桜小町

桜小町―ひやめし冬馬四季綴 (徳間文庫)

桜小町―ひやめし冬馬四季綴 (徳間文庫)

 米村佳伍さんの文庫書き下ろし新作です。これまでは「退屈姫君伝」シリーズと、その周辺人物を主人公にしたいくつかの小説が新潮文庫から出ていたのですが、この本は徳間文庫から発行されました。

 だからというわけではないのでしょうが、これまでの作品には、お互いに緩やかな関わりがある(人物や時代、場所などが微妙に重なっていた)ものが多かったのに、この小説はこれまでの作品とは、全く無関係に独立した物語となっています。

 でも雰囲気は相変わらず米村節。主人公の一色冬馬は、とある武家の冷飯食いな若者。同じ冷飯食いの友達がいて、ちょっとした大冒険をする… というあたりは過去の作品と重なるところがあります。ただし読み手がびっくりするほどの下ネタは、鳴りをひそめてしまいました。ちょっと残念(A^^;

 タイトルにもなっている「桜小町」は、もちろん重要人物として物語中に登場しますし、その名の通り、誰もが憧れる藩内随一の美女となっています。そこに冷飯食いの若侍が絡んでくるとなると、話の展開はおおかた想像がつくというもの・・・

 というのは短絡しすぎで、これは単なる青春恋愛ドタバタ活劇ではありません。軽妙な語り口の娯楽小説には変わりありませんが、中心となる物語のテーマには、もっと何か重苦しいものがあります。武士とは何か?家とは?親子とは?政治とは? と言った問いかけの連続。たとえば次のように。

武家は町人の上に立つ存在で、人格見識共に優れている。町人は武家の支配を受けているのだから、下等な存在である。ということではない。
武家は町人の上に立つ存在なのだから、人格見識ともに優れていなければならない。そういう自負を有してしているから、厳しくおのれを律し、罪を犯せば切腹という形で責任を取る。それが武家の誇りなのだ。

 これはステレオタイプで表面的な武家論のようでいて、実はそうではありません。江戸時代の武士と町民、農民との関係、社会構造の根幹をずばり言い表していると思います。

 しかし、結末には全く納得がいきません。この終わり方は最低です。思わず本を床に叩き付けたくなりました。いや、オチとしては突飛すぎず、平凡すぎず、そこそこ綺麗に片付いてはいます。しかし一人の重要人物の最後の扱いがどうしても気に入りません。

 そのせいか、残念ながら読後感はあまり良いものではありませんでした。なので、むしろ少しでも興味があるなら読んでみることをお勧めします(A^^;;

 【お気に入り度:★★★☆☆】

楽園

楽園 上 (文春文庫)

楽園 上 (文春文庫)

楽園 下 (文春文庫)

楽園 下 (文春文庫)

 はじめに、この小説はミステリーものですが、以下、直接内容に触れるようなネタバレはしていないつもりです。が、私の感想に紛れて、ストーリーの"雰囲気"を想像させるような言葉が含まれている場合があります。
 未読で本作に興味のあり近々読む予定がある方はご注意ください。興味が持てるかどうか迷ってる方、どんな本なの?と単純に興味がある方は、以下読んでいただければと思います。

続きを読む “楽園”

ソールプロテクター

 大したものではないのですが、最近手に入れたスキー用品です。今年新調したLANGEのブーツ用にソールプロテクターなるものを買ってみました。今まではそんなもの要らない、と気にしていなかったのですが、LANGEのブーツのソールを見てみると、特に乾燥路歩行を気にしたような処理は見られず、何となく気になります。それに、新しいブーツはやはり大事にしたいですし。
 で、ネットで検索して見つけたのがこれ。イタリア製のNWA-0701という商品。メーカー等は不明です。でもわりと日本国内で流通しているようです。この手の商品ではキャットトラックが有名ですが、まぁこれも仕組みとしては同じ。ただ、伸縮式のゴム部と前後のプロテクター部が別の素材で作られていて、脱着が簡単そうです。
 ちなみにブーツのサイズは25.5cm、ソールサイズは29.3cm。このソールプロテクターにはMサイズとLサイズがありますが、Mサイズ(23.5〜26cm用)を買いました。色は黒、赤、黄色があるのですが、何も考えずに黄色を選択。到着してからブーツに試着しようとして、初めてブーツも黄色だったことを思い出しました(A^^;


