みんぽすさんよりお借りしているFinePix F550EXRのレビュー3回目です。このカメラには、最近の流行の機能の一つとしてGPS機能が搭載されており、撮影した写真にジオタグ(撮影地情報)を自動的に埋め込むことができます。
私個人的には、ものすごく欲しい機能ではないのですが、あればとても便利かも?とは思いますし、もしかしたら一度体験したら手放せなくなる類の機能かもしれません。ということで、F550EXRのGPS機能色々試してみました。
実は、以前にニコンのCoolPix P6000というGPS内蔵のカメラを使っていたことがあります。当時はジオタグ付き写真の黎明期で、まだ使用方法もよく分からず、それ以前に測位があまりにも遅い上、電池を激しく消費してしまい、使い物にならなかった記憶があります。最新のGPS内蔵カメラの実力はどんなものでしょうか?
測位モード設定
まずはGPSに関連した設定方法から。F550EXRのGPS関連の設定はメニューからセットアップに入り、2ページ目にあります。撮影モードによらず、常にGPSは使用可能です。
GPS関連の設定可能なメニュー。”GPS”マークがついている4項目が該当します。中でも重要なのが一番上の”測位”という項目。OFF/測位1/測位2の3つが設定可能です。
”OFF”はGPSを使用しない場合。もちろんジオタグは記録されません。”測位1″は電源OFF時にも10分間隔で定期的に測位するモード。”測位2″は電源をONしたときのみ数秒間隔で測位するモードです。
普通に考えると”測位2″が良いような気がするのですが、このモードで全く測位してない状態から電源を入れ、位置を特定するまでは5分はくらいかかってしまう場合が多く、こまめに電源ON/OFFし(普通はそうすると思いますが)、移動を繰り返していると、全く測位できないままになってしまうかも知れません。ちなみに一度測位に成功すると、その後はわりと早く位置が特定できるようです
では”測位1″はどうなのか? 電源OFF時にも測位を繰り返すため、設定後しばらくすれば撮影しているしていないに関わらず、ちゃんと位置が取れるようになり、ジオタグの記録可能な頻度や、精度が上がります。当然こちらのモードのほうが電池を食いますが。
ということで、私は常に”測位1″で使うことにしました。電池はこまめに充電すれば問題なさそうです。満充電状態から持ち出して、丸々1日使用しても途中で電池切れになるようなことはなく、電池容量には余裕がありました。
位置情報表示
メニューにあるもう一つの項目、”位置情報表示”はジオタグが記録されたファイルを、カメラで再生する場合に、内蔵されたデータベースから、その撮影地の名称などを表示するかどうかの設定。ONとOFFが選べます。
位置情報表示をONにした場合の再生画面。記録されたジオタグから、カメラ内部のランドマーク情報のデータベースを参照し、単に東経や北緯ではなく、その場所の名称がカタカナで表示されます。上の例は城南島海浜公園で撮った写真です。
地図が内蔵されていたりはしないのですが、名称が表示されるだけでも、人に見せたりする場合にはなかなか便利な機能です。もちろん備忘録としても役立ちます。
ジオタグと地図のリンク
で、とりあえず1枚だけ作例として写真を貼ってみます。例えば↓こんなの。
そのジオタグの生データをExifビューワー(PhotoMeを使いました)で見ると、こんな感じになっています。緯度、経度、標高、時刻などなど、様々な数字が並んでいます。
これだけ眺めていても何なので、この情報を地図とリンクさせると、よりわかりやすくなります。
例えば上の写真をアップロードしたFlickrにも写真の撮影地を地図とリンクさせる機能があります。ジオタグ入りの写真をアップロードしただけでは、なぜか自動でマッピングはされず、画面の右上にある”Add this photo to your map!”をクリックすることで、上のようにジオタグが読み込まれ、マップに位置情報が保存されます。
こうして自分のPhotostreamの写真が、どんどん地図上にリンクされていくのはなかなか楽しいものです。残念ながらFlickrが使っているのは米Yahooの地図なので、中身がスカスカなのですが。
そしてもちろん、F550EXRに標準添付されたソフトウェア、”MyFinePix Studio”でも地図とのリンクが簡単に確認できます。
上の写真を含む亀戸天神で撮影した複数の写真を選択し、MapViewerを起動すると、上のような画面になります。この例だと1枚だけ誤差が大きく出ていますが、概ね正確で狭い範囲の移動もしっかりと記録されています。
なお、このスクリーンショットで表示さている、経路を示す黄色い線は、次に説明する”移動軌跡”とは違い、写真のExifからこのソフトウェアが作り出したものです。位置情報と記録時間を参照すれば、移動経路は自ずとわかりますから。また、この地図上へのマッピング情報は保存することができます。
