これまた今更な内容なのですが、購入以来4ヶ月ほど使ってみてようやくF600EXRのGPSの使い方が分かって来ました。写真にジオタグがつくと色々と便利なわけで、私としてはコンパクト機に限らず一眼レフにもGPSは内蔵して欲しい機能だと思っています。しかし、デジタルカメラに内蔵されたGPSは、現時点では捕捉のスピードや精度、電池の消費などなど色々と微妙な事があります。それはF600EXRももちろん例外ではなく、上手く使いこなすにはかなりコツがいるようです。私なりに発見した使い方をまとめてみました。
使いこなしにコツが要ると言うことは、それだけまだ未完成な機能と言えますが、ジオタグがつかなくても撮れる絵には違いはありませんので、上手くいけばラッキーくらいの割り切りも必要です。(って、言ってることがすでに矛盾してるかも^^;)
前機種のF550XRでもGPS機能は搭載されていて、それと基本的な部分は変わっていないのですが、F600EXRではGPSに加えて電子コンパスも内蔵され、位置だけでなく方角も記録できるようになっています。またこのコンパス機能を用いて新たな機能も搭載されています。
まずはGPS機能を有効に使うためのTipsです。4ヶ月使い込んで私なりに編み出したものです。
GPSを確実に捕捉するための設定
デジタルカメラ内蔵のGPS機能で一番気になるのが測位にかかる時間です。全く測位できていない状態から最初に測位完了するまで(コールドスタート)は5分以上かかることも珍しくありません。カメラはこまめに電源OFFするものなので、最悪一日経っても最後までジオタグがつかないことも大いにあり得ます。
そこでF600EXRの場合は以下のように設定することで、見かけ上のコールドスタート時間が短縮され、条件が良ければ撮影開始後の数カット目から早くもジオタグがつく確率が高くなります。
ポイントは「測位モード」と「移動軌跡」の設定です。測位モードは「電源ON時のみ」と「常時ON」の二つがありますが、前者だと測位がなかなか完了しません。後者の「常時ON」にすることで、電源OFF時にも測位が継続して行われるので、GPS衛星を補足しやすくなります。ただしこれだけでもまだ不足で、場合によっては測位完了するまで半日くらいかかる場合があります。
そこでさらに「移動軌跡記録」をONします。この設定を行うと測位間隔が短くなるのか、測位完了までの時間が圧倒的に短縮されます。空が開けた場所なら、電源ON/OFFにかかわらず10分も経てば完了しています。一度GPS衛星が捕捉できると、再測位はすぐに出来るので、移動してもそれなりの精度、間隔で追いかけてきます。移動軌跡データはSDカードに同時記録されるのですが、サイズは小さいので不要であれば気にすることはありません。
もちろんこの設定にすると、電池を消費しますが、私がこれまでに経験した範囲内では、朝から晩まで100枚程度の撮影で電池マークの目盛が一つ減るかどうかという程度。保管時や夜寝てる間など、数時間以上カメラを使わないときは、上記二つの設定をOFFするマメさは必要です。幸いGPSの設定はFボタンからすぐにアクセスできますので、それほど手間ではありません。
さて、これで設定が済んだので、以下ではF600EXR内蔵のGPSで出来ることを順番に紹介します。
ジオタグ記録
まず基本機能としては、撮影した写真にその場所とカメラを向けた方位が記録されます。これがいわゆるジオタグ。EXIFの規格でフォーマットが決まっており、F600EXRではGPSによる位置情報だけでなく、デジタルコンパスにより方位情報(カメラがどちらの方角を向いていたか)も記録されるようになりました。地図にマッピングすると、(いつ)どこで、どっち向かってシャッターを切ったのかがすぐに分かります。
で、これらの写真をF600EXR同梱のビューワーソフト”MyFinePix Studio”で見てみると、こんな風に表示されます。位置情報から地図上にマップされるのは当たり前として、円グラフのようなマークでカメラが向いていた方向を表しています。写真とともに見返すのもなかなか面白いですし、単純に記録にもなりますし、場合によっては撮影した状況を理解するのにとても役に立つ情報になります。
移動軌跡
次に移動軌跡記録。上記の通り、GPS衛星の捕捉時間を短縮するために設定ONすることで、移動軌跡のファイルが記録されます。このファイルの扱いについてはF550EXRの記事(→ F550EXRのGPS機能)に詳しいので、そちらを参照願います。F600EXRでもこの機能に関しては出来ることは同じです。例として、先日の越後湯沢へスキーに行ったときの移動軌跡をGoogleマップに読み込んでみました。
