酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

現存12天守の中でも特に古くて大きくて美しい松本城を見に行く

 2019年は日本100名城巡りを始めてから4年目に突入します。昨年は12月になって長崎と佐賀で一気に5城を巡ったこともあって、年末休暇を迎える時点で31城のスタンプが集まりました。年10個をやや上回るペースを維持できているので、進み具合としてはもう十分目標は達成しているのですが、休みに入ってすぐの寒波がやってきそうなある日、ふともう一押ししてみる気になりました。

 2018年ダメ押しの最後の城攻め目的地は、近くまでは何度も行ったことがあるのに、なぜかじっくりと見物したことがない松本城です。松本城は現存天守12城の一つであり、その中でも姫路城に次ぐ規模を持つ5層6階建ての巨大な天守が特徴です。しかも現在の天守が建築されたのは1590〜1600年ごろとされており、丸岡城と犬山城に続く3番目の古さを誇ります。

IMGP1970.jpg
 もちろんこの松本城天守閣は国宝に指定されており、広い内堀に直接面したその優美な姿は「The 城」的な美しさを持ち、私たちのイメージの中にある天守閣の典型的な姿であると言えます。

 そもそも私が持っている日本100名城の公式ガイド兼スタンプ帳の表紙は松本城が使われていることに今さらながら気がつきました。

IMGP2144.jpg
 うん、代表的な城のイメージ写真と言えば、姫路城か松本城かどちらかを使いたくなる気持ちは良く分かります。

日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき

日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき

 なお日本城郭協会が認めた公式スタンプ帳は何種類かありますが、この学研プラス発行のスタンプ帳はA5版で持ち運びに便利です。

堀越しに眺める典型的な松本城の姿

IMGP1958.jpg
 と言うことでやってきました松本城。松本市の市街地ど真ん中にあります。現在は内堀と外堀の一部、二の丸跡、本丸跡、天守といくつかの遺構が残るだけで、エリア的にはかなりコンパクトな城跡なので、簡単にぐるっと一周できます。

 また典型的というか、絵に描いたような平城であり高低差も天守に登る階段以外まったくありません。

IMGP2108-Pano.jpg
 さて、内部を見学する前に、まずはこの堀越しの姿を見ておきましょう。事前の天気予報では曇り空の予定だったのですが、良い方に外れて綺麗に晴れてくれました。冬ですから雪の姿も良かったのですが、やはり青空に映える城は美しいです。

 戦国時代末期に建てられた城ですから、まだ実戦のことも考えて設計されていたはずだとは思うのですが、それにしてもこの天守と小天守、櫓が連なる姿は美しいです。さらに堀に面したこの配置は、庭というか景観重視で建てられたのではないかと思ってしまいます。

f:id:hisway306:20181227112829j:plainf:id:hisway306:20181227112827j:plainf:id:hisway306:20181227112823j:plainf:id:hisway306:20181227112820j:plainf:id:hisway306:20181227112817j:plain

 ちなみに上の写真は24mmでカメラを縦に構えて↑こんな感じに5枚撮影し、それをLightroom Classic CCでパノラマ合成してから16:9に切り出しました。最近マイブームになっているパノラマ写真の撮り方です。

IMGP1976.jpg
 さて、松本城の景観にアクセントを与えているのが、堀にかかる赤い橋、埋橋です。鍵型にクランクした木造の橋ですが、渡れないようになっていました。

IMGP2092.jpg
 埋橋と松本城天守を撮ってみましたが... 午前中は思い切り逆光です。この姿を眺めて写真に撮るには午後の方が良さそうです。あとで出てきますが、松本城の100名城スタンプはこの景色を描いたものになっています。

黒門から本丸へ

IMGP1985.jpg
 外観を一通り眺めたところで、中に入ってみましょう。天守の裏手側にある黒門が入り口となっています。入り口の通路両脇には多くの家紋入りの照明が並んでいますが、これらは松本城の歴代城主を示しています。その数実に6家23人。戦国時代から江戸時代に渡って、ずっと一つの家が支配し続けた土地と城も多い中で、これだけ入れ替わったのも珍しいことではないかと思います。