ジオタグを地図とリンクさせる方法や、ビューワー等のアプリケーション、使い道は他にもいっぱいあると思いますが、私が試したのはまずはここまで。
移動軌跡をGoogle Mapへ
さらに、F550EXRのGPS機能の設定画面には”移動軌跡”という項目があります。これは写真を撮ったときにExifにジオタグを埋め込むのとは別に、カメラの移動した経路を別のファイルに記録するものです。いわゆるトラックファイルと呼ばれるもの。GPSロガーなどが吐き出すデータとほとんど同じです。つまり、このカメラが簡易的なGPSロガーとしても使える(かもしれない)と。
書き出される移動経路のファイルは、写真ファイルが書き出される”DCIM”フォルダとは別に”FGPS”というフォルダに1日単位で書き出されます。フォーマットはNMEA形式で、拡張子は.logとなっています。
このファイルの利用方法も色々あると思うのですが、まずはGoogleMapに表示させてみることにしました。しかしGoogle Mapに移動経路を表示させるには、トラックファイルをGoogle MapがサポートしているKML/KMZ形式に変換しなくてはなりません。トラックファイルのフォーマット変換には、いろいろなソフトやサービスがあると思いますが、私はググって見つけた”GPSツール GMM2.exe まとめサイト“の”Tcx2Gpx Ver0.3.2“というFlashアプリを利用させて頂きました。
変換が完了したら、Google Mapで新しいマイマップを作り、作成したKMLファイルをインポートすると、以下のようになります。
より大きな地図で F550EXR GPS軌跡データのサンプル を表示
GWの前半に栃木県まで遊びに行ったときの移動経路です。宿泊したサンタヒルズから、思い立って遊びに行ってみたアルパカ牧場(予定外の問題が生じてアルパカは見られなかったのですが)まで、主に車で移動した経路が記録されています。
測位モードは”測位1″に設定し、電源OFF時にも定期的に記録するようにしたので、車で移動中も測位していたはずです。が、測位間隔が10分であることと、車の中なのでGPS衛星が捕らえられていない可能性が高く、移動した途中の経路はかなりすっ飛ばされていい加減になっています。
しかしそこそこ長い時間滞在して、写真を撮っていた場所を見てみると、割と細かく記録されています。ここは出発地のキャンプ場付近を拡大してみたところ。この例みたいな場合はGPSによる移動軌跡としてはあまり意味がありませんが、車などではなく、徒歩で移動しながら写真を撮るような場合は、割と精度良く経路が記録されるのではないかと思います。
いずれにしても、Google Mapには複数のKMLファイルをインポートできるので、旅の全行程を表示したりして、簡単な移動記録くらいにはなるかと思います。
まとめ
ということで、ざっくりとF550EXRのGPS機能を確認してみました。ちょっと面倒ではありますが、カメラを使わないときは測位をOFFにしつつ、出かけるときに測位1に設定していれば、知らない間に測位が完了し、特に測位状況を意識することなく写真を撮っていても、最初の数枚を除けば、ほとんどのカットでほぼ正確にジオタグが記録されていました。
GPS内蔵のカメラは他メーカーからも色々出ていますが、測位速度、測位間隔などまだ差があるようです。また中には地図を内蔵しているカメラなどもあり、機能もまちまち。他のGPS付きカメラを使ったことがない(P6000を除く)ので比較はできないのですが、今回F550EXRを触ってみた印象では「GPS機能は是非欲しいな」と思えるだけのものがあります。移動軌跡は半ばおまけ機能だとしても、やはり写真に撮影地を記録できるのは便利ですし、色々と使い道が膨らみます。
となれば、願わくはもっと測位速度を上げて、測位間隔を短くし、電池の持ちを良くして… と各メーカーがすでに努力しているであろう当たり前のことを期待してしまいます。もう少し現実的なことを言うと、GPS機能のON/OFFはもっと設定しやすい場所にメニューを置いて欲しいです。できればダイレクトキーがあると良いかも。何だったらハードウェアスイッチとか。
ということで、写真へのジオタグ記録はiPhoneなど携帯機器では当たり前にできることですし、やはりコンパクトカメラも今後は必須機能の一つになっていくのかも。そして一眼レフカメラも…?
コールドスタートからの補足がGPS機器の宿命だなぁ。あと電池。
補足を数秒以内まで短縮するか、ずっと測位していても電池減らなくするか、どっちかだね。それなりに使えるけど、このカメラのGPSはもう一歩だと思う。