東京から関越道でまっしぐら!ですね。さらにスキー場の部分だけ拡大して見ると…
こんな感じです。スキーは徒歩よりは移動が早いので、滑ったコースをすべてトレースというわけにはいきませんが、まぁ、あちこち一生懸命滑ったんだな、と(^^;
と、こんな感じで簡易ロガー的に使えます。スキーはともかく、知らない町を散歩しながら写真を撮ったりした場合、どこをどう歩いたんだろう?と言う記録が残しておけるのは何かと便利です。写真のジオタグと合わせてみれば非常に正確かつ詳細な旅(散歩)の記録になります。
ランドマークナビ
F600EXRから追加になった新機能です。というのもこの機能はGPSだけでなく電子コンパスも利用しているから。宣伝文句によるとAR(現実拡張)技術だというのですが、実際はそんな大層なものではありません。
そのまま今度はカメラを起こして、普通に写真を撮るような状態にすると… レンズが捕らえた映像にランドマーク情報と方角がオーバーレイされます。なるほど、この辺がARっぽいわけですね。
なかなか凝っていて面白い機能ですが、実用性は?です。特にスマホがこれだけ普及した現在、これで目的地や現在地を調べるようなことはまずないでしょう。
フォトコンパス
カメラ内にあるジオタグのついた写真が、現在地からどの方向にどのくらい離れた場所で撮影されたのかを再生画面に表示する機能です。GPSしか使いませんので、F550EXRでもサポートされていたものです。
これは上手くいった場合の例。現在地から北西に160kmの場所で撮った写真だと表示されています。もちろん直線距離です。方角の情報が含まれていますが、単にジオタグの位置情報と現在地情報の相対位置を表示しているだけです。
なるほど、そういうこと知りたい場合もあるかもね、とは思いますが、これもどちらかというとおまけ機能だと思います。
位置情報コピー
そしてジオタグはカメラ内でコピー&ペーストが出来ます。
メニューから「位置情報コピー」を実行したら、コピー元の写真 → コピー先の写真を指定するだけです。と言っても画面に表示される指示はあまり親切ではありませんが。1枚毎の作業になるので、数枚程度の修正なら便利だと思います。
GPS情報によるピクチャサーチ
撮影済みの写真を検索する機能です。
これを実行すると、記録済みの写真の中からジオタグに関連づけられた地名、またはランドマーク名の一覧が、五十音順かまたはアルファベット順で表示されます。
試しに「イナワシロスキージョウ」で検索すると…
当然、「イナワシロスキージョウ」(=猪苗代スキー場)のジオタグがついた写真だけが表示されます。ただし、一枚ごとの表示またはスライドショーのみで、サムネイルの一覧表示などは出来ません。
SDカードも4GB、8GB当たり前になっている今日この頃、1枚のカードに1,000枚単位で記録できてしまうわけで、検索機能は充実するに越したことはありません。地名で検索できるというのは結構便利かも。これで一覧表示が出来ればなお良いのですが。
まとめ
と言うことで、F600EXRのGPS関連だけでもこれだけ多機能なのですが、重要なのは2つの基本機能、位置情報と方角を写真に記録しておけること、そして簡易ロガー的に移動軌跡を残しておけるというこの2点だと思います。私個人としては、少なくとも今後買うコンパクトカメラにはGPSは必須機能の一つだと思っています。
F600EXRの後継機、F770EXRはGPSの感度が向上し(→ GPS衛星の捕捉が早くなる)低消費電力化が図られてると言うことで、より使いやすくなってるようです。
そう、写真のジオタグなんてスマートフォンは当たり前に記録できてるわけですし(電源がONされてる頻度が高く、3GやWiFiのアシストなどがあるので条件はずっと良いわけですが)、デジタルカメラでも何も気にしなくても当たり前のようにジオタグがつくようになればと、今後の性能向上に期待したいと思います。
移動軌跡おもしろいですね!見事にリフトとコースをたどっているのがスゴい。
明日からCP+だけど流石に明日休みなのはおれくらいなもんだろうなぁ・・・
○ながしまさん、
滑走軌跡は無理ですが、リフトはそこそこ速度が遅いので大体トレースできてますね。地図の方にちゃんとスキー場のレイアウトが描かれてないのが残念です。
○ふさん、
明日CP+に行くのですか?私も行く予定ですが、明日はちょっと無理ですねぇ。「カメラショー」だった頃が懐かしいですね。