その行き先は長野県は岡谷市と塩尻市の境目にある「高ボッチ山」です。絶景ポイントが多い諏訪湖周辺地域にあって、この山は特に有名な場所で、諏訪湖とその周辺の街並みの向こうには富士山を眺めることが出来ます。また周辺に聳える八ヶ岳から南アルプス、中央アルプスなどぐるっと素晴らしいパノラマが広がっているそうです。
季節や天候、時間にによって様々な顔を見せるようですが、今回は思い切って日付が変わった頃、真夜中に東京を出発し、日の出前に現地に到着して、夜空を撮りつつ日の出を待つというプランを実行してみることにしました。日帰りスキーに行くにしろ何にしろ、早朝日の出前に出発すると言うことはあっても、真夜中に出かけるというのは、私的には大変珍しく久しぶりのことです。そんな気になるのも長い連休のおかげです。
さて、果たして高ボッチ山とはどんなところなのか?初めての場所に深夜真っ暗な中たどり着けるのか? とりあえずスマホがあれば何とかなるだろ?的ないつもの楽観主義で日付が変わったばかりの東京を出発し、一路中央道で西を目指します。
最大の難所は真っ暗闇の高ボッチスカイライン
連休の谷間の平日、しかも真夜中とあって中央道下り線は、ふとした瞬間に前後にクルマが見えなくなる程度に空いています。完全に自分のペースで走れる高速道路というものが、この上なく快適なものだと言うことに改めて気付かされました。
とりあえずの目的地は中央道から長野道に分岐してすぐの岡谷ICです。東京都心から約200kmの道のりを休憩しつつ3時間もあれば到達してしまいますが、問題はそこから高ボッチ高原への山道です。
この地図は、岡谷ICを降りてから高ボッチ山へ向かう道筋を示したものですが、国道20号線で塩尻峠を越えた辺りから脇道に入り、山登りとなります。その一本道は「高ボッチスカイライン」という、いかにも走りやすそうな立派な道路を思わせる名前が付いていますが、実はそこは離合が困難なほど細い山道で、ところによってはガードレールもない悪路だとのこと。それが10kmほど続くという情報は先に仕入れておいたので、覚悟して現地に向かいました。
これはドライブレコーダーが記録していた高ボッチスカイラインの様子です。前半30秒は往路のもので、午前3時頃真っ暗な中を上っているところ。周辺に灯りはなく、空に浮かぶ月明かりも届かず、完全な暗闇の山道でかなり怖かったです。ちなみにちゃんとハイビームにしていますが、それでもこんな状況で、対向車がやってくるのを恐れていると言うよりは、なにか見えるはずのないいけないものが現れたりしないか?ということを、わりと本気で心配していました。
後半30秒は帰り道の様子で、明るい中ではそれなりに気持ちの良い山道であることが分かります。でもこんな狭い山道を真夜中によくも上がってきたものだと、我ながら感心してしまいました。
高ボッチ「高原」と名が付いているとおり、山頂付近は比較的平らな土地が広がっています。そこに牧場や展望スポットなどがいくつかあって駐車スペースもいくつかあるのですが、山頂展望台へ上るのが目的であれば「高ボッチ高原自然保護センター」前の駐車場(というか広場?)まで行ってしまうのが一番便利です。
この日、私が到着したのは午前3時半ごろでしたが10台くらいのクルマやバイクが既にいて、多くの人は車中泊でゆる〜くキャンプしてる感じでした。
高ボッチ山 山頂展望台から夜明けの諏訪湖と富士山の絶景を眺める
目の前に広がっていたのはこんな景色です。思わず「おぉぉ〜!」と暗闇で声を上げてしまいました。目の前に広がるのは岡谷から諏訪にかけての街灯りです。その中にある真っ暗な部分が諏訪湖で、右奥には伊那の街灯りまで見通せます。真ん中奥に見える山並みは中央アルプス、左手は八ヶ岳、そしてその間にうっすらと富士山のシルエットも見えています。いえ、実際この時間帯は肉眼ではまったく富士山の姿は見えませんが、写真に撮ると浮かび上がってきました。
空は星がたくさんありますが、背後には満月が輝いているのでやはり空はうっすらと明るいです。画面下に手前の草むらが少し写っているのも月明かりのおかげです。なお、このカットはピンボケしています…(-_-# AFは今ひとつ上手く働かないので、MFしたのですはずなのですが、ちゃんとしたピント確認を怠ってしまいました。
諏訪湖の辺りを少しズームアップしてみました。真夜中でほとんどの人は寝静まってるはずですが、街灯りはこんなにも明るいんですね。
実は今回、三脚を2本立ててみました。片方にはK-1 Mark IIを載せ、もう片方にはK-1を載せました。K-1 Mark IIは普通にシャッターを切る一方で、K-1では500枚のインターバル合成をやってみました。こういうことが出来るのもメインとサブの2台体制になったおかげです。今までのように1台だけだったら、時間のかかるインターバル合成は諦めていたところです。
