酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

長崎&佐賀で100名城スタンプを集めつつ美味しいものを食べる旅:1日目(平戸城〜名護屋城〜唐津)

 年末へのカウントダウンが始まる12月中旬、またもや思いつきで旅に出ることにしました。先月は高知に行きましたが、今月はさらに遠く... と言うわけではないのですが、何となく九州まで行ってみたいと言うことで、長崎行きの航空券を取りました。じつは生まれてこのかた四十有余年、なぜか九州に上陸したことがなく、今回が九州初体験となります。

 と言うことで、まずは羽田から長崎空港に飛ぶことだけを先に決めて、そこから旅程を組み立てていきます。長崎と言えば見所も行きたいところもいくらでも思いつきますが、今回は100名城スタンプを重点的に集めることにしました。目指す城は長崎県とお隣の佐賀県にある計5城です。

 一泊二日で5城を回るとなると、移動が中心となるまさに「スタンプラリー」となりますが、たまにはそういう旅も楽しそうです。そして移動が多い旅は意外にお腹も空くと言うことで、ベタながらも長崎と佐賀の代表的な名物もしっかり味わってくることにしました。

IMGP1741.jpg
 短い旅でしたが、見たものも食べたものも盛りだくさんなので、旅レポは2回に分けることにしました。まずは前編と言うことで一日目の行程を振り返りたいと思います。

羽田から長崎へ

 出発は12月15日の土曜日。東京は朝から良い天気でした。

IMGP1633.jpg
 早朝の羽田空港第一ターミナルからは朝日に照らされた飛行機と、遠くには富士山が綺麗に見えました。空からの眺めも良さそうです。

IMG_1656.jpg
 期待通り上空からの眺めも最高でした。雪を被った眼下の険しい山並みは南アルプス、右奥に見えるのは八ヶ岳、左奥の盆地のあたりに諏訪湖がうっすらと見えます。間の谷筋のような部分に中央道や中央線が通っているはず。

IMG_1661.jpg
 ということで、予定通り長崎に到着したらすぐに予約してあったレンタカーを受け取ります。本当はもっと小さな車のはずだったのですが、なぜか三菱アウトランダーが用意されていました。最新のPHEV車です。事前に机上で立てたスケジュールはかなりタイトですから、早速出発しましょう。

 ということで、最初にこの日の行程を紹介しておきます。以下のような感じです。


 大村湾に浮かぶ長崎空港(A)から佐世保を通り抜け、一路長崎県北部の平戸市へ。ここで平戸城(B)を見て昼食(C)を食べます。その後進路を東へ取って佐賀県に入り、イカで有名な呼子のすぐそばにある名護屋城(D)へ。その後唐津へと向かい宿泊(E)します。移動距離は道のりでおよそ190kmほどになります。

平戸城から絶景を眺める

 予定通り平戸に到着しました。平戸城は平戸への入り口、平戸大橋を渡ってすぐ平戸港を見下ろす高台にあります。

IMGP1695-Edit.jpg
 その平戸港からの眺めです。海に突き出した岬の山の上に天守といくつかの櫓の姿が見えています。早速行ってみましょう。

IMGP1650.jpg
 地蔵坂櫓とそれに続く塀。石垣も良い感じに苔むしていますが、この平戸城自体の歴史は比較的浅く(1707年築城)、しかも現在あるこれらの建物はほぼ復元されたものです。

 この一帯は松浦氏が800年にわたってずっと支配し、その間にいくつもの城が作られては破却されてきました。そんな松浦氏の長い歴史の中で最後の城として、江戸時代中期に作られたのがこの平戸城であり、明治になって自らの手で解体されてしまいました。

IMGP1652.jpg
 平戸城見学の入り口は北虎口門となっています。この門とその横(写真右奥)にある狸櫓の二つの建物だけは、取り壊しを免れ築城当初から残る現存建物です。