《LANGE CompDへの装着例》
 早速先日の野沢温泉旅行で使用してみました。野沢温泉は宿からスキー場までがコンクリの坂道を歩かねばならない場合が多く、ブーツを痛めやすいのです。と言っても、今回宿泊した宿はスキーブーツを履いていても徒歩3分以内と、かなり近かったですが。
 で、使用してみたのですが、やはりこういう場合は安心です。滑る心配も減りますし、ブーツを傷めることなく、しっかりと踵をつくことができます。もっとも心配していたのは脱着性なのですが、コツをつかんでしまったら楽勝です。
 付けるときも外すときも、踵のユニットをわしづかみにして引っ張れば、簡単。スキー後の疲れた体、冷え切った状態でも問題ありません。ゲレンデに到着して外した後は、ワイヤーロックでスキー立てなどに括り付けておきます。できそうにない場合はたたんでウェアのゴーグルポケットにでも入れておいても多分OK。
 これ、なかなかイイです。いままで「要らない!」と思っていたことを反省しています。高いものではないので、ブーツ買い換えを機に導入をお勧めします。

腹黒屋

 いつもお昼ご飯を食べている品川港南口に数年前にできたお店。角地に建つビルに大きな看板を掲げ、イヤでも目に入ります。その店の名は「腹黒屋」。店自体が腹黒いのか、あるいは腹黒い人向けのお店なのか?その名前に惹かれていつかは行ってみようと思つつそのままになっていたのですが、先日ようやく行く機会に恵まれました。

《腹黒屋のコースター。"8096”はややムリ感が漂います》

 何でもない火曜日の夕方、19時前のわりと早い時間。それでも店内は混んでいて、空いてるテーブルは二つだけ。人気があるのでしょうか。いわゆる普通の居酒屋ですが、ジャンル的には九州郷土料理とのこと。となればお酒はもちろん焼酎です。お刺身もありますが焼き物がメイン。


《本格芋焼酎を久々にじっくりと頂きました。美味い!》
 色々訳あって、この日はすでにビールはたらふく飲んでおり、早い時間にもかかわらず、店に入ったときにはすでに二次会気分。とりあえずの生ビールは省略して、いきなり芋焼酎に逝ってみました。有名どころの銘柄はリストにずらっと並んでいます。
 最近、日本酒の方向に向いていて焼酎をじっくり飲むのは久しぶりでしたが、やっぱり美味いです。こってりした味付けの九州風な肉料理には良く合います。


《メイン料理のもつ鍋は食べませんでしたが、豚角煮が美味しかったです》
 で、腹黒屋はほんとうに腹黒かったのか?といえば、そんなわけはありません。少々よっている勢いで店員さんにしつこく「腹黒屋」の由来を聞いてみれば、「腹=もつ + 黒=炭」の意味だそうです。そうか、そういえば周囲のテーブルでは鍋をやっていたな。どうやらもつ鍋がメイン料理だったようです。お腹もそんなに空いていなかったのでわれわれは発注しませんでしたが。
 結構微妙なお店の多い品川の居酒屋街の中でも、ここは料理、お酒共になかなかレベルが高いと思います。かなり気に入りました。それは決してこのお店が腹黒い人向けであり、しかも私が腹黒いせいではないと分かって安心しました(A^^;;

難儀でござる

難儀でござる (光文社時代小説文庫)

難儀でござる (光文社時代小説文庫)

