PENTAX DA★60-250mmF4ED [IF] SDM

投稿者: | 2009年10月15日

 えーっと、先日のF1日本GPでの撮影用にと思ってDA60-250mmF4ED [IF] SDMを買いました。なんと、PENTAXデジタル一眼レフユーザーあこがれの(スター)レンズです。もうこの期に及んで言い訳はしません。どうしても欲しくなってしまったのです。

 本当はF1用にはSIGMA 18-250mmF3.5-6.3DC OS HSMを使う予定だったのです。だって250mmまであるしHSM駆動だしOS(光学手ぶれ補正)搭載だし。これで何も問題ないはず。でも… 久しぶりの鈴鹿でのF1観戦、そのために買ったせっかくのK-7…。どんどん盛り上がる気持ちに対してこのお手軽超高倍率ズームレンズというのはいかがなものか?という(非常に感情的、情緒的な)疑念が持ち上がりました。画質?明るさ?AF精度? もちろん後付の理由はたくさんありますが、一番重要なのは”雰囲気”です。

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燦然とゴールドに輝くDAの証

○スペック&使い勝手
 まずはスペックから。レンズ名から分かるとおり、焦点距離は60-250mm、明るさはF4通しという他社にはないレンジの望遠ズームです。これを中途半端と見るか、絶妙と見るかは使い手次第。EDガラスを2枚使った(今時それほど珍しくありませんが)13群15枚の光学系。ズームによって全長は変わりますが、ピント合わせはIFです。そのため近接撮影時には実質の焦点距離はかなり短くなるようです。ちなみに最短撮影距離は1.1mと意外に近寄れますが、カタログ上の最大撮影倍率は0.15しかありません。マクロ性能を期待するレンズではありません。絞り羽根は9枚です。

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K-7に取り付けるとこんな感じです

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望遠端の250mmにズームするとこのくらい伸びます。ただしピント合わせはIFです。

 ピント合わせはSDM駆動(超音波モーター:恐らく本物のリング型)で、フルタイムMFが使用可能。IFだけあって回転角も小さく、ピント合わせはかなり高速かつ完全無音です。一方、K-7との組み合わせでは関係ないのですが、SDM駆動に対応していない古いボディに取り付けた場合は、自動的にカプラー経由のボディモーター駆動に切り変わるという芸の細かさです。

 前玉のフィルター径は67mmと意外に大きくありません(SIGMAの18-250mmは72mmありました)。とは言っても、重量は1060gとそれなりの重さがあります。取り外し可能な三脚座が付いていますが、リングごと外れるのではなく、L字型の台座部分だけが外れるという仕様。外しても恐らく100g程度しか変わらないのではないかと思われます。そしてPENTAXレンズの伝統ですが、立派なフードが付いてきます。望遠レンズらしからぬ花型ですし、深さはかなりあります。PLフィルター用の窓も付いており、収納時はもちろん逆さ付けできます。

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収納時はフードを逆さ付けしてこんな感じに。ソフトケースが付属しています。

 そしてDAレンズとしての重要な特徴が、防塵防滴構造であること。同じく防塵防滴なK-7ボディと組み合わせると、その機動力を発揮します。メーカーのコメントに寄れば、土砂降りの雨の中でも特にカバーを掛けることなく使用可能なレベルだそうです。通常アマチュアな我々が雨の日に写真を撮りに出かけることは滅多にありませんが、F1観戦に限ってはあると便利な機能(性能?)です。実際今回のF1観戦でも、金曜日はかなり雨が降りました。そんな中でも特にカバーを被せることもしなかったので、レンズもボディも結構濡れてしまいましたが、その後動作には全く問題ありませんでした。

 さて、使用してみた感じですが、さすがに重たいです(A^^; 軟弱なアマチュアカメラマンとしては、長時間使用しているとレンズを支えている左手が痛くなってきます。ブレはK-7の手ぶれ補正が効いているのか、重さが逆に安定性に寄与しているのか、思ったほどブレません。私レベルでは200mm以上で1/100secくらいまでは手持ちでいけそうです。が、やはり三脚座も付いていることですし、一脚併用が一番現実的なところでしょう。いずれにしろ、ファインダー像の安定という点で、望遠レンズは光学手ぶれ補正が欲しいところです。