ただし問題はレンズ。どっちに何をつけるかは悩みどころです。K-1でインターバル合成をやるに当たって、今回はDA10-17mmフィッシュアイズームを使ってみました。その結果が↑これなのですが、やはり月明かりが強かったこと、そして午前4時を過ぎると東の空が次第に明るくなってきたこと、フィッシュアイズームは開放F値が暗くて有口径を稼げないことなどから、思ったほど星は写りませんでした。
でもまぁ、思い描いてたことはとりあえずチャレンジできたので最初としては満足です。次回はこの経験を生かしてもっと上手くやりたいと思います。
さて、真夜中に到着したつもりでいたものの、この時期の日の出はかなり早くて午前5時ごろです。と言うことは、夜空というか夜景を撮影できる時間は本当に短くて、あっという間に辺りは明るくなってきました。いわゆる薄明というヤツですね。
そりゃそうですよね、日の出が5時ならそのかなり前から空は明るくなってくるに決まってます。ということで、夜景をまだ十分撮り足りてないうちに、気がつくと街灯りは相対的に弱まり、八ヶ岳の稜線は赤く染まってきました。このカットの撮影時刻が4時半ごろ。撮影開始して30分ほどしか経っていません。そして日の出まであと30分です。
ということで、今回は時間の見積もりをかなり見誤りました。というか、冷静に考えれば当たり前のことでしたが、そもそも思いつきで行動したのがいい加減すぎたようです。夜景や星空を撮りたいなら、せめてあと1時間、出来れば2時間くらい巻きで行動すべきだったのかも。それも次回への反省としたいと思います。
でも良いんです。朝焼けの風景も狙っていたのですから。富士山の姿も次第にハッキリしてきました。そして雪が残る南アルプスの山々の姿も朝焼けの光に照らされて良い感じです。
ただし、この時期は日の出の方角と諏訪湖の方角はかなり異なりますので、背後が焼けると言うほどではありません。それを狙うなら10月とか11月とか、そのくらいの季節が良いと思います。なお高ボッチスカイラインは冬期は閉鎖されるそうなので、真冬は車でここまでやってくることは出来ません。というか、積雪した高ボッチスカイラインを走るなんて想像したくもないですね。
ずっと諏訪湖の方角ばかり撮っていましたが、背後には私の足下を照らしてくれていた月が沈もうとしています。ほぼ満月ですから、日が昇れば月が沈むのは道理です。
さらに富士山をどアップにしてみました。諏訪湖沿岸から諏訪の市街を抜け、この谷間を国道20号線、中央自動車道、JR中央本線などが通っているわけです。望遠レンズの圧縮効果で距離感がよく分かりませんが、富士山はやはり大きいですね。
なおこの日は良く晴れていましたが、空気は何となくモヤモヤしてあまり見通しはよくありません。隣にいたおじさんは「今日は全然ダメだな…」とブツブツ言っていました。まぁ確かにネットで事前に見ていた高ボッチ山からの見事な朝焼けの写真と比べると、かなり残念な感じですが、このモヤモヤした淡いトーンに浮かぶ富士山と、折り重なる尾根の景色もなかなか良いのではないかと思います。私的にはこの風景は結構気に入っています。
そうこうしているうちにどんどん空は明るくなってきました。朝焼けとは違いますが、この時間帯に一瞬だけ見せたこの淡い青空の色はとても綺麗でした。
あ!
ということで、時刻は午前5時を迎えて太陽が姿を見せました。先ほど書いた通り、日の出の方角は富士山や諏訪湖方向と比べるとこれだけずれています。真ん中には八ヶ岳がすっぽり収まっています。
日が昇ってしまえば、あっという間に景色は一変し、光に満たされていきますし、色合いもハッキリしてきました。やはり富士山付近はモヤがかかっていて、これ以上ハッキリとすることはなさそうです。ということで、この風景を撮るのはこのくらいにしておきましょう。
ちなみに富士山はともかく、この湖を取り囲む街灯りと山並みを見下ろす景色とアングルに、何か見覚えがあるという方も多いのではないかと思います。
もう散々言われ尽くしてかなり今さらなネタなのですが… 高ボッチ山から眺める諏訪湖の風景は、一昨年大ブームを巻き起こしたアニメ映画「君の名は。」の舞台となった架空の湖、糸守湖にそっくりで、監督はこの景色を作画の参考にしたに違いないとか噂されていたりもします。
映画『君の名は。』主題歌4曲が英語詞になって誕生。「君の名は。English edition」の先行配信がスタート!
・iTunes→https://t.co/nZnacjrFSG
・レコチョク→https://t.co/CPiwgQzWLM pic.twitter.com/nkFEJNh9Mg— RADWIMPS (@RADWIMPS) 2017年1月26日
映画の主題歌を歌ったRADWIMPSの公式Twitterアカウントから貼ってみます。こんな感じの風景が出てきたと思うのですが、どうですかね? 高ボッチ高原からの風景に似ていませんか?