 友人から借りた紙袋いっぱいの本の中に紛れていた一冊。作者の岩井三四二さんのことは今まで全く知らず、作品を読むのも今回が初めてです。比較的最近活躍されている作家さんらしく、タイトルの語感、帯のコピーからしても、多分気楽に読める娯楽系の時代小説なんだろうと思って、気楽に読み始めました。
 が、読み始めてみればその予想は外れていました。時代は戦国時代。織田、今川、松平、北条、武田… などなど、この時代おなじみの武将たちの名前がぽんぽんと出てきます。なんと、これは戦国武将を扱った硬派な歴史小説だったのか… と、最初は面食らったのですが、次第に読み進めるうちに、やはり「難儀でござる」というタイトルから感じられるように、どことなく力の抜けた視点の物語ばかりで、少し安心しました。
 八編の短編からなるこの小説は、武田信直(武田信玄の先代)と今川氏親の時代に始まり、松平竹千代(後の徳川家康)が人質に取られ、織田信長が天下取りに後一歩のところまで近づき、そして勝頼(信玄の跡取り)とともに武田が滅び、最後は豊臣方と徳川方が関ヶ原で決戦を行うまで、時代を追って進んでいきます。
 しかし、物語の主題はそれら武将たちの活躍や隆盛そのものにはありません。その戦国時代の主役たちの影で、主に仕えて無理難題を背負い、右往左往する家来や周辺の人々。「へぇ、そんな背景があったのか」と感心してしまうような、歴史の脇役たちが主人公です。
 彼らのうちの一人は次のように思います。

豪華な城を持ち、何万貫文もの収入と何千人という家来を抱えていた大名であっても、ひとたび合戦に敗れてしまえば命をとられるし、逃れたとしても追いかけられる。大名とは、いや侍とは、なんともあさましい世渡りだろうか。

 そう、この小説は武士という世渡りの理不尽さを語った物語なのですが、どこかそこにはストレートな嘆きではなく、大らかさというか、生き生きとした空気を感じてしまいます。それはこの時代、実際に武士は武士として、日本の社会を動かす原動力として機能していたからなのでしょうか。江戸時代、存在意義を失った武士の方がよほど、どうしようもない悲壮感と絶望感、理不尽さを感じてしまいます。
 「難儀でござる」という一言からも、実は小説的な脚色にとどまらない、この時代の武士たちの本質を見たような気がしてきます。
 【お気に入り度:★★★★☆】

野沢温泉2010(3日目)

 2日目からの続きです。明けて土曜日の朝は雪が少しちらついていましたが、朝食を食べてゲレンデに出る頃には、空には晴れ間が覗いてきました。この3日間で初めて見る青空です。気温も寒すぎない程度に低く、絶好のスキー日和になりそうです。

《朝食はこんな感じ。中央は"畑の刺身"と呼ばれる野沢菜料理》

 チェックアウトなどのために出発がやや遅れましたが、天候や気温の状況からして、きっと朝のスカイラインは昨日以上に素晴らしいに違いないと思い、真っ先に長坂ゴンドラへ。しかし、そこには長蛇の列が待っていました。昨日まではゴンドラが人を待っていたのに。20分待ちと言われた列の最後尾に並びましたが、実際には10分そこそこでゴンドラに乗れました。
 2月のこの時期はやはり一番人出が多いのでしょうか。思いだせば7年くらい前に初めて野沢温泉に来たときにも、このくらいの待ち行列ができていたことを思い出しました。スキー人口が多かった昔は、もっともっと混んでいたという話も聞きます。あまりに混むのはうんざりですが、適度に混雑するくらいが活気があって健全なのかも。

《長坂ゴンドラの待ち行列は建物を一周取りかこんでいました》

 ゴンドラ終点の上の平は一面樹氷の世界。真っ白な雪と澄んだ青空が織りなす景色は圧巻です。そばにいた見知らぬ年配の夫婦は、しきりに景色に感動し「これだからスキーは止められないね」と頷きあっていました。まったくその通りです。私もこんなに見事な樹氷の森を見たのは初めてかも知れません。

《見事な樹氷が並ぶ文字通り白銀の世界》

《青空とのコントラストが綺麗です》

 上の平からスカイラインコースへの連絡リフトにも長い列ができていて、もしかしたらスカイラインコースはものすごく混雑していて、楽しく滑ることができないかも?と危惧したのですが、多くの人はやまびこゲレンデに向かうらしく、スカイラインは昨日以上に空いていました。

 青空と良くしまった雪。人も少なくてコースをいっぱい使って自由に滑れます。普段は気がつかない風を切る音が耳に残り超爽快な気分!

