WTCC & スーパー耐久でEOS 7D Mark IIの動体撮影能力を試す

投稿者: | 2014年10月27日

 WTCCを観戦&撮影しに鈴鹿サーキットに行ってきました。F1はフォーミュラカーの世界選手権であるのに対し、WTCCはツーリングカーの世界選手権であり市販車をベースとした車両でレースが行われます。2012年からはホンダがワークスとして参戦し、昨年はチャンピオンを獲得しています。鈴鹿は言わずと知れたそのホンダのお膝元です。

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 F1以外のカテゴリーのレースも生で見てみたいなぁ、と常々思っていたのですが、もちろんEOS 7D Mark IIが得意とする動体撮影を試さなくては!という目的もあります。ということで、F1から1ヶ月経たずして、再び鈴鹿サーキットに出かけてきました。

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撮影機材と設定

 カメラはお借りしている発売前のEOS 7D Mark II。レンズはEF24-70mmF4がキットになっているのですが、これではサーキットでの撮影は出来ません。しかし幸いなことにキヤノンユーザーは私の周囲にもいます。そんな友人の一人にお願いして望遠ズームを借りてきました。

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 ということで、今回試用したのはEF100-400mm F4.5-5.6L IS USMとEXTENDER EF1.4×IIIです。100-400mmはリニューアルが待望されている割と古いレンズなので、EOS 7D Mark IIにはいろいろな面でやや役不足かもしれませんが、依然としてEFマウントの超望遠ズームの中では定番レンズの一つです。

 テレコンバーターは名前の通り最新の第三世代。このレンズと組み合わせると開放F値がワイド端でF6.3、テレ端でF8となるため、対応センサーを搭載した一部の機種でしかAFは使えません。

 EOS 7D Mark IIは中央1点のみF8に対応しているので、この組み合わせでもAFで使用可能です。従って最大560mm F8(フルサイズ換算で約900mm相当)という、私にとっては未知の超望遠の世界が体験できます。

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 AFモードは事前に色々勉強したのですが、AIサーボ(所謂コンティニュアスモード)にするのは当然として、迷ったのはAFエリア。何しろ65点もあるのです。しかし結局はK-3と同様、一点か、領域拡大(上下左右または周囲8点)で使用しました。F8対応モードの場合は、中央一点または上下左右の領域拡大しか使えませんので、あまり迷うことはありません。

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 フォーカスとシャッターの優先度合いや、ホールド性もK-3以上に細かく設定できるのですが、ここは奥が深すぎるのでデフォルトのまま「汎用性の高い基本設定」で使用しました。

 前置きが長くなりましたが、以下撮影結果です。

まずはスーパー耐久

 レースイベントは金曜日から始まっていますが、もちろん決勝は日曜日。今回は鈴鹿サーキットまで日帰りし、日曜日だけ観戦&撮影することにしました。

 WTCCのレースは午後に行われますが、午前中から鈴鹿入りしました。午前中はサポートレースと言うには豪華なスーパー耐久シリーズの第5戦が行われました。「耐久」と名がつくとおり、140分に及ぶ長いレース(と言っても耐久としては短いです)でした。時折日差しが出ましたが、基本的にレース中は終始曇りでした。

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 スーパー耐久はWTCCよりもさらに身近な市販車をベースにしています。そして車の性能やレギュレーションにより6段階にクラス分けされています。このGT-Rは最上位のST-Xクラスです。

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 ST-XクラスにはそのほかアウディR8やBMW Z4がエントリーしています。しかし優勝争いは2台のGT-Rで行われていました。

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 その下にST-1というクラスがあります。2台しかエントリーしていないのですが、そのうちの1台はI.P.S 01という超レア車。というか、市販車と言うよりはレーシングカーとして最初から作られているようです。ぺったんこで格好いいです。

 1/60で流し撮り(^^; 真横でスピード変化があまりないですし、何よりピントの心配が少ないので、フレーミングに集中できます。

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 ST-2クラスは激戦区。四駆車のクラスです。ということで、ここはインプレッサとランエボの戦い。

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 最初から最後までぶつかり合って、とても激しい争いでした。WTCCもそうですが箱車はこういう接触もレースのうち、というのが見応えありますね。

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 さらに下のST-3クラスはフェアレディZなどが参戦しています。スピード的にはインプレッサとかの方が速いってことですかね。