 と言っても、門の下部は確かに古そうですが、その上に乗る櫓部分は少なくとも窓がサッシに取り替えられているようですね。かなり修復された感じもあって、どこまでオリジナルの姿を保っているのかよく分かりません。

IMGP1654.jpg
 狸櫓は中が公開されています。数枚のパネルがあるだけで特に展示物もなく休憩所のような雰囲気。天井の梁などを見れば確かにその古さが感じられます。しかしながら狸櫓という名称の由来になった床板はコンクリートで固められていました。

IMGP1655.jpg
 さて、山の頂上にあるのはもちろん天守。良いお天気で青空によく映えています。

 この天守は昭和37年に再建されたものですが、いわゆる「模擬天守」であり外観復興ですらありません。実際のところオリジナルの平戸城には天守はなかったそうですから。江戸中期に行政機関として建てられたのであれば、さもありなん。戦はしないし見栄を張る余裕もなかったのでしょう。

IMGP1662.jpg
 そんな模擬天守の内部は資料館となっておりいろいろな展示物がありました。平戸に近い古い有田焼のお皿とか。VOCマークがあるお皿は東インド会社を通じて、ヨーロッパに輸出されていたものでしょうか。展示物はなかなか興味深いものが並んでいて面白かったです。

IMGP1672.jpg
 さて、ある意味平戸城の模擬天守最大の見所は、最上階から眺める海の景色かもしれません。この↑写真は平戸港を見下ろしたところ。最初に貼った平戸城を見上げていた写真は、この湾の反対側から撮ったものです。したから見上げるより、上から見下ろす方がやっぱり良いですね(^^;

IMGP1670.jpg
 平戸港の入り口を守るように浮かぶ緑に覆われた島は黒子島、その奥に灯台がある島は広瀬島。黒子島には鳥居とお社が見えますが、島全体が原生林となっており天然記念物に指定されているそうです。なんかちょっと渡ってみたい気がします。

IMGP1673-Pano.jpg
 あまりに景色が良いのでパノラマ写真を撮ってみました。と言ってもiPhoneを使ったわけではなく、PENTAX K-1改+24-70mmF2.8で水平にカメラを振りながら4枚撮影し、あとからLightroom Classicで合成したものです。左端が平戸港、真ん中あたりに見切れているのが平戸城の見奏櫓、右端には平戸大橋が見えています。

IMGP1659.jpg
 ということで、史跡としての雰囲気は今ひとつでしたが、素晴らしい眺めが見られて満足です。今回の旅最初の100名城スタンプを無事に押すことができました。

 平戸は最近世界遺産になったばかりの潜伏キリシタン関係の史跡などなど、ほかにも山ほど見所があって、観光するには丸一日あっても足りないくらいの奥深い場所ですが、それらを巡るのはまた別の機会にしたいと思います。

「もりとう食堂」で平戸ちゃんぽんを食べる

 平戸城を後にしたところで時刻はちょうどお昼になりました。平戸港まで下りて昼食を食べていきましょう。

IMGP1694.jpg
 目指したのは「もりとう食堂」です。平戸港周辺ではかなりの有名人気店らしいのでお昼時は混んでるかも?と思ったのですが、店の前まで行ってみたらこの通り。外観だけでなく、店内も良い感じに昭和の雰囲気を残しています。そして店員さんがまたフレンドリーで自然体で親切!

IMGP1690.jpg
 代表メニューである平戸ちゃんぽん始め、牛肉うどん、あごちゃんぽん、おらんだチャンポン、皿うどん、さらには焼肉定食やカツ丼、カレーなどなど一通りのメニューが揃っていたのですが、ここは初心者としてはやはり基本中の基本からと言うことで、平戸ちゃんぽんにしてみました。しかもお腹が空いていたので大盛! すごい量!