《木島平はもちろん、遠くの北アルプスまで見渡せます》

 体力と時間に余裕があれば、何本でも滑っていたいところですが、午後には帰途につかねばならず、また3日目とあって体力もそろそろ限界に達しつつあります。無理はせずに、柄沢の麓まで降りて残りの時間はゆっくりと過ごすことに。
 早めのお昼ご飯を食べてからは、気分転換にソリで遊んでみました。ソリは麓の食堂で無料で貸してくれます。子供限定かも知れませんが、リフトにソリを持って乗ってる人(子供連れ)もいました。

《ソリ遊びに夢中になるいい歳した大人たち》

 ゲレンデの端っこでしばしソリで滑ってみましたが、幸か不幸か斜度がほとんどなく、あまりスピードは出ません。それでもおしりの下でスルスルと滑っていく感覚は新鮮で、なぜかとても興奮します。視線が低いのでスピード感も倍増。これでリフトに乗って上から滑ってくるのはさぞかし楽しいだろうと思います。いや、やりませんでしたが。

《最後に温泉街の中心部を散歩》

《名物のおやきも食べました》

 ということで、残念ながら帰りのことを考えて午後1時過ぎにスキーは終了。野沢温泉アリーナで一風呂浴びて、温泉街の中心地へ散歩。お土産屋さんなどを見て回り、お焼きを食べたりして過ごしました。これでほぼ予定の日程は全て消化です。思い残すことはありません。いや、まだまだ野沢の楽しみ方はあったはずですが、それはまた次回。

《306の除雪もすっかり完了。そろそろ帰りましょう。》

 帰りも上信越道から中央道経由をとりました。往路もそうでしたが高速料金は八王子まで片道たったの\1,000です。初めてではないですし、あらかじめ分かっていたことですが、料金所通過時の表示を見ると改めて驚いてしまいます。
 野沢温泉を訪れたのはこれで4回目。過去3回もそうですが、ここは本当に"記憶に残る"すばらしいスキーリゾートです。スキー場はもちろんですが、宿や商店、温泉施設などなど、村全体が一体となってスキー客をもてなしてくれていることが実感できます。他にも良いスキー場、スキーリゾートはいっぱいありますが、野沢温泉は別格。また何度でも訪れたいと思います。

野沢温泉2010(2日目)

 1日目からの続きです。昨夜から降っていた雪は、目が覚めた頃には上がっていました。空はまだ曇っていますが、空気は澄んでいて天候は回復に向かっているようです。二日酔いもなく、寝不足もなく、意外にすっきり目覚めてまずは朝食。温泉卵美味い!

《306も久々の雪帽子。夜のうちに積もった新雪は約20cmほどか》

 準備をしてゲレンデへ出たのは9時半頃。飛び石の休日に挟まれたこの日は一応平日。やはり人出はかなり少なめです。柄沢ゲレンデは中央部は圧雪されていますが、その両側のかなりの部分は未圧雪のまま。一部を除いて特に立ち入り禁止にはなっていません。昨晩降った新雪でパフパフになっています。
 自分のスキー板は未圧雪向きではないので、沈まないように走らせるのは苦労しますが、それでも軽い新雪を滑るのはとても楽しいものです。友人が今年投入したセミファットなスキーも拝んで借りて滑ってみましたが、これはすごい!

