慶次郎縁側日記と梟与力吟味帳

 新巻が出るたびに欠かさず読んでいる時代小説シリーズものは、恐らく六作品くらいあると思うのですが、その中の二作、北原亞以子さんの「慶次郎縁側日記」シリーズと、井川香四郎さんの「梟与力吟味帳」シリーズの最新巻が、この秋に相次いで文庫で発行されていました。「慶次郎縁側日記」は前作から実に1年ぶり、「梟与力吟味帳」はもっと発行ペースが遅いと思っていたのですが前作から3ヶ月と、意外に早く出てきました。

「夢のなか」慶次郎縁側日記:北原亞以子
 私が読んでいるシリーズものの中でも、この「慶次郎縁側日記」が最も好きだと言っても過言ではありません。数えてみればこれでシリーズ11作目(覚書の「脇役」を含む)となります。その特徴はその都度何度も書いた気がしますが、美しくてキレのある、かっこいいハードボイルドな文章、俗に「北原節」と私が読んでいる部分にあります。それは「文章」と言うよりも、「語り口」なのかもしれません。

 このシリーズの特徴として、同心や親分が主要な登場人物でありながら、今作でも特に大きな事件は何も起こりません。いや、今回は誘拐とか殺人未遂事件とか、窃盗などが起こるには起こるのですが。とはいえ、事件の謎解きをしつつ、最後に悪者が捕まってめでたしめでたし… という単純な捕り物ではまったくないのです。むしろそれらの犯罪事件は単なる物語の背景事情に過ぎず、あくまでもこのシリーズの主題は、そこに描かれる人間のドラマにあります。

 特に表題作となっている「夢のなか」などは、ほとんどストーリーらしいストリーはありません。なのに何故こんなにもじんわりと心が温まるような読後感のいい話になるのか?それはもう北原さんの筆遣いによるもの以外の何ものでもありません。大げさでわざとらしい訳ではなく、もちろん説明がましいところなどは微塵もありません。むしろその反対で、非常に少ない言葉と、さっぱりとした文体で淡々とページは進んでいきます。

 そこに「北原節」で表現される人々の心の機微。わずか数十ページの短編なのに、その登場人物の人生のドラマを全て見てきたかのような深さまで読者を引き込んでくれるのです。今作も期待に違わず「北原節」をたっぷり楽しむことができました。

 お勧め度:★★★★★(やっぱりこのシリーズは最高です

夢のなか―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

夢のなか―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

 

「科戸の風」梟与力吟味帳:井川香四郎
 このシリーズはNHKの土曜時代劇「オトコマエ」の原作です。しかしコメディ色の強いTVドラマとは少し趣が違って、原作はごくごく普通の捕物時代小説です。与力の藤堂逸馬をはじめ、比較的上級階級の役人を中心にし、政治ドラマの背景をも持っているのが特徴。表面上のストーリーは大事件の謎解きを中心にしたわりと普通の捕物系といえるでしょう。

 でも、今作はちょっとこれまでとは趣が違うように感じました。北町奉行の遠山影元と南町奉行の鳥井耀蔵の政治闘争の図式は以前からありましたが、それがより一層激化し、単なる物語の背景ではなく、主題になってきたようです。そのせいか、扱われる事件とその方の付け方がやや大げさで、無理矢理感というかやり過ぎ感がちょっと感じられたのが残念なところかも。

 ところで今作では、江戸時代の刑罰や裁判制度に関する解説が非常に丁寧に行われています。まるで佐藤雅美さんの小説みたい。江戸時代の刑法の運用や裁判制度というのは、思いの外システマチックで、判例主義も徹底しており、現代並みに民主的とは言いませんが、少なくとも時代劇に描かれるように、権力者が恣意的に判決を決めたり、非人道的な圧政、恐怖統治を行っていたわけではありません。

 それに加えもう一点、印象的なことが書かれていました。というのは、当時の刑罰決定においては、儒教と仏教の影響が強かったということです。それは犯罪の結果よりもむしろ、過程と背景を重視したということだそうです。これにはなるほど、と思ってしまいました。また一つ、江戸時代を語る上での蘊蓄が増えました。

 しかし物語のなかでは、とある犯罪に対して、その事情や目的はどうあっても結果が全てだ!と言わんばかりに、主人公の藤堂逸馬が啖呵を切るシーンがあります。それってどうなのかな?仏教的精神を重視したという解説と矛盾してないか?とちょっと思ってしまいました。

 お勧め度:★★★☆☆(ファンとしては十分に楽しめたのですが、物語の完成度としてはイマイチかも)

 

科戸の風 梟与力吟味帳 (講談社文庫)

科戸の風 梟与力吟味帳 (講談社文庫)

 

Windows 7 Professional 64bit版

 先週22日にようやくWindows 7が発売されました。秋葉原で行われた深夜販売はここ10年では一番盛り上がったそうで、この新OSにかける業界とPCユーザーの期待のほどが伺えます。とはいえ、私個人的には各メディアでやたらに褒めまくられていることに、何やら胡散臭さが感じられる気もするのですが。まぁ、一自作PCユーザーとしてはひねくれたこと考えず、Vistaよりもはるかに進化したという新OSを素直に購入させていただきました(深夜販売で買ったわけではありません)。

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Windows 7 Professional DSP版のパッケージとディスク。DVDで1枚です。

○購入
 Windosw 7にはVista同様に様々なエディションがありますが、私にとって実使用上はHome Premiumで十分なはず。しかしWindows XPモードにどうしても興味があるので、そうなると選択肢はUltimateかProfessionalになります。両エディションはDSP版ではそれなりに値差があったので、中途半端かも?と思いつつProfessional版にしておきました。で、もちろん64bit版です。

 発売後のネットニュース情報によると、上位エディションの64bit版は品薄傾向だとか。Windows 7になって64bitが普及してきたのはとても良いことです。これでハードの64bit正式サポート、ソフトの64bitネイティブ化がいっそう進むことを期待します。

 で、購入したのは日曜日なのですが、秋葉原を巡ってみると確かにProfessionalやUltimateの64bit版は売りきれているお店がちらほらありましたが、入手困難というほどではありません。比較的お値段が安くて在庫のあるお店を見つけてお買い上げ。\680のUSB2.0カード付きで合計\16,800也。

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Windows 7のデスクトップ。特に目新しくはありませんが。タスクバーの機能が大きく変わりました。

○インストール
 さてインストールです。今まで使っていたOSはVista Ultimate x64です。データ類や各種設定などをバックアップし、クリーンインストール開始。ちなみにインストール先のPC1号機のハードウェアには何も変更ありません。CPUはFoxconn A7DA-S、メモリーはDDR2-800で合計8GB、ビデオ、サウンド、ネットワークアダプタは全てオンボードです。

 ちなみにインストール先のドライブはOCZ VERTEX 120GBというMLCのSSDです。Windows 7ではSSDサポートが強化されたそうですが、ちょうどこれに合わせてOCZからWindows 7のTrimコマンドに対応したという新ファームウェアV1.4がリリースされていたので、これにアップデートしました。SATAモードはAHCIにしてみました。SSDサポートについては後述します。

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性能指標となるWindowsエクスペリエンスインデックス。やはりオンボードビデオなのでグラフィクスが低いですが、それ以外はそこそこ。

 インストール作業は特に時間がかかることもなく、途中でアカウント名とパスワード、プロダクトIDを入力する程度で簡単に完了します。インストール直後の状態でネットワークもサウンドも全て動作し、ビデオ系もディスプレイの最大解像度を認識し、Aeroも有効な状態です。このままアプリだけ追加すれば使えそうな勢いです。が、もちろんビデオ、サウンド、ネットワークなど、チップベンダーが用意したドライバーに一通り入れ替えました。

○トラブル?
 インストールにおいて大きな問題はありませんでしたが、マイピクチャ等の特殊フォルダの移動がうまく出来ないとか、EPSONのプリンタ複合機PM-A900用のスキャナドライバーがインストールできないなどの、細かい問題が当初発生しました。が、これらはウィルス対策ソフトとの相性、およびインストール順の問題だったようです。ウィルス対策ソフトを変更(Norton 2010からKaspersky 2010へ)し、インストール順を工夫する(スキャナドライバーだけは一番最初にインストールする)ことで、この二つの問題はなんとか回避できました。

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Windows XPモードを動かしてみました。特に使用目的があるわけではないのですが。

 ちなみにそのウィルス対策ソフトですが、これまで使用していたKasperskyはまだ正式にWindows 7に対応していません。それもあってNortonに変更しようと思ったのですが、上のような特殊フォルダの移動に関わる妙な相性問題があったので、結局今まで使っていたKasperskyに戻し、最新版の2010にアップデート(無償)してみました。正式対応していないとはいえ、一応見かけ上普通に問題なく動いています。12月まではこのまま様子見したいと思います。

○SSDサポート
 Windows 7のSSDサポートとは、ATA8-ACSコマンドに対応し自身がSSDだと応答するドライブ、あるいはランダムライトが8MB/sec以上のドライブをSSDと認識し、それらのドライブに対しては自動デフラグとスーパーフェッチの対象から除外するというものです。さらに、そのSSDがData Set ManagementコマンドのTRIMをサポートしていれば、SSDの書き込み性能劣化を防止するTRIM機能が有効となります。

 上にも書いたとおり、システムドライブとして使っているOCZ Vertex120GBのファームウェアをV1.4にアップデートしました。アップデートおよびインストール完了後にWindows 7上からCrystalDiskInfo3.0.3でディスク情報を見てみると、このドライブはATA8-ACSコマンドに対応し、TRIMコマンドをサポートしているSSDであることが確認できます。

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CrystalDiskInfoでVertex120Gの情報をチェック。ATA8-ACSとTRIMに対応していると応答しています。

 念のため、コマンドラインからWindows 7側のTRIM対応状態を確認してみると、ちゃんと “DisableDeleteNotify = 0” (→ファイル削除情報通知無効フラグが立っていない=SSDにTRIM情報を通知している)と帰ってきます。これらのことから、VERTEX(V1.4F/W)+Windows 7で恐らくTRIMが正常に機能しているだろうことが推測できます。