 さらにその下のST-4、ST-5クラスは土曜日に決勝が行われましたので、この日は走っていませんでした。ST-4はS2000とかBRZなど19台がエントリーする激戦区だそうです。ちょっと見てみたかったかも。

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 F1と違ってWTCC/スーパー耐久は基本的に自由席です。ただしV,A,B,Qスタンドだけは追加で1,000円払ってエリア券を買う必要があります。
 せっかくなら今まで行ったことがないスタンドに入ってみよう、ということでエリア券を買ってまずはBスタンドへ。1コーナーからS字までが見渡せて、なかなか良い席です。

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 スーパー耐久はレース時間が長いので、途中で移動しCスタンドへ。2コーナーの立ち上がりを真正面から見ることも出来ますし、真横の流し撮りにはぴったりな観戦ポイントだと思います。

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 そしてF1では大人気でなかなか近づけないDスタンド、S字を抜けて逆バンクへ。ここはコースに対しスタンドの位置が非常に低く、コースが蛇行しているので、とても迫力のある写真が撮れます。人気の秘密がよく分かりました。

 さて、このカットは撮影データにあるとおり、テレコン付きで撮ったもの。ただしテレ端ではありません。トップに貼ったカットもそうです。AFエリアが動かせなくなって中央一点に限られる以外は、使用感は変わりませんでした。十分に光があったこともあって、F8対応のAFは十分に動体撮影にも使えると思います。

 他にもたくさんテレコン付きで撮ったのですが、選別作業をしたらほとんど落ちていました。AFの問題と言うよりはテレコンによる画質低下で、何となくピリッとしなかったり、それ以前にてぶれが押さえ込めなくなってブレたものがほとんどです。何しろ手持ちだったもので…

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 スーパー耐久は長丁場のレースの割に、最後は各クラスともテールtoノーズの大接戦となり盛り上がりました。

 さて、次はいよいよWTCCですが、Dスタンドが気に入ったので、移動せずにここから撮ることにします。

WTCC

 ということでいよいよWTCCの決勝です。ここ鈴鹿は全12戦中の11戦目。11周の超スプリントレースが2回行われることになっています。ツーリングカーとはいえ、鈴鹿のフルコースを2分ちょっとで走り抜けてしまうので、1レースはわずか30分ほどです。まずはレース1から。

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 今年からWTCCに参戦したシトロエン。ベース車は日本には導入されていないエリーゼという4ドアセダン。ホセ・マリア・ロペスは圧倒的な強さで今シーズンを勝ち進み、チャンピオンに王手をかけた状態で鈴鹿に乗り込んできました

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 シトロエンは、過去4回のチャンピオンに輝いたイヴァン・ミュラーをホンダから引き抜き、さらになんとWRCで9シーズン連続チャンピオンを獲得したセバスチャン・ローブをドライバーに起用。スター揃いです。

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 ホンダは今シーズンは苦戦しているそうです。それでもここはホームレースですから、声援も大きいしがんばっていました。

 しかしフランス車(しかもPSA車)乗りとしては、シトロエンを応援してしまいます。

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 今年ホンダシビックに乗るのはガブリエル・タルキーニとディアゴ・モンテイロがワークスチームから。さらに準ワークスチームにメディ・ベナーニとノルベルト・ミケルズというドライバーが乗ります。
 メディ・ベナーニはモロッコ人で、今回鈴鹿にはモロッコ大使率いる応援団が来ていました。

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 真っ赤な車体はラーダのグランタ。ロシア製です。元々小さいクルマなのか、派手なオーバーフェンダーつけて格好良かったのですが、あまり速くありませんでした。

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 スタート直後の団子状態、あまりの光景にファインダーを覗きながらアワアワしてしまい、秒間10コマでひたすら連写。ピント位置も流す中心もメチャクチャ。でも、いかにもツーリングカーのレースらしい光景ですよね。こう言うので先頭にピタッと合わせられるようになりたい…。残念ながらここまで密集するのは、いかにWTCCといえどもオープニングラップだけです。

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 一昨年までの王者、シボレーもワークスではなくなりましたが、RMLクルーズが何台も走ってます。格好いいんですけどね。本気を出してシトロエン、ホンダと三つどもえになるとさらに面白いのに。ジャンニ・モルビデリという懐かしいドライバーもシボレーに乗っていました。

