焼肉効果もわずか3日ほどで消えてしまうくらい激しい夏バテに苦しんでいます。連日35度を超える気温には本当に参ってしまいますが、焼肉ばかり食べ続けるわけにも行かず、ここら辺で「こってり」よりも「さっぱり」方面を試してみようと言うことで、久々に美味しいお寿司を食べに行くことにしました。
いいお寿司屋さんを見つけるのは本当に難しいので、行きつけのお店を一軒でも知ってるととても安心です。ということで日暮れ時になってもまだ遙かに30℃を越える暑さの中、新小岩の「二代目 太郎」へ向かいました。「行きつけの寿司屋」みたいな格好良いことを書きましたが、実に13ヶ月ぶりです。その間、回転寿司以外にまともな寿司を食べていなかったなんて!
でも冬の間はなんとか我慢できても、夏のこの時期は絶体にお寿司屋さんは外せないのです。なぜかといえば「新子」が食べられるごくわずかな旬の季節だから。保存や流通が発達し、食べ物の「旬」なんて名目だけになりつつある便利な世の中ですが、そんな中でもこの「新子」は本当に夏のわずかな間にしか出てこない、江戸前寿司の真骨頂です。
一度その味を覚えてしまうと、新子を口にすることなく夏を越すことは出来ません!
いつものお任せコースで始まる
ということで、久々にやってきました「二代目 太郎」へ。相変わらず新装開店時から変わらぬ清潔な店内はエアコンが良い感じに効いていてホッとします。
まだ熱の残る身体をクールダウンするためにも、まず最初は生ビールいってしまいましょう。夏はやっぱりこれです。
そしていきなり出てきたおつまみがこれ。キュウリの浅漬けです。美しいし、お寿司屋さんらしくもあり、ビールにも良く合います。ちょっと塩っぱくてミネラルたっぷり。汗をかいた身体に染みいります。
ちなみに何も言わなくてもいつものおまかせコースを頂くことになっています。お寿司屋さんですからね。でも心配はありません。ちゃんとメニューにコース料金は明示されています。
そしてジュンサイの酢の物。と言いつつ、小柱が青柳がたっぷり混ざっています。美味い!さっぱり!
そしてお刺身がやってきました。ホタテとホッキ。見えていませんがホタテの下には薄切りしたレモンが敷いてあります。
わさびは二種類用意されていて、緑の方はおなじみの本わさび、白い方は山わさびだそうです。白いお刺身には山わさびがおすすめとのこと。辛みはありますが本わさびよりあっさりさっぱりしているように思います。疲れた胃に山わさびは優しいかも。
でもって、卵付きの甘エビ。卵は青いんですね。頭も尻尾も取ってあるので、そのままつるっと飲み込めます。うまい!
いつもは一通りの料理が出尽くしてから、〆的に握りが出てくるのですが、今回は前半に少し握ろうと思いますとの大将の提案。そうそう、酔っ払ってお腹いっぱいになる前にちゃんとお寿司を味わいたいですよね。
トップバッターとしていきなり出てきたこれ、なんだか分かりますか? 私は分かりませんでした。でも美味しいだろうことは分かります。その色艶透明度が語っています。これは勝浦産のコチという魚だそうです。ググってみると結構個性的な姿をしている魚です。この美しい白身から想像したのとは大分違いました。いやいや、でもお刺身になると見た目通りに超美味しいです。
左のちょっと赤い筋が入った身とザラッとしていそうな皮、これは見たことありますよね。はい、そうです、イサキです。今回のは大分産だそうです。
そして右の「The 白身的」なこの真っ白なお魚は… 秋田産の甘鯛で、昆布締めしてあるそうです。へぇ、甘鯛の刺身やお寿司はあまり食べたことがない気がしますね。いや、でもさすが鯛ですから十分すぎるくらいに美味いです。
ビールに続く二杯目は透き通ったこんな飲み物を飲んでいました。レモンとライムが入った爽やかなTAROハイです。その名の通りこのお店のオリジナル。ただのレモンハイとはわけが違っていて、これがこうしたお刺身や握りとも合っています。
とは言えやはり日本酒が欲しくなってきますね(A^^;
赤身からの焼き物へ
そんなことを考えているうちに、コースはどんどん進んでいきます。白いものがだいたい終わったようなので、こんどは赤身へ。
はい、赤身といえば当然こうなるわけです。真っ赤な左はマグロ、そして淡いピンクの右は中トロです。いやいや中トロ美味しいですね。エッジの立ったこの姿から活きの良さが窺えます。マグロの方はまるで(見た目が)羊羹みたい。
赤身刺身のメインはこれ。一見馬肉のようにも見えますが、ヒゲクジラだそうです。なるほど、クジラの刺身は久々です。そして薬味として左は生姜、右はニンニクが挟んであります。これがまた美味いことと言ったらありません。
そして焼き物へ。串に刺さっているのは焼き鳥… ではなくてマグロの尻尾だそうです。食べてみれば確かにマグロ。尻尾と言っても身がたっぷりでかなり大粒で食べ応えがあります。
そして生姜のように添えてある細長いやつはエイヒレ。自家製だそうで、そこらの安居酒屋のエイヒレとはわけが違います。まぁアレはアレで美味しいので大好きですけど。なるほど、本物はこういうものなのか!