 なお、”DisableDeleteNotify = 0″というフラグはWindows 7のファイルシステムがTRIMコマンドをSSDのコントローラに発行していることを表しているようですが、その場合でもSSD側がそれをサポートしているかどうかまでは判別していないようです。TRIM未対応のSSDコントローラにTRIMコマンドを発行した場合、無視されるだけだそうです。なので、”DisableDeleteNotify = 0″であることが、イコールTRIMが機能していることにはなりません。

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コマンドラインからファイルシステム側のTRIM設定を確認してみました。”DisableDeleteNotify = 0であればOKです。

 また、試しにデフラグツールのスケジュール設定画面から、自動デフラグ対象ドライブ設定を見てみると、Cドライブが対象から外され、選択出来なくなっています。恐らくちゃんとWindows 7側がCドライブをSSDと認識している証拠と思います。ちなみにスーパーフェッチの動作状況については調べる術がわかりません。きっとちゃんと処置されていることでしょう。

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デフラグのスケジュール実行の対象ドライブにはCドライブ(SSD)が含まれていません。

 ということで、一応Windows 7によるSSD最適化が自動的に行われているようです。ただし、TEMPフォルダとページファイルのHDDへ移動は手動でやっておきました。それ以外の設定は特にいじらないことに。ブラウザのキャッシュなどはランダムアクセスが高速なSSD上にあったほうが、SSD効果が体感しやすいわけですし、インデックス作成やその他細かい設定はSSDだからといってわざわざ変更する必要はないという意見が最近は多いようです。

参考:MSDN blogのSSDサポートに関する記述(和訳はこちら
↑ここにWindows 7におけるSSDサポートに関するほぼ全ての情報があります。原文にはQ&Aもあり、このやりとりにも重要な情報が多数含まれています。

○使用感
 さて、肝心の使用感ですが、ぶっちゃけてしまえばVistaと大きくは変わりません(A^^; そこそこマシンパワーがあり、それほど変なソフトを使っていないからかと思います。軽くなったといわれる点については、確かに起動と終了はかなり速くなった気がします。通常使用ではあまり体感することはありません。

 大きく変更された、というかブラッシュアップされたUIですが、特にタスクバーなどは機能、見た目ともに変わってしまって、戸惑うかと思ったのですが、意外に使いやすいです。というか、かなり使いやすいです。またタスクトレイのアイコンも表示、非表示をユーザーが設定できるのはとても便利。タスクバーが普段使わないアイコンで埋まってしまったり、勝手に表示を隠されてしまったりしてイライラしなくて済みます。

 以前、RC版を2号機に入れて試用したときに発生した、ディスプレイのリフレッシュレートが59Hzに固定される問題は今回は発生していません。

 ということで、タッチパネルだとかメディアセンターみたいな大物機能は全く使っていないのですが、VistaをうまくブラッシュアップしたマイナーチェンジOSとしてはよくできていると思います。カーネルのバージョンとしてもわずか0.1しか変わってないという点にも、Vistaに対する7の位置づけは明確に現れているのでしょう。

 アップデートした方がいいか?と問われれば、「XPからなら是非!Vistaで問題がないならそのままでもOK」というのが、現時点での私の印象です。もちろん、PCをいじくり回すことが趣味な人にとっては、当然すぐにでも手を出すべきなのは言うまでもありません。

F1観戦の想い出(1993 & 1995)

 最近はすっかりF1ネタばかりとなっていますが、鈴鹿観戦の興奮もまだ完全に冷めやらぬ今月は、F1特集月間ということで、もうしばらくお付き合いください。今回は”鈴鹿F1の歴史”です。というのはかなり大げさですが、今回21回目となる鈴鹿のF1日本GPでは、観戦者に無料で「SUZUKA 1987-2006 20th. Collection」というDVDが配布されました。その名のとおり、過去20回の鈴鹿F1日本GPのダイジェスト集です。

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鈴鹿の日本GP 20年の記録DVD。今年の観戦者全員に無料配布されました。

 何という太っ腹な!と思う一方で、中味はわずか15分。20年で15分なので1年当たりわずか40秒程度。何これ?短すぎる!FOMのケチ!でもF1の破格に高い映像権料を考えれば、これだけでも大したものです。懐かしいシーン、チーム、マシン、ドライバーのオンパレードです。それを見ていて思い出したのが、過去のF1観戦。鈴鹿には確か1990年代に2回行ったはず。今回と同じように写真を一杯撮ったはず。

 ということで、10年以上前のF1の写真を発掘しました。改めて思い出してみると、どうやら私が行ったのは1993年と1995年だったようです。既にホンダは第2期活動を終え、F1ブームは下火になっていましたが、まだ日本人ドライバーも複数いて、日本企業のスポンサーも多く、今よりは活気があった時代です。以下かなり長文です。

○1993年日本GP
 この年が私にとって始めてのF1生観戦です。学生時代で、友人から「チケットが余ってるから」というだけの誘い文句に乗ってただついて行っただけ。若さが成せるゆえか、新幹線はおろか宿泊先も決めず、時間もルートも全く調べずに、「行けばなんとかなるでしょ」と軽い気持ちで出かけた記憶があります。実際なんとかなりましたし。観戦席は今回と同じC2。いや、撮った写真を見るとフェンスにかかるくらい低い位置なのでもしかしたらC1かも。しかもかなり2コーナーよりだったと思われます。

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ティレル・ヤマハ021/片山右京。ヤマハV10を搭載したマシン。チームメイトはチェザリスでした。

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1コーナーを飛び出して撤去されるフェラーリF93A。多分アレジのマシン。後ろの観客を見るとこの日がいかに寒かったかが分かります。

 時代はアイルトン・セナと宿敵アラン・プロストの2台巨頭の時代。このシーズンは圧倒的なマシン性能を持つウィリアムズ・ルノーに乗るプロストがチャンピオンを取りました。一方のセナはホンダエンジンを失い、フォードV8エンジンを積んだマクラーレンで苦戦のシーズン。でも、この鈴鹿の日本GPではセナが優勝しています。

 その他、懐かしいチーム、ドライバーが一杯です。チームではジョーダン、ティレル、フットワーク、ベネトンなどなど。ドライバーならジョニー・ハーバート、エディ・アーバイン、ミカ・ハッキネンなどなど。こうして見てみると、現在まで同一チームとして存続しているのは、フェラーリ、マクラーレン、ウィリアムズだけです。

 もちろん、その他のチームは消えたわけではなく、オーナーや資本が変りながら、現在も続いているチームが多くあります。ジョーダンはフォースインディアに、ティレルはブラウンGPに、ベネトンはルノーに、フットワークは… そう、後にスーパーアグリがファクトリーとマシン資産を買い取りましたっけ。F1の世界は伝統を守りながらも、めまぐるしく動き続けています。

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予選でガス欠か何かでストップし、コース上を歩いてピットに戻るアイルトン・セナ。これが彼の最後の鈴鹿となりました。

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若き日のルーベンス・バリチェロ。ジョーダンに乗っていました。これも予選だと思います。

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決勝レースのスタート直後。団子状態がすごい!最近は1コーナーではこんな接近戦になりません。

 一方で、チームよりももっと移り変わりが激しいはずのドライバーを見てみれば、当時から現在まで依然として現役でドライブを続けているドライバーが一人いることは驚きです。その人とはルーベンス・バリチェロです。1993年は彼のデビューイヤー、ジョーダンに乗っていました。それから現在はフェラーリの3rdドライバーを勤めているルカ・バドエルもローラに乗っていました。記憶にありませんが(A^^;

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リタイアしてしまった鈴木亜久里のフットワーク無限FA14。きっと電気系のトラブルでしょう。手前はリジェのマシン。

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優勝したセナと2位だけどチャンピオン獲得したプロスト。これはお気に入りの一枚です。

 マシンのデザインも今とは全然違います。エンジンは3.5リッターのNA、V8,V10,V12とさまざまなタイプが混在し、フェラーリ、ルノーなどの大ワークスに加え、ランボルギーニやヤマハなどの小ワークス、ハートや無限、イルモアなどのレーシングエンジン専業メーカーも参戦していました。そしてウィリアムズなどのトップチームは、いち早くアクティブ・サスペンションを導入し、現在のF1マシンよりも先進的な面もあったと思います。タイヤはグッドイヤーのワンメイクでした。

 しかしこの年の日本GPのファステストラップは1分41秒台。今年のF1マシンよりも10秒も遅かったのです。技術の進歩(人間の進化?)の凄さを感じます。もちろん、コースも微妙に変化してる(特にシケインなど)ので、完全に比較は出来ないかもしれません。

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ブラジル国旗が多かった鈴鹿のスタンドの風景。時代を感じます。

 1993年F1日本GPのリザルトはこちらです。

○1995年日本GP
 再び鈴鹿を訪れたのは、1年おいて1995年のことでした。このときも友人から余ったチケットを譲ってもらいました。が、私だけ都合がどうしても合わず日曜日の決勝だけを日帰り観戦した記憶があります。それも、早朝に東京駅まで行ってから、チケットを持ってないことに気づき、タクシーを飛ばして家に戻りました。そんなゴタゴタもあって、鈴鹿に到着したのはスタート直前だったと思います。昔から忘れ物が多いのは変わっていません(A^^; シートもやはり2コーナー寄りのC1もしくはC2の下の方でした。

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ウィリアムズ・ルノーFW17B/デーモン・ヒル。チームメイトはデビッド・クルサード。当時は新人でした。

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ティレル・ヤマハ023/片山右京。前年は大活躍をしましたがこの年は振るわず。

 で、このレース、というかこのシーズン、実はあまり印象に残っていません。F1全体が前年に発生した2件の死亡事故の後遺症を抱えていたような気がします。しかし、この年にはすでにミハエル・シューマッハの圧勝の記録は始まっていました。シューマッハに対するはデイモン・ヒル。この二人の戦いは熾烈を極め、それはコース上だけにとどまらず、かつてのセナプロのような、冷え切ったギスギスした関係だったようです。などと、記録をいろいろ調べていて思い出したのですが、実はこのシーズンはいろいろと面白いことがあったシーズンでもありました。

 フェラーリを駆るジャン・アレジが彼のキャリアの中で最初で最後の優勝をカナダGPで飾ったのもこの年です。ついでに言うと、彼は後藤久美子さんとつきあい始めたのもこの年。アレジは成績は残せないながらもフェラーリドライバーとしてとても人気があり、人々の記憶に残っています。そして鈴木亜久里の引退もこのシーズン。前年に片山右京が素晴らしいパフォーマンスを見せ、プロストに大注目ドライバーだと言わしめたりもしました。そして謎の日本人ドライバー、井上高智穂を襲ったF1史上前代未聞の二つの事件が発生したのもこの年です。(詳しくはググってください)

