BUFFALOのIPv6対応ルーター WXR-1900DHP3の設定を最適化し接続の安定化を図る

投稿者: | 2018年1月23日

 昨年末に我が家のインターネット回線をIPv6化しました。BIGLOBEが提供する「IPv6オプション」を利用し、IPv6 IPoEだけでなくIPv4サイトに対してもMAP-E接続をすることで、PPPoE接続を迂回し混雑時間帯の速度低下を回避することができました。

 それから約一ヶ月、年末年始の混雑期間も難なく乗り越え、基本的にとてもインターネットライフは快適になったのですが、ちょっとした問題も発生していました。

 と言うのは、IPv4サイトへの接続がいつの間にかできなくなるという現象がこの一ヶ月の間に何度か発生し、しかも自動復帰せずにそのたびに再接続作業が必要となっていました。これはちょっと面倒です。

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 ネットの口コミ情報を見ていると、内容は具体的ではないものの「BUFFALOのルーターは不安定である」みたいな話もちらほらあって、「それってこの接続の不安定さのことなのかな?」と思っていたところなのですが、同時にネット上には「設定を見直すことで不安定さは改善できる」という情報も見つけることができたので、それに従って改善策を試してみることにしました。

IPv6化のおさらい

 まずはインターネット回線をiPv6化した件についてのおさらいです。

 この記事に初期導入の顛末はまとめてあります。我が家はBIGLOBE+ドコモ光回線を契約しており、無料で「IPv6オプション」を利用できるということだったので、WEBから申し込むだけで、工事等は一切なく即日IPv6回線が開通しました。

 BIGLOBEの「IPv6オプション」はいわゆるNTT回線で一般的に使用される「v6プラス」とほぼ同等のサービスで、IPv6サイトに対してはIPoE接続、IPv4サイトに対してはMAP-E接続がされます。そのためPPPoEの網終端装置を回避することができ、混雑の影響の緩和が期待できます。

 この「v6プラス」あるいは「IPv6オプション」を利用するには対応したルーターが必要と言うことで、それまで使っていたApple TimeCapsuleに代わり、BUFFALOのWXR-1900DHP3というルーターを導入し、ほぼ全自動セットアップによってあっけなくIPv6接続が完了しました。

BUFFALO 無線LAN親機 11ac/n/a/g/b 1300+600Mbps WXR-1900DHP3

BUFFALO 無線LAN親機 11ac/n/a/g/b 1300+600Mbps WXR-1900DHP3

発生していた問題

 セットアップは完了し、無事に「IPv6オプション」が開通して快適に使えていたのですが、冒頭にも書いた通り時折勝手に接続が切れてしまうことが度々発生していました。

 具体的にはGoogleなどのIPv6化されているサイトには問題なく接続できるものの、その他IPv4のままの従来サイト(SSL化されたないサイトに多い?)には繋がらず、そのたびにルーターの管理画面にリダイレクトされてしまうという現象です。

 就寝間際に発生し、明日対応しようとそのまま放置しておくと勝手に戻っていたりすることもありますが、基本的にこうなるとルーターの管理ページから再接続の作業が必要となっていました。しかも、その再接続も一度では上手くいかず、数度リトライが必要だったりして面倒なことこの上ない状態でした。

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 何らかの理由で接続が切れると、こうして回線種別の判定から再度やり直しになります。

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 そしてそれが上手くいかないとエラーが表示されて、なかなか再接続が確立しません。この状態だとIPv6サイトは接続できる場合があるのですが、IPv4サイトは全滅で全く役に立ちません。どうやらMAP-E接続がうまくいかないようです。

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 ステータスを見ても、赤線を引いたところに「IPアドレスが取得できてない」的なエラーが表示されています。ここでPPPoEを有効にすると一見何事もなく接続できるのですが、その場合はIPoE + PPPoE接続されるだけで、網終端装置の混雑回避の意味がなくなってしまいます。

設定の再確認

 IPv6接続のために導入したルーター BUFFALO WXR-1900DHP3は、当初購入時のデフォルト設定のままであっさりと「IPv6オプション」で接続が確立してしまったので、詳細設定は深く考えずにいたのですが、改めてどのような設定になっているのか確認してみましょう。