《柄沢ゲレンデの未圧雪ゾーン。気を抜けば膝まで埋まりそうな新雪。板は借り物です》

 トップもセンターも幅が広い上に板が良くしなるので、柔らかい新雪の上でも強い浮力があります。ちょっと踏んで沈んでもすぐに浮き上がってきて、柔らかい雪の上を文字通り滑るように走っていきます。これは面白い!
 もちろん、未圧雪だけでなく圧雪されたバーンも、新雪とあって素晴らしいコンディション。スキーが今までよりも何倍もうまくなった気がしてとても気持ちよく滑れます。

《温泉街も白銀に包まれています。砂糖をかけたお菓子のよう》

 ひとしきり新雪フカフカパフパフで遊んだ後は、長坂ゴンドラに乗って上の平へ。さらに短い連絡リフトに乗ってスカイラインコースのスタート地点へ上ってきました。数ある野沢の名コースの中でも、私が一番好きなコースです。
 全長5,000m、最大斜度32度。山の尾根に作られたスカイラインは、時折幅が狭くなったり、アイスバーンがあったりする難コースですが、視界が開けていてとても気持ちの良いコースなのです。途中にある斜度30度ほどの長い斜面は、まるでジャンプ台のように温泉街に向かって駆け下りていきます。


《全長5,000mもあるスカイラインコースのスタート地点。以前と看板が変わったようです》

 晴れ渡っていれば素晴らしい景色が眺められるのですが、残念ながらこの日は曇り。しかし柄沢と同様に、山の上も新雪が降り積もり、雪質は抜群。難しいスカイラインコースも滑りやすいはず。
 果たしてその期待は見事に叶えられ、今まで記憶にある中でも最高に楽しく滑ることができました。息は上がり、足はがくがくになりますが、とても爽快です。

《30度の斜面から温泉街を望む。晴れていたら素晴らしい眺めのはず》

 あまりにも面白かったので、柄沢で練習を続けていた友人たちを連れて、お昼後に再びスカイラインコースへ。しかしこのときは再び霧が出て視界が悪化。雪面も荒れてアイスバーンが露出し、さらにものすごく混雑していました。
 こうなるとスカイラインは苦行を強いられる怖いコースとなります。無理に誘った友人たちに謝りつつゆっくりと下山。見知らぬ人たちも「さっきはすごく良かったのに…」と会話しているのが聞こえてきました。やはり山の天気とコンディション変化を舐めてはいけません。

《スカイラインを3本滑った満足感とともに飲む生ビールの美味いことといったらありません》

 疲れ果てて麓へ戻ってしばらく他のコースを滑ってみたものの、それでも1本目の楽しさが忘れられず、再びスカイラインへ戻ってしまいました。果たして3本目は再びコース状況は改善していました。ホントにこのコースは最高です。大好きです。

《夕方になってようやく空が晴れてきました》
 体力を使い切り、最後はまた柄沢ゲレンデへ。ちなみに柄沢ゲレンデのリフトは下部のペアリフトしか運行しておらず、上部のリフトはすでに放棄されているようでした。柄沢の上部ゲレンデへアクセスするには、スカイラインからカモシカやタヌキなどの連絡コースを経由するしかありません。
 上部は下部よりも斜度もあり、トレーニングバーンとしては完璧。直接上るリフトがないことからも、人が少なく素晴らしいコンディション。リフトが運行されないのがつくづく残念でなりません。

《今夜のメニューは野菜天ぷら、すき焼き、馬刺しです。地酒も頂きました》

 この日はリフト運行終了の午後5時までみっちり滑り切り、文字通り日暮れと共に宿へ引き上げました。疲れた体に美味しい夕食とお酒が染みいります。この日の夕食にはレギュラーメニューのなかに馬刺しが含まれていました。

 それでも事前に「今夜も馬刺しセット食べますか?」と宿の人に聞かれてしまいました。かなり馬刺し&酒好きと思われているようです。いや、全くその通りですけど(A^^;;

《この夜も外湯巡り。新田の湯と十王堂の湯に入りました》

 食事の後は昨夜同様、夜の温泉街に繰り出してしばし散歩&外湯巡り。温泉は「十王堂の湯」と「新田の湯」に入りました。やっぱり熱い!ですが、頑張ってちゃんと肩まで浸かりました。

