
雷門をくぐるとき、なぜか提灯の底部に触れようと手を伸ばす人が沢山いました。ほとんど海外からやってきた人達ばかりで、今まではみたことのない光景です。一人が始めてみんな真似をしているだけなのか? それとも何か口コミで「雷門の提灯に触ると願いが叶う」的なおかしな話が広がっていたりするのでしょうか?
さて、そんな雷門をくぐって仲見世へ進んでみましょう。両側にお土産屋さんがずらっと並んでいます。全国に大きな寺院は数あれど、この狭い参道に小さな店がひしめき合い、そこを人の波が押し合いへし合いしている光景は浅草寺でしか見られません。
お正月気分はかなり過去のこととなった、成人の日に絡んだ連休の一日でしたが、それにしてもいつものことながらすごい人出でした。自由に思った通りに歩くことは出来ないし、写真を撮るために立ち止まるのも相当まわりを気にしないと無理な状態です。
ちなみにこのカットはQ-S1+08 WIDE ZOOMで撮りました。08 WIDE ZOOMは結果的にQマウントで一番最後に出てきたレンズとなりましたが、トイレンズシリーズとは全く違って、非常に本格派でしっかりと写る超広角ズームです。それだけにお値段もQマウントレンズの中ではずば抜けて高いです。が、これもまた、Qマウントの特徴的な一本で、このサイズでこの本格的な超広角の世界が味わえるのは唯一無二ではないかと思います。
期待していたとおり、仲見世通りにはまだお正月飾りがされたままでした。ここを歩いているだけでお正月気分が少し戻ってきます。
そして仲見世の両側、お土産屋さんの店先にずらっと並ぶ”山”マークの提灯とか必ず撮ってしまいますよね。この”山”マークは鎹山印というそうで、本来は皇室と縁のある上野の寛永寺が使っていたものですが、どうして浅草寺が使うようになったんでしたっけ?
この浮世絵屋さんも毎回足を止めてしまいます。
で、こういった感じのフルサイズセンサーと大口径レンズが生み出すボケは、さすがにQマウントでは絶対得られないものです。Qシリーズのボディにはピントシフトした複数枚の画像から画像処理でボケを作り出す「ボケコントロール」という、今のスマホが当たり前にやってる機能が入ってますが、開発された時代的にも、プロセッサパワー的にも仕上がりはイマイチなので、使ったことはほとんどありません。今スマホで使われているような最新の技術でやればもっと良いものが出来ると思うので、是非新機種を…(A^^;
そろそろ仲見世通りも終点に近くなってきました。人混みの中歩くのは疲れますが、仲見世通りは混雑してないと仲見世じゃない!って感じなので、これで良いのだろうと思います。平成どころか昭和の雰囲気を残したお土産屋さんも良い感じです。
ふと上を見上げるとムクドリが佇んでいました。すかさずQ-S1に06 TELEPHOTO ZOOMを付けてテレ端(207mm相当)で撮ってみました。
フルサイズでは明確に使う見込みと意思がないと、大きくて重たい望遠ズームをカバンに入れて出かける気になりませんが、Qマウントだったら「もしもの時のためにとりあえず望遠も持って行く」が可能です。実際この06レンズは標準ズームの02 STANDARD ZOOMと大きさも重さもそう変わりません。
宝蔵門〜常香炉〜本堂 で煙にまみれる
仲見世通りが途切れたその先にはまず宝蔵門があります。雷門よりも数倍巨大な建物で、本堂への入り口となっています。
で、その宝蔵門には「小舟町」と書かれたこれまた巨大な提灯がぶら下がっているのですが、それもやはり手を伸ばして触ろうとする人が多数。ただ、こちらは雷門よりもかなり高いところにあって、背の高い男性でもなかなか手が届きません。
どうやら提灯の底にある立派な龍の彫り物にみんな触ろうとしているようです。なんか御利益があるんですかね? むしろ祟られないか心配です。
いずれにしろ、むやみに触れるのは彫り物にとっても提灯にとってもあまり良いことではないと思うので… そのうち禁止されるかも。どうやったら禁止できるのか分かりませんが。
さて、宝蔵門を抜ければあとは本堂です。魚眼で撮ったのでそんな風には見えないかも知れませんが、これがまた大混雑でした。浅草寺人気はすごいです。
そして宝蔵門の左手には五重塔が聳えているわけです。こんなに美しく立派な寺院ですから、旅行者にとっては一見の価値ありなのは当然です。
浅草寺は都内最古のお寺であり、この地域が「江戸」と呼ばれるようになるよりも前に建立され、約1400年近い歴史があるお寺ですから、その点は京都にある多くの寺院に負けないのですが、残念ながら建物は全て戦後のものであり、古い遺構のようなものはほとんど見られません。
さて、本堂の手前にある常香炉が、午後の日差しを浴びて、とても綺麗で写真映えしていました。どのレンズが合うのか迷いますが、やっぱり広角系の方が良いでしょうか? いや、望遠で切り取った方が良いかな?
