なんて、最近よくありがちな胡散臭いタイトルをつけてみました。本当は先頭に「K-7ユーザーから見た・・・」とつけようと思ったのですが、それでは長くなりすぎるので省略しました。さらに言うと、私はK-7ユーザーを代表しているわけではないので、「とある一人のK-7ユーザーから見た・・・」とするのが正確かも知れません。あるいは「とある一人のK-7信者から見た・・・」と読み替えても構いません。
要するにこのエントリーは、K-7ユーザーである私がK-5を一週間だけ使ってみて感じた、インプレッションのまとめ記事です。性能や機能の細かい違いについてというよりも、K-7をK-5に持ち替えて、自分なりに普通に使ってみて感じたことを、K-“5″にあやかって5つだけ挙げてみたいと思います。もちろん、これはあくまでも個人的な感想です。
K-5, FA31mmF1.8AL, 1/800sec, F2.0, ISO80, +0.7EV, WB: AUTO, CI: 鮮やか
なお、今回もK-5で撮った写真もズラズラと貼っておきます。K-5を返却する前日に近所の公園で撮ったものです。紛らわしいですが文章とは直接関係ありません。スミマセン。
1. シャッターフィールがより柔らかくなった
K-7からK-5に持ち換えて真っ先に感じるのはシャッターを切った感触がより柔らかく、静かになったことです。K-7も相当柔らかい方だと思っていましたが、K-5はさらにその上を行きます。これはもともと静音化や低ショック化を目指して改良されたわけではなくて、連写速度向上と同時にAF性能を上げるために、ミラーなどの振動を押さえ込んだ結果の副産物だそうです。
いわゆる後付けの静音モードとは違って、シャッターのキレというか動作自体は非常にきびきびしつつも、上品なシャッターフィールが実現されており、連写モードではなくシングルモードで使っていても、とてもリズム良く写真を撮ることが出来ます。この辺はK-7との違いと言うよりも、その特徴がより徹底され完成度が高まったと感じられる部分です。
K-5, DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED, 1/30sec, F3.5, ISO200, WB: AUTO, CI: 鮮やか
K-5, DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED, 1/60sec, F9.0, ISO200, +0.7EV, WB: AUTO, CI: 鮮やか
2. 高感度性能が劇的に向上した
そしてK-5と言えば、何はなくとも高感度性能の高さです。過去のエントリー(↓一番下に関連エントリーをまとめてあります)でも試してみましたし、巷にもK-5の高感度の作例はたくさん溢れています。ISO51200まで対応する高感度性能は伊達ではありません。恐らく現時点でAPS-Cのデジタル一眼レフでは最高と言えるのでしょう。ましてや、高感度にとても弱いと言われていたK-7との比較となると、これはもう違う次元の話としか言いようがありません。
個人的にはK-7の常用可能な最高感度はISO400まで、状況によってはISO800も可。ISO1600は緊急用でそれ以上は使ったことがありません。K-5になると、ISO12800〜51200は緊急用としてもISO6400あたりは普通に常用できてしまう気がします。この3段〜4段の感度の差によって撮影の幅はぐっと広がります。単に薄暗いシーンでも絵が写るというだけでなく、シャッターや絞りの選択に幅が出てくるわけで、これはK-7で撮れなかった写真がK-5では撮れる、という決定的な違いを生み出します。
K-5, DA18-55mmF3.5-5.6AL WR, 1/250sec, F8.0, ISO100, WB: AUTO, CI: 鮮やか
K-5, DA*60-250mmF4ED, 1/550sec, F4.5, ISO200, WB: AUTO, CI: 鮮やか
3. AF性能が少し向上した
シャッターフィールのところでも触れましたが、K-5はK-7に比べてAF性能が向上しています。ミラーのバウンドの収束を早めたり、AFセンサーの光学系を見直すことによって、速度、暗所性能、ピント精度などが向上しているそうです。その結果、高速連写にも耐えられるようになったわけですが、もちろんこれらの地道なAF性能の改善は連写しなくても恩恵は感じられるはずです。
しかし私が1週間お借りした限りにおいては、実はそれほどAFの性能向上を感じる場面はありませんでした。私にとっては通常の撮影時においてはK-7のAFでも十分満足しているせいかもしれません。しかしF1を撮るような場面では圧倒的な差が出るのかも。残念ながらこの短い期間でそこまで確認することは出来ませんでした。
K-5, FA31mmF1.8AL, 1/60sec, F2.0, ISO80, +0.7EV, WB: AUTO, CI: 銀残し