 もちろんこの夜も部屋に引き上げてから飲み直し。しかし一日滑った疲れが出てきたのか、昨夜よりも早くよる11時頃には眠りについてしまいました。

 今回野沢に来て驚いたのは、外国人旅行者の多いこと多いこと。恐らく多くはオーストラリアからやってきた人々だと思われます。ニセコをはじめとする北海道につづき、長野も人気が出てきたのでしょうか。スキー場はもちろん、外湯含めた温泉街にも英語案内が整備されていました。
 昔ながらの風情がある日本の温泉街と、歴史もあって近代的で立派なスキー場。スキーが好きな外国からの旅行者から見たら、野沢温泉は素晴らしく魅力的なスノーリゾートに違いありません。
 文化やマナーの違い、理解の問題などもあるでしょうが、野沢温泉は観光で成り立っている街。街中には廃業してしまった宿の廃ビルなども目立ちつつあり(3年前に泊まった宿もどうやら廃業してしまったようです)、不況とスキー&ボード人口の衰退を感じさせます。国際色豊かになることは成熟しつつも持続していくために必要な道でしょう。是非うまいこと折り合いをつけつつ、いつまでも野沢温泉らしさを保ちながら発展していって欲しいと思います。

つづく

野沢温泉2010(1日目)

 今年2回目のスキーは久しぶりに野沢温泉へ行ってきました。野沢温泉と言えばスキー場だけでなく、素晴らしい温泉街が特徴の日本を代表する滞在型のスノーリゾート。昼も夜も存分に楽しめます。
 11日の早朝に出発し、遠回りながらも慣れた中央道を経由し、野沢温泉に到着したのは10時過ぎ。宿泊する民宿、パール吉越に荷物と車を預けて早速ゲレンデへ。天候は曇りで、山の上はかなりガスが出ていましたが、風もなく寒すぎることもなく、そんなに悪いコンディションではありません。

《野沢温泉に到着。温泉街もかなり積雪していました》

 宿泊した民宿からは柄沢ゲレンデが近く、山の上へ行くには連絡リフトを経由して長沢ゴンドラへ。今シーズンはまだ滑走日数が少なく(この日で2日目^^;)、まだ足も体も慣れていないので、あまり激しいコースには行かずに、緩やかなバーンで足慣らし&練習に専念。特に上の平ゲレンデは広くて緩やかでコース長もたっぷりあって、まったり滑るにはぴったりです。

《上の平ゲレンデ。広くて緩やかで練習にぴったり。視界はそこそこありました》

《やまびこエリアの毛無山山頂。こちらはかなり視界不良。でも吹雪いてはいません》

 お昼ご飯は上の平の少し下、パラダイスゲレンデ脇にある「はくぎん」へ。というのは、宿でここの割引券をもらったからなのですが、すっかりそんなことは忘れて普通に飲み食いしてしまいました。注文したのはカツ丼。なぜか野沢温泉スキー場のレストランで出てくるカツ丼は本物志向で猛烈に美味いのです。ここも例外ではありませんでした。ただし出てくるまでにすごく時間が掛かりました。
 この日は休日でしたが特にゲレンデも混んでいませんし、レストラン内もお昼時でも余裕がありました。周囲ではすっかり滑ることを諦めて飲み会モードに入ってる集団がいくつかいました。楽しそうでうらやましいのですが、ここはまだ山の上。下りを考えると酔いつぶれていられませんので、ビール一杯で我慢しました。でも、天候次第でそういうスキーもありかな?と思います。


《はくぎんで食べたカツ丼。東京のその辺で食べるより美味いと感じるのは気のせいではない》

 お昼後にはやまびこエリアまで上ってみました。しかし深い霧で視界不良。そのうちみぞれ混じりの雪が強く降り始めてきました。でも雪は量も質も十分。が、そのうちに上の平付近から上はどんどんと雪が強くなってきたので、日影へ下り、長い長い連絡コースを通って、柄沢へ戻ってきました。あとは夕方になるまで柄沢の広くて緩やかな気持ちの良いバーンで遊んでいました。

