暑くなってくるとすぐに夏バテしてしまうほうなのですが、今年もさっそく連日の暑さに全身の怠さと頭痛に見舞われ、何事にもやる気がおきないなど(え?それは別の問題?)夏バテ症状に悩まされています。元気になる食べ物と言えば色々ありますが、定番なのが辛い料理。汗を掻く夏だからこそ人気があったりするわけで、実際何となく食欲がなくても辛いものは食べてみたくなります。
ということで、珍しく東京の西の方に住む友人に誘われて、激辛中華として密かに人気が出てきた湖南料理を食べに行くことにしました。場所は完全アウェイの地、三軒茶屋です。恐らく三軒茶屋駅に降り立つのは人生初だと思います。何となく東急線沿線というと小洒落たオシャレな町というイメージがありますが、どんなところなのでしょう?
さて、湖南料理と言えばそんな遠くまで行かなくても、地元錦糸町になかなか良いお店があったりするのですが、今回連れて行ってもらった「湖南菜 香辣里」というお店では、辛い湖南料理になんとワインを組み合わせて出してくれるという、ちょっと変わったマリアージュが楽しめるとのこと。
なにそれ美味しそう&面白そう。是非行ってみなくては!ということで、都心を横断して三軒茶屋まで遠征してきました。
いざ三軒茶屋へ!
目的のお店は駅北口を出てすぐ、GEMSというかなり新しそうなビルの7階にありました。
このビルは上から下まで全て飲食店が入ってるようです。夕食のラッシュ時になると一個しかないエレベータに、かなりの待ち行列が出来ます。
このお店は神田にある有名中華店「味坊」グループが出店する5件目のお店だそうです。とは言ってもチェーン店のように「味坊」と同じ料理を各店で出すのではなく、それぞれ全く違った特色を持たせているとのことで、この「香辣里」も「味坊」として初めての湖南料理のお店になるそうです。
エレベータを降りるとすぐそこがもうお店です。予約してあったのですぐにテーブルに案内されます。新しいビルに作られたせいか、店内はまったく中華の雰囲気はありません。天井も高く明るくさっぱりした感じ。
ということで、まずは生ビール。これが美味い! いや大抵のビールは美味しいですが、この生ビールはここ最近ではベストに数えられる一杯でした。
そして最初にやってきたおつまみはこれ。「老酢花生」です。黒酢に漬けたピーナッツなのですが、湖南料理では茹でたピーナッツは定番のおつまみなのでしょう。錦糸町にある湖南料理のお店でも食べた記憶があります。これをちまちまつまみながら美味しいビールはあっという間に空いてしまいます。
燻製、発酵、ハーブ
メニューにはそんな湖南料理についての解説が書かれていました。
とにかく辛いことが特徴のようですが、それをさておいても燻製、発酵、ハーブの三点が特徴とのこと。なるほど、中華でありながらやはり東南アジア系のテイストが混ざっているわけですね。
ということで、おつまみ二品目は「燻製」をいってみましょう。「腊腸」こと湖南風のソーセージなのですが、中には唐辛子が練り込まれていてピリッときます。
さらに三品目は「発酵」ということで「秋葵米豆腐」です。スープに浸かっている白い塊は豆腐こと米粉のお餅、そこにオクラと発酵した唐辛子などが乗っています。かなりピリ辛度は強いですが、とにかく美味いです。胃が刺激されて食欲が出てきます。
いよいよワインへ
この辺で次のお酒に行ってしまいましょう。
中華と言えばぬるいビール? 白酒? あるいは紹興酒? となりがちですが、冒頭およびタイトルにも書いたとおり、このお店の特徴は湖南料理にワインを合わせていること。
しかもそのワインの売り方が変わっていて、店内にある大きなセラーから自分で勝手に好きなワインを持ってくることが出来るのです。ボトルにはこうして値段が書いてあるので安心です。ますは候補を三本並べて見て… どれにするかしばし相談タイム。
で、一本目は結局これにして見ました。いやまぁ、ワインはよく分かっていないのでジャケ買いなんですけどね。
で、グラスはちゃんとワイン用のグラスがあるのですが、ここは友人曰く、このお店にあるオーガニック系のワインは、絶体に普通のコップで飲んだ方が良い!とのこだわりがあるそうで、それに従いました。これが結構いけるんですよ。というか、実はワイングラスと飲み比べたのですが、プラセボ含まれてるのは承知の上で、まったく別のワインかと思うくらいに味が変わります。温度とか空気に触れる量とか、グラスの口当たりとか、色々違うのでそう感じるんだろうな、と。
さて、先ほど赤ワインを選んだのにはわけがあって、それは次にこんな肉料理がやってくるから。これは「土匪鴨」という料理です。鴨の胸肉とモモ肉のぶつ切りを豆板醤などをまぜた特製のソースで煮込んだ郷土料理だそうです。ほぼ出来上がった状態でやってきますが、最後の加熱はテーブル上でやるので、熱々で食べられます。メニュー写真ではニンジンが入ってましたが、実物はセロリ入り。その他唐辛子や獅子唐的な、辛そうな野菜が混ざっています。でもって、実際に辛い! でも美味い!
