最近読んだ本5冊:新海誠、宮部みゆき、佐伯泰英、宇江佐真理

 ここ最近の読書記録です。相変わらず時代小説が好きなのですが、そうじゃないものも時々読むようになってきました。紙の本なら絶対買わないものも、電子書籍だと気軽に買ってしまうのが原因でしょう。私の個人的体験だけを見れば、電子書籍は購買へのハードルを下げ、読者の裾野を広げる効果はあると思うんですけど、いまだその辺も論争が絶えません。まぁ、縦書きの活字を読む限りにおいて、電子書籍は読書体験の質としては紙に遥かに及ばないと、思っていますけど。好きな本は出来れば紙で読みたいです。

 さて、特に今回は昨夏以来話題沸騰の流行りものに手を出してみました。いまさら感満載ですがそこから始めましょう。

君の名は。:新海誠

小説 君の名は。 (角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)

山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが―。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。

小説 君の名は。 (角川文庫) | 新海 誠 | Kindleストア | Amazon

続きを読む “最近読んだ本5冊:新海誠、宮部みゆき、佐伯泰英、宇江佐真理”

最近の読書記録:髪結い伊三次と鼠と反知性主義

 ここ3ヶ月ほどすっかり読書記録をつけるのをサボってしまいました。しかし読書をしていなかったわけではなく、それなりにいつものペースで読んでいました。このまま読書カテゴリーをフェードアウトさせるのも勿体無いので、約3か月分まとめてここで記録しておこうと思います。

 この間読んでいたのは宇江佐真理さんの「髪結い伊三次シリーズ」の続きと、赤川次郎さんの「鼠シリーズ」最新刊、そしてやや毛色が変わって森本あんり氏の「反知性主義」といったあたりです。

DSC_4095
 ちなみに最近はすべてKindle版を買ってPaperwhiteで読んでいます。とても便利でもはや紙の本には戻れない、と思う一方で、実感として紙の本を買っていたときより本を読むモチベーションが下がったな、と思います。感想文を書かなくなった理由もその辺にありそうです。何ででしょうね?

続きを読む “最近の読書記録:髪結い伊三次と鼠と反知性主義”

宇江佐真理さんの代表作「髪結い伊三次捕物余話」シリーズを読み始める

幻の声―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

幻の声―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

紫紺のつばめ―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

紫紺のつばめ―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

髪結いを本業とする傍ら、北町奉行の定廻り同心・不破友之進のお手先をつとめる伊三次。芸者のお文に心を残しながら、銭にならない岡っ引き仕事で今日も江戸の町を東奔西走する。呉服屋の一人娘を誘拐した下手人として名乗り出た元芸者の駒吉は、どうやら男の罪を被っているらしく……(表題作より)。伊三次とお文のしっとりとした交情、法では裁けぬ浮世のしがらみ。人情味溢れる五編を収録。選考委員満場一致でオール讀物新人賞を受賞した渾身のデビュー作!

http://www.amazon.co.jp/髪結い伊三次捕物余話-幻の声-宇江佐-真理-ebook/dp/B009DEDEZC/

続きを読む “宇江佐真理さんの代表作「髪結い伊三次捕物余話」シリーズを読み始める”

突然の訃報に接し途方に暮れる: 深尾くれない / 宇江佐真理

 私の大好きな作家さんの一人、宇江佐真理さんが先週の土曜日に亡くなられたそうです。まだ66歳という若さで、作家としては脂が乗り始めるところだったのに…。とても残念でなりません。

 2年半前には同様に大好きだった北原亞以子さんが亡くなって、自分でも意外なくらいにショックを受けたのですが、今回も同様に友人から突然知らされて、大きなショックを受けてしまいました。それは、作家さん本人はもちろんですが、彼ら彼女らが生み出した小説の中の世界が消え去り、登場人物が同様に死んでしまったような気がするからに違いありません。

 時代小説を書く女性作家は珍しくありませんが、中でも宇江佐真理さんは独特の柔らかな雰囲気を持ったストーリー、文章を書かれていました。いかにも女性的というか母親目線が強く感じられるものが多く、そしてどこか現代的にすら感じることがあります。それだけに取っつきやすく、読みやすく、理解しやすく、とても上質な娯楽時代小説を多く生み出されていました。

 未読作品がどのくらいあるのか、全貌がよく分かっていません。相当読んできたつもりでいながら、数えてみたら既読は30冊ほどしかありません。その中から、とても思い出深い一冊を選ぶとしたら… やっぱりこれしかないだろうと思います。9年以上前に初めて読んだ宇江佐真理さんの小説です。

深尾くれない (新潮文庫)

深尾くれない (新潮文庫)

 上に書いた特徴からは外れる異色の作品ではありますが、このインパクトは非常に強烈であり、この本が書かれた経緯も含めて「宇江佐真理」を代表する一冊だと思います。
 宇江佐真理さんへの追悼の気持ちを込めて、9年前に書いた感想文をそのまま再掲しておきます。

続きを読む “突然の訃報に接し途方に暮れる: 深尾くれない / 宇江佐真理”