《柄沢ゲレンデにも雪が降り始めました》

 柄沢ゲレンデも幅が広くて斜度も緩やか、長さもそこそこ。斜面の変化もあって、意外に飽きません。もう少し斜度があれば素晴らしいトレーニングバーンになると思います。ここは野沢温泉スキー場の外れと言うこともあってか、あまり人も多くなくて気楽に滑れます。

《旅の楽しみは宿の夕食にあり。見た目よりはずっと量があり、満腹満足》

 午後4時半ごろまでたっぷり滑り、この日は終了。みぞれ混じりだった雪はいつの間にか軽い乾いた雪に変わり、麓にも降り積もりはじめていました。今夜はかなり積もりそうです。
 宿に帰り着き、着替えて一休みしたら夕食。民宿らしい、素朴だけど手作り感溢れるとてもおいしい夕食です。この日のメインは鍋。しかし私たちはそれに加えオプションの馬刺しセットと頼んでありました。赤身の馬刺しとたたき、これに日本酒が一杯ついてきます。これが美味いのなんの。疲れた体に染みいります。

《パール吉越の名物、馬刺し。日本酒は色々選べましたが、私は八海山の生酒を頂きました》

 楽しい美味しい夕食宴会も終わり、タオル一本持って雪の温泉街へ繰り出します。野沢温泉と言えば13カ所の外湯が有名。この日は宿から近い「中尾の湯」と外湯の中でも代表格の「大湯」に入りました。

 それにしてもお湯の熱いこと熱いこと。熱すぎて足先だけで我慢できず、体まで浸かるのを断念してしまう人もいました。過去に訪れたときにも外湯にはあちこち入っていますが、こんなに熱いと感じたのは初めて。お湯は今も昔も変わってないようなので、私の体質が変わったのだろうか? でも歳取ると普通は熱い湯が好きになるって言うけれど…(A^^;

《野沢温泉のシンボル、大湯。時間が遅かったためかガラガラに空いていました》

 温泉を楽しんだ後は部屋に戻り、仲間たちと再び飲み直し。馬鹿話をしながら夜は更けていきます。しかし、もういい歳した大人たちなので、深夜まで夜更かしすることはなく、日付が変わる前にお開き。明日に備えます。

つづく

アラミスと呼ばれた女

アラミスと呼ばれた女 (講談社文庫)

アラミスと呼ばれた女 (講談社文庫)

 いきなり結論めいたことを書いてしまいますが、この小説にはやられました。痺れました。泣けました。ここ1年くらいの間に読んだ本の中では、間違いなく三本の指の中に入ります。やっぱり宇江佐さんはイイ!
 宇江佐真理さんは、女性らしい優しい目線と文体が特徴の人情感溢れる時代小説で人気がありますが、実は僅かな資料を頼りに実在した人物(それも、誰も知らない歴史上の脇役の中の脇役)を題材にした小説も手がけています。この本はそんな中の一冊。時は幕末、舞台は長崎から始まります。
 宇江佐真理さんは北海道出身ということで、「蝦夷」と呼ばれていた江戸時代の北海道を舞台にした小説を多く手がけています。なので、この小説が長崎から始まったことはちょっと意外でした。しかし、読み進めていけば「ああ、なるほど」と納得。物語の舞台は次第に北へ北へと動いていきます。
 そう、幕末の蝦夷と言えば戊辰戦争の終結の地。数多くの小説で語り尽くされている混乱の時代。しかしやはり宇江佐さんが目をつけたところは違いました。幕府側、薩長側の有名な歴史上の人物ではなく、記録の狭間に消えてしまったとある女性を主人公としています。彼女は、もちろん「アラミス」と呼ばれていました。
 その女性が幕末という時代に揉まれ、波瀾万丈の人生を過ごす大河ドラマ。物語の中で彼女がたくましく、時には迷いながら生き抜く姿にはとても心打たれます。
 そして、物語中のクライマックスで彼女は言葉を叫びます。

何んね、アラミスって。釜さんは今、うちのお務めは終わりだと言うたやなかか。うちは元の田所柳に戻っとうと?もう、アラミスではなかよ。ばってん、わざわざアラミスと呼ぶ理由は何んね。
ミミーと呼ばんね!釜さん、うちをそう呼んでいたと?
ミミーと呼ばんね!

