東京から250kmほどありますが、冬の時期はスキーで日帰りすることもある地域なので、時間の目処も含めて勝手知ったる道中。雪景色以外の磐梯猪苗代は初めてかもしれません。さて、どんな景色が広がっているでしょうか? 自然相手ですから天候も含めて外れたらそのときはそのとき。と言うことで久しぶりに長距離のドライブです。
とりあえず4カ所ほど紅葉が美しそうな名所をピックアップ。一日で回りきれるかどうか分かりませんが、何とかなるだろうという当てずっぽうの旅は気楽で楽しいです。
達沢不動滝
まず最初に向かったのは達沢不動滝。磐越道を磐梯熱海ICで降りて、安達太良山と二ツ森に挟まれた気持ちの良い田舎道を北へ向かいます。中ノ沢温泉街に入ったら郵便局脇の小さな看板を見逃さずに左折。細い山道をさらに進むと小さな集落に出て、それをさらに突っ切ると舗装路が終わり砂利道へ。構わずに進んでいくと小さな駐車場に行き当たります。
車を停めてここからは徒歩。既に周囲は紅葉した樹木で囲まれていて、滝にたどり着く前にシャッターをやたらに切ってしまう状態です。
まだ朝のかなり早い時間帯でカメラを担いだ人しかいません。遊歩道の脇には小川が流れ、足下は落ち葉でフカフカ、頭上は黄色く紅葉した森に覆われています。マイナスイオンたっぷり!
歩くこと5分。道筋は平らで幅も広くて軽装で十分に問題ないアクセスの良さです。そしてこういった場所には必ずと言って良いほど神様が祀られています。ここは滝のある荘厳な雰囲気から、修験場だったそうです。
滝の周辺はお社と川辺に降りる木製のスロープがあるだけで、変に手を入れられていなくて、自然のままでとても良い雰囲気です。
ということで、これがお目当ての滝沢不動滝。高さ10m、幅16mとそれほど大きくはありませんが、いかにもという端正な姿で美しいです。紅葉は既に終わりかけだったようで、裸の枝が目立ちました。
滝と言えば長時間露光して水をフワフワにしたいですよね。このために28-105mmにはNDフィルターを買っていきました。ND8にしたのですがもう少し暗いフィルターでも良いようです。70-200mmには以前別のレンズのために日食用に買ったND16が使える径だったのでそれを流用(日食にはND400と2枚重ねで使います。ND16だけでは足りません)。そして残念ながら15-30mmにはフィルターが付きません。
Kenko NDフィルター PRO ND8 62mm 光量調節用 362624
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倒木がそのまま放置され、苔むして朽ち果てています。
滝壺の方へもっと近寄って見ましょう。ここまで来ると水しぶきが飛んできますが、PENTAXは防塵防滴ですから気にしません。前玉が飛沫だらけにならないうちに撮ってしまわなくては。
上に書いたように15-30mmはフィルターが付けられないので、絞り込んでなるべく遅いシャッターを切るしかありません。回折ボケなんて構っていられません。それだけでもそこそこ雰囲気は出るので、NDフィルターを使うにしても何十秒ものシャッター速度にする必要はないのかも。それに、水をフワフワにすることばかり考えてると、木が揺れてしまうんですよね。そっちに気が回らず、シャッター速度落としすぎてかなり失敗しました。
足下は自然のままでかなり悪いです。場所によってはこんな状態で三脚設置していました。周囲にいた人達は、ちゃんと長靴履いてきてる人が多数。なるほど、そういうことなのか…。私も多少濡れても大丈夫なトレッキングシューズを履いてきましたが、水の中に入るのは無理。
川を渡って対岸に行くと色々面白そうでしたが、危ないので諦めました。岩だらけで水深は浅く、季節的な要因か水量はそれほど多くありませんでしたが、何しろ自然相手ですので十分注意が必要です。
メインの滝は男滝と呼ばれていて、実はそのすぐ横に女滝というもう一つの滝があります。こちらはかなり奥まったところにあって、近づけません。男滝に気を取られていると気付かない人もいるかも。水量は少なく細いですが、高さはそれなりにありそう。ちょうど朝陽が差し込む位置にあってこちらも綺麗でした。
ここに祀られているのは不動明王様だそうです。剣がたくさん供えてありました。
