Q-S1を買ったよ!というエントリーを先日書きましたが、そこで「マウントアダプターでDFAレンズを使ってみては?」という提案をコメント欄で頂きました。「そういえば持っていたよな〜」と、それまですっかり存在を忘れていた「Kマウントレンズ用アダプターQ」を発掘。これを買ったのは初代Qを使ってたとき。試しに当時の手持ちのDAレンズを一通り付けて遊んでみたところで、「実用性なし」と確認してそのままお蔵入りにしていました。結局Q7には一度も付けたことがないような気がします。
当時とはレンズ事情も変わりましたし、センサーも1/1.7インチ化されボディも変わりました。Qマウント機のディスコンを惜しむなら、このマウントアダプターも改めて使ってみなくてはならないだろうと思います。
さて、今回「Kマウントレンズ用アダプターQ」を介してQ-S1に取り付けるレンズは、K-1のために買い集めたフルサイズ対応のDFAシリーズのレンズです。
おさらい
まずは「Kマウントレンズ用アダプターQ」のおさらい。過去記事に書いたことがありますが、概要だけでも改めて説明します
これがその実物。ほとんど使ってなかったので新品のように綺麗です。特徴的なのは絞りを操作するリングが付いていること。DA/DFAレンズは絞りリングがないので、機械的にレバーを動かすためのリングです。
本当に単純にレバーを動かすだけのもので、電気的に絞り値を読み取る機能はなく、Exifにも記録されません。このため、露出計は実絞り測光となります。当然ながらライブビュー画像も実際に絞り込まれた状態になります。
なので今度発売になる電磁絞り機構搭載のHD DA 55-300mmF4.5-6.3ED PLM WR REは、このアダプターが使えない(最小絞り or 開放固定になる?)はずで、そういうレンズが今後増えていくことでしょう。
Kマウント側はこんな感じ。電子接点の類いは一切ありません。当然ですがAFも動作しません。
このアダプターの一番の特徴は機械式のシャッターを搭載していること。カメラから外し電源が通ってない状態では中途半端な位置で固定されていますが、通電するとシャッターは全開になります。絞りはレンズ側のものを使いますので、この羽根は純粋にシャッターのためだけのものです。
Qマウント側。こちらには電子接点があります。主にはシャッターを駆動するための信号、および電源と思われます。
以上のように、AFも動かないし焦点距離や絞り値などのレンズ情報はまったく伝わりません。Exifにはレンズ名として「ADAPTER Q FOR K MOUNT LENS」と記録されるのみ。焦点距離はカメラの電源ON時に手動で入力した値が使われます。
これがQ-S1のレンズ焦点距離の入力画面。マウントアダプター装着時(およびレンズが認識されないとき)には電源投入時に必ずこの画面からスタートします。単焦点レンズならその焦点距離を入力すればOK。0.1mm単位で設定可能です。
ズームレンズの場合はワイド端の値を入れておくのが良いようです。というのは、ここで入力した情報はExifへの記録だけでなく、主に手ぶれ補正に使われるらしく、ワイド端の値を入力しておけば、手ぶれ補正の効きが悪くなることはあっても、過剰補正になることはありません。この辺のノウハウは使い方次第ではありますが。
なお、初代QにDA Limitedレンズなどを付けて遊んでみたときのエントリーは↓これです。我ながら無茶をしたものです。
ということで、いよいよQ-S1に付けて使ってみましょう。
PENTAX Q-S1 + DFA15-30mm F2.8
まずはDFAのワイドズーム、DFA15-30mm F2.8を付けてみました。Q-S1のセンサーは1/1.7インチですので、35mmフルサイズに対する換算倍率は4.6となります。なので、この組みあわせのとき、画角は69〜138mm相当となります。中途半端な中望遠ズームですね。
K-1に付けてもかなり大柄なレンズですので、Q-S1とのバランスは相当に悪いです。というか「バランス」とかいう次元ではないですね。むしろ格好良いと思えてきました。
ただし、この組みあわせには大きな矛盾があります。と言うのは…
Qマウントには15-45mmF2.8というスペックのレンズが存在するのです。06 TELEPHOTO ZOOMとして。