 現在の天守を建てた初代の主は、徳川家康の右腕として側近を務めながら、後に豊臣家に出奔した石川数正です。その後小笠原、戸田、松平、堀田、水野、そして再び戸田となり明治維新と廃城を迎えます。

IMGP1986.jpg
 見学入り口にある黒門(一の門)です。立派な櫓門ですがこれは現存建築物ではなく復元されたもの。元の姿がどんなだったかは伝わっていないので、想像で建てられたものだそうです。

IMGP2034.jpg
 黒門を入ると本丸御殿に通じています。が、高知城を除く他の現存12天守同様に、松本城にもすでに本丸御殿は影も形も残っていません。現在はこうして広々とした芝の広場になっているだけです。かなりの敷地がありますが、どんな建物が建っていたのでしょうか?

IMGP2033.jpg
 天守入り口近くまでやってきたら、こんなコスプレをした人がいました。たまたま居合わせたレイヤーさん... ではなく松本城の見学客をおもてなしする係の人達のようです。記念写真に花を添えるためですかね。写真撮らせてください、ってお願いしたら慣れた感じでポーズを取ってくれました。

IMGP2037.jpg
 記念写真ポイントと言えば、こんなのもありました。松本市のマスコットキャラクター、アルプちゃんだそうです。

天守内部が格好イイ

IMGP2000.jpg
 天守の中はすごいです。400年の時間の経過を感じる渋さ。外見を眺めるよりも本物感が否応なく伝わってきます。もちろん何度も修復はされてきているはずですが、現存天守ならではの趣がありますね。

IMGP2001.jpg
 しかもこれだけの規模の建物ですから、1層目はかなり広いです。

 廃城を迎えた頃の松本城天守はかなり荒廃しており、倒壊の危険もあったそうです。その後地盤の問題などで石垣毎傾いてしまったり色々あったそうですが、それでも主たる構造物は400年前の築城当時のまま、風雪に耐えてきました。各地の現存天守をみていると、当時の建築技術の高さを実感します。

IMGP2008.jpg
 もちろん上の方に行くに従ってだんだん狭くなっていきます。階段は... オリジナルなのかな?それとも見学用に作り直したものなのかも?いすれにしても非常に急な階段でした。

 ちなみに季節と時間帯もあるかもしれませんが、内部はガラガラでした。姫路城の尋常じゃない混雑が忘れられませんが、このくらいだったらアリなのではないかと思います。

IMGP2012.jpg
 そしてここが最上階です。ただし松本城はいわゆる回廊がなくて、最上階からの眺めと言っても開放感はそれほどありません。周囲の景色は小さな窓から覗いてみるだけです。

IMGP2013.jpg
 埋橋のある方向はこんな感じです。西の方角なので北アルプスがよく見えるはずなのですが、スッキリ晴れ渡った上空とは裏腹に山は雲に覆われていました。冬型が強まってる日だったので、山沿いでは大雪が降っていたのかも知れません。

IMGP2017.jpg
 これは北側。真下に見える屋根は乾小天守と渡櫓です。

IMGP2015.jpg
 この天守最上階にはこんなものが飾ってありました。レプリカだとは思うのですが、国宝指定書なるものがあるんですね。天守と乾小天守、そして3つの櫓が指定されています。全てはこの天守と繋がっている一体の建物を指しています。これは誰もが納得の国宝だと思います。

IMGP2016.jpg
 そしてもう一つ興味深い資料が何気なく飾ってありました。明治初期の廃城令により全国各地で多くの城が取り壊されていく中、なぜこの松本城は生き残ることが出来たのか? その経緯がざっくりと書かれています。