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フェラーリ412T2/ジャン・アレジ。後にゴクミと結婚します。

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ジョーダン・プジョー195/エディ・アーバイン。F1参戦2年目のプジョー。マクラーレンには1年で見限られました。思えばこのとき既に306はデビューしていたんですね…。

 今では信じがたいことですが、この前年1994年から日本では年2回もF1のレースが開催されました。もう一回は岡山県の英田サーキットで行われたパシフィックGPです。1994年は春に行われましたが、1995年は阪神淡路大震災の影響で、急遽日程変更され鈴鹿と連戦となりました。当時のF1人気がいかに高かったかが分かります。と言うより、日本マネーがF1に相当流入していたのです。写真を見てみても、多くのマシンに日本企業のロゴが大小さまざま貼られています。現在では全く考えられません。

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フットワーク・ハートFA16/井上高智穂。まさか彼の写真を撮っていたとは思ってもみませんでした。

 マシンのレギュレーションは1993年と1995年では大きく変わっていないと思いますが、チーム勢力図はかなり変化しています。マクラーレンとフェラーリは長い不振の時期に突入し、チャンピオンシップはベネトンとウィリアムズの一騎打ちに。エンジン・コンストラクターではルノーの一人勝ち。独立系のエンジン・コンストラクターが消えつつ、フォードのカスタマーエンジンが多くのチームで使われます。そして、プジョーがジョーダンと手を組んでF1に参戦。メルセデスもイルモアを買収する形でマクラーレンに搭載されました。

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マクラーレン・メルセデスMP4-10C/ミカ・ハッキネン。後のワールドチャンピオン。シーズンはじめはマンセルもこのクルマをドライブしました。

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ベネトン・ルノーB195/ジョニー・ハーバート。ミハエルのセカンド扱いに苦しんだ最初のドライバー。とても人気がありました。

 この年の日本GPの勝者はミハエル・シューマッハ。彼はこの年のチャンピオンも獲得しています。ちなみにラップタイムは2年前より遅くなり、1分43秒弱でした。今年よりも12秒近く遅かったことになります。車幅も狭くなり、エンジンの制限も厳しく、電子制御の多くも禁止、空力も制限された今年のいびつなマシンは、当時のF1マシンにくらべ、カテゴリー違いといえるほど高速化しているのです。そりゃ、写真撮るのも難しくなってるわけだ(A^^;;

 1993年F1日本GPのリザルトはこちらです。

○写真について
 さて、上に貼りまくった写真ですが、これらはもちろんフィルムで撮影したものです。それをプリンタ複合機EPSON PM-A900のフィルムスキャン機能でスキャンしました。当時使っていたカメラはニコンF-801s。操作性と操作”感”に優れたとても良いカメラでした。ですが肝心なレンズが思い出せません。このとき持っていた望遠系のレンズと言えば、ED180mm/F2.8しかないはず。180mmではCスタンドでは短すぎたはずで、ケンコーのテレコンバータを使った記憶があります。が、x1.4だったのかx2だったのかは分かりません。

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Nikon F-801s 懐かしい…。学生時代無理して買ったのですが、すごく良いカメラでした。

 失敗を恐れてこのときはポジではなくISO400のネガフィルムを使いました。1993年は36枚撮りで8本ほど。1995年は2本しか撮っていないようです。デジタルになってやたらに撮りまくれる現代とは、撮影のリズムもかなり違っていたことでしょう。良く思い出せませんが、1コマ1コマにもっと気を遣っていたことは確かです。

 残念ながらフィルムですし、メモを残していないので撮影データがまったくありません。写真を見た感じそれほど極端に低速シャッターは切っていないようです。1/250くらいで撮っていたのかも。記憶の中ではものすごいチャレンジで低速シャッターを選んで流し撮りした気がしていたのですが。フィルムですし、今回みたいに200枚に1枚じゃ歩留まり悪すぎってことでしょうか。

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レンズはAF ED180mm/F2.8だったはず。勿体ないことにボディもこのレンズももう手元にありません。

 なお、このフィルム、ちゃんと保管しておいたつもりなのですが、久しぶりに引っ張り出してみたらかなり痛んでいました。スキャンしてみるとかなり退色しており、謎の染みも多く見られました。保管方法が悪かったのかもしれませんが、褪せた写真に時の流れを感じてしまいました。

 今年のF1日本GP特集は恐らくこれで終わりです。おつきあいありがとうございました(^^;

2009年F1第16戦 ブラジルGP

 2週間前、鈴鹿サーキットで私達の目も前を走っていたF1マシンやドライバー達は、いつの間にかはるか地球の裏側のブラジルまで飛んでいました。サンパウロ郊外のインテルラゴス・サーキットで行われるブラジルGPは例年、シーズン最終戦として行われていました。特に昨年と一昨年は、わずか1ポイントのチャンピオン争いが繰り広げられた決戦の地。今年は最終戦の一つ前のレースとなりましたが、今回も3人がチャンピオンをかけて争う決戦の場となりました。

 しかも土曜日の予選は大雨。荒れた天気は荒れたレースを生み出します。しかしさっそく雨に足をすくわれたのは、首の皮一枚でチャンピオン争いに残っていたベッテルでした。そしてチャンピオン最有力候補のバトンもパッとせず。そんな中、地元バリチェロが意地でポールを奪い取ります。順当にレースが進めば、チャンピオンはブラジルでは決まらないのかも?という予感が頭をよぎります。しかし予想通りにならないのがレースの面白さです。

 今回のレースには色々言いたいことが多すぎて、まとめ切れませんでした。以前のようにかなり長文になっています。

「ジェットコースターのようなシーズンだった」 ジェンソンバトン/ブラウンGP
 予選の混乱に翻弄されて14番手という下位グリッドからスタートすることとなったバトン。ポイントリーダーであり、チャンピオン獲得に大手をかけているにも関わらず、ここ最近のレースのグズグズさから、この予選の不調にも「やっぱりね…」という醒めた見方をしてしまいます。本当に彼はチャンピオンの器なのか?と疑問すら浮かんできます。

 が、スタート後の彼のレース振りは凄まじいものでした。まさにオーバーテイクショー。実力の違いなのか、気力が成せる業なのか。トリッキーな動きを繰り返す小林にイライラしながらも、前を行く車を次々に仕留めていく姿は鬼気迫るものがありました。守りのレースではなく攻めのレース。ただし必要以上のリスクは犯さない素晴らしい内容。結果、実力でチャンピオンを奪い取ります。願わくはこれがせめて表彰台争いあたりで展開すれば良かったのに。

 バトンは本当にチャンピオンに相応しいのか?という問いの結論を出すには、バリチェロがレース後にコメントしたとおり「チャンピオンシップは前半戦で決まっていた」という事実をもう一度思い出すべきでしょう。シーズン前半のバトンの圧倒的な強さを。それは間違いなくチャンピオンの走りでした。

「今日の結果には当然がっかりしている」 ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 バリチェロはポールからスタートしたものの、レース内容はイマイチ。ピット戦略とスピードのバランスに欠け、ピットインごとにポジションを落としてしまいました。最後は泣きっ面に蜂のパンク。チャンピオン争いの決戦であると同時に、彼にとっては17回目の母国GP。チャンピオンシップのよりも、キャリア最後になるかもしれないこの母国レースでは、どうしても勝ちたかったのではないかと思います。そう考えると、ちょっとかわいそうな気がしてきます。

 今回は典型的負けレースで、良いところがひとつもなかったにも関わらず、シーズン中盤のようなイライラしたコメントを残すことなく、「がっかりした」というコメントは正直な気持ちと思いますが、同時にバトンとチームへの祝福の言葉も本心なんだろうなと思います。

「ある時点で雨が降るよう祈ったけど降らなかった」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル
 日本GPの勝者ベッテルにとって、逆転チャンピオン獲得のために、このレースで狙う目標は「優勝」だけ。しかし荒れた天候に翻弄され予選を失敗し、16番グリッドに沈みます。この時点でほぼ万事休す。期待をかけるは決勝でも雨が降り、大混乱のレースをうまく切り抜けること、でした。が、天は”今回はまだ”彼に味方をしませんでした。

 でも、彼にはまだまだ未来があります。15年くらい前のバリチェロのように。恐らくそう遠くない将来にチャンピオンに手が届くことは、もはや「夢」ではなく「目標」になっているはずです。

「僕らはチームとして、よくやったと誇りに思っている」 マーク・ウェバー/レッドブル
 今回のレースの勝者でありながらどことなく影の薄い存在。レースはライバル達のペースや作戦を冷静に分析し、ペースをコントロールすることで、確実に優勝をもぎ取りました。シーズン通してこれで2勝目。チャンピオンシップでは4位が確定しましたが、彼のキャリアの中では間違いなく最高のシーズンでした。

 レッドブルは今シーズン、ブラウンGPと互角に渡り合えた唯一のチームでした。いずれのタイトルも獲れなかったけれども、昨年に比べ大躍進を果たした今シーズンの成績は、胸を張って誇れるものでしょう。ウェバーは特に、レッドブルの前身となるジャガー時代からこのチームを良く知っているドライバーです。言葉以上に感慨深いものがあるのではないかと思います。

「今でもまだ目が焼けるように痛い」 キミ・ライコネン/フェラーリ
 ピットロードでライコネンのマシンが火に包まれた瞬間は、今シーズンのF1で最もショッキングなシーンだったと言えるでしょう。原因はコバライネンの給油ミス。ガソリンを正面から浴びたライコネンのマシンは、排気管の熱により発火してしまいます。車載映像を見ていると、ガソリンを浴び、火が付いた瞬間は、さすがのアイスマンも一瞬パニックになったのか、ステアリングから手を離してしまっています。幸いにも量が少なく一瞬で自然消火し、その後、両者とも何事もなくレースが続けられたのが不幸中の幸いです。

 そのライコネン、オープニングラップのドタバタがあって、実質最下位からレースを開始しつつも、終わってみればちゃっかり6位に入っています。この勝負強さはさすが元ワールド・チャンピオン。今年で去ることとなったフェラーリで吹っ切れて、思う存分暴れまくってるようです。

