先々月に発表されたEOS M5の実機をお借りすることが出来ました。発売は11月25日と発表されましたのでまだ市場には出回っていません。誰もまだ持っていない優越感に浸りながら、約1ヶ月間ほどフライングで試用させてもらうことにします。
去るフォトキナから来年のCP+に向けて、多くのミラーレス新製品が発表されていますが、中でもEVFを内蔵した上位機に集中しているように思います。どちらかと言うとローエンドに注力していたEOS Mシリーズも、とうとうEVFを内蔵し、AFや連写性能などを上げたこのEOS M5で、そういったミラーレス機のハイエンドに一歩踏み出したようです。
「今までのミラーレスに、満足しているか?」という挑戦的なキャッチコピーが付けられた、キヤノンの自信作のようですので、その言葉通り「EOS M5は満足できるミラーレス機なのか?」をじっくりと体験させてもらおうと思います。
改めて外観など眺めてみる
先々月にEOS M5が発表された当日に実機には触らせてもらいました。そのときのレポートは以下のエントリーにまとめてあります。
ということで、EOS M5に触れるのは初めてではないのですが、改めてじっくりと見てみましょう。
今回お借りしたキット構成はこうなっています。EOS M5ボディにレンズは標準ズームのEF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM、望遠ズームのEF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM、そしてマクロのEF-M28mm F3.5 IS STMです。なお、特にこういう構成のキットが販売されると言うわけではありません。
さらにマウントアダプターEF-EOS Mも同梱されていましたが、残念ながら私はEFレンズを持っていないので、これは使えません。
次にボディの操作系を中心に細部を見ていきましょう。
マウントはもちろんEF-Mマウント。センサーはキヤノンサイズのAPS-Cで、約22.3×14.9mmです。デュアルピクセルCMOSを採用した約24.2Mピクセルのセンサーです。
EVFを搭載しているのがEOS M5の一番の特徴で、236万画素の有機ELパネルが使用されています。倍率が公表されていないようですが、覗いた感じではそれほど高倍率には思えません。いずれにしても、EVFの出来はこのカメラの性格を決定づける部分だと思いますので、背面LCDは使わずにEVFのみを使ってみることにします。
操作系で特徴的なのはダイヤルがたくさん用意されていること。シャッターボタン周囲のメイン電子ダイヤルに、新たに搭載されたダイヤルファンクションボタンと、その周囲のサブ電子ダイヤル、さらに露出補正専用のダイヤルと、左肩にはモードダイヤルが装備されています。
背面右側はわりとオーソドックスで十字キーといくつかの専用ボタンが並んでいます。この辺はキヤノンの仕来りに慣れていないので、少しずつ覚えていかなくてはなりません。EOS M3で悩まされたMFボタンもここに相変わらず一等地にあります。知らないうちに押さないように気をつけなくては。
ちなみに十字キーの周囲もまたダイヤルになっていますが、この手のダイヤルに多いように、操作感はあまり良くありません。
背面液晶は3.2インチ162万画素でタッチ操作対応と、ほぼフルスペックです。上下チルト機構付きで自撮りにも対応しています。収納時も非常にスマートで収まりが良く、この辺の仕様や造りにはまったく隙がありません。
EOS M3は収納状態でちょっとしたロック機構があって、引き出すにはコツが必要でしたが、EOS M5はそんなことはありません。チルト機構は割りと固くて節度感があります。
電源スイッチが左肩のモードダイヤル基部にあるのは、EOS Mシリーズでは初めてではないかと思います。これは一眼レフのEOSシリーズと同じ方式で、この辺にもEOS M5の本気度が少し表れているような気がします。
EVFが内蔵されたことで出来たペンタ部の出っ張りには、フラッシュが内蔵されています。ガイドナンバーは5とミニマム仕様。というか、こんなので何かの役に立つんでしょうか?