 東京にもちゃんぽんを出すお店はいくつもありますが、正直これまで食べたことのあるちゃんぽんはあまり美味しいと思ったことがありませんでした。しかし! このお店で食べた平戸ちゃんぽんは、そんな個人的イメージと好き嫌いを覆す美味しさ。何しろ麺が美味いです。そして具もスープもどちらかと言うと薄味なのに飽きが来ない絶妙さが気に入りました。これでたったの900円ですから、これは人気が出るのも頷けます。

 上の写真には背景にボケて写っていますが、いなり寿司もサイドメニュー的に頼んでしまいました。やはり西日本ということで三角型。油揚げは関東でもちょっと見ないくらいコッテリと味付けがされていて独特の味わいでした。

兵どもが夢の跡... 名護屋城

 お腹も膨らんだところで、平戸を後にして次に向かったのは佐賀県の北部。焼き物で有名な伊万里をショートカットし玄界灘に面した呼子の少し手前にある名護屋城跡です。愛知県名古屋市にある「名古屋城」と同じ発音で「なごやじょう」なのですが、立地はもちろんその歴史はまったく異なります。100名城に限らず、日本全国に残る城跡の中でもかなりユニークな存在と言えるでしょう。

IMGP1702.jpg
 と言うのも、この城は豊臣秀吉による朝鮮出兵(文禄・慶長の役)に際し、全国各地から集められた大名と兵士達が、海を渡るための基地として造られたものです。建設に際しては黒田官兵衛・長政親子が中心になったことは有名ですが、実際の工事には全国の大名が関わりました。それら招集された大名達は名護屋城の周辺にそれぞれ陣屋を構え、その数はざっと130以上、集められた兵士の数は15万に上ると言われています。いきなりこの地に兵士ばかりの大都会が生まれたことになります。

IMGP1705.jpg
 名護屋城建設と朝鮮出兵に狩り出された大名達のリストがありましたが、壮大なリストで写真に撮っても細かくて拡大しないとよく見えないほどです。ここからは当時の豊臣秀吉の強大な権力と、それに群がる各大名達の力関係などもうかがい知れて、とても面白いリストです。しばしじっくり見入ってしまいました。

IMGP1732.jpg
 しかしそんな全国の大名達が寄ってたかって建設した巨大な名護屋城自体は、秀吉の死とともに役目を失い、徳川の世になる頃には事実上廃城されてしまいました。そこから「城跡」として長い年月が経過しているため、今はこうして廃墟と化しています。石垣もあちこち崩れたままで、ゆっくりと土に還っていくかのようです。この風化度合いからはなぜか沖縄の城跡を思い起こさせる雰囲気があります。

IMGP1729.jpg
 櫓が建っていたと思わせるこうした石垣は、一部しっかりと原形をとどめていますし、巨石を積んだその構造からはかなりの技術とお金と人手をかけたことが分かりますが、こうして草や苔に覆われ、角は丸まった姿からは、まさに「兵どもが夢の跡」感がにじみ出ています。

IMGP1749.jpg
 しっかり原形をとどめている石垣に近寄って見ると、こんな感じの石積みがあります。かなり大きな石をきっちり切り出していますし、楔の跡もハッキリと残っていたりします。本当のマニアになると、この楔の大きさや形などで、この石が切り出された年代が分かってしまうそうです。これはどうなんでしょう?

IMGP1746.jpg
 馬場の跡。この幅広の長い直線の通路は騎馬の練習に使われたと言われています。両側の石垣は相当崩れ去っています。草は刈られて手入れされていますが、放っておいたら完全に緑に覆われてしまうのかもしれません。

IMGP1724.jpg
 この土に埋まった石の列は 古い石垣の跡だそうです。一度積まれた石垣を埋めてその外側にさらに石垣を積み直したようで、途中で計画が変更され、この部分が拡張されたことが分かります。いったい何があったのだろうか?と想像してしまいますね。

IMGP1735.jpg
 天守台は海側の見晴らしが一番良い場所にありました。その広さからはかなり大きな天守が立っていたと思われますが、姿を正確に伝える史料は残っていません。5層程度の天守が建っていたとして、その最上階からの眺めはどれほどだったのでしょう?