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取り外し可能な三脚座付き。ただし根本から。固定はネジ式です。

 AFは感動的なほどに早くて静か且つスムーズです。K-7ではほとんど迷いもありません。F4とはいえ、やはりF5.6クラスの望遠ズームと比べるとファインダー像もクリアに見えます。ピントリングは幅広ですが、AF任せの場合は下手に触ると、かえってピントがずれてしまうので注意。ズームリングはやや手前過ぎるようです。特に三脚座を使っていると、ズーム時に手に引っかかります。ピントリングの代わりに、ズームリングをもう少し太くして欲しいところです。

 画質についてはもう私レベルの目からすれば全く文句ありません。何よりファインダーが明るいのがまずは助かります。そして明るいだけに実用上では絞りの選択肢が広がります。そして撮れた写真を子細に見てみても、解像度は文句なく、歪曲補正も倍率色収差補正も全く不要なレベルです。望遠端での周辺光量落ちも気になりません。

○K-7とDA★60-250mmで撮りF1
 ということで、このレンズを持って鈴鹿に行ってきました。初日は曇りで、薄暗いピット内の撮影。二日目は雨。土日は一転して快晴でした。一応5,000クラスの安い自由雲台付き一脚を持っていきました。以下に貼った作例写真は、(後編)に貼ったのと同じ写真も含まれています。

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170mm, 1/50sec, F4.5, ISO200, AWB ルノーのピット作業。かなり低速シャッターですが、一脚+ボディ内手ぶれ補正の効果でそれほどブレていません。

 サーキットでF1マシンを撮ると言えば、いろいろなアプローチがあるのですが、まず真っ先に思い浮かぶのは流し撮りです。C2席は上下左右に広いのですが、私の席はほぼその真ん中でした。ここからは2コーナーを立ち上がってS字に進入していくマシンが目の前を右から左に駆け抜けていきます。そして日中はほぼ順光で、フェンスも低くて気になりません。ということで、流し撮りするにはうってつけです。

 レンズは本当は300mm、できれば400mmまでの望遠ズームが欲しいところかもしれません。400mmとなると使用場面はかなり限られますが、300mmなら単焦点で一本勝負もありだったかも。今回、コース上のF1マシンを撮る場合は、ほとんど250mm望遠端固定で使用しました。それでも周辺はトリミングして位置とサイズを調整することを前提にすれば問題はありません。

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250mm, 1/80sec, F8.0, ISO200, AWB ブラウンGP/ジェンソン・バトン。雨の中、1/80secではこれが精一杯です。

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250mm, 1/100sec, F11, ISO100, AWB レッドブル/セバスチャン・ベッテル。ドライではマシンの速度も上がるので、シャッタースピードを少し上げました。これが今回の全撮影カット中のベストショット。

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250mm, 1/80sec, F11, ISO100, AWB フェラーリ/キミ・ライコネン いや、こっちのほうがベストショットかも。ドライの中でもシャッタースピードを1/80secまで落とせました。

 露出モードはもちろんシャッター優先に。シャッタースピードは無謀にも1/80前後に設定しました。C2席からなら1/250でもタイヤも回るし背景も流れますが、やはり遅めに設定すればするほど躍動感が出ます。この辺は歩留まりとの兼ね合いかと思います。感度設定は快晴となった土日はISO100に。雨が降った金曜日はISO200に。ピットウォークではISO200~400で撮りました。シャッタースピードを低めに設定するので、今回の土日のような快晴だとISO100でもかなり絞り込む必要があります。

 あとは、アスファルトの影響を受けやすい場合はややマイナス補正でという鉄則もありますが、今回はほとんどRAW撮りしたので、あまり積極的に補正はかけていません。ちなみに、K-7のISO100は基本感度と言うよりは減感モード的な意味合いがあるのではないかと思われます。ISO100だと白側の階調が出にくいようです。なので、ちゃんとマイナス補正しておくか、絞り込まれるのを覚悟で本当はISO200を使った方が良いのかも。ブラウンGPとか真っ白なマシンには特に飛びやすいので。