ズーム倍率がDFA15-30mmより高い上に開放F値は同じ。もちろんAFがしっかり動作しますし、圧倒的に軽量で安価。マウントアダプターでわざわざDFA15-30mmをQ-S1/Q7に取り付けて使う意味はほとんどゼロです。
でも、ここは試してみることに意義があると言うことで、撮ってみることにしました。なおExifは上記の理由で全て15mmですが、実際はズームしています。
さすが最新のレンズだけあってエッジはクッキリしてるけどなんか違和感があります。何かが違う…。ボケはかなり辛い感じです。
もうちょっとハッキリしたものを撮ってみました。こうなると普通です。いや、良く写ってます。
ハードモノクロームでごまかしてみたり。
うーん、どうかな? ちなみにピント合わせは4倍拡大してフォーカスアシスト(ピーキング)をONして行います。ただ手持ちだと揺れて大変です。
噴水。これはどこにピント合わせて良いのか分からなくて苦労しました。元がこういう白黒のコントラストの高い絵なので、ピーキングをかけても何が何やら分かりません。
夕涼み中の猫さん。ピントさえピタッと合わせられれば、思ったより普通に見られる写真が撮れます。フルサイズ用のイメージサークルの、ほんの中心部を激しく拡大してるわけで、レンズにとっては非常に厳しい条件なはずですがさすが、このあたりは最新設計のレンズです。
ただ繰り返しますが、素直に06 TELEPHOTO ZOOMを使えばもっと簡単に撮れます(A^^;
PENTAX Q-S1 + DFA★70-200mm F2.8ED DC AW
Qマウントにおけるマウントアダプター遊びの醍醐味は「超望遠ごっこ」にあります。5倍近い換算倍率は実用性が乏しい反面、手軽に望遠鏡級の超狭画角が得られます。ということで、これをやってみなくてはなりません。
おかしなことになってきました。ていうか、これも格好良いですねこれ。ものすごい大砲に見えてきますが、この組みあわせだと35mmフルサイズ換算で322〜920mm相当の画角となります。ギリギリ大台に乗りませんでしたが、フルサイズはおろかAPS-Cでも普通ではない領域。ほとんど望遠鏡です。さすがにQマウント用純正レンズではラインナップされておらず、アダプターを使わないと実現できない領域です
これもワイド端の70mmで焦点距離を入力したので、Exifにもそう記録されています。この領域に入ってくるともはやQ-S1の手ぶれ補正なんて当てになりません。
雨上がりの夕方、ちょうど東京都心上空には薄明光線が。天使の階段と言った方が趣があるでしょうか。
こう見えてもほとんどワイド端だったと思います。この2枚がよく見るとザラザラしているのは、JPGファイルなのにLightroomで少し「かすみの除去」をかけたから。ビルのエッジなどはしっかりしています。
これはもう相当にズームした状態。多分ほとんどテレ端。天気が悪い日でどんよりしていますが、かえって空気の揺らぎは少なかったかも。展望台にいる人が分かる程度にちゃんと写ってしまうのがすごいです。さすがDFA★レンズ、発売まで1年かけただけのことはあります。
で、これです。先日の不忍池にはQ-S1とマウントアダプターも持って行って撮ってみました。これ、多分135mmくらいだったと思います。絞りは一目盛り絞り。600mm相当くらいなので、池のずっと奥の方、かなり遠くの花を撮りました。手持ちでピントを合わせるのがとにかく大変。でもこれこそ数打ちゃ当たる戦法でとにかく適当に枚数を稼いだ結果です。
図に乗ってさらにズームして、これでほとんどテレ端です。いや〜、ちょっと驚きですね。こんなにしっかり写るとは。光りがたっぷりあって、メリハリがしっかりした被写体にも助けられたでしょうか。
この組みあわせは三脚に乗っけて落ち着いて撮れば色々楽になるかと思います。せめて一脚は必須かも。ピーキングによるアシスト付きのMFも悪くないでしょう。ただ、粗い背面液晶だけがネックで、こうなるとEVFがあれば良いのに、と思ってしまいました。いや、Qマウント機はこの小ささじゃないと意味がないとは分かっていますけど。
PENTAX Q-S1 + DFA★7150-450mm F4.5-5.6ED DC AW
えーっと、ここまで来たら当然やらないとダメですよね?