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 さて、レース1はポールからスタートしたホセ・マリア・ロペスがそのまま逃げ切り優勝。今年のチャンピオンを決めました。

 続いて行われたレース2。迷ったのですが、もう一カ所、行ったことがないスタンドへ。シケイン手前のQスタンドです。ここもエリア券がないとは入れない場所です。

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 が、結論を言うとここは撮影ポイントとしては期待外れでした。いえ、観戦にはなかなか良い場所です。ダンロップコーナーからデグナーまで見通せるし、130Rを抜けてシケインの攻防、そして最終コーナーからメインストレートへ消えていくところまでが見えます。

 しかし写真を撮るにはイマイチ。障害物も多いです。なのでここではあまり写真が撮れませんでした。

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 WTCCも世界選手権で、ヨーロッパでテレビ放送される関係か、午後の遅い時間に行われます。レース2が始まったのは午後3時40分。西日を浴びてシケインへ飛び込んでくるWTCCマシンの隊列はなかなか綺麗なのです。

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 シケインは各車縁石を使いますが、さすが鈴鹿を2分で走り抜けるだけのことはあって、車体が跳ねたりするような不安定さは微塵も見られず、まるでフォーミュラカーのように路面に吸い付いたまま走り抜けていきます。

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 レース1は予選結果に従ってスタートしましたが、レース2は上位10台が逆グリッドでスタートするというルール。その結果予選10位だったホンダのタルキーニがポールスタート。逆にシトロエンは4列目あたりからスタート。タルキーニはしっかりと先頭の利を生かしきり、トップのままチェッカーへ。ホンダにホームレースの優勝をもたらしました。

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 ということで、初めて生で見るツーリングカーのレースをたっぷり体感してきました。フォーミュラカーでは殆どない近さでバトルする光景は、本当に面白いです。実際、自動車レースの根源的な面白さはこっちにあるのかも。

 しかしお客さんの数はF1とは比べものにならないくらいに少ないです。多分1/10以下ではないかと思われます。さらに言えば、観戦券も1/10近い値段です。

 天候も午前中は雲が多かったのですが、次第に晴れてきてWTCCは明るい日差しの下で、車体も輝いていました。しかし10月下旬ともなればさすがにうだるような暑さはなく、とても気持ちの良い一日でした。

EOS 7D Mark IIの動体撮影についての感想

 さて、EOS 7D Mark IIの動体撮影性能ですが、連写速度は本当に素晴らしいです。細かく計ると変動はあるのでしょうが、体感ではAFの状態がどうであろうと安定してズババババッ!とシャッターが切れていきます。大きく、重たいボディが幸いしてショックもなく非常に軽やか。しかもファインダーの消失時間も短く、ファインダー像もしっかり安定しています。やはりここはOVFの面目躍如たる部分だろうと思います。EVFでは絶対にこうはいきません(と根拠はないですが断言したくなります)

 肝心のAFですが、期待通りに素晴らしい性能でした。カメラを構えてシャッターボタンを半押しした直後の初動も速く、その後すぐにしっかりと食いついてピントを合わせ続けてくれます。これはかつて私が経験したことのない世界。流し撮りに対応した光学手ぶれ補正でファインダー像も安定しますし、従ってピントのことは心配することなく、フレーミングに集中できるという点でとても余裕を持った撮影が出来る、と思いました。

 ほとんど始めて触る、使い慣れていないカメラでこれだけ安心して撮れる、ということに素直に感心してしまいます。

 ただ、それでもすべてのピントが完璧というわけでもありませんし、やはり最終的にはブレがNGカットの大半を占める状況も変わりません。

 WTCCとスーパー耐久は、やはりF-1と比べると速度がずっと遅く、マシンの面積も広くてピント合わせのシビアさが少々違いすぎます。出来ればK-3も持ち込んで比べたかったのですが、そこまでの荷物を担いでいくことは出来ませんでした。

 そこを割り引いて考えてみても、きっとこれならF1でも捗るだろうな、と思います。AFまわりの設定は分かってないことも多く、もっとその辺を色々試して、自分なりに最適設定を見つけていけば、今までは何だったのか?と思うほどに捗るだろうな…と。こうなると二強のもう一角も試してみたくなる… というのはさておき、EOSのAFの底力を思い知った一日でした。