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250mm, 1/60sec, F20, ISO100, -0.7EV, AWB 1コーナーに飛び込むウィリアムズ/中嶋一貴。遠いほうがカメラを振る速度が遅くなるので追いかけやすくなります。

 AFモードはコンティニュアスモード、AFフレームは中央または下一点固定にしました。一度、オートにしてみたのですが、かなりピントを迷ってしまい使い物になりそうにありません。ドライブモードはLo(3コマ/秒)でも十分だと思うのですが、数打ちゃ当たる戦法をとる時はHi(5.2コマ/秒)に。K-7なら10枚以上の連写はバッファで十分吸収できます。本当はシングルモード派なのですが、今回ばかりは連写モードを使いました。

 で、結果は… まぁご覧のような有様です。やはりF1の撮影は難しいです。何よりもスピードが尋常じゃなく速いですし、しかも2コーナー立ち上がりはS字に向けて猛烈な勢いで加速していくので、フレーム内にマシンを追いかけるだけで精一杯です。正確にブレないように捕らえ続けることは至難の業であることを再認識しました。

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170mm, 1/20sec, F14, ISO100, AWB マーシャルの皆さんを乗せたバス。一定速度でゆっくり走る車だと1/20secという極端な低速シャッターでもそれなりに捕らえられます。

 ということで、仕上がりとして「完璧じゃないけど良くやった!」と思えるのは200枚に1枚くらい。「まぁまぁかな?」と思えるのが50枚に1枚。それ以外はどうしようもなくブレていたり、ピントを外していたり、フレームを外していたり。そんなのばかりです。でも、そんなに失敗ばかりでも、自分で撮った!という満足感はあります。そして、次はもっとこうすれば、ああすれば… と妄想は止まりません。素人の趣味ですからね、その辺の反省がまた楽しいものです(A^^;

 以下は失敗作の例。16GBのSDHCカード2.5枚(RAW+モードで撮影したため合計約2,500カット)のほとんどをこの手のカットで締めていました(A^^;;; クリックしても大きくなりません。

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ブレすぎてかえって味わいがあるかも。露光間ズームみたい。どこにも芯がないけど。

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せっかくそこそこ止まってるのに鼻先がフレームアウト。残念。

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ブレ+フレーム外しの合わせ技。ついでにマシンもコースから外れています。

 願わくは、これ以上道具(=レンズ、カメラ本体)のほうに妄想のポイントが向かないことを願うところです(A^^;

PENTAX DA★60-250mmF4ED [IF] SDM」への2件のフィードバック

  1. 黄金な人

    流し撮り、置きピンしませんか?
    私はAFだと逆に不安ですが…。

    あと被写体とのディスタンスがないと、F1位のスピードだと本当にカメラ振れませんよね。
    メインストレート、ピットウォールサイドからだと200mmでは全く振り切れませんでした…(^^;

    プレスバス、こんなの持ってるの知りませんでした…。
    LVって車種と仕様から、地元の路線バスのお古なのは間違いなさそうですが。

  2. Hi

    ○黄金な人さん、
    状況にもよりますが、今回のようにわりと左右に広い範囲で振れる時は置きピンはしませんねぇ。どこで捕らえられるか分かりませんので、ピントの固定のしようがありません。なので、MFするよりはAFのほうが断然信用できますし。真正面に向かってくるような場所で、シャッター切るタイミングを決めうちするなら、下手にAFに追わせるよりは置きピンの方が良いですけど。

    少なくともF1クラスになると、ピットウォールから望遠レンズで追うのはムリだと思います(A^^; おっしゃるとおりあまりにも近すぎます。流し撮り以前に、そもそもそんな速度で体を瞬時に動かす運動能力がないかも。そんな幸運なポジションにいられたら、むしろワイドレンズで流したいですね。それでも無理かもしれません。

    このバスはコースマーシャルやプレスの人々を運ぶために、レース前後にはひっきりなしに周回していました。他にもマイクロバスとか、軽トラとか一杯関係車両が走ってました。

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