DFA150-450mmにも付けてみました。フルサイズ換算でえーっと… 690〜2070mm相当! アホか!と言いたくなりますね。いったい何に使えというのか?
とは言えQにBIGMAの500mmを付けたこともあるので、写真は撮れるはず。そのときと同様に月でも撮ろうかと思ったのですが、天気と月齢がうまく合わず撮れていません。
ということで、何か撮れたらまたご報告します m(_ _)m
まとめ
Q-S1のセンサーは1/1.7インチ(4:3)で1240万画素。一方K-1のセンサーは35mmフルサイズ(3:2)で3640万画素。面積比は約21倍ほどあります。
その辺を図に描いてみたのがこれ。Q-S1の1/1.7インチセンサーの撮像面のサイズは公式には発表されてないですし、実際の記録画素数とスペック上の有効画素数が微妙に合わなかったりするので、「おおよそこんな感じ」と、適当に見て頂ければと思います。
フルサイズのDFAレンズ基準で考えた場合、Kマウントレンズ用アダプターQを介してQ-S1/Q7で使うと、これだけの大幅なトリミングをすることになります。さらに画素ピッチの差は約2.6倍。もしQ-S1/Q7のセンサーの画素ピッチでフルサイズセンサーを作ると約240Mピクセルとなります。そんなセンサーで撮影した中心部を切り抜いてるような状態ですから、どれだけ無茶してるかがよく分かります。
なのでまともな写真にならなくても不思議はないのですが、今回試してみた限りでは予想よりはるかに良く写ると感じました。さすが最新設計のレンズです。
でも使い勝手は相変わらず最低です。バランスはとにかく悪いし、低解像度な液晶しか持たないQシリーズでMFしようというのは、かなりの苦行となります。なので実用性に乏しいことに変わりはありません。でもこれだけしっかり写るなら、特にDFA★70-200mmを使った超望遠「ごっこ」は使いようによっては「遊び」の域を超えることも出来るかもしれません。
残念ながら私にはその用途が思いつきませんが(^^;
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毎回 楽しみに拝見しています。
やったらどうなるのだろう?みたいな、
こういう試み大好きです。
opa さん、
ありがとうございます。前回もそうだったのですが、一番無理筋の一本で撮った作例がないと意味ない、と思われてる片も多いかもしれないので、至急150-450mmでなんとか写真が撮れないか、画策中です。お楽しみに!
こんばんは。
楽しみにしていました(^^)
「PENTAX Q-S1 + DFA15-30mm F2.8」は意外とボケ感を楽しめないのですね・・・。
確かに06と被る焦点域ですが、DFAの良さがでるのでは?と思っていましたが、ちょっと残念です。
「PENTAX Q-S1 + DFA★7150-450mm F4.5-5.6ED DC AW」の作例も、改めて楽しみにしています(^^)
しかし、これだけの詳しい解説と作例は、なかなかお目にかかれないと思います。
とても良いエントリーでした!
一哉 (id:ichiya11) さん、
DFA15-30mmはもう一つというところでしたね。当然ながら万能ではないので使い方次第かとは思います。150-450mmについては本日アップした最新の記事をご覧ください。
面白いアイディアをありがとうございました。