滝と駐車場を結ぶ遊歩道から分岐する脇道が気になっていたので、帰りがけにを少しだけ入ってみました。それは「戊辰の道」と呼ばれ、新政府軍が会津攻めの際に通った山道だそうです。今や何もないただの山道ですが、ふと空を見上げると見事な紅葉が広がっていました。戊辰戦争って季節はいつだったっけ? こんな綺麗な紅葉の中を兵隊が進んだわけじゃないよな… と、150年前のことにしばし思いを馳せてしまいます。
さて、そろそろ次の目的地へ向かいましょう。クルマで移動しつつ、達沢不動滝があった日蔭山を眺めるとこんなに綺麗に紅葉していました。道路を走っているだけで、周囲の山々が美しく紅葉していて、いちいち気になります。素晴らしく綺麗な風景の中をドライブするのは楽しいです。
土津神社
さて、国道115号線に出ていよいよ磐梯山を目指します。磐梯山は雲の中でその姿を見せていませんでしたが、上の方は既に雪を被ってる様子が分かりました。そして何度も来たことのある猪苗代スキー場へ向かう道を上がっていくと、その途中の集落の真ん中に土津神社があります。参道の前に無料の駐車場があるので、そこに車を停めてお参りしていきましょう。
ここは城のある会津若松市街地からは大分離れていますが、会津藩松平家の墓所がある由緒正しい神社です。そして紅葉で有名で、入り口からしてこんなに巨大なカエデに迎えられます。
参道に架かる橋とこのカエデの木の景色は名物らしく、多くの人が写真を撮っていました。この木はまだ緑が残っていて紅葉し初めですね。このまだらなグラデーションも美しいです。
橋を渡って境内に入ったらビックリ。なるほどこれはすごい! 広くはありませんがまさに紅葉の饗宴。素晴らしい赤と黄色と緑の木が立ち並んでします。
上を見上げればほら! これ15mmの超広角で撮っています。まさに視界いっぱいに広がる紅葉は見事としか言いようがありません。この時期は夜にライトアップが行われているそうで、照明があちこちに設置されていました。紅葉の夜景はさぞかし美しいことでしょう。もう少し近くだったらわざわざ出かけていく価値がありそうです。
階段を登った奥には拝殿があります。この神社に祀られているのは会津藩の藩租、保科正之。徳川幕府二代将軍秀忠の四男ですが、母親は江さんではありません。会津藩が最後まで幕府方で戦った由縁でもあり、「ならぬものはならぬ」の会津の精神をはぐくんだ象徴と言っても良いでしょう。
位置関係からして早い段階で新政府軍の手に落ちたのでしょう。この神社は戊辰戦争で破壊され、戦争後に会津藩が転封された斗南へ一時期遷されていたそうです。明治の早い時期に再建されたそうですが、神社としては規模はそれほど大きくありません。
会津若松城はまだ訪れていないのですが、会津藩の歴史をたどるためには、ここは必ずセットで見るべきところかと思います。しかも紅葉の季節なら最高です。
拝殿を過ぎて奥へと行くと、会津松平家の墓所へと続く参道が続いています。巨大な杉の木に囲まれ荘厳な雰囲気。華やかな紅葉とは無煙の景色が広がっています。
評判通り、素晴らしい紅葉でした。これだけでもう今年の紅葉狩りは満足しました(^^;
五色沼
さて次に向かう場所は悩んでいたのですが、思い切って裏磐梯へまわり五色沼へ。この辺もスキーで真冬に何度も通りかかるところですが、五色沼自体を見たことはありません。ちゃんと踏破するとそれなりのハイキングになるのですが、今回は途中で引き返すつもりで、ちょっとだけ見に行ってみましょう。
車でまずは裏磐梯ビジターセンター方面へ。土津神社からは約30分ほどの行程でした。裏磐梯を巡る国道459号線は豪雪の中しか運転した記憶がないのですが、普段はこんなに走りやすい道なんだ!と改めて感動しました。真冬の景色が想像できるような出来ないような。改めて日本の四季ってすごいと思います。
さて裏磐梯ビジターセンターまたは五色沼駐車場に車を停めたら、すぐそこに毘沙門沼が広がっています。お土産屋さんが並び、ボート乗り場や展望台みたいなのがあって、そこそこ「ザ・観光地化」されています。ですが、ただの湖なんかと違って、薄いブルーというかエメラルドグリーンというか、水の色は明らかに普通ではありません。ボート乗り場脇の木々も綺麗に紅葉していて、それなりにここから景色を眺めているだけで満足できてしまいます。
青い湖面(沼面?)をバックに真っ赤な紅葉。これは素晴らしい! もうここだけで満足… と言うわけにはいかないので、この毘沙門沼から五色沼自然探勝路を少し探検してみましょう。