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 まずはルーターの管理画面から「詳細設定 → Internet → Internet」を見てみるとこうなっています。意味がよく分からないのですが「インターネット@スタートを行う」となっています。

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 次に「詳細設定 → Internet → IPv6」を見てみると、やはり「インターネット@スタートを行う」となっており「パススルーと許可する」にチェックが入っています。

 どうやらこの「インターネット@スタート」というのは、回線種別判定を含めルーターが全自動モードで動作することを表しているようです。

 また、この「インターネット@スタート」は、全自動のおまかせモード的なものでありながら、ルーターを再起動したりした場合に、この管理画面から回線種別の判定と接続の作業を実行しないと接続が復帰しないという、やや本末転倒気味な煩わしさがありました。

 そして、ルーターが思いがけない動作をして上手く動作しない場合のほとんどは、この全自動モードが誤動作しているのが原因なのではないか?という噂もあります。

 ならばこれをマニュアル設定にすれば良いのか?

IPv6設定をマニュアルで行う

 ということで、マニュアル設定をして見ることにしましょう。その際参考にすべき素晴らしいブログを発見することができました。

 こちらの「疲労コンパイル」というブログです。この記事はまさに私が探していた情報そのものです。この記事を始めこのブログには全体的にWXR-1900DHP3で「v6プラス」接続を行う上でのTIPSがたくさん掲載されています。

 ルーターの機種は同じですし、私が契約しているBIGLOBEの「IPv6オプション」は、冒頭にも書いた通り「v6プラス」の互換サービスですから、まさにこのまま真似してしまえば良いと言うことになります。

 ということで、以下の内容は我が家の環境で再現確認をしたものであり、完全に上記ブログの内容をなぞったものになります。

ルーターモードを固定する

 まずはハードウェアの設定。恥ずかしながらこの記事を読むまで、WXR-1900DHP3にハードウェアスイッチがあるなんて気付きませんでした。

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 背面を見ると小さなスイッチが2つ並んでいます。デフォルトでは上のスイッチが「AUTO」になってします。この状態ではWXR-1900DHP3自身がルーターモードで動作するか、あるいはアクセスポイントとして動作するか、または中継器として動作するか、そこからして全自動で検出することを意味しているそうです。

 なのでまずこのスイッチを「MANUAL」に切替え、モードは「ROUTER」で固定します。

 そりゃそうですよね。これ「AUTO」である必要はないですよね。動作中にダイナミックにルーターからアクセスポイント、または中継器へ使われ方が変わるなんてことは、普通の家庭用途ではあり得ないですから。

 逆に言えば、ルーター機能を使わずWi-Fiアクセスポイントとして使うなら、このスイッチで「AP」に固定してしまえばいいわけです。

IPv6接続を「v6プラス」で固定する

 次にIPv6接続の方法をマニュアルで設定します。これは管理者モードでログインし、GUI上から設定を変更します。

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 ルーターの管理画面から「詳細設定 → Internet → Internet」を開き、先ほどまでは「インターネット@スタートを行う」になっていた設定を「v6プラス接続を使用する」に変更します。スクリーンショットでは見切れていますが、右下にある「設定」ボタンを最後に必ず押しましょう。設定変更が反映されるまで30秒ほどかかります。

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 次に「詳細設定 → Internet → IPv6」に移動し、やはり先ほどまで「インターネット@スタートを行う」に設定されていたものを「NDプロキシを使う」に設定変更します。

 なお「NDプロキシ」とは何かというと、IPv6通信を行うに当たってのセキュリティ機能の一つだそうです。BUFFALOのドキュメントには以下のように記載されています。

 NDプロキシ機能は以下の動作を行います:
  – 「IPv6パススルー」機能同様にWAN側/LAN側のIPv6アドレスを同一プレフィクスで利用できます。
  – WAN側ポートとLAN側ポートの間での通信に対し、ルーターと同様の設定でフィルター動作を行う事で、セキュリティーを確保する事が可能となります。

http://buffalo.jp/download/driver/lan/rireki/wxr-1900dhp_fw-win.txt

 さらに、上で紹介したブログにもNDプロキシとパススルーについての記事がありました。


 ということで、とにかく安全のためにもNDプロキシに設定しておけば間違いないようです。

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 上の二つの設定変更後、念のためルーターを再起動したら何もしなくても接続が完了していました。「AUTOモード」かつ「インターネット@スタート」のように、回線種別判定を行う必要はありません。これで今後何かあってルーターの電源を入れ直したり、ファームウェアをアップデートしたりしても、再起動さえすれば自動的に回線は復活します。なるほど!