辛さで満腹中枢は麻痺してしまったのか、どんどんいけてしまいます。次に発注したのはこれ。スープが良い色してますね。それに肉好きにはおなじみのあれが入っています。ハチノス!
これは「金湯牛杂」という料理で日本語の説明書きでは「牛ハチノスの金湯スープレモングラス風味」と書かれていました。ですからこれは湖南料理三大特徴の残りのひとつ、ハーブ系です。いえ、ここまで紹介した料理もだいたいハーブというか香草は使われていたので、これだけってことではないのですが。
それにしてもハチノスは焼肉だけでなく、あらゆる料理に使われる本当に万能ホルモンですね。本当に美味しいです。
で、この辺からはシャンパンおよび白ワインにスイッチしました。普通と逆ですかね。でも良いのです。美味しいですから。ワインも中華も自由です。その組みあわせとなれば決まり事なんて何もなくてもっと自由!
ちなみに右側のワインはコップではなくワイングラス向きと言うことでした。これも器を変えて飲み比べましたが、味の違いは分かるもののどっちが良いかはもはや好みの問題かも。
メインディッシュは「臭魚」
白ワインにしたのはここからこんな感じで、スッキリさっぱり系になっていくから。これは「茼蒿干豆腐丝」です。茶色い麺は醤油に漬けた干し豆腐、そして料理名にある「茼」はシュンギク、「蒿」はよもぎのことだそうで、実際ヨモギっぽい苦味のある葉っぱと和えてありました。これは辛くないのでちょっとした箸休めになります。
そしてこれ。「紫蘇煎黄瓜」というもので、見たまんまですね。中華や東南アジア系の料理の中でも、緑の野菜を炒めたものってシンプルな上にとても美味しくて大好きなのですが、キュウリをこう料理するという発想は初めてです。水分の多い野菜ですが油で炒めてもいけます。というかとても美味しいです。そして紫蘇がきいていてこれもザ・ハーブ系といった感じ。
そして本日のメインディッシュと言っても良いかも。巨大な魚が出てきました。魚の種類とお値段は日替わりだそうですが、この日は「ソイ」でした。これが単なる煮物ではなく、なんと湖南独特の「臭魚」と呼ばれる「発酵料理」だそうです。とは言えそんなに臭味はないですけどね。というか普通に美味しい白身魚としてバクバクいけてしまいます。
これこそ濃いめの白ワインにぴったりだとか。たしかに実際にワインととも良く合います。なるほど!
最後は〆として白米を「湖南風の豚の角煮」をおかずにいただきました。白米は見ての通りジャポニカではなくインディカです。やっぱりこういったどことなく南国風の料理にはインディカ米は良く合います。超美味しかったです。
なお湖南の豚角煮は、かの毛沢東の大好物だったそうです。料理名も「毛沢紅焼肉」となっていました。へぇ〜!
ということで、ワインと湖南料理の素晴らしい饗宴をたっぷり味わってきました。考えたこともなかったですが、とても良い組みあわせでした
最終的に4人で4本飲み干しました。というか、1本記憶にないワインが混ざってますね…。しかも一番高いのに!
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以前行ったことある錦糸町の湖南料理店の食レポ記事です。こちらもかなり本格派で、むしろローカル色が強くて雰囲気ありました。
おまけ:二次会は肉!
さて、せっかくはるばるやってきた三軒茶屋なので、もう一軒くらい軽くやっていきましょう。
小洒落た街かと思っていましたが、良い感じの裏路地がありました。入っていきましょう! どうやら「三角地帯」と呼ばれるこの一角は、有名な飲み屋街だそうです。
そして、なんと「立食い」のジンギスカン店へ。ジンギスカンを立ち食いだと? これは面白そうです。実際店内は細長いカウンターのみ。6人も入ったら一杯になってしまいそうな小さなお店でした。
ジンギスカンと言えばビールですが、今宵はちょっとワイン飲み過ぎたので、控えめにトマトハイにしましょう。
店構えは小さいながらも、出てくるお肉はかなりのボリュームで本格派! なにこれすごい旨そう!
お店を切り盛りするのは看板娘兼店長!一応写真と顔出しはOKだそうですがボカしておきました。
しかし本当に本格的なジンギスカンで超美味しかったです。でもさすがにちょっとしか食べられませんでした。こんなお店があると分かっていたら一次会をもっとセーブしておけば良かった!
ジンギスカン関連エントリー
ジンギスカンと言えば、古き良きビアガーデンが絶滅した今、北海道に行ったときしか食べなくなってしまいました。ニセコでは必ず行くお店があります。