タイムマシンが登場する時代小説:通りゃんせ/宇江佐真理

通りゃんせ

通りゃんせ

平凡な25歳のサラリーマン、大森連はツーリングに出かけた先で道に迷い、滝の裏に落ちてしまう。目覚めると、そこはなんと天明6年の武蔵国中郡青畑村―!?時次郎とさな兄妹の許に身を寄せ、川の氾濫や重い年貢が招く貧困等、江戸の過酷な現実を目の当りにしていく連。天明の大飢饉のさなか、村の庄屋が殺害される事件が起こり、連は思い悩みながらも自らの運命を切り拓いてゆく―。感動の長編時代小説!

http://www.amazon.co.jp/%E9%80%9A%E3%82%8A%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%9B-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%AE%87%E6%B1%9F%E4%BD%90-%E7%9C%9F%E7%90%86-ebook/dp/B00HEB903G/

続きを読む “タイムマシンが登場する時代小説:通りゃんせ/宇江佐真理”

きれい事だけではない小さな幸せの物語:酒田さ行ぐさげ/宇江佐真理

酒田さ行ぐさげ 日本橋人情横丁 (実業之日本社文庫)

酒田さ行ぐさげ 日本橋人情横丁 (実業之日本社文庫)

日本橋の廻船問屋の番頭・栄助の前に現れたのは、以前同じ店で働いていた愚図でのろまの権助だった。しかし、権助は庄内酒田の出店の主に出世したと聞いて、驚きとともに嫉妬の情も湧きあがり…。表題作ほか、葬具屋、花屋、奉行所同心、夜逃げした呉服屋など、お江戸日本橋に生きる人びとの悲喜交々の心情を名手が掬い上げる傑作人情小説集。

続きを読む “きれい事だけではない小さな幸せの物語:酒田さ行ぐさげ/宇江佐真理”

悪人は出てこない人情捕物帖:古手屋喜十 為事覚え/宇江佐真理

古手屋喜十 為事覚え (新潮文庫)

古手屋喜十 為事覚え (新潮文庫)

お江戸は浅草のはずれ、田原町で小さな古着屋を営む喜十。恋女房のおそめと二人、子がいないことを除けば日々の暮らしには不満はない―はずだったのに、何の因果か、たまりにたまったツケの取り立てのため、北町奉行所隠密廻り同心・上遠野平蔵の探索の手助けをする破目になる。人のぬくもりが心にしみて、思わずホロリと泣けてくる、人情捕物帳の新シリーズ、いよいよスタート!

続きを読む “悪人は出てこない人情捕物帖:古手屋喜十 為事覚え/宇江佐真理”

人情時代小説の良いとこ取り:ほら吹き茂平/宇江佐真理

ほら吹き茂平 (祥伝社文庫)

ほら吹き茂平 (祥伝社文庫)

深川の茂平は大工の棟梁を引いて隠居の身。生来の仕事好きには、ひまでひまで仕方ない。そんな茂平、いつの頃からか「ほら吹き茂平」と呼ばれるようになっていた。別に人を騙そうとは思っていない。世間話のついでに、ちょっとお愛想のつもりで言った話がしばしば近所の女房たちを、ときには世話好き女房のお春までをも驚かす。その日は、一向に嫁がない娘を連れて相談にきた母親に、いつもの悪戯ごころが頭をもたげてきて…。(「ほら吹き茂平」より)。やっかいな癖、おかしな癖、はた迷惑な癖…いろんな癖をもった人がいるけれどうれしいときには一緒に笑い、悲しいときには一緒に涙する。江戸の人情を鮮やかに描いた時代傑作。

続きを読む “人情時代小説の良いとこ取り:ほら吹き茂平/宇江佐真理”

寂しい写楽

寂しい写楽 (小学館文庫)

寂しい写楽 (小学館文庫)

寛政の改革令に反旗を翻した浮世絵板元の蔦屋重三郎は歌舞伎役者の大首絵刊行を試みる。喜多川歌麿の離反にあい、絵師探しが難航するなか、突然現れたのが正体不明の東洲齋写楽という男だった。助っ人に駆り出されたのは不遇の日々を送っていた山東京伝、葛飾北斎、十返舎一九の三人。謎の絵師を大々的に売り出そうとする重三郎のもと、計画は進んでいく…。写楽とはいったい何者なのか。そして大首絵は刊行できるのか。宇江佐真理が史実を元に描いた傑作長編。

続きを読む “寂しい写楽”

富子すきすき

富子すきすき (講談社文庫)

富子すきすき (講談社文庫)

夫の吉良上野介が内匠頭に斬りつけられた日から歯車は少しずつ狂っていった。赤穂浪士の討ち入りで上野介を喪った富子。あの事件で得をした者など誰もいない。建前や武士としての体裁なんて関係ない。世間が何と言おうと、私にとってはたった一人の優しい夫だったのに。妻から見た「松の廊下事件」とは(表題作)。武士の妻、町娘、花魁、辰巳芸者…凛として背筋の伸びた、江戸を生きる6人の女性たち。

続きを読む “富子すきすき”