さらに右の梅干し色した丸い玉はプチトマトです。なにかに漬けておいたやつだったはず。トマトとマグロとエイヒレと言う謎の組み合わせがバッチリ填まっています。
ガッツリな焼き物の次は、一点してこんな上品な料理が出てきました。この小さい魚は稚鮎です。天ぷらになっているので塩とすだち(かな?)で頂くと絶品の美味しさ! これもまた旨味の塊です。小さいので2尾頂きました!
こうなるともう日本酒を我慢しきれません。本当は一通り日本酒もコースで飲みたかったのですが、翌日のことを考えて今宵は一杯だけに制限。ということで、渾身の一杯は山形のお酒で「山法師 蔵囲い 夏吟醸生」にしました。
青い瓶から青い江戸切子へ注がれるお酒は爽やかで夏っぽいです。日本酒はすごい久しぶりに飲みましたが、やっぱり美味いですねぇ。がんばってもう一杯飲めば良かった!
ここで茶碗蒸しの登場です。穴子が入った贅沢な茶碗蒸し。夏にアツアツの茶碗蒸しを食べるというのも、むしろ身体に優しい感じがします。冷たいものばかり飲み食いしてると疲れますからね。
メインから怒濤の〆へ
さて、このあといよいよ最後の握りへと入ります。今日の目当てであるアレが出てくるはず!
まずは軽く準備運動的に白イカとツブ貝と来て(どっちも超美味いです!)…
ピリッとショウガの利いたアジへ。キタ!光りもの! 見た目に美しい上に実際食べるともっと美味しいです。
そしてコレ! 満を持して本日の主役「新子」の登場です。この時期の新子はちょうど良い大きさと言うことで三枚付けでした。大将曰く、ほんのりコハダらしさも出てきて、味わい的に一番美味しいところとのこと。新子は多ければ良いってものではない、と。
と思って振り返ってみると、去年は今年より約一ヶ月早く、6月の下旬に八枚付けの新子をいただいていました。いや、八枚付けとか新子の醍醐味であり、江戸っ子ならではの初物信仰というか見栄でもあります。が、本当の寿司通はそんなものは食べない、と(A^^;
いや、実際のところこの三枚付けの新子は猛烈に美味しかったです。しっかりと魚らしい身の旨味と歯ごたえが感じられつつ、コハダほど脂っぽくもありません。いえ、コハダ美味しいですけどね。
ぽわ〜ん… と新子の余韻に浸ってるところに出てきたのがまたすごいやつでした。見ての通り牡蠣です。えぇ!牡蠣って握りになるんだ!というか、ほとんどシャリが見えてないですけど!
見ての通り、生ではなくてほんのり火が通してあって牡蠣の美味しいところだけが前面に出ています。いや、これは美味い、美味すぎる。
そして握りの〆として中トロと穴子が出てきて終了です。素晴らしいお寿司を堪能しました!
新子おかわり
いえいえ、握りは終わりましたが、まだコース自体は終わっていません。相変わらず太郎のおまかせコースは盛りだくさんです。これで6,000円だなんて安すぎる気がします。
で、握りのあとに出てきたのがコレ! どーん、とウニイクラ丼です。なにこれ!美しい! 丼と言っても超ミニ丼ですけどね。でもウニはたっぷりあって、軍艦で食べるよりも倍くらい入ってるような気がします。
続いてスープが出てきたので、今度こそ終わりか?と思ったら…
干瓢巻き! 〆はどこまで続くやら。しかしこの日も夏バテのわりに食欲はあって、全然問題なく食べられてしまいます。これもけっこうボリュームあってシャリたっぷり入ってたのですが、パクパクッと二口くらいで飲み込めてしまいます。
で、今度こそ終了… と思ったのですが、大将曰く、おまけで一貫だけ好きなやつを握ってくれるとのこと。コースに出てきたヤツのお代わりでも良いし、出てないやつであるネタなら何でも良いとのこと。「遠慮せずに本当に何でも良いよ、新子のお代わりもありだよ」と。
いやいや、新子一貫がいくらするか、大人ならちゃんと分かってますからそんな我が侭言う客は野暮だよね…
はい! 新子お代わり! 野暮な我が侭をやってしまいました。だってあまりにも美味しかったから。もう一貫食べることが出来たなら、この夏も何とか乗り切れそうな気がしたから。健康第一を考えてのことです(嘘)
いや、最後の最後にまた最高の三昧付け新子を味わえて本当に幸せでした。ということで、今度こそ本当に〆です。
約一年ぶりの「二代目 太郎」は相変わらず素晴らしかったです。なとだけじゃなくてちゃんと季節ごとに来ないとなー、とまた俄に寿司熱が盛り上がってきそうです。
ここは下町新小岩にあると言うこともあって、気軽に入れて大将もとても気さくで、店内も清潔かつ完全禁煙で居心地の良いお店です。ただし、カウンターのみで席数は少ないので、一応事前に電話して空きを確認されることをお勧めいたします。