みんぽすさんよりお借りしているFinePix F550EXRのレビュー2回目です。非常に多機能なカメラですが、まずは基本となるフルオート状態で使えば、ほとんど何も設定することなく、その高性能を生かすことができます。F550EXRには従来の「EXRオート」をさらに進化させた、「プレミアムEXRオート」というモードが搭載されています。これがF550EXRの一番基本にして売りのモードとなっています。
プレミアムEXRオートとは、被写体が人物かどうかの判断とシーン自動認識機能に加え、富士フイルムオリジナルのEXR CMOSセンサーの特性を生かした、3つのEXRモードの自動選択機能を合わせたものです。
シーン認識と併せて、自動で選択される3つのEXRモードとは、解像度優先のHRモード、広ダイナミックレンジ優先のDRモード、そして低ノイズ優先のSNモードです。特に後の二つのモードがEXR CMOSセンサーを搭載するFinePix F550EXRオリジナルの機能です。
ということで、まずはこのプレミアムEXRオートのままで、どのくらい綺麗に撮れるのか、いろいろなシーンで写真を撮りつつ、カメラの基本的な使い勝手もチェックしてみました。
以下の写真はFlickrにアップロードしたものです。Lightboxにリンクを張ってありますが、撮って出しの未加工オリジナルファイルをそのままアップロードしてあります。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(DRモード, 風景, ISO100, DR400%, 1/680sec, F3.5, 24mm相当)
亀戸天神の藤棚とスカイツリー。ワイド端で撮りました。遠景ということでシーンモードは風景に設定されました。EXRモード的には解像度優先で撮りたいところかも知れませんが、藤棚周辺のシャドー部と空のコントラストが高いためかダイナミックレンジ優先モードで400%に設定されました。DRモードになると記録解像度は半分の800万画素になります。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(DRモード, 風景, ISO100, DR400%, 1/420sec, F4.5, 57mm相当)
同じく亀戸天神。少し望遠よりにズームしています。これもまた石灯籠のシャドー部があるためかダイナミックレンジは400%に設定されました。こういう晴天時の風景はダイナミックレンジ優先に設定されやすいのかも。HDRのような不自然さもなく、空の階調が飛んでしまうこともなく、見た目通りに綺麗に写ります。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(HRモード, AUTO, ISO100, DR100%, 1/220sec, F6.2, 250mm相当)
その石灯籠の上にいた鳩。目線来ています。250mm相当の望遠で撮りましたが、シーン認識では何だか分からないと言うことで普通のAUTOとなりました。EXRモードも解像度優先で1600万画素で撮影されています。極小ピッチのセンサーなので等倍で見ると、エッジが溶け気味ですが、羽の質感もそこそこ出ているようです。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(HRモード, AUTO, ISO320, DR100%, 1/125sec, F6.2, 240mm相当)
亀戸天神の亀。こちらもかなり望遠より。それほど遠景ではないと思うのですが、やはりシーン認識はただのAUTOでEXRモードは解像度優先になりました。日陰の少し暗いところだったので、シャッタースピードを稼ぐために感度がISO320まで上がっていますが、このくらいならまったくS/Nの悪化は感じません。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(DRモード, AUTO, ISO100, DR200%, 1/210sec, F3.5, 24mm相当)
とあるショッピングセンターの中。外光がたっぷり入っているので結構明るいですが、明暗差がそこそこあると判断されたのか、ダイナミックレンジ優先になりました。しかしダイナミックレンジ設定は200%と少し控えめです。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(HRモード, 風景, ISO100, DR100%, 1/400sec, F5.3, 360mm相当)
スカイツリーのてっぺん部分のアップ。望遠端いっぱいに設定して撮りました。ある程度望遠になるとシーン認識が適当になるのかと思えば、これはちゃんと風景と認識されています。ほぼ無限遠だからですかね。明るいし明暗差もほとんどないのでEXRモードは解像度優先に。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(HRモード, AUTO, ISO640, DR100%, 1/30sec, F3.5, 24mm相当)
とある飲み屋さんの店内。誰もいないのは時間が早いから。そこそこ暗いのでシャッタースピードも遅く、感度もISO640まで上がっているので、低ノイズ優先になるかと思えば、なぜか解像度優先のままになりました。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(SNモード, マクロ, ISO1250, DR400%, 1/30sec, F3.5, 24mm相当)
ならばと言うことで、鉄板で焼いているお好み焼きを撮ってみました。感度はISO1250まで上がっており、さすがにこれは低ノイズ優先モードになりました。確かにコンパクト機とは思えない低ノイズです。そして鉄板が黒くてコントラストがあるためか、ダイナミックレンジも400%に設定されました。これってダイナミックレンジ優先モードとどう違うんですかね?