K-5, DA18-55mmF3.5-5.6AL WR, 1/200sec, F5.6, ISO100, WB: AUTO, CI: ほのか
4. 操作性も少し向上した
K-5はK-7と比べて外見もUIもほとんど変わりませんが、操作性にも手が入れられています。と言うのも、モードダイヤルとAFモードレバーが変更されているのです。モードダイヤルは背が高くなり、ロックボタンのストロークも見直されており、AFレバーは形状が変更されています。
モードダイヤルについては、私はK-7でも不満はありませんでした。と言うのも、たいていの場合、撮影中にはほとんど触らないから。むしろ勝手に動いてしまうと困ります。で、確かにK-5を操作してみるとダイヤルは回しやすくなっています。しかしちゃんとロック機構がついているので、勝手にモードが切り替わっているようなこともありません。
AFモードレバーの差はもう圧倒的で、K-7の動かしにくさとクリック感の曖昧さは、はっきりと欠点として感じていました。通常はAF-S固定ですが、動くものを撮る場合は頻繁に変更することがあります。K-5の新型レバーは見事にそのあたりの使いにくさが解消されています。
K-5, DA18-55mmF3.5-5.6AL WR, 1/160sec, F5.6, ISO100, +0.7EV, WB: AUTO, CI: 鮮やか
上の写真はK-5とK-7の外観上の数少ない差異を示したものです。左がK-5、右がK-7です。ピンクの矢印が指している、ペンタ部のエッジがK-5のほうが鋭くなっています。並べて言われてみて初めて気づくレベルです。そして、緑の矢印で指名したモードダイヤルの背が高くなっています。この2点にAFスイッチと機種名のロゴを合わせた4点が、外観上の差異です。
5. K-7とK-5は同じカメラである
と、ここまでK-7に対するK-5の改善点をいろいろ挙げておいて、矛盾した結論に達してしまうわけですが、全体的(ってなんだ?というのはさておき)に見てK-5はK-7はほとんど変わらないなぁ、というのが正直な私の感想です。
もちろん、デジタルカメラの心臓とも言えるセンサーが異なり、画素数も高感度性能も違います。動画やライブビューも強化され、信号処理もエクストラシャープネスが加わったり、手持ちHDRに対応したり、カスタムイメージにも「銀残し」が追加され、デジタルフィルターも色々と更新されており、より高性能、高機能にブラッシュアップされています。その結果、K-5から吐き出される”絵”は、K-7とは違いが生まれるはず。よりレベルの高い方向に。
しかし、外観デザインは基本的にK-7と同じでサイズも重量も同じ。マグネシウム合金の外装に、高い防塵防滴性能を備え、ペンタプリズムの視野率100%光学ファインダーを持ち、強力なボディ内手ぶれ補正機構と、それを利用した水平補正や構図補正などなど、基本的な一眼レフカメラとしての”骨格”はそのまま踏襲されています。
その結果、写真を撮ろうとして手にした感触や使い心地、「どんな写真が撮れるだろう?」とか、「こんな風に撮りたい!」という期待感は、ほとんど同じだと感じてしまうのです。AF性能や高感度性能が違っていたとしても。
K-7, SIGMA APO120-400mm F4.5-5.6DG OS HSM, 1/125sec, F5.6, ISO100, -0.7EV, WB: AUTO, CI: リバーサルフィルム
PENTAXさんで開かれたセミナーでは「K-5は単なるK-7のマイナーチェンジではない。上位機種を目指した。」と説明されましたが、ですが私としては、これは「良い意味で」のマイナーチェンジ以外の何物でもないと思います。K-7で掲げた「プレミアムスモール」と言う言葉はそのままK-5に当てはまります。新しい分だけ到達点が違うけど、目指したベクトルは全く同じという意味で「K-5はK-7は同じカメラだ」というのが私の結論です。
だから何?って? で、結局おまえは買うのか?と問われれば… まだわかりません(A^^;
これだけ改良され、ある意味「K-7の完成型」なのだから、理屈では買い!なのですが、なぜかK-7を初めて見て触った時のような「これだ!」という理屈ではない本能に訴えかけてくる何かが感じられないのです。私にとって一眼レフカメラは100%趣味の道具なので、スペックとか性能だけじゃくて、そういう情緒的な面も重要です。単に目新しさを欲しがってるだけ、だとしたら本意ではないのですが。
理屈で10万以上は出せないけど感情では出せる、というのはおかしな話です。とりあえず18-135mmレンズのキットが出てから(今週金曜日だ…)ゆっくり考えたいと思います。
グズグズになってしまいましたが、K-5の試用レポートは以上で終わりです。
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