なお、かのアニメ映画では夕暮れ時に眺める湖の風景がキーポイントでしたから、それを確かめる上では朝ではなく夕暮れに訪れるべきなのかも。ただ、日の出一時間前から刻々と変わる空の色と湖と街灯りの様子は、これも「かたわれ時」なんじゃないの?と言うくらいに幻想的ではかなくて美しかったです。
ここで思いついて、トップに貼った写真が「君の名は。」風味にならないものかと思って、LightroomとPhotoshopとNik Collectionを駆使して弄り倒してみました。やればやるほどよく分からなくなってきますが、とりあえずこんな感じでどうでしょうか? 逆光フィルターかけるだけでもだいたいそれっぽくなってしまいます。
今回はロケハンだと思い、いろいろな反省点を生かしてまたいずれ深夜か夕方か、繰り返し訪れたいと思うくらいに気に入ってしまいました。
朝になってようやく分かった高ボッチ高原の様子
諏訪湖の望む方向にはこうして三脚が立ち並んでいました。最盛期は日の出直前くらいの時間帯で、私が到着した時は5人くらいしかいなくて場所は選び放題でしたが、時間が経つにつれ数は増えていきました。そして日の出を迎えるとサッと消えていなくなりました。
山頂はわりとしっかり整備されていて諏訪湖を眺める方角はとても開けています。標高は1665mと、それほど高い山ではありませんが、さすがに麓とはかなり気候が違います。暑い日が続いているとは言え、日の出前後の高ボッチ山山頂は、この時期でもわりとしっかりとした防寒対策が必要です(上の写真に写ってる人々くらいでちょうど良いかと思います)。
ここからは諏訪湖や富士山方面だけでなく、実はぐるっと360°のパノラマが広がっています。中央アルプス、御嶽山、北アルプスや立山方面まで見渡すことが出来ます。
自然保護センターの方角はこんな感じで、木の柵に沿って山頂に至る遊歩道が続いています。真ん中に見えている小屋は遊歩道沿いの休憩所です。昨深夜にここを登ってきたことになるのでしょう。見ての通り比較的平らな道で上りはきつくありません。遠くに見える雪を被った山々は北アルプス方面と思われます。
駐車場付近まで降りてきました。山頂への遊歩道の入り口はこの看板が目印です。昼間は問題ありませんが月夜でも何とか見つけることが出来ました。月もない本当に真っ暗な状態だとどうなのか、ちょっと分かりません。
また山頂への遊歩道はこの看板の通りわずか400mでゆるい坂道で整備されてるとは言え、実は周辺の登山道への分岐がちょこちょこあるので、地図をみながら自分の現在地確認をしっかりするなど注意が必要です。少なくともdocomoの電波は届いていたので、スマホで何とかなりました。
絶景ポイントと言えばやっぱり愛車撮影会
朝日を浴びるプジョー308SWと背後は北アルプスの山々。よくあの暗闇の難路を上ってきた!よく頑張った!
そして場所を変えて反対側、背後は八ヶ岳と富士山、さらに石碑に隠れてしまいましたが諏訪湖も見えています。リアから撮るのは久しぶり。こっちの姿も格好良いです(親バカ)
帰りがけにもう一つの諏訪湖絶景ポイントに立ち寄る
そこでやってきたのは諏訪市内にある立石公園という場所です。ここからの眺めも、実は一昨年以来とても有名になりました。と言うのは…
こんな感じなのです。画面右に見切れている山が先ほどまでいた高ボッチ山方面です。高ボッチ山よりはずっと諏訪湖に近く、標高も低いですが、諏訪湖全体が一望できる絶景ポイント。朝は背後から日が射してちょうど順光です。
パノラマも撮っておきました。と言うか、これは普通に手持ちのまま左右にカメラを振っ撮った2枚の写真をLightroom上でつなぎ合わせたものです。左手の街並みがちょうど諏訪から茅野方面にかけての市街地です。
で、ここでも「君の名は。」風味に加工してみましたが… うーん、やっぱりよく分からないですね。まぁ、遊びとしては楽しめます。
この公園は観光地と言うより、もともとは地元の人達のためにあるような感じで、思ったよりも小さなところでした。でも早朝にもかかわらず、ポツポツとクルマやバイクでわざわざやってきたらしい人達が訪れていたり、犬の散歩をしてる人がいたり、のどかな良いところです。
さて、まだ帰るには早いので、諏訪湖周辺で他にも巡ってきたところがあるのですが、それについてはまた別エントリーとしたいと思います。
K-1とK-1 Mark IIを同時に使う
今回は初めてK-1 と K-1 Mark IIを両方とも持ち出してみました。同じカメラが2台あってレンズを使い分けられるのはとても便利です。重たい荷物を運ぶことさえ厭わなければですが、高ボッチ山山頂へは駐車場から近いので、フルサイズ2台、大三元含むレンズ4本、そして三脚2個担いで行くのも何とかなります。
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