 来シーズンは給油が禁止されるので、こういう炎上事故は起きにくくなるはず。でも、今年もピットアウト時の危険なマシンの交錯が何度もありました。ピットレーンの事故はピットクルーの命にも関わるだけに、もっと各チーム、各ドライバー、慎重になるべきだと思います。

「あれは本当に馬鹿げた行為だ」 エイドリアン・スーティル/フォースインディア
 オープニングラップでは複数の接触事故が起きましたが、セーフティカー導入にまで至ったのが、スーティルとトゥルーリの5コーナー出口での接触事故です(これにはアロンソも巻き込まれました)。トゥルーリはこの件に猛烈に怒り、事故後マシンを降りると、そのままコースを横断してスーティルの所に走り、激しく詰め寄って抗議していた姿が国際映像に流れてしまいました。

 トゥルーリの言い分は「スーティルにコース外に押し出された」というものですが、スーティルは完全否定しています。スーティルの前にはフロントウィングを失いペースが乱れたライコネンがいました。それが彼のペースとライン取りにも影響していました。その隙をトゥルーリが狙ったかたちになります。

 どう見ても、これはレーシング・アクシデントです。あの高速コーナーでアウトから被せることは、かなりイレギュラーな行動だし、明確に前にいてラインの優先権を持っているのはスーティルです。実際スーティルはトゥルーリのマシンが右横に見えた瞬間に、急激に左によけるような動きをしています。時すでに遅しでしたが。

 わずかなチャンスに勝負をかけたトゥルーリの行動はレースドライバーとして正しいのでしょう。が、その結果失敗したとすれば、それはレーシングアクシデントとして受け入れるしかありません。レースドライバーなら当然向き合わなければならないリスクです。ということで、私としては全面的にスーティルの言い分が正しいと思います。

 ちなみに、今回のレースでは危険な幅寄せ行為が多く見られました。オープニングラップでライコネンをコース外に押し出したウェバー、ベッテルを押し出した中島一貴、中島一貴を押し出した小林可夢偉。ライコネンはフロントウィングを壊し、中島一貴はクラッシュしてしまいました。ブロックラインを取るのはあたりまえとしても、相手をコース外に押し出してクラッシュさせてまでポジションを守ろうとするのは見苦しいというより他にありません。

「来年もグリッドでこのチームと会いたいと心から思う」ロバート・クピサ/ザウバーBMW
 昨年から一転して不調のどん底のシーズンとなったBMWは、後半になって復調の兆しが見えてきました。が、時既に遅し。BMWは成績を残せないF1チームに大金を出し続ける余力はないことに気がついたようです。チームは買収されましたが、来シーズングリッドにつけるかどうかは不透明です。でも… 今年のブラウンGPの例もありますからね。何が起こるかわかりません。

「今日はすごくいいレースをした」 ヘイキ・コバライネン/マクラーレン
 そう思ってるのは本人だけかと。


 ということで、今シーズンのチャンピオンシップが決着しました。ドライバーはジェンソン・バトン、コンストラクターはブラウンGPです。昨年のチャンピオンになったハミルトンはわずか98ポイントしか取っていない、と言われましたが、今年も同じか、さらに少ないくらいに落ち着きそうです。それだけ今シーズンも接戦だったと言う証です。これは必ずしも悪いことではありません。

 さて、今年のF1はあと1戦残っています。次回はF1初開催となる中東のアブダビGP。誰も知らないサーキットで行われる手探りのレースですが、幸か不幸かチャンピオンシップ的には消化レースとなりそうです。もちろん、ドライバーおよびコンストラクターランキングの順位が確定していない争いは随所にありますが。どんな最終戦になるのか、今年最後のレースをじっくりと味わいたいと思います。 

夕暮れをすぎて:スティーヴン・キング

夕暮れをすぎて (文春文庫)

夕暮れをすぎて (文春文庫)

 

 

  恐らくセル以来、久々のスティーヴン・キングの新作が文庫で発売されました。およそ1年半ぶりと言うことになります。この「夕暮れを過ぎて」の原題は”Just After Sunset”です。”Twilight Zone”ではありませんが、何とも言えない恐怖と不思議な事件を予感させる時間帯のこと。キングらしいさを想像させますが、あまりにもストレートと言えばストレートすぎるかも。原書は14編の新作短編が収められているそうですが、日本語文庫版は分冊されて発行されるそうです。今回はまず前半の7編が収められています。後半の7編は年明け早々に発行されるそうです。

 キングは自作に解説を加えるのが好きな作家です。今作にも前振りとしての「序文」、そして作品解説としての「サンセットノート」という後書きが加えられています。自分が書いた小説に説明を加えるのは野暮の極み… とならないところは流石です。それは内容の説明というよりは、どこからこの小説のプロットを思いついたか?書いた時のキング自身の生活状況がどう影響しているか?という、ある意味作者にしか書けない、作品論評、解釈になっているからでしょう。これらも合わせて本編を読むのが、キング作品の正しい読み方(?)かと思います。

 ネタバレするわけではありませんが、その中でひとつ面白いことが書かれていました。と言うのは、「多くの作家は雑誌投稿の短編からそのキャリアを始めるのがほとんどだが、その後成功するに従って作品はどんどん長くなり、キャリアの終盤になると短編は書かなくなる。と言うより、短編の書き方を忘れてしまう。」という自己批評がされています。なので、キングは初心を思い出すため、短編の書き方を忘れていないかどうか確かめるために、わざわざこの短編集を書くに至ったそうです。確かに、キングの短編と言えば初期のB級作品がほとんど。代表作と言われるような「ダークタワーシリーズ」や「スタンド」、「IT」などは単なる”長編”では片付けられないほどの超長編ばかりとなっています。

 そんな作家としての円熟期に入ったキングが新たに書いた短編集。単に久々のキング作品と言うだけでなく、珍しいアプローチの作品と言うことで、読むのがとても楽しみでした。

 しかし… 第一話の「ウィラ」や第二話の「ジンジャーブレッド・ガール」あたりを読んでいると、とても辛いのです。何がといえば、まずは言葉の多さ。婉曲な言い回しで形容詞も多く、やたらに長い文章で綴られるストーリー。これはキングの書く文章の特徴です。英語からの翻訳という面もあるかもしれません。一般的に小説とは、ストーリー展開と文章の両方を楽しむものだと思うのですが、キングはもちろんどちらにも独特の特徴を持っています。しかし、どちらかというと私は彼の書く”文章”が好きです(翻訳されたものであったとしても)。彼の書く”言葉の洪水”は久しく忘れていたものでした。懐かしく思うと同時に面食らってしまいました。

 その洪水のように押し寄せる言葉で表現されるストーリー。第二話「ジンジャーブレッド・ガール」や第四話「パーキングエリア」などは、おぞましいほどに醜悪なシーンが展開していくのですが、それはあまりにも映像的で、思わず本を閉じたくなるほどです。言葉だけで人にここまでの悪寒をもたらす文章力は流石と思う一方で、何でこんなに辛い話を好きこのんで読まなくてはならないのか?という不毛な疑問が浮かんでくるほどです。

 でもやはりキング作品はやめられません。この中で特に気に入ったのは第五話の「エアロバイク」です。メタボが気になる世代には身につまされる物語。主人公の姿が自分に重なりそう。でもって落ちが最高です。そして第六話の「彼らが残したもの」は何というか…。後書きにもあるようにキングはある程度の意を決してこの物語を書いたそうです。あの事件に対するキングなりの理解。恐らく今でも多くの人がこの物語の主人公が感じるような悪夢にうなされているのかもしれません。

 以下は、第六話「彼らが残したもの」からの一節です。ズシリと心に響きます。

 痛みをともなうほどの寂寥感が胸を満たし、感情が滂沱の涙となってあふれだした。それでもこれが学びの経験だったことは認めなくてはなるまい。この夜わたしは初めて、時が流れるにつれて、品物が・・・たとえそれがルーサイトキューブに閉じ込められた1セント硬貨のように軽いものであっても・・・重くなっていくこともあると学んだのである。
 しかしこれは、あくまでも精神の重みだから、計算するための数学の公式はどこにも存在しない。保険会社のマニュアルを開けば出ているような公式は存在しない。あの手のマニュアルには、喫煙者の場合には生命保険の料率がxパーセントあがるとか、農地が竜巻発生地域にある場合には穀物損害保険の料率がyパーセントあがる、などと書いてある。わたしがなにを話しているか、おわかりだろうか?  これは精神の重さの問題だ。

 ここに出てくるルーサイトキューブというのは、この文庫版の表紙絵にもなっています。それほどこの本の中では重要な一節と言えるでしょう。ここでキングが書いているとおり、「いずれ時が癒してくれるだろう…」が必ずしもそうではないとしたら、それほど怖いことはありません。

 お勧め度:★★★★☆ (これはやっぱりキングマニアのための本かと思います)

PENTAX DA★60-250mmF4ED [IF] SDM

 えーっと、先日のF1日本GPでの撮影用にと思ってDA60-250mmF4ED [IF] SDMを買いました。なんと、PENTAXデジタル一眼レフユーザーあこがれの(スター)レンズです。もうこの期に及んで言い訳はしません。どうしても欲しくなってしまったのです。

 本当はF1用にはSIGMA 18-250mmF3.5-6.3DC OS HSMを使う予定だったのです。だって250mmまであるしHSM駆動だしOS(光学手ぶれ補正)搭載だし。これで何も問題ないはず。でも… 久しぶりの鈴鹿でのF1観戦、そのために買ったせっかくのK-7…。どんどん盛り上がる気持ちに対してこのお手軽超高倍率ズームレンズというのはいかがなものか?という(非常に感情的、情緒的な)疑念が持ち上がりました。画質?明るさ?AF精度? もちろん後付の理由はたくさんありますが、一番重要なのは”雰囲気”です。

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燦然とゴールドに輝くDAの証

○スペック&使い勝手
 まずはスペックから。レンズ名から分かるとおり、焦点距離は60-250mm、明るさはF4通しという他社にはないレンジの望遠ズームです。これを中途半端と見るか、絶妙と見るかは使い手次第。EDガラスを2枚使った(今時それほど珍しくありませんが)13群15枚の光学系。ズームによって全長は変わりますが、ピント合わせはIFです。そのため近接撮影時には実質の焦点距離はかなり短くなるようです。ちなみに最短撮影距離は1.1mと意外に近寄れますが、カタログ上の最大撮影倍率は0.15しかありません。マクロ性能を期待するレンズではありません。絞り羽根は9枚です。