五色沼自然探勝路は毘沙門沼から柳沼まで、全長3.6kmの自然豊かな山道を行くハイキングコースです。高低差は柳沼に向かって約40mほどの上りとなります(もちろん途中にはアップダウンが断続的にあります)。端っこまで行ってしまうと駐車場に戻るにはバスかタクシーか、あるいは歩いて戻るしかないのですが、今回は無計画にやってきたので、毘沙門沼から2〜3個隣の沼まで行って引き返してくるつもりでした。
毘沙門沼は巨大です。端っこの方までやっとたどり着きました。これからしばらくは山の中を進みます。
そして名もなき(実際にはあるのかも知れません)水たまりのような沼をいくつか通り過ぎて、赤沼にたどり着きました。”赤”沼と言いつつエメラルドグリーンですが… 周囲の草木の根元が赤く染まっているので「赤沼」と呼ぶそうです。
さて、もう1kmくらいはやってきてしまった気がします。当初の腹づもりではここらで引きかえすところだったのですが、あと数百メートルで隣の沼に行けるようなので、あとちょっとだけ進んでみましょう。
そしてやってきたのが赤沼の隣にある「みどろ沼」。漢字を当てると「深泥沼」となるそうです。たしかに毘沙門沼とも赤沼とも違ってグリーンが濃いし、透明度がなさそう。でも綺麗ですね。湖面の一部を覆う葦の群生も見事です。ここは栄養が豊富なのでしょうか?
さていい加減引き返そうか… と思いつつ、今どこまでやってきたのかGoogleマップで確かめてみました。衛星写真に切り替えて現在位置と周辺の沼の様子を確認します。すると… もう少し行ったところにある弁天沼の、今までにないくらい綺麗なブルーの水面を見てしまいました。これは行ってみなくては! ということで、沼とは恐ろしいもので、引き返す判断が出来ずにどんどんと引きずり込まれていきます。
約500mさらに進んで見えてきたのが、ひときわ鮮やかなブルーの水面。弁天沼です。大きさもそこそこあります。いやいや、これは美しい!
ぽつんと突きだした枯れ木は、撮ってくださいと言わんばかりの風情。残念ながらこの時間になると雲が厚くなって日が陰ってしまったのですが。それは良いことだったのか悪いことだったのか。ここへ来て、NDフィルターよりもむしろPLフィルターがあれば… と気付きます。曇り空が反射しているこのブルーの水面が、もっと透き通った色で写せたのかも! でも77mm径のCPLフィルターはいったいいくらすることやら。
Kenko PLフィルター PRO1D WIDE BAND サーキュラーPL (W) 77mm コントラスト上昇・反射除去用 517727
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8500円か… 1万円くらいするかと思ってました。買っておくか。
本当にここは綺麗。
で、この隣に五色沼の中でも最も青いという「青沼」があるのですが、さすがにここまでの道のりを引き返すことを考えると、これ以上深入りは出来ません。柳沼まで行ってしまってバスに乗ると言うことも考えたのですが、時間等々考えてここでようやく引き返す決心が付きました。
PENTAX K-1で撮影した写真に付いたジオタグから、マップ上にプロットしてみるとこんな感じ。黄色いマークがある場所が写真を撮った場所。ここまでで五色沼自然探勝路の全行程60%くらいまで来てしまったようです。青沼含め残りはまた別の機会に訪れてみたいと思います。
ということで、今回の福島日帰り遠足はここまで。事前に調査しておいたあともう一カ所は、猪苗代湖そばの天鏡閣でしたが、どうも磐梯山周辺は厚い雲が垂れ込めてきてしまったことと、思いがけず歩きすぎて疲れたので、大人しく余裕を持って帰路につくことにしました。
この辺はまた冬になると来ることがあるでしょうし、いずれは会津若松城を見に行かなくてはならないので、そのときにでもまた訪れたいと思います。紅葉はさておき、他にも見所がいっぱいありますので。
総走行距離は610km。金曜日夜だったので帰りの川口JCT付近で少し渋滞があっただけで、基本的に道路は空いていて快適でした。
使ったカメラ
今回使ったカメラとレンズは以下の通りです。
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PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280
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