近づいて見るとさらにすごい煙です。でもお線香から出る煙はとても良い香りですから、ずっと浴びていても気になりません。冬の夕方前の低い日差しがまるで舞台照明のように差し込んでとても綺麗。色はないけど写真映えします。
ということで、結局K-1改につけ50mmが一番しっくり来ました。煙は意外にコントラストがあって、AFは迷うことなく合焦サインを出してきますが、どこに合っているのかは分かりません。構わず数打ちゃ当たる戦法でバシバシシャッター切ってきました。
浅草寺には参拝前に身を清めるための「お水舎」があります。いつも不思議に思うのですが、本来これは神社にあるべきものではないのでしょうか? 上野の弁天堂や深川不動にもあるか… 個人的にはお寺に手水はどうもしっくり来ません。
なお境内の隅っこにはこんな花が咲いていました。「わー!寒桜だ!」という人と「あら八重桜ね」という人がいましたが、どう見ても、そして季節的にもこれは寒桜ですね。
ここでもまた念のために持ってきていた望遠ズームが役立ちます。さすがに200mm相当ともなると極小センサーのQシリーズでもそれなりにアウトフォーカス部がボケてそれっぽい感じになります。
隅田川沿いに出てカモメと戯れる
東武線の鉄橋の脇に出ました。東京スカイツリーが青空バックに綺麗に見えています。展望台からの眺めもさぞ良いことでしょう。久々に展望台に登ってみたいと思いました。
と、そこでカモメにエサをあげてるおじさんがいました。いや、色んな意味でやって良いことなのかどうか分かりませんが… エサをあげてるおじさんは、カメラを持っておらず写真目的ではありません。で、そんな状況に出会うと私のようなカメラを持った人間は自然と吸い寄せられて行ってしまいます。
カモメだけではなくて鳩も集まってきます。この鳩は餌ほしさのあまり、勘違いして私の手に乗ってきました。しかしピント合わせは失敗!
隅田川と東武の鉄橋と東京スカイツリーとカモメと散歩する人。
ここでは超広角の08 WIDE ZOOMが役立ちました。超広角ズームもフルサイズ用はハッキリとした目的を持ってないとなかなか持ち出す気になれないですが、Qマウントなら望遠と同様に超広角もミニチュアサイズなので「とりあえず持って行く」が出来ます。で、ここぞというシーンに出会うわけです。
50mmF1.4しか持ってなかったらこう撮るしかないですからね。もちろんこれはこれで良いですけど。
ということで吾妻橋の袂まで戻ってきました。ほんの小一時間の散歩でしたが、天気が良くて気分爽快!スッキリと楽しめました。
最近写欲がちょっと落ちているところなのですが、たまにQシリーズみたいな変なカメラ使ってみるといろいろ刺激になるし、やはり写真撮ってるといろいろ楽しいという感覚がちゃんと感じられたので、写真自体に飽きたわけではないんだな、ということでちょっとホッとしました。
KマウントとQマウントの相性
さて、フルサイズのK-1 Mark IIと超小型ミラーレスのQーS1/Q7の組み合わせは、同じPENTAX機と言うこともあって意外に手に馴染みました。相当に操作感の異なるカメラですが、そうと分かっているし、どちらも使い慣れていることもあってか、ほぼ違和感はありませんでした。
35mmフルサイズセンサーを持つPENTAX K-1 Mark IIに対し、Q-S1/Q7は1/1.7インチセンサーを搭載しています。その差は実に面積比で約21倍。なのに今回のエントリーでは、K-1改で撮った写真とQ-S1またはQ7で撮った写真を敢えてごちゃ混ぜに並べてみました。
もちろん少し発色が違ったりするし、やはりボケ量が圧倒的に違うので、良く見れば縮小サイズでもどちらで撮った写真か見分けは付くし、拡大したら画素数の違いもあって差は明らかです。しかし、それでもQマウントってこんなに綺麗に写るんだっけ?と、再発見したというのが偽らざる感想です。
なので今回のようにK-1には一番メインで使いそうなレンズを一本だけ付けておいて、その前後の「もしかしたら使いたくなるかも?」な部分はQマウントでカバーするという作戦は十分にアリだなと思いました。