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K-7に取り付けるとこんな感じです

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望遠端の250mmにズームするとこのくらい伸びます。ただしピント合わせはIFです。

 ピント合わせはSDM駆動(超音波モーター:恐らく本物のリング型)で、フルタイムMFが使用可能。IFだけあって回転角も小さく、ピント合わせはかなり高速かつ完全無音です。一方、K-7との組み合わせでは関係ないのですが、SDM駆動に対応していない古いボディに取り付けた場合は、自動的にカプラー経由のボディモーター駆動に切り変わるという芸の細かさです。

 前玉のフィルター径は67mmと意外に大きくありません(SIGMAの18-250mmは72mmありました)。とは言っても、重量は1060gとそれなりの重さがあります。取り外し可能な三脚座が付いていますが、リングごと外れるのではなく、L字型の台座部分だけが外れるという仕様。外しても恐らく100g程度しか変わらないのではないかと思われます。そしてPENTAXレンズの伝統ですが、立派なフードが付いてきます。望遠レンズらしからぬ花型ですし、深さはかなりあります。PLフィルター用の窓も付いており、収納時はもちろん逆さ付けできます。

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収納時はフードを逆さ付けしてこんな感じに。ソフトケースが付属しています。

 そしてDAレンズとしての重要な特徴が、防塵防滴構造であること。同じく防塵防滴なK-7ボディと組み合わせると、その機動力を発揮します。メーカーのコメントに寄れば、土砂降りの雨の中でも特にカバーを掛けることなく使用可能なレベルだそうです。通常アマチュアな我々が雨の日に写真を撮りに出かけることは滅多にありませんが、F1観戦に限ってはあると便利な機能(性能?)です。実際今回のF1観戦でも、金曜日はかなり雨が降りました。そんな中でも特にカバーを被せることもしなかったので、レンズもボディも結構濡れてしまいましたが、その後動作には全く問題ありませんでした。

 さて、使用してみた感じですが、さすがに重たいです(A^^; 軟弱なアマチュアカメラマンとしては、長時間使用しているとレンズを支えている左手が痛くなってきます。ブレはK-7の手ぶれ補正が効いているのか、重さが逆に安定性に寄与しているのか、思ったほどブレません。私レベルでは200mm以上で1/100secくらいまでは手持ちでいけそうです。が、やはり三脚座も付いていることですし、一脚併用が一番現実的なところでしょう。いずれにしろ、ファインダー像の安定という点で、望遠レンズは光学手ぶれ補正が欲しいところです。

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取り外し可能な三脚座付き。ただし根本から。固定はネジ式です。

 AFは感動的なほどに早くて静か且つスムーズです。K-7ではほとんど迷いもありません。F4とはいえ、やはりF5.6クラスの望遠ズームと比べるとファインダー像もクリアに見えます。ピントリングは幅広ですが、AF任せの場合は下手に触ると、かえってピントがずれてしまうので注意。ズームリングはやや手前過ぎるようです。特に三脚座を使っていると、ズーム時に手に引っかかります。ピントリングの代わりに、ズームリングをもう少し太くして欲しいところです。

 画質についてはもう私レベルの目からすれば全く文句ありません。何よりファインダーが明るいのがまずは助かります。そして明るいだけに実用上では絞りの選択肢が広がります。そして撮れた写真を子細に見てみても、解像度は文句なく、歪曲補正も倍率色収差補正も全く不要なレベルです。望遠端での周辺光量落ちも気になりません。

○K-7とDA★60-250mmで撮りF1
 ということで、このレンズを持って鈴鹿に行ってきました。初日は曇りで、薄暗いピット内の撮影。二日目は雨。土日は一転して快晴でした。一応\5,000クラスの安い自由雲台付き一脚を持っていきました。以下に貼った作例写真は、(後編)に貼ったのと同じ写真も含まれています。

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170mm, 1/50sec, F4.5, ISO200, AWB ルノーのピット作業。かなり低速シャッターですが、一脚+ボディ内手ぶれ補正の効果でそれほどブレていません。

 サーキットでF1マシンを撮ると言えば、いろいろなアプローチがあるのですが、まず真っ先に思い浮かぶのは流し撮りです。C2席は上下左右に広いのですが、私の席はほぼその真ん中でした。ここからは2コーナーを立ち上がってS字に進入していくマシンが目の前を右から左に駆け抜けていきます。そして日中はほぼ順光で、フェンスも低くて気になりません。ということで、流し撮りするにはうってつけです。

 レンズは本当は300mm、できれば400mmまでの望遠ズームが欲しいところかもしれません。400mmとなると使用場面はかなり限られますが、300mmなら単焦点で一本勝負もありだったかも。今回、コース上のF1マシンを撮る場合は、ほとんど250mm望遠端固定で使用しました。それでも周辺はトリミングして位置とサイズを調整することを前提にすれば問題はありません。

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250mm, 1/80sec, F8.0, ISO200, AWB ブラウンGP/ジェンソン・バトン。雨の中、1/80secではこれが精一杯です。

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250mm, 1/100sec, F11, ISO100, AWB レッドブル/セバスチャン・ベッテル。ドライではマシンの速度も上がるので、シャッタースピードを少し上げました。これが今回の全撮影カット中のベストショット。

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250mm, 1/80sec, F11, ISO100, AWB フェラーリ/キミ・ライコネン いや、こっちのほうがベストショットかも。ドライの中でもシャッタースピードを1/80secまで落とせました。

 露出モードはもちろんシャッター優先に。シャッタースピードは無謀にも1/80前後に設定しました。C2席からなら1/250でもタイヤも回るし背景も流れますが、やはり遅めに設定すればするほど躍動感が出ます。この辺は歩留まりとの兼ね合いかと思います。感度設定は快晴となった土日はISO100に。雨が降った金曜日はISO200に。ピットウォークではISO200~400で撮りました。シャッタースピードを低めに設定するので、今回の土日のような快晴だとISO100でもかなり絞り込む必要があります。

 あとは、アスファルトの影響を受けやすい場合はややマイナス補正でという鉄則もありますが、今回はほとんどRAW撮りしたので、あまり積極的に補正はかけていません。ちなみに、K-7のISO100は基本感度と言うよりは減感モード的な意味合いがあるのではないかと思われます。ISO100だと白側の階調が出にくいようです。なので、ちゃんとマイナス補正しておくか、絞り込まれるのを覚悟で本当はISO200を使った方が良いのかも。ブラウンGPとか真っ白なマシンには特に飛びやすいので。

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250mm, 1/60sec, F20, ISO100, -0.7EV, AWB 1コーナーに飛び込むウィリアムズ/中嶋一貴。遠いほうがカメラを振る速度が遅くなるので追いかけやすくなります。

 AFモードはコンティニュアスモード、AFフレームは中央または下一点固定にしました。一度、オートにしてみたのですが、かなりピントを迷ってしまい使い物になりそうにありません。ドライブモードはLo(3コマ/秒)でも十分だと思うのですが、数打ちゃ当たる戦法をとる時はHi(5.2コマ/秒)に。K-7なら10枚以上の連写はバッファで十分吸収できます。本当はシングルモード派なのですが、今回ばかりは連写モードを使いました。

 で、結果は… まぁご覧のような有様です。やはりF1の撮影は難しいです。何よりもスピードが尋常じゃなく速いですし、しかも2コーナー立ち上がりはS字に向けて猛烈な勢いで加速していくので、フレーム内にマシンを追いかけるだけで精一杯です。正確にブレないように捕らえ続けることは至難の業であることを再認識しました。

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170mm, 1/20sec, F14, ISO100, AWB マーシャルの皆さんを乗せたバス。一定速度でゆっくり走る車だと1/20secという極端な低速シャッターでもそれなりに捕らえられます。

 ということで、仕上がりとして「完璧じゃないけど良くやった!」と思えるのは200枚に1枚くらい。「まぁまぁかな?」と思えるのが50枚に1枚。それ以外はどうしようもなくブレていたり、ピントを外していたり、フレームを外していたり。そんなのばかりです。でも、そんなに失敗ばかりでも、自分で撮った!という満足感はあります。そして、次はもっとこうすれば、ああすれば… と妄想は止まりません。素人の趣味ですからね、その辺の反省がまた楽しいものです(A^^;

 以下は失敗作の例。16GBのSDHCカード2.5枚(RAW+モードで撮影したため合計約2,500カット)のほとんどをこの手のカットで締めていました(A^^;;; クリックしても大きくなりません。

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ブレすぎてかえって味わいがあるかも。露光間ズームみたい。どこにも芯がないけど。

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せっかくそこそこ止まってるのに鼻先がフレームアウト。残念。

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ブレ+フレーム外しの合わせ技。ついでにマシンもコースから外れています。

 願わくは、これ以上道具(=レンズ、カメラ本体)のほうに妄想のポイントが向かないことを願うところです(A^^;

無用の隠密:藤沢周平

無用の隠密―未刊行初期短篇 (文春文庫)

無用の隠密―未刊行初期短篇 (文春文庫)

 

  10年以上前に亡くなったはずの藤沢周平さんの新刊が文庫で出ていました。どこかから未発表原稿でも出てきたのかと思えばそうではなく、無名時代に無名の雑誌に掲載され忘れ去られていた作品をかき集めたものだそうです。年代としては昭和三十九年以前、藤沢周平さんがまだ作家デビューを果たしておらず、新聞社に勤める傍ら、趣味兼内職として書いていた短編時代小説十四編が収められています。藤沢周平ファンにはまさに願ってもないプレゼントと言えるでしょう。

 私は一時代小説ファンとして当然藤沢周平作品は読んでいますが、まだまだ読破には至りません。多分、有名なものから三割くらいしか読んでいないと思います。それでもやはり副題として付けられている「未刊行初期短編」という言葉が気になります。やや順序が違うかも?と思いつつも手に取ってみました。

 藤沢周平さんの作品は、前期と後期で作風が大きく違うと言われています。前期はどちらかというと重苦しいテーマでどんよりとした暗くて辛い結末を迎える作品が多く、後期はもう少し明るさというか、軽妙さと美しい風情を備えたわりと読みやすい作品が多くなります。無名時代の超初期ものとなれば、前者の作風に近いものであることは想像に難くありません。