手動ポップアップ式ですので、格納しておけば自動的にフラッシュ禁止になります。最近のデジタルカメラは高感度性能が素晴らしいので、純粋な光源としてフラッシュを使うことは少ないと思いますので、おまけ程度に考えておきましょう。
電池とカードスロットは本体下部、グリップ側にあります。電池はLP-E17というタイプで、EOS M3やEOS Kiss X8i、EOS 8000Dと同じもの。CIPA基準で295枚の撮影が可能とミラーレス機としてはごく標準的なところ。使い方次第ですが、それなりに本気で使うには予備電池は必須かと思います。
さて、標準ズームEF-M15-45mmを付けたEOS M5と私が使っているNikon 1 J5に10-30mmを付けた状態で、大きさを比べてみましょう。奇遇にも両レンズとも3倍ズームで沈胴式です。写真は使用可能な状態に設定していますので、持ち運び時はもう少し小さくなります。
やはりフォーマットサイズとEVF内蔵の差がそのまま現れていて、これに関しては「まぁそうだよね」以外の感想はありません。しかし一眼レフと比べたら雲泥の差ですし、小さいなりに手の中の収まりも良く、わずかなグリップの掛かりも良くできています。
レンズを見てみる&早速実写!
次に最初に紹介した3本のレンズを見てみましょう。ついでに少し実写してますので、それも紹介しておきます。
EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM
まずは標準ズーム。EF-Mマウントには以前からEF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STMという標準ズームがあったのですが、確かEOS M10に合わせて発売された廉価版の標準ズームがこれ。沈胴式で収納時はかなりコンパクトになります。そして何よりもワイド端が24mm相当まで広がっているところがポイント。テレ端は45mmと中途半端な上にF6.3と非常に暗いのでおまけ程度に考えると、なかなか良いレンズだと思います。
前回の記事でトップに貼った写真とそっくりですが、同じ場所で撮りました。土津神社の紅葉です。ゴーストは盛大に出ますがコントラストはなんとか保っています。これはこれで眩しさが感じられて良いと思います。いずれにしろ15mmのワイド端はやはり多用してしまいます。
「おまけ」と書いたテレ端ですが、近寄ればそれなりに背景はボケるし使い道ありそうです。多分開放が一番性能出るタイプのレンズで、特に理由のない限り絞る必要はないのかも。再近接距離は全域で0.25mです。このレンズは出先で料理を撮るなんてシーンにはぴったりかと思います。
東京の夜景。無限遠だってもちろん得意。ちなみにこれでISO3200。手ぶれ補正付いてますし手持ちで十分いけます。
EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM
次は今年の春先に発売されたEF-M初のマクロレンズ。これがなかなか変わった仕様で面白いのです。なおこのレンズも沈胴式です。
焦点距離は28mmですから、フルサイズ換算で約45mmという、マクロにしては比較的広い画角を持っています。無限遠から9.7cmまで近寄れて、最大撮影倍率は標準で1倍なのですが、このレンズにはスーパーマクロモードというのが付いていて、それに設定するとなんと1.2倍まで撮影倍率が上がります。
さらに面白いのは、ワーキングディスタンスが非常に短いことを逆手にとって、レンズ前にLEDライトが付いているのです。これで被写体を照らしながら超接写が出来るようになっています。
リコーのWGシリーズやオリンパスのTGシリーズなど、コンパクトカメラに同じような機構は搭載されているものがありますが、レンズ交換式では初めてではないかと思います。
スーパーマクロモードにして、その辺に咲いていたコスモスに寄ってみました。影が出ないようにLEDライトもON! ただどこまで寄れるのか分からないというか、むしろ遠すぎるとピントが合いません。多分もっと寄れるんだと思いますが、とりあえず撮ってみた一枚です。超接写の世界は色々発見があって面白そう!
アメジストセージにも近寄って見ましょう。モフモフしてますね。毛虫みたい。
もちろん通常モードでは普通に撮れます。AFリミッターとかないのですが、そんなことも気にならないくらいAF駆動はすばやいし、無音です。
EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM
最後に望遠ズーム。こいつは沈胴式ではありません。スペック的には特に見るところのないごく普通の安い望遠ズームで、キットになっていそうな仕様。でもAFは速いし、手ぶれ補正も内蔵しているし、軽くてコンパクトでよく出来ています。望遠端がちょっと物足りないですけど。250mmか、できれば300mm欲しいですね。
これもあまり絞りのことは考えずに気軽に撮るのが良さそうです。この望遠域になると、それなりに背景はボケるでしょうが、あまり積極的にそういう使い方をするものではなさそうです。
動体撮影が得意そうなEOS M5と組み合わせれば、こんな感じのことも出来ます。もちろん光学性能にはまったく手抜きはしていなさそう。新幹線を撮った件についてはまた別途エントリーを書く予定です。
ということで、これからしばらく色々撮って試してみたい思います。一眼レフ派の私がミラーレスバンザイ!派になることはあるのか!?
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