 なるほど、やはり地元の人が強い意思を持って保存活動をしたわけですね。他の多くの城は保存運動が起こることもないか、あるいは保存運動の甲斐なく破却されてしまったのでしょう。買い戻す資金を集めることが出来た松本城は本当に運が良かったのだと思います。

 それにしても天皇に返上するという名目で全ての城地を召し上げ、それを単なる土地として民間に売却して行政資金にを得るという明治政府の政策は、多くの城が失われる結果となった愚策であったと思います。

 今でこそ城跡は重要な文化遺産であり遺跡であり、それが故に観光資源でもあるわけですが、松本城のように明治維新の時点ですでに城は貴重な文化遺産であると認識されていたまま、背に腹は代えられず取り壊されていった城も多くあったはずですから。

IMGP2025.jpg
 さて閑話休題。天守を下りてきて最後にやってきたのは月見櫓です。ここは京都を訪れた帰り道に松本に立ち寄る3代将軍徳川家光を接待するために、増築された櫓だそうです。天守や他の櫓はとても無骨な建物ですが、ここだけは回廊が周囲を取り囲んでおり、何となく優雅な雰囲気が漂っています。なるほど、ここで宴会でもやってみたいですね。

 しかし残念ながら肝心の家光は結局松本城には来なかったのだとか。当時の城主松平直政の落胆ぶりが偲ばれますね。ここでやけ酒でも飲んだのではないでしょうか。いや面倒な重責がなくなってホッとしたのかも(A^^;

スタンプゲット!

IMGP1989.jpg
 さて、国宝の天守と櫓軍をじっくり堪能した後は、肝心のスタンプを押していかなくてはなりません。スタンプは本丸広場の隅にある売店横に置いてありました。

IMGP1991.jpg
 29番松本城スタンプを無事に押せました。スタンプのデザインは先ほど午前中に逆行の中撮った、埋橋越しに眺める天守の姿です。

IMGP1992.jpg
 そしてもう一つ、手に入れなくてはいけないものがありました。これです、現存12天守限定で売られている城カードです。高知城に続き2枚目をゲット!

IMGP1967.jpg
 ということで、最後に名残惜しくてもう一度この姿を見るために内堀の反対側にやってきました。堀の水は凪いでいて、時折水鳥が波を立てるだけなので逆さに天守が映る水鏡もとっても綺麗です。

 現存天守のなかでもここは姫路城に負けず劣らず見応えがあるお城だと再確認しました。


帰りにより道

 さて、松本からの帰り道に甲府で中央道を下りて少しだけ寄り道することにしました。

IMGP2124.jpg
 まず最初にやってきたのはここ。高石垣がとても格好良い甲府城跡です。

IMGP2127.jpg
 もちろんスタンプがお目当てです。

IMGP2129.jpg
 そして甲府城から車でほんの10分ほど山を登ったところにあるのは武田神社。名前の通り武田信玄公が祀られている神社です。が、ここは神社が建つ前、遙か昔の戦国時代に武田信玄公の居館がありました。信玄は城を造らない武将だったそうで、ここも城跡ではなく館跡とされています。

IMGP2141.jpg IMGP2136.jpg
 それでも防御をまったく考えていなかったわけではなくて、堀とか土塁とか石垣とか残っていたりします。なのでここも立派な城跡として100名城に登録されています。

IMGP2137.jpg
 ということで、スタンプをもう一つゲット!

 ちなみにこの甲府城と武田氏館はまだ100名城スタンプを集め始める前、およそ3年前にガイドさん付きでじっくり見て回りました。むしろこの体験が100名城スタンプを始めたきっかけと言っても良いかもしれません。

 まだその時の記憶がハッキリと生々しく残っているので、見物はそこそこにしてスタンプだけ押してきた... という次第です。

 これで2018年中に集めたスタンプはなんと14個、これまでの合計も34個となりました。この調子で2019年も行きたいと思います。とりあえず、本来東京から行きやすいはずの東日本が手薄なので、何とかしたいところです。