 文庫版で五百ページオーバーという厚さながら、十五編の短編が収められているということもあって、一編の長さはそれほどでもありません。そして各作品の成り立ちや時代背景、後年の作品との関係を丁寧に解き明かす解説が加えられています。その解説は実に三十ページ以上あります。十五編を読み切った後は、それぞれの作品の理解を深め、また藤沢作品全体の理解を深めるためにも、この解説はとても役に立つと思います。

 その解説にあるとおり、この中の何編かは後に有名になってから同じプロットで書き直されているものもありますし、越後や庄内地方の、いわゆる草の者(=忍者)を扱った作品もあります。この草の者の活躍は「密謀」などにも繋がっていく世界かと思います。さらには庄内地方の歴史や、江戸の浮世絵師をテーマにしたものなど。藤沢ファンならいろいろ想像をかき立てられるものがあるのではないでしょうか。

 ということで、いずれにしても成り立ちからして決して読みやすい本ではないだろうな、とは想像していたのですが、第一話を読み始めたところで、早くも挫折しかかりそうになりました。と言うのも、とても難解なのです。背景説明がほとんどなく、非常に少ない言葉と、豊かな情景描写だけでで進行する作風は明らかに藤沢作品らしいのですが、今自分が読んでいる物語の中で何が起きているのか?登場人物の関係がどうなっているのか?が全く分かりません。何となく字面を追ってるうちに終わってしまったりして。第一話の「暗闘風の陣」は二回読み直してしまったほどです。

 で、結論から言うと結局分からずじまいで、諦めて先に進んでしまいました。そして二話目がまた輪をかけて難解なのです。が、難解で読みづらかったのはこの二話まで。三話目以降は普通に物語として楽しむことができました。解説によれば、最初の二編は小説としてまだ稚拙で未熟だとか。難解だったのはそのせいということにしておきましょう。

 最初に二編を除いて、他の十三編はどれもじんわりと心に染み入るような物語ばかりですが、個人的に敢えて気に入ったものを挙げるとすれば、八話の「忍者失格」、九話の「空蝉の女」、十四話の「ひでこ節」、十五話の「無用の隠密」あたりです。と、四編を選んでみて気づいたのですが、どれも恋愛の物語です(A^^;;

 お勧め度:★★★★☆(最初の二編は難解ですが我慢して読み進めましょう)

2009年F1 日本GP観戦記(番外編)

 後編(土曜日/日曜日編)の続きです。番外編ということで、レース以外の鈴鹿サーキットの様子でもまとめようかと思ったのですが、いろいろ紹介したいことがありすぎて、うまくまとめるのはムリっぽいので、テーマを決めて「飲み食い編」とすることにしました。スミマセン(A^^;

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アイルトン・セナがドライブしたMP4/5Bとサイン入りのタイヤ。食べ物と関係ないですが、これは是非載せておきたかったので(^^;

○鈴鹿サーキット内
 木曜から日曜にかけては、お昼ご飯はどうしても鈴鹿サーキット内で食べることになります。と言っても、レースやらなんやらで興奮しているし、土曜と日曜になると人出がものすごいので、ゆっくりと食べるというわけにはいきません。私たちのいたC2席裏の通路にもお店は並んでいますし、所々にはオアシスと称して、広場にグッズショップや食べ物、飲み物を売るお店、休憩用テントなどが並んでいる所もありました。

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グランドスタンド裏の売店で立ち呑み。木曜日は空いてました。

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ドミニク・ドゥーセさんの店のクロックムッシュ。猛烈に美味かったです。

 買える食べ物は基本的に焼きそば、カレー、たこ焼き、肉まんなどの屋台メニューばかりですが、おおむね1,000円を超えることはなく、お値段は良心的です。特に500mlペットボトルのソフトドリンクなどは、自販機価格と同じ\150円でした。どこかのぼったくりサーキットとは違います。

 メインスタンド裏のGPスクエアにはスポンサー企業の巨大なイベントブースや、各チームのオフィシャルショップなどが並んでいます。その中にフェラーリの元チームシェフがやっているイタリアンレストラン “ラ・ピーニャ”や、FBMでおなじみのドミニク・ドゥーセさんのお店もありました。地元も地元ですからね。

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鈴鹿サーキット内で営業していた、その名も「日本GP朝食バイキング」

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メニューは一般的バイキング。味も○。この後和食セットに逝きました(^^;

 そして何と言っても素晴らしかったのは、メインゲートから入ってすぐのモートピアにあるプッチタウンキッチンという施設でやっていた「日本GP朝食バイキング」です。宿泊したホテルにも朝食はついていたのですが、利用したのは金曜日だけ。この朝食バイキングの存在に気づいた土曜日と日曜日は、朝食を取らないまま早朝にホテルを出発し、鈴鹿サーキットに着いてからこの朝食バイキングを食べました。お値段は\1,200。味、メニュー含めロケーションを考えると夢のようなバイキングです。それほど混雑もせず休憩かねてゆっくりと食事できて大満足です。

 さて、ここから先は鈴鹿サーキットを離れて、今回宿泊した松阪で食べた夕食です。ちなみに松阪からは近鉄特急に乗って白子まで約30分、そこからシャトルバスで15分、その後徒歩10分ほどで鈴鹿サーキットのメインゲートに到着します。名古屋と逆方面で電車もそれほど混まないですし、距離的にも思ったより遠くもなく、なかなかイイ選択でした。

○一升びん@松阪
 まずは木曜日の夕食。松阪と言えばやはり松阪牛、というのはかなり安易ですが、東京からやってきた観光客なので仕方ありません。実際、松阪駅から徒歩圏内に、焼肉、しゃぶしゃぶ、ステーキなど、多くのお店があるようでした。そんな中から勘で行ってみた(いや、本当は同行友人がちゃんと事前リサーチしてありました)のが、この「一升びん」という変わった名前の焼き肉屋さん。本店までは松阪駅からはちょっと遠くて徒歩15分くらいかかります。

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店名入りの渋いビールジョッキ。大は1L、中は500ml入ります。

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松阪牛ー!これは中肉です。

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松阪牛カルビ!

 木曜日、鈴鹿から帰ってきたのはわりと早い時間だったので、まずは1時間ほどホテルで休憩して夕食に繰り出したのは午後5時。予約もせずに飛び込みで行きましたが十分空いていました。高級店ではなく庶民派の匂いがします。メニューを見ると、普通の焼肉と松阪牛の焼肉が選べます。もちろん松阪牛のほうはなかなかイイお値段がします。

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店内も店員さんも味わいがあって良い感じです。

 ということで、もちろんまずは松阪牛ばかり発注。味の濃いタレがかかっていましたが、とろけるような柔らかさはやはり国産、松阪牛です。と言っても、松阪牛ばかり食べているわけにもいかないので、後半は普通のお肉を頼み、ご飯も食べてしっかりと明日に備えます。

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二次会で行った梅一ででてきた名前の分からない貝“あっぱっぱ”。ほとんどホタテみたい。

 二次会にはホテルの近くにあった梅一という飲み屋さんへ。人気店らしくカウンターしか空いていませんでした。板前さんがその場でしっかりと料理を作っている本格派の居酒屋。一見のお客さんなのになぜか銀杏焼きをサービスしてくれたりして、とてもイイお店でした。

 一升びん 本店
 三重県松阪市南町232-3
 TEL: 0598-26-4457
 11:00~22:00 無休

○とんかつ野崎@松阪
 雨に見舞われた金曜日の夜、やはり松阪牛を食べられるお店を探索。その結果目標に定めたのは「野崎」というとんかつとステーキのお店。実はこのお店、前日に一升びんに向かう途中で見つけたお店です。店構えは居酒屋さんと言うよりは普通の定食屋さんな感じ。でも何か私たちのアンテナにピンと引っかかるものがありました。がっつりと美味しいステーキでも食べようかということで入ってみました。

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とんかつ ステーキ…。何でもない看板になぜかとても心惹かれるものがあります。

 予想通り、中に入ると普通に家族経営の定食屋さんの雰囲気。近所の常連さんらしいお客さんがぽつぽつ入ってまったりしています。案内された座敷席に用意されたメニューはA4サイズの紙片面1枚だけ。しかしその中には看板にあるとおり、とんかつやステーキなどなど魅惑的な定食が並んでしました。

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特選松阪牛 牛ヒレ生姜焼き! 美しすぎる!クリックすると大きくなります。

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特選松阪牛 牛ヒレカツレツ! 赤身が眩しすぎる!クリックすると大きくなります。

 概ね千円弱の定食メニューが並ぶ中に、赤字で燦然と輝く「特選松阪牛」の文字。牛ヒレカツと牛ヒレ生姜焼きが選べます。お値段は\3,180。これにご飯、お味噌汁、サラダを付けて定食セットにすると、なんと合計\3,400也。生姜焼き定食あるいはヒレカツ定食としては破格の高値ですが、こうなったら食べるしかありません。ということで、同行友人全員この二つの中からどちらかを選ぶことに。ちなみに私は生姜焼きを選びました。

 一つ一つ丁寧に作っているのか、出てくるまでにそれなりに時間がかかりました。お皿や付け合わせなどもごくごく普通。その中に超高級な松阪牛が盛られて出てきます。生姜焼きもヒレカツも猛烈に美味しかったです。できればお代わりしたいくらい。一皿\3,000の価値は十分にありました。

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二次会で行った竹の子。看板もイイ空気を醸し出しています。

 この日の二次会はまたまたホテル近くの気になっていた居酒屋さんへ。その名は「サラリーマン酒場 竹の子」です。名前の通り昭和っぽい感じでいいお店でした。実際仕事帰り風なサラリーマンの皆さんがに飲んでいましたし。お酒も食べ物も安くて期待通り。泥酔できるタイプのお店ですが、明日のためにも飲み過ぎないように注意して早々に切り上げました。

 とんかつ野崎
 三重県松阪市長月町9
 TEL: 0598-23-9126
 11:30~14:30(14:00LO)、17:00~22:30(22:00LO) 火曜定休

ひさのや@松阪
 土曜日の夜は混むかもしれないと思い、お店を予約しておきました。このお店はホテルの目の前にあって、木曜日時点から気になっていたお店です。小さなカウンター席と、テーブルが一つだけ。狭いお店をご主人さんが一人で切り盛りしているようです。ここは松阪牛ではなくて魚料理がメインです。でも、おでんもすごく美味しかったです。時間が経つと、常連さんがやってきてあっという間に満席。地元にあったら確実に通ってしまいそう。

