PENTAX LXで一ヶ月前に撮った季節外れの紫陽花写真をデジタル化してみる

投稿者: | 2018年7月30日

 約一ヶ月半前にフィルムで撮った紫陽花の写真をようやく現像して見ました。いえ、正確に言うと現像済みで放置してあったフィルムをようやくデジタル化して仕上がりを確認してみました。今時好きでわざわざフィルムで撮っておきながら、そんなぞんざいな扱いをしていたのにはわけがあります。それは、このフィルムは丸々一本失敗写真に違いないと分かっていたから。

 と言うのも、約一ヶ月前に久々にフィルムを使ってみようと思い立って、買い置きしてあったPROVIA 100FをPENTAX LXに入れて、意気揚々と紫陽花を撮りに行ったまでは良いのですが… きっちり一本撮りきって帰ってきてLXから取り出してみたら、なぜかそのフィルムはPROVIAではなくて普通のネガフィルムだったのです。しかも感度はISO400。ポジではなくてネガだったこと自体もショックですが、感度も違うので露出も合ってない… ということで、まともに写ってないだろうと諦めて放置していたものです。

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 でもそうは言ってもせっかく撮った写真ですから、無かったことにするものもったいないと思い、台風が接近するとのことで引きこもりを決めていた週末、暇に任せてようやく仕上がりを確認し、デジタル化してみることにしました。

フィルムをデジタル化する方法

 さて、フィルムをデジタル化する方法をおさらいしておきましょう。色々な方法がありますが、私は以下の記事に書いた方法で自宅で完結させています。後処理の調整幅も大きく、フィルムスキャナーを使うよりも良い結果が得られる可能性が高いです。

 ただし、この記事にも書きましたがポジフィルムの場合はこれで問題ないのですが、ネガフィルムでは撮影後の画像に対して色を反転させる作業が必要となり、なかなか難しいところがあります。スキャン(撮影)の段階から光源を工夫するなど、色々とやり方はあるようですが、とりあえずLightroomでホワイトバランスとトーンカーブ調整のみで今回もやってみました。

PENTAX 一眼レフ K-1 Mark II ボディ 15996

PENTAX 一眼レフ K-1 Mark II ボディ 15996

 フィルムスキャンのために使ったカメラはK-1 Mark IIでレンズはDFA100mmF2.8 Macroです。ES-1は標準マクロ対応なので、長さ調節のために延長リングを間に挟んでいますが、詳細は上記記事をご覧ください。

撮影機材

 さて結果をお見せする前に撮影機材です。ここで言う撮影機材とは、上で紹介したフィルムを撮影した機材ではなく、その元となるフィルムで撮影した際の機材です。うむ、改めて断ると余計ややこしいですかね。

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 カメラはPENTAX LX。2年ほど前に激安で買ったもので、かなりくたびれていますが撮影する機能に問題はありません。レンズはほぼフィルム専用になってしまったZeiss T*
Distagon 2/35mm ZKです。この組みあわせ、超かっこいいですし、ヌメッと重たいピントリングの感触が溜まりません。K-1でももっと使わないともったいないですね。

 さらにPENTAX純正のFA 77mmF1.8 Limitedも使いました。絞りリング付きで古いカメラにも使える貴重なレンズです。最新のデジタルでとっても素晴らしいし、LXとの相性もなかなか良いです。


 そしてPROVIAだと思いこんで間違って使ってしまったフィルムはフジカラーのSUPERIA PREMIUM 400というごく普通のネガフィルムです。

 何に使うつもりだったのかもはや思い出せませんが、確かに買った記憶はあります。冷蔵庫に入れてあったPROVIA 100F 5本パックの箱混ざり込んでいたようで、そのままパトローネにでかでかと書かれた「400」という文字にも気付かず、LXに装填してしまいました…。

結果!