 そしてステータス画面を確認してみると、上のスクリーンショットで赤線を引いた部分で分かるとおり「v6プラス」接続が確立しており、ちゃんとN「Dプロキシ」も有効になっています。

結果は良好で接続は安定中

 設定変更後しばらく使っていますが、接続状態は安定しています。以前のように切れてしまうことはなくなりました。いえ、少なくとも気付くことはなくなりました。

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 試しにログをちょっと見てみたのですが… 深夜に”[V6Plus] found Server maintenance” かつ”[V6Plus] Can’t receive rule”というエラーらしきものが記録されていますが、数分で復帰してるらしい感じです。これは何なんでしょうかね? とりあえずこの時間帯はほぼ寝てるので問題はありません。

 その後も時々このログを確認していますが、やはり数分から短いときだと数秒間、この状態に陥ってることがあるようです。v6プラスでは通常の状態なのか、なにか我が家の回線に問題があるのかは分かりません。以前の全自動モードはこの状態になったときに、自動で復帰できないことがあったのではないかと思います。

ファームウェアに注意!

 なおWXR-1900DHP3についてはBUFFALOのWEBサイトで順次新しいファームウェアが配布されています。

 私が購入した個体は入手次点でVer 2.53が搭載されていました。その際すでに上記WEBではVer2.54が配布されており、何も考えずにアップデートしていたのですが、このVer 2.54には「v6プラス接続」と「NDプロキシ」の組みあわせ時にバグがあり、正常に動作しなかったそうです。

 現在はその問題を修正したVer 2.55が配布されているので、上記の設定変更は全てVer 2.55にアップデートした上で行いました。

 このルーターは現行機種でもあり、貴重なIPv6接続対応製品ということもあって、今後もしばらくファームウェアのアップデートが頻繁に続くと思いますが、こういう重要な機器については、安定して動作しているならむやみにファームウェアをアップデートしない方が良いのかも知れません。

改めて速度チェック

 なお、前回導入時の記事ではIPv6化後の速度テストの結果だけ貼って起きましたが、今回はちゃんとIPv4 PPPoE(つまり従来の一般的なインターネット接続)とIPv6プション(v6プラスと同等=MAP-E接続)での比較テストを行いました。

 なお測定は日曜日の午後11時頃行いました。そこそこ回線が混んでいる時間帯だと思います。

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 まずは「IPv6オプション」接続の場合です。左はGoogleの速度テスト、右はSpeedtest.netの速度テストです。これはルーターの設定変更後に改めて測定したものですが、前回と比べても結果的に接続方法に変わりはないのでほぼ同等の結果となりました。100Mbpsが上限のVDSLを通しているのでこんなものかと思います。

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 そしてこちらがIPv4 PPPoEに設定した場合。つまりはIPv6オプションを利用する前の、速度低下に悩まされていた時の状態。結果に少しバラツキがあるのですが、Googleのテストではなんと約4Mbpsまで落ちてしまいました。これだとAmazon Primeビデオなど動画配信はもたつくだろうし、右のSpeed.netのテストで分かる通り、PINGへの応答もかなり遅いことが分かります。

 これはかなり体感に差が出るはず。というかこのまま網終端装置のボトルネックが解消されない限り、あるいはIPv6のほうが混雑しておかしなことにならない限り、IPv4 PPPoEには戻れそうにありません。

 あとはVDSLを何とか回避して三桁Mbpsが安定して出る環境になると良いのですけどね。それには引っ越しするしかないか…(^^;