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ひさのやの店構えは何か引きつけられるものがあります。

 お店の雰囲気からして料理の写真を撮るような感じじゃなかったので写真はありません。いいお店でしたが、大勢で行くお店ではないようです。そんなこともあって何となく場違い感がぬぐいきれず、あまり長居することなく出てきてしまいました。この後、やや物足りない感覚を埋め合わせるために、駅前のラーメン屋さんでラーメン+餃子+ビールをやってしまいました(A^^; 高カロリー杉。

○エースイン松坂
 最後にホテルのことをちょこっと書き留めておきます。と言っても、泊まったホテルはエースイン松阪という、ごくごく普通のビジネスホテルですので、特に書いておくようなことは何もないのですが。

 場所的には松阪駅前から徒歩2分ほどでとても便利です。予約確認の段階でいろいろ一悶着ありましたが、結果はこちらの希望通りに落ち着きましたので問題なし。金曜日からはF1期間中として宿泊料金が\10,000、F1のチケットを持ってる場合は\9,000ですが、通常料金は\5,000ちょっとです。私たちは木曜日から連泊と言うことで通常料金を適用してもらえました。

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ホテルでは夕方になると無料でビールが飲めます。一杯だけいただきました。

 朝食はバイキング形式でしたが、いわゆるビジネスホテル式のかなり質素なもの。結局金曜日朝は利用しましたが、土曜と日曜は上に書いたとおり、鈴鹿サーキットまで行ってから朝食を食べました。無料でしたが惜しくはありません。

 しかしこのホテル、一つだけ特筆すべきサービスが行われていました。というのは夕方6時~8時の間はアルコールが無料奉仕だと言うのです。全てセルフサービスなのですが、生ビールも飲めるし、簡単なおつまみも用意されています。これは太っ腹です。と言っても利用したのは土曜の夜だけ。しかももちろんそこで飲み放題宴会を始めるような無粋なことはしていません。居酒屋探しに出かける前に、一杯飲んだだけです。

 このホテルはともかく、松阪に宿を定めたのはなかなかイイ選択でした。もちろんできれば鈴鹿、白子近辺、あるいは津あたりのほうが便利ですけど。名古屋方面に止まるよりは穴場で良かったと思います。

 エースイン松阪
 三重県松阪市京町516-1
 TEL: 0598-25-2311

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また来年!

 以上でとりあえず鈴鹿F1観戦レポートは終了です。ちょこっと追加で関連ネタを書くかもしれませんが。

2009年F1 日本GP観戦記(後編)

 前編(木曜日/金曜日編)からの続きです。金曜日の夜遅くまで降り続いていた雨は、翌早朝にはすっかり上がっていました。天候が回復した鈴鹿サーキットで開催されたF1日本GP、いよいよ予選と決勝のメインイベントを迎えます。以下、また大量の似たような写真を貼ってあります。撮影条件はほぼ前編と同じ。晴れてファインダーが翌見えるようになったためか、単なる慣れか、ブレが少なくなっています(^^;

○10月3日土曜日(曇りのち晴れ):フリー走行3回目/公式予選
 公式予選が行われる今日からは人出がいっそう増えることが予想されるため、安全を見て前日よりも1時間早くホテルを出発。白子駅からバスに乗ったのは午後7時前でした。朝食を食べずに出てきたので、鈴鹿サーキットに到着してから、F1GP朝食バイキングでまずは腹ごしらえです。

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素晴らしいレースを支えている鈴鹿のオフィシャルの人々。

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AMGメルセデスのセーフティーカー。白髪のおじさんが運転していました。

 グランプリゲートをくぐるとさすがに人の波で大混雑ですが、ウンザリするよりもむしろ、活気があってお祭り気分が盛り上がりワクワクしてきます。午前中に買い物を済ませてさっそく席へ。午前11時から1時間限りのフリー走行3回目が始まります。この日になって初めて鈴鹿にやってきたお客さんも多く、観客スタンドも昨日以上にかなり混雑していました。

 フリー走行3回目は今週初めてのドライコンディションとあって、午後の予選と明日の決勝に向けて、事実上唯一のセッティングのチャンスとなります。そのため各チームかなりアグレッシブに周回を重ねます。勢いあまってマーク・ウェバーはデグナーでコースアウトしモノコックを壊してしまたり。結果的に昨日のウェットコンディションと違い、タイム順は大幅に入れ替わりました。やはり実力派のトップドライバー達が上向いてきたようです。

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ウィリアムズFW31/ニコ・ロズベルグ ベッテルに並ぶ期待の新世代ドライバーです。

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レッドブルRB5/セバスチャン・ベッテル RB4はエイドリアン・ニューウェイの手による流麗なマシン

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マクラーレンMP4-24/ヘイキ・コバライネン(※トリミングしています)

 フリー走行終了後わずか2時間のお昼休みをおいて、午後2時からはいよいよ公式予選です。結果は各セッション通してレッドブルのセバスチャン・ベッテルの圧勝。一方昨日好調だった中島一貴は下位に沈んでしまいました。

 今回の予選はクラッシュ赤旗中断が3回出されるなど大荒れでした。全ては私のいたC2席からは見えないところで起きたことですが。しかも予選終了後に黄旗無視のペナルティーが乱発される始末。荒れた原因はコース改修のせい、鈴鹿未経験の未熟なドライバーのせい、あるいは最新のF1マシンと比較的古い鈴鹿のコースとのミスマッチなど色々言われています。個人的には全ての原因が複合したものだと思います。コースレイアウトはともかく、エスケープゾーンが狭いのは確かに鈴鹿の問題点かもしれません。

 結局公式予選は大幅に時間が押して終了したのは午後3時半ごろ。おかげで地上波放送は最後まで放送されなかったそうですが。予想を超える延長だったのは分かりますが、日本GPの冠スポンサーである放送局の対応としてはどうだったのか?と思います。

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ルノーR29/フェルナンド・アロンソ 昨年の日本GP勝者も今年は苦労しているようです

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フォースインディアVJM02/ビタントニオ・リウッツィ ストレートエンドから1コーナーへ。

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フェラーリF60/キミ/ライコネン ヘルメットの奥に鼻先が見えます。

 帰りはやはりシャトルバスに乗って白子駅経由で。大幅に人が増えたもののバス運行はスムーズです。待ち時間は5分程度、所要時間は15分ほど。トータル1時間強で宿泊先の松阪のホテルまで帰ってこられました。この日も早めに夕食宴会は済ませ、明日に備えて早寝します。

○10月4日 日曜日(快晴):決勝
 いよいよ迎えた決勝の朝。朝から雲ひとつない青空が広がります。気温はそこそこ低いながらも、とにかく日差しが強くて参りました。日焼け止めと帽子はもちろん、顔や首筋、腕などなるべく肌の露出を減らすべく、薄い長袖のフードつきのシャツが必要です。みんなタオルなどで応急処置していました。

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風は涼しいけど強い日差しにジリジリと焼かれる…。

 決勝の日は午前中はサポートレースが行われただけ。それでも朝早くから鈴鹿サーキットに繰り出し遊んでいました。いくら時間があっても鈴鹿は飽きません。そしていよいよ12時半からドライバーズパレードが始まります。

 各ドライバーがクラシックカー1台ずつに乗り、ゆっくりとコースを回ってきます。このパレードには、ドライバーの個性や調子(機嫌?)が表れるので、見ているとなかなか面白いです。今回はハミルトンの乗った車が途中で故障し、途中でアロンソの車に同乗するという、ちょっと考えにくいハプニング(アクシデント?)もありました(A^^;;

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ドライバーズパレードの先頭でやってきたジェンソン・バトン。乗ってる車は何だろう?

 決勝レーススタートは午後2時からですが、その30分前から各マシンがインストレーションラップに出てきました。通常は1周だけですが中島一貴だけは、ファンサービスなのか燃料を減らすためなのか、なぜか4周もしていました。

 そしていよいよ午後2時になりフォーメーションラップがスタートし、決勝レースが始まりました。スタート後だんご状態で20台のF1マシンが目の前を過ぎ去っていきます。見逃せないシーンなので、写真を撮るか肉眼でしっかり見ておくか、悩んだのですが、結局ファインダーを覗いてしまいました。

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決勝スタート!2コーナーに飛び込んでくるF1マシンの隊列。圧巻です。

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BMWザウバーF1.09/ニック・ハイドフェルド BMWの写真はことごとく失敗してしまいました…

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レッドブルRB5/セバスチャン・ベッテル シャッタースピードは1/60secです。

 レースはポールからスタートしたベッテルが終始リード。その他もピットタイミングでの順位変動こそあれ、コース上では比較的落ち着いたレースが展開されます。目の前を走りすぎていくだけのF1マシンと落ち着いたレース展開に少し飽きが来た終盤、またもや大きなクラッシュ発生。残り8周と言うところでセーフティカーが導入され俄然盛り上がってきます。

 残り4週となったところで再スタートしましたが、ここではKERSが壊れたハミルトンをKERSが使えるライコネンがオーバーテイクできるかどうかが注目ポイントとなりました。結果的には1コーナー飛込みでかなり接近戦になりましたが、インに飛び込むには至りませんでした。

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フォースインディアVJM02/エイドリアン・スーティル 近い将来、大物になるかも。

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ルノーR29/ロメイン・グロージャン(※かなりトリミングしています)

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ブラウンBGP001/ジェンソン・バトン チャンピオンに一番近い男。でもレースはグズグズでした。

 そしてレースはそのままチェッカーフラッグへ。見事セバスチャン・ベッテルの完全勝利です。ブラウンGPの2台はバリチェロが7位、バトンが8位。ということでチャンピオン争いにはベッテルが踏みとどまり、さらに混線の度合いを深めていきます。そしてコンストラクターズも0.5ポイント足りずに決まりませんでした。ほとんどブラウンGPで決定ですけど。

 時間は午後4時前。日も傾きサーキットには夕方の光が差しています。パレードラップを見送ったところで残念ですが席を立ち帰途につきました。心配したバス待ちや大混乱もなく順調に白子駅へ。帰りの特急と新幹線は事前に予約済みです。白子駅近くの居酒屋でしばし時間つぶしをして午後7時過ぎの特急に乗り名古屋経由で東京へ。4日間の疲れがドット出て東京までひたすら眠り続けた気がします。思い切り遊んだ後の心地よい疲労感です。