 でもここには天守を復元する必要はありません。ずっとこの廃墟のままでいて欲しいです。

IMGP1739-Pano.jpg
 その天守台から朝鮮半島方面の海を眺めるとこんな感じです。遠くには壱岐や対馬が見えています。条件が良いと、もしかして朝鮮半島も見えたのかも?

IMGP1699.jpg
 ということで、名護屋城のスタンプもゲットできました。

 この名古屋城跡は、築城にまつわる特殊な理由と経緯、歴史的な意味や役割の大きさが、そこかしこにあふれ出ている一方で、現在の廃墟感の半端なさとの対比が非常に印象深いです。崩れた石垣を積み直したり、復元したりすることなく、そのままにしてあるところがむしろ「分かってる!」と納得してしまう、素晴らしい遺跡だと思います。ここはずっとこのままの状態で維持保存して欲しいと思います。

ホテル&リゾーツ 佐賀唐津 で宴会

 平戸城と名護屋城の2城を制覇したところでこの日の目的は達しました。呼子から車を少し南に走らせ、唐津市の中心部にある宿泊先に向かいました。一泊限りの旅ですが、今宵の宿は「ホテル&リゾーツ 佐賀唐津」です。全国展開するチェーンホテルですが、ビジネスホテルではなく、結婚式なども挙げられるツーリスト向けのホテルです。

 夕食は唐津の街に繰り出す... のではなく、今回はこのホテル内にある和食レストランで豪勢なコース料理を頂くことにしました。「維新」と名付けられたコース料理は、佐賀県の名産品をこれでもか!と言うくらいに詰め込んであります。

IMGP1759.jpg
 まずは河豚の鉄引きです。透明すぎてピントが合いませんでした(^^; しかし歯ごたえもしっかりあって、それでいて味わいは上品さに溢れていてとても美味いです。

IMGP1771.jpg
 そしてこの茶碗蒸しも河豚がたっぷり入っていました。

IMGP1766.jpg
 一番楽しみにしていたイカです。もちろん呼子のイカ! ただし季節的にケンサキイカではなくアオリイカでした。今が旬ですからね。それにしてもこの透明感! いくら食べても全く飽きが来ません。

IMGP1776.jpg IMGP1774.jpg
 お刺身を味わったあと、ミミやゲソの部分は焼くかもしくは天ぷらにしてもらえます。2杯あったのでそれぞれ焼きと天ぷらに振り分けました。特に天ぷらが美味かったです!

IMGP1780.jpg
 そして佐賀と言えば佐賀牛は外せません。綺麗な刺しが入ったこのお肉、やけに薄いな... と思ったらやっぱりアレでした、しゃぶしゃぶ。

IMGP1782.jpg
 しかもダシは真っ白な豆乳ダシです。美味しかったのですが、やはりちょっと量が物足りません。佐賀牛は翌日にリベンジすることにしましょう。

IMGP1769.jpg IMGP1767.jpg
 佐賀と言えば日本酒もいろいろ揃っています。やはりここは鍋島でしょう。ピンクラベルの純米吟醸と普通の純米の2種類を飲み比べ。うん、私は純米のほうがまったりしていて好きかも。吟醸はやはりキリッとした刺激があります。合わせる料理を選びそうです。

 その他にもいろいろ佐賀の地酒が揃っていました。うっかり結構飲み過ぎてしまいました。

IMGP1755.jpg
 あ、佐賀の酒と言えばこれも欠かせないですよね。いわゆる「聖地巡礼」的なやつです。ですからもちろんドノーマルの黒文字ラベルのレギュラー品に限ります。こちらはホテル内の売店で買って、食事後に部屋飲みしてしまいました。いや〜美味い! 芋焼酎最高!

1日目終了

 ということで、お腹いっぱい、お酒もたっぷり飲んで良い気分になったところで、無事に1日目の行程は終了です。明日もハードなスケジュールが詰まっています。何しろこんどは3城巡らないといけないですから!

 ↓2日目につづく↓