以前もDAズームレンズで似たようなテストをしたことがありますが(参考:DAレンズのフルサイズ対応度チェック)、その後単焦点のDA Limitedレンズを中心に保有レンズが増えましたので、再度フィルムカメラで撮影してみて、画角的にこれらのレンズがどこまでフルサイズに対応しているのかテストしてみました。
テスト対象のレンズは、DA21mmF3.2AL、DA35mmF2.4AL、DA40mmF2.8、DA70mmF2.4の4本です。いずれもDAと名のつく、APS-Cデジタル一眼専用レンズです。これをKマウントのフィルム一眼レフMZ-Sに取り付けて、写真を撮ってみました。
ちなみに、実はこのテストをした先人達は一杯いて、すでに答えはネットを検索すれば出てきます。
参考リンク:ペンタックスDAレンズのうちフルサイズで使えるのは単焦点レンズ5本とズームレンズ1本 -デジカメInfo
これによると、今回テストするレンズのうちDA21mmはダメで、DA40mmとDA70mmはOK、DA35mmF2.4ALは当時未発売だったのでリストにありませんが、OKらしいという情報はたくさんあります。
なのですが、追試の意味も含めてやっぱり自分でもやってみることにしました。どの程度ダメでどの程度OKなのか? ちなみにフィルムで撮影していることもあって、主にチェックしてるのは「ケラレあるいは周辺減光の程度」です。
MZ-S + DAレンズ
テストに使用するカメラはMZ-Sです。私はペンタックスのフィルム機はこれしか持っていません。MZ-Sはハイパー操作系によるマルチモード機ですが、絞りのコントロールにはレンズの絞り環を使うようになっています。なので、MZ-Sに絞り環のないDAレンズをつけると、当然ながら絞りの操作ができません。その場合、使用可能な露出モードはプログラムとシャッタースピード優先に限られ、絞り優先とマニュアルができなくなります。
ということで、以下のテスト撮影はシャッター速度優先モードで撮影しました。ちなみにDAレンズのフードは事前にちゃんと取り外して撮影しています。フィルムはフジカラー400というごく普通のカラーネガが余っていたのでそれを使用しました。ISO400なため、シャッター速度を最高の1/6000秒まで上げても、絞り開放に設定することができませんでした。
以下に貼った写真は、仕上がったネガをフィルムスキャンし、左右をカットして3:2ピッタリにトリミングしたものです。スキャナーの特性で、少しコントラストが高めになっているような気もしますので、周辺減光についてはかなり厳しめに出ていると思った方が良いかもしれません。
DA21mm F3.2AL Limited
まずは一番広角なレンズから。APS-Cのデジタル一眼レフにつけるとフルサイズ換算で32mm相当の画角になる、ワイド系の標準レンズですが、MZ-Sではそのまま21mmの超広角レンズとなります。
PENTAX MZ-S, DA21mmF3.2AL, 1/6000sec, F3.5, Fujicolor400
やはり周囲がケラレてしまいました。絞りは開放に近いF3.5となっていますので、これがほぼワーストの状態と思います。しかしこのレベルになると、これがこのレンズの味… と割り切って無理矢理使うのも難しいレベルです。やはりこんなに小さいフルサイズ対応な超広角は無理ってことなのでしょう。残念。
DA35mm F2.4AL
このレンズは単焦点ですが”Limited”シリーズではありません。同じ焦点距離のDA35mm F2.8 Macro Limitedと区別するために「安DA35mm」と言われているレンズです。プラスチック鏡胴にプラスチックマウントなど、かなりチープな造りですが、光学系はFA35mmF2ALとほぼ同等と言われているだけあって、フルサイズを十分カバーする実力があると期待できます。
PENTAX MZ-S, DA35mmF2.4AL, 1/6000sec, F3.5, Fujicolor400
やはり絞りはF3.5となってしまったので、開放からは約1段程度絞り込んだ状態です。ちょっと周辺減光が目立つようですが、このくらいなら用途と使い方次第で何とかなるかも。あるいは後処理で補正できる範囲ではないかと思います。四隅の解像の面でもこのフィルムで見る限り破綻は見られませんでした。
DA40mm F2.8 Limited
ペンタックスレンズを代表する1本。ペラペラのパンケーキレンズです。同じスペックのパンケーキレンズがフィルム時代にあったので、実は光学系はそれをベースにしていると想像すれば、こちらも問題なくフルサイズ対応されていそうです。
PENTAX MZ-S, DA40mmF2.8, 1/6000sec, F3.5, Fujicolor400
開放から約0.5段ほど絞った状態。さすがに「実はフルサイズでも使える」と言われ続けてきただけあって、周辺減光的には確かにこれなら問題なさそうです。こんな小さなレンズなのにさすがです。しかし解像や像の流れという面では、隅の方はかなり怪しくなっているように見えます。
フルサイズでこのレンズが使えれば、つけっぱなしにできる標準レンズとしては画角的には理想なのですが、そうなると40cmという最短撮影距離の長さがより気になってくるかも。
DA70mm F2.4 Limited
最後にもっとも望遠寄りの70mmです。70mmという焦点距離は、フルサイズではズームレンズの望遠端くらいでしか見かけない、やや中途半端な画角となります。
PENTAX MZ-S, DA70mmF2.4, 1/6000sec, F3.5, Fujicolor400
開放から約1段絞った状態ですが、これもDA40mmに負けず劣らず良い感じです。周辺光量面でも四隅の解像面でも「フルサイズで使える」と言ってまったく差し支えないレベルかと思います。DAレンズの中でもイメージサークル的にはかなり余裕があるレンズと思います。非球面も特殊ガラスも使っていない、非常にシンプルな光学系で、小型軽量高性能。しかもフルサイズ対応とくれば、これは良いレンズです。
まとめ
ということで、すでに言われていたことはほぼ正しかったことが確かめられました。今回調べた中ではDA21mm以外は使えると言ってしまって問題なさそう。DAレンズのフルサイズ対応は、ワイド系にはやはり厳しく、中望遠あたりなら問題ないようです。ただし、フィルムカメラで使うには、やはり絞り環がないことが大きな欠点となります(MF時代の古いカメラなど、機種によっては最小絞り固定になってしまう場合もあるのかも)。なので、ここまでやっておいてなんですが、実用性はあまりありません。
それよりも、コアなペンタックスユーザーがこの件に興味を持つ理由は一つ。将来、Kマウントのフルサイズ機が出たときに今のレンズはどの程度使えるのか?という事です。それも今の段階では絵空事ではあるのですが、空想したり心配したりするのは自由ですし、むしろ楽しいことだったりします(A^^;
最後に以前やったテストも含め、私の手持ちのDAレンズに関する「フルサイズ対応度」をまとめておきます。
レンズ名 | 結果 |
---|---|
DA21mmF3.2AL | ケラレ |
DA35mmF2.4AL | 使えそう |
DA40mmF2.8 | 使えそう |
DA70mmF2.4 | 使えそう |
DA FE 10-17mm F3.5-4.5ED | ワイド端でケラレ、テレ端で大きな周辺光量落ち |
DA16-45mmF4ED | ワイド端でケラレ、テレ端で大きな周辺光量落ち |
DA★60-250mmF4ED | 135mm以上で大きな周辺光量落ち |
関連エントリー DA40mmF2.8 Limited Silver DA70mmF2.4 Limited Silver DA21mmF3.2AL Limited Silver K-x + DA35mmF2.4AL