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レッドブルRB5/セバスチャン・ベッテルのウィニングラン 見事なポールtoウィンでした。


 長かったような短かったようなF1日本GPの4日間が無事終了しました。雨の日もあり混雑もありましたが、全般にわたり期待以上に楽しめたパーフェクトなF1観戦になりました。やっぱり鈴鹿はイイです。決して近くもないし、お金も体力も時間も必要ですが、F1ファンの私にとってはそれだけの価値があります。

 鈴鹿ではF1を楽しむための下地作りから仕掛けまでが完璧に成されていると感じました。交通機関からサーキット内の様々な面も含め、細かいことは色々ありますが、一言いや二言でいうと”ホスピタリティ”と”プロフェッショナル”という言葉が思い浮かびます。少なくとも2007年の日本GPには全くなかったものです。

 とりあえず鈴鹿での日本GPは開催は2011年までしか決まっていません。バックにいたホンダも既にF1からは撤退し、強力な後ろ盾はない状態ですが、それは他のアジア各地のグランプリも同じこと。大ワークスチームとの関係がなくなったからこそ、その動向に左右されない、より純粋で安定した日本GPが開催できると思います。出来ればこれからもまた10年でも20年でも鈴鹿での日本GPを続けてほしいと思います。

 番外編につづく。

2009年F1 日本GP観戦記(前編)

 10月1日の木曜日から4日間、F1日本グランプリを観戦するために三重県の鈴鹿サーキットまで出かけてきました。鈴鹿でF1日本GPが開催されるのは2006年以来3年ぶりで21回目となります。また個人的には鈴鹿でのF1観戦は今回で3回目で、10数年ぶりのことです。

 レース日程としては金曜日のフリー走行が初日となるのですが、今回は事前に応募してあった、木曜日午前のピットウォークに当選したため、急遽日程を一日に前倒しして、木曜日から鈴鹿に乗り込みました。宿は敢えて名古屋方面とは逆側の松阪にとり、10月4日日曜日の決勝まで3泊4日間たっぷりと生のF1観戦を楽しんできました。

 ということで、これからF1日本GP観戦記を数回にわたりお送りします。浮かれ気味で長文かつ写真多めになるかと思いますが、興味があれば以下お付き合いください。まずは前編(木曜日/金曜日編)です。

○10月1日木曜日(くもり):ピットウォーク 

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メインストレートのスタートシグナルのあるフジテレビゲート。

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ピット出口から1コーナー方面の眺め。

 東京から始発の新幹線に乗り、関西本線、伊勢鉄道と乗り継いで鈴鹿サーキットに到着したのは午前9時半頃。ピットウォークの3rdセッションは10時15分から始まりました。私達と目的を同じくする多くのF1ファンの人々とともに、メインストレートのちょうどスタートラインのあたりを横切り、ピット出口からピットロードに入っていきます。信号やピットウォール、各チームのウォール脇の司令室などなど、TVで見る設備が目の前に並んでおり、既に周囲の人々同様に興奮が高まってきます。

 ピットウォークとはいえ、当然自由にピットに入れるわけではありません。ちょうどピット前から5mくらいのところに柵が張られ、そこから各チームのピットの様子を眺めたり写真を撮ったりすることになります。フェラーリなどの人気チームの前は黒山の人だかりが出来ますが、順序を守って並んでいれば柵までたどり着くことは出来ます。

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フェラーリF60のノーズ。後ろにぼけているキミは本物ではありません。

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マクラーレンMP4/24。緻密な構造のフロントサスまわりがむき出し。

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レッドブルのピット。リアカウルが外に出ていました。超薄です。材質は何だろう?

 木曜の午前中はまだ各チーム準備中でのんびりした雰囲気ですが、マシンは既に用意されエンジニア達が丹念にマシンの組み立てと調整を行っていました。思ってた以上に見所満載です。さすがにピット内にドライバーの姿はありません… と思ったら、一部の若手ドライバーはコース下見などをしてピット周辺もうろついていました。

 スーティル、リウィッツィ、グロージャンは”すれ違った”と言えるほどすぐ近くで見られました。バトン、ベッテル、中島一貴は、コース上を歩いているところを遠くから見ることが出来ました。ドライバーのような有名人でなくともTV中継で見たことのあるメカニックなどもうろうろしていたり。F1マニアにはたまらない目くるめく1時間です。

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フォースインディアVJM02のフロントサス。上のマクラーレンと比べるとかなり構成が違うことが分かります。

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今シーズンのチャンピオンチーム(になるはず)のブラウンGP。たくさんのメカニック達が働いていました。

 ピットウォーク参加者の中からさらに一部の人は、お昼と夕方に行われるドライバーサイン会に参加できるのですが、残念ながら同行した仲間達も含め抽選に外れてしまいました。でも十分満足です。

 ピット出口で再集合した仲間達と、ピットウォークの余韻を楽しみながら、グランドスタンド裏でビールを飲んで乾杯。早朝に東京駅でサンドイッチを食べただけだったことを思い出し、おつまみ類を大量に買い込んで、立ち飲みしながらのお昼ご飯です。その後開放されていたグランドスタンド(V1/V2席)を探検したりしてしばし休憩。写真を撮るには不向きですが、レース観戦にはやはり良い席です。

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セーフティカーとメディカルカーも間近に見られました。ポルシェのカップカーとほぼ同タイムで周回できるそうです。

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生ベッテル!コースの下見をしていたようです。

 この日の午後は特に鈴鹿サーキットでは大きなイベントがないため、当初は鈴鹿を後にしてどこかに観光に行こうと思っていたのですが、その後もF1グッズを売っているテント街を見て回っていたら、ずいぶん時間が経ってしまいました。ということで白子駅までバスに乗り、この日はこのまま松阪のホテルに直行することに。松阪牛の焼肉などを食べ(多分後日番外編でアップします)、午後10時ごろにはバタリと倒れて寝てしまいました。

○10月2日金曜日(雨):フリー走行1回目/2回目
 明けて金曜日。いよいよF1日本GPの開幕です。事前の天気予報のとおり、朝から三重県地方は雨。ホテルを出るときから雨対策をしっかりしていきます。近鉄特急に乗って白子駅に着いたのは午前8時ごろ。シャトルバスは待ち時間無しで乗れました。バスは昨日と違い、途中から簡易舗装の専用道路に入り、鈴鹿サーキットの第8パーキングへ。所要時間は20分ほどです。

 以下、写真は250mmのレンズを使い、1/80secシャッター優先、ISO200程度で撮影しています。ブレている失敗流し撮りばかりですが、私の腕では比較的成功したと思えるカットから選んだものです。席が固定されているため同じような写真ばかりでスミマセン(ちなみに後編も同じような写真ばかりうです^^;)

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フェラーリF60/キミ・ライコネン

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レッドブルRB5/セバスチャン・ベッテル

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ブラウンBGP001/ルーベンス・バリチェロ 路面にマシンが映り込んでいます

 この日はいよいよF1マシンがコースを走るとあって、昨日とは比べ物にならない人出です。でも明日明後日はさらに増えるはず。まだ買い物するにも食事するにも行列を気にするほどではありません。とはいえ朝のうちに買い物は済ませ、10時から始まるフリー走行に合わせて席へ向かいました。場所は2コーナー立ち上がりにあるC2席です。過去の経験から、とりあえず観戦するにも写真撮るにも間違いがないと思って取った席です。

 C2席からはメインストレートエンドから、1,2コーナーを通過し、S字コーナーを抜けていくところまでの広い範囲が見渡せます。フェンスも低く北向きなので常に順光。ピット脇のリーダータワーも見えます。が、1コーナーの飛び込み以外、特に何かが起きやすい場所ではないし、ゲートからアクセスが悪く通路が狭いこと、国際映像が映し出される大画面スクリーンが見にくいのが欠点です。

 午前10時ぴったりにいよいよフリー走行が始まりました。開始直後は少し雨が降っていましたが、その後止んで、次第にラインが乾いていきます。周回タイムも1分40~50秒くらい。とはいえドライタイヤで走れる状況ではなかったようです。

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フェラーリF60/ジャンカルロ・フィジケラのドアップ(※トリミングしています)

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マクラーレンMP4-24/ルイス・ハミルトン この頃には路面がだんだん乾いてきました

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2コーナーを立ち上がるトロロッソSTR4/セバスチャン・ブエミ(※トリミングしています。しかもかなりブレています。雰囲気だけでもと言うことで^^;;)

 天気予報では雨が降るのはこの金曜日だけ。予選やレースに向けてウェット状態でセッティングをする意味はありません。が、やはり初日ですし全体的なマシンのチェックやコースチェックなどは欠かせるはずもなく、ウェットコンディションの中でも各車積極的に周回を重ねているようでした。

 1時間半に及ぶセッションが終了し、お昼休みを挟んで午後2時からはフリー走行2回目が始まります。しかし午後になると再び雨が降り出し、しかもかなり強い雨。午前中はスタンダードウェットタイヤで走れましたが、この状況になるとヘビーウェットが必要です。コースオープン直後にトロロッソの2台が1周しただけで、他のチームは全くマシンを動かす気配がありません。リスクを冒してまでヘビーウェットでテストする意味はないので、仕方のないところです。

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ブラウンBGP001/ジェンソン・バトン

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ウィリアムズFW31/中嶋一貴

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中嶋一貴はウェットでは好調で、一時はトップタイムを出していました。最終的には2位になりましたが。

 このフリー走行2回目では場内放送で佐藤琢磨氏が解説をやっていました。マシンが1台も走らない中でしたが、とても話が的確で面白かったです。彼は解説者にとても向いてると思います。1時間ほど粘ったのですが、結局その後1台も出て来ることがなかったので、残り30分ほどありましたが、雨脚も一層強くなってきたのでそのまま引き上げることに。

 帰りも第8駐車場から近鉄白子駅行きのバスに乗りました。待ち時間はほぼゼロ、所要時間は15分くらいでした。心配された交通事情には全く問題がないようで一安心です。この日も早めに夕食(もちろん松阪牛!)をとって、日付が変わる遙か前に就寝。明日こそは晴れることを祈って。

 後編(土曜日/日曜日編)に続く