 だいぶ前置きが長くなりましたが、以下結果です。

 以下、特に説明することもないし言い訳も十分にし尽くしたので、なんとか見られそうな写真を10枚だけ貼っておきます。

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 こんな感じでした。

 ポジフィルムは、特にスキャンするとわりとコントラスト高めでキリッとした描写になることが多いので、フィルム風というとそんな感じに仕上げたくなりますが、ネガフィルムはむしろふんわりしてコントラスト低めな印象がありますし、今回は特に全体的に露出オーバーだったのでハイキー調になりました。もちろん、そうじゃない感じのものも何枚か混ざっていますが。

 とは言え、一部日陰で撮ったやつはかなりアンダーだったりして、もしかしたら露出計がずれているのか、単に私がミスったのか、もしくは特定のシャッター速度がずれているのか? その辺はよく分かりません。いずれにしろネガフィルムのラチチュードの広さに救われました。

 ちなみにこの紫陽花は川村記念美術館で撮ったもの。そのときデジタルで普通に撮った写真は上記エントリーにまとめてあります。デジタルではなぜかローキー気味というか、背景をシャドウに落としたカットばかりで、かなり雰囲気が違いますね(A^^;

フィルムとNik Collectionの相性

 しかし上に貼った写真を見て「かなり弄ってるでしょ」と気がついた方も多いかもしれません。そうです、単にデジタル化しただけではなく、かなり弄りました。とくにネガフィルムの反転処理がいい加減なので、そうとうスパイスを利かせないとなかなか厳しいものがありましたので。

 ということで、今回はLightroom CC ClassicとともにNik Collection のプラグインを多用しました。Nik Collectionと言えば老舗の画像処理ソフトでしたが、いつの間にかGoogleに買収されたと思ったら、今はDxOに移っています。Google時代は無償で公開されていましたがほぼ放置されていました。DxOになってから有料に戻ってしまいましたが、先日2018年板にアップデートし、最新版のLightroomやPhotoshopなどからプラグイン機能として呼び出すことが出来るようになっています。

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Analog Efex Pro
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Color Efex Pro

 ノイズリダクションの”Dfine”とかシャープネスをかける”Sharpener Pro”とか、いつものRAW現像でも便利な機能があるのですが、今回使ったのは”Analog Efex”と”Color Efex”の二つです。

 Analog Efexはクラッシックカメラ、フィルム、レンズの仕上がりや雰囲気を再現するフィルターセットで、Color Efexは色彩補正、レタッチ、クリエイティブ効果を実現する包括的なフィルターセットです。

 特にColor Efexは非常に多彩なフィルターが用意されており、それぞれ微調整が可能。さらに複数フィルターの重ね掛けも出来たりしてかなり奥が深いです。コントロールポイントを使って部分的に異なる補正をかけていくことも出来るので、かなり細かいことが出来ます。

 ということで、いくつかBefore Afterをお見せします。

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 上がLightroomでネガ反転処理を加えできるだけ色調やコントラストを整えたもの。ちょっとハイライトの階調がなくて全体にぼんやり。色味も何が被ってどっちに転んでいるのかよく分からない感じ。まぁ失敗写真の一枚と言えそうです。

 下はそれにAnalog Efexで「クラシックカメラ 5」というエフェクトをかけたものです。周辺光量がガッツリ落とし寒色系で統一され、なんとなくこういうのありそうな感じにまとまったのではないかと思います。

 もう一例見てみましょう。

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 これも上がLigghtroomのみ。このカットはなかなか綺麗にスキャンして色味も再現できたと思います。が、ちょっと何か足りない気がします。

 そこでColor Efexを使って「クラシカルソフトフォーカス」というフィルターをかけてみました。このフィルターはだいたいのものを良い感じにしてしまう魔法のフィルターではないかと思います。ハイライトが飛び気味になってフワッとするあたりは、フィルムというかクラシックカメラ調でもあり、フィルムっぽさを出すのに向いていると思います。

 フィルター書けまくってフィルム調に弄ってしまうなら、そもそもフィルムで撮る必要ないじゃん、という突っ込みは自分で自分に向かってしておきました(A^^;

懲りずにまたフィルムに挑戦したい

 ということで、季節外れの紫陽花写真でした。フィルムを入れ間違えるという大失態をしましたが、カラーネガの懐の深さに救われて、まぁまぁ結果オーライだったと思います、むしろポジできっちり撮れていたら詰まらない写真ばかりになって没にしていたかも。

 若干本末転倒気味なところもありますが、まぁフィルムで撮る作法から、スキャン作業自体も現像してフィルムっぽさを出すところまで含めて、好きでやってるだけですから、深いこと考えずにまたやってみたいと思います。

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 ちなみに青空と緑の芝生を普通に撮ったカットは、何もしなくてもこのくらい再現できます。なんか、いかにもネガフィルムからプリントしたっぽい感じだなーと、自分で感心していました。

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