ですから、Q-S1/Q7について「動態保存」とか言ってないで、もっと使っていこうかな?と改めて見直しました。今さらの話ですが。
以下、今回使ったレンズです。
PENTAX 標準ズームレンズ 02 STANDARDZOOM Qマウント 22077
- 出版社/メーカー: ペンタックス
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まずは標準ズームの02 STANDARD ZOOMです。Q-S1/Q7に付けると23〜69mm相当の標準ズームになります。そしてワイド端の解放F値がF2.8と明るいことも特徴。小さいながらも写りは本格派ですが結構使うのは難しいです。普段自分がいかに「ボケ」に頼って写真を撮ってるか気付かされます。
PENTAX 魚眼単焦点レンズ 03 FISH-EYE Qマウント 22087
- 出版社/メーカー: ペンタックス
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そしてトイレンズシーリーズの一本。03FISH-EYEです。絞り固定、電子シャッター専用でMFということで使い方にコツが要りますが、Qマウントには欠かせない一本です。
なお、このレンズを使ってJPEGで撮ると勝手に少しトリミングされて対角線画角は173°に制限されてしまいます。なんでこんなことするんでしょうね。それこそトイレンズなんだから隅が蹴られようとボケボケになろうと流れようと、どうでも良いのに。ちなみにRAWで撮ればこの勝手にトリミング問題は回避できます。
PENTAX 望遠ズームレンズ 06 TELEPHOTO ZOOM Qマウント 22157
- 出版社/メーカー: ペンタックス
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今回のようになにかと使いどころの多い望遠ズームです。画角は69〜207mm相当で沈胴式で全域開放F値2.8という素晴らしいスペック。Qマウントで唯一自然なボケが利用できる一本。しかしながら全体的にチープな造りでズームリングの操作感もあまり良くありません。レンズを覗き込むと内部の鏡胴構造がむき出しで、反射防止処理なんかも甘い感じ。なのにものすごく良く写ります。上手く使うと本当に1/1.7インチで撮ったとは思えない、素晴らしい写真が撮れます。
PENTAX 広角ズームレンズ 08 WIDEZOOM Qマウント 22827
- 出版社/メーカー: リコー
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Qマウント最後のレンズとなったのが17.5〜27mm相当というレンジの超広角ズーム08 WIDE ZOOMです。Qマウントのレンズの中でも飛び抜けて高価な1本ですが、これまた素晴らしい描写が得られる本格派です。06 TELEPHOTO ZOOMと違ってズームリングもしっとりとしてミニチュアながらも高級感を感じます。個人的にはQマウントで一番好きな1本です。
PENTAX 標準単焦点レンズ HD PENTAX-D FA*50mmF1.4 SDM AW W/C Kマウント フルサイズ対応 21260
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冒頭にも書いた通りK-1改にはこの一本だけ使いました。ただでさえF1.4の大口径レンズなのに、ボケが得られにくいQマウントと一緒に使っていると、その暴力的なボケ量により一層頼ろうとして望遠的な使い方ばかりしてしまいました。これも本当はもっといろいろな使い方が出来るはずの一本なんですけどね。
それにしても、この緻密で安定感ある描写は本当に素晴らしいです。K-1改との組み合わせではピントもバシッと決まるところもこのレンズを気に入っている理由のひとつです。大きさと重さは相当なものですけどこの写りなら仕方ないか、と納得させられます。