ちなみにシーン検出はマクロとなっていますが、これはもちろん撮影距離が近いから。最近はこういうカメラが増えてきましたが、近いものにピントを合わせようとすると、特にAFモードを切り替えることなく自動的にマクロモードに入ります。これすごく便利です。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(SNモード, AUTO, ISO1250, DR200%, 1/60sec, F5.2, 94mm相当)
夕方の街角の風景ですが、これも低ノイズ優先モードになりました。明暗差もあるのでダイナミックレンジも200%に。見た目よりもちょっと明るく写ってるかも。本当にISO1000オーバーとは思えない低ノイズです。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(DRモード, 風景, ISO100, DR400%, 1/420sec, F3.5, 24mm相当)
林の中に佇む黄色いシトロエンDS3。明暗差がかなり大きいのでダイナミックレンジ優先モードに。露出も空に引きずられすぎることなく、そこそこ明るく写りました。それは良いのですが… なんとなく画面上部、空と枝のあたりの描写が妙な感じがします。ハイライトのエッジの色つきもかなり露骨に出ていますが、なんかボヤッとしすぎではないかと。一番最初の亀戸天神のカットもそうなのですが、ワイド端では時々こういう片ボケのような写り方をすることがあります。仕様なのか個体差なのか分かりません。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(HRモード, 風景/スノー, ISO100, DR100%, 1/600sec, F5.3, 360mm相当)
羽田空港に着陸しようとしている飛行機。スカイネットアジア航空のB737です。望遠端が300mmオーバーと言うことで、半ば冗談で飛行機を撮ってみたのですが、意外に撮れてしまうのでびっくりです。空を撮ると目立ちがちな周辺減光もあまりありません。ちょっと中心を外してますが、高解像度優先モードで1600万画素ですし、このくらいならトリミングで何とでもなりますね。シーン検出はなぜかスノーとなっています。
FinePix F550EXR, プレミアムEXRオート(SNモード, マクロ, ISO800, DR200%, 1/52sec, F4.3, 49mm相当, スーパーiフラッシュ)
これ、あまりいい作例ではないのですが、何が言いたいかというと、このカメラのフラッシュ制御がすごいのです。スーパーiフラッシュと呼ばれているのですが、要するに環境光を生かした自然なフラッシュ撮影ができると。同じような触れ込みの機能は他メーカーや他機種でもあるのですが、個人的に今まで見たフラッシュ制御の中では、このF550EXRは最も自然で綺麗に撮れると思います。
室内撮影で人物を撮る場合などで一番威力を感じるのですが、部屋全体の明るさも適度で、フラッシュが当たった人物もごく自然に明るく写るのです。ここに貼ったようなマクロのフラッシュ撮影は、絶対に上手く行かない条件の一つだと思うのですが、雰囲気があるかどうかは別にして、記録としては十分すぎるほど普通に綺麗に写ります。影もそれほど気になりません。
この高いフラッシュ性能を体験すると、電源オン時に必ずフラッシュがポップアップするというのも分かる気がしてきました。基本的にはフラッシュのON/OFFも含めて、全てをカメラ任せにすれば間違いがない、ということなのだと思います。
ということで、フラッシュ含めプレミアムEXRオートは、完全カメラ任せのフルオートとしては、かなり理想に近い仕上がりになっていると思います。特に高感度に強いのはいつでもどこでも撮れるという点で大きいですし、HDRなどの力業を使わずに、広大なミックレンジを目指すというのは、さすがフィルムメーカーとしての良心の表れだとも思います。
F550EXRはこれ以外にも多くの露出モードを持つ、非常に高機能で多機能なカメラですが、いっそのことこのプレミアムEXRオートのみに絞った、もっとシンプルなカメラがあってもいいのではないかと思えます。究極のフルオートコンパクト機として。
F550EXRのレビューはまだしばらく続きます。
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