 長崎弁でこうまくし立てる「田所柳」とは何者なのか?アラミスという名は何なのか?ミミーという呼び名は何なのか?そして彼女の相手の「釜さん」とは何者なのか?
 これらの疑問の答えとなる、物語の基本的な背景と、宇江佐真理さんがこの小説を書くに至った理由などは「文庫本のためのあとがき」に書かれています。これは本編読了後に読むべきです。
 僅か150年ほど前のこと、幕末史に欠かせない重要人物のそばにいたにもかかわらず、ほとんど記録に残っていない謎の人物、アラミス。でも彼女は確実に存在していた唯一の証拠がフランスに残されているのです。
 そんな歴史上の謎が背景にあると知って、この小説の面白さは何倍にも膨れあがります。これは宇江佐真理さんが僅かな資料から紡ぎ出した"小説"に過ぎませんが、きっとアラミスはいたにちがいない、そしてこの通りの人生を歩んだに違いない、いやそうであって欲しいと強く思います。
 【お気に入り度:★★★★★】

Headphone Adapter

 昨年末に買ったiPod Shuffle 3rd。まだ無くさずに便利に使っています。が、購入当時から懸案として考えていたのがイヤホンの交換。Apple純正の白いイヤホンは質の問題はもちろん、最近はあまり流行っていないインナーイヤー型で装着感もイマイチ。それに通勤の電車内などでは誰でもしてたりするので、ちょっと気恥ずかしいものがあります。
 iPod Shuffle 3rdは本体には電源スイッチしかなく、再生や停止すら本体ではできません。なので交換するにしてもiPod Shuffle対応のリモコン付きのイヤホンを選ぶという手があるのですが、選択肢は少ないし今ひとつ気に入るものがありません。なので、すでに持っているリモコンなしのイヤホンを使う方法を検討してみました。

《BELKIN Headphone Adaptor。一ヶ月待ってようやく手に入れました》
 その解は一つ。リモコンだけが付いたアダプタケーブルを使うこと。中でもApple Storeでも売っているBelkin Headphone Adapter with Remote for iPod shuffleは定番中の定番。お値段も2千円弱とお手頃です。
 実はこれ、iPod Shuffleを買ったときに同時に発注したのですが、在庫がないらしく納期が3週間ほどかかるという状態。まぁそれまでは純正イヤホン使えばいいやと、そのまま発注しておきました。結局納期は延期され2月になってようやく送られてきました。
 モノはいたってシンプル。長さは15cmとお手頃です。純正イヤホンではリモコンは右側ユニットの近くにリモコンがあって、手探りでしか操作できないのですが、このアダプタを使うと本体近くにリモコンが付くことになります。見ながら操作できるのは便利ですが、本体をクリップで取り付けたりすると、リモコン部とコネクタ部がちょっと邪魔かも。ポケットに入れておくならOKだと思います。


《取り付けてみるとこんな感じに。多分使いやすいはず》
 ちなみに、使用するイヤホンはUEの高級品ではなく、PhilipsのSHE9700です。カナル型でコストパフォーマンス抜群なイヤホンです。ケーブル長も短くてアダプタ付きで長さはちょうど良い感じ。日本人向けで左右のコード長が違い、首の後ろに回せるタイプ。ユニットも軽くて装着感も良好。耳が痛くなることもありません。音質はBA方式の高級品とは比べるべくもありませんが、慣れてしまえば問題ありません。