新年を迎えて気分も新たにPCを新しくしました… と言うわけではないのですが、年末にひょんなことから動作不良のショップブランドのミニタワーPCを一台入手しまして、それを改造がてら新しくサブPCを一台組み上げたのです。元が完成品のPCとはいえショップブランドですので、使用されてるパーツ類は標準品ばかり。自作PCと同様に手を入れるのは自由自在です。
とりあえずマザーボードとCPUのみ交換することにして、新しいプラットフォームを何にするか?が問題でしたが、秋葉原をうろうろしながら結局手にしていたのは、AMDの新世代チップ、CPUとGPUをシングルダイに統合したFusion APUプラットフォーム。それも超低消費電力版のE-450にしてしまいました。
Fusion APUでもデスクトップ用途のAシリーズと違い、Eシリーズは本来モバイル用です。もっと分かりやすく言うと、IntelのAtom対抗プラットフォームです。なので自作機用でEシリーズを選ぶとなるとミニITXが主流なのですが、ASUSから一つだけM-ATXのマザーボードが販売されていました。
マザーボード本体。マイクロATXの中でも一回り小さいようです。青い巨大なヒートシンクの下にはAPUのE-450とFCH A50Mが隠れているはず。メモリーはDDR3-1333が2スロットのみ。
その他、PCI-Expressスロットが二つ(x4とx1)、PCIスロットが二つと、モバイルプラットフォームにしては拡張性はかなり高い方です。その他A50Mが提供するI/FとしてUSB2.0が12ポート(バックパネルには4ポート)、SATA 6.0Gが6ポート(うち一つはeSATA)などとなっています。HD AudioとGigabit LANは定番のRealtekのチップが使われており、これらに加えてASMedia製のUSB3.0コントローラとVIA製のIEEE1394コントローラもオンボードで搭載という、何でも入りのマザーボードです。
ということで、PC改造と言ってもマザーボードとCPUをごっそり入れ替えただけです。メモリーは元々のPCがDDR3-1333を4GB積んでいたのでそのまま移植。電源やドライブ類もそのまま流用です。結果的に以下のような構成のPCが出来上がりました。
新2号機 | |
---|---|
CPU | Fusion APU E-450(2core 1.65GHz) |
M/B | ASUS E45M1-M PRO |
GPU | Radeon HD 6320(E-450内蔵Graphics) |
Memory | DDR3-1333 2GB x2pcs |
SSD | OCZ VERTEX 120GB |
HDD | WD10EADS(1TB) |
DVD | TSST SH-S223C |
Power Unit | Non Brand 450W |
OS | Windows7 Home Premium 64bit |
Monitor | EIZO L-997-R |
早速OSをインストールして動かしてみました。E-450はクロック周波数1.65GHzのデュアルコアCPUを内蔵しています。コアはPhenom世代のK10コアから一新して、Bobcatと呼ばれる全く新しい設計のコアだそうです。シングルスレッド性能よりは、マルチコアを構成したときのマルチスレッド性能に重点が置かれているそうで、単純作業には弱いとの噂も。
でも、OSのインストール始め色々なセットアップをしている限り、そんなにストレスを感じることはありません。というよりはむしろサクサク動きます。普段使うPCなんてこれで十分じゃん!と言ったところが正直な感想。
Windows7のシステム情報の画面。プロセッサはCPUではなくちゃんとAPUとして認識されています。OSは64bit版ですが、使用可能なメモリーが3.6GBしかないのは、500MB強を内蔵グラフィクスが使用しているから。32bitOSだとさらにI/Oがアドレスを使うのでもっと減ってしまうはず。いずれにしてもできればメモリーは4GB x2枚搭載したいところです。
さらに、CPU-Zで詳細な情報を見てみました。キャッシュの量なども分かるようになっています。さすがモバイル用とあって動作電圧が1Vを切っていてかなり低いですね。また、クロック周波数が1.65GHzではなく832MHzと表示されていますが、これは省電力機能が働いて、軽負荷時はクロック周波数が半分に落ちているためと思われます。いわゆるAMD伝統のアクティブ省電力機能のCool’n’Quiet機能が働いているようです。
Phenom IIなどのデスクトップ用のもっと高速なCPUも、結局軽負荷時はCool’n’Quietによって800MHzくらいまでクロック周波数が落ちるようになっているので、軽い作業をしてるときの動作感にあまり差がないのは当たり前なのかも。
ではパフォーマンス詳細をベンチマークで… と思ったのですが、その辺はすでに専門のネット記事に詳しいので、とりあえずWindowsエクスペリエンス・インデックスだけ紹介しておきます。
このように一番弱いのがプロセッサ。3.9というスコアはギリギリ最低限と言えるのかも。ちなみにPhenomII X6 1090T(6コア/3.2GHz)だと7.5、PhenomII X2 555(2コア/3.2GHz)では6.5となります。IntelのCPUは使っていないのでデータを持っていません(^^;
グラフィクス関係は内蔵グラフィクスにしては非常に優秀です。まさにFusionのコンセプト通りなのでしょう。私は久しく単独のグラフィクスカードを使ったことがないのですが、ローエンドカード並の性能はあるのではないでしょうか。ちなみにAMD890GX内蔵のRadeon HD4290ではWindows Aeroが4.6、ゲームが5.6です。E-450の内蔵グラフィクスはこれとほぼ同じと言うことになります。
Fusion APU Eシリーズの一番の特徴はこれらの性能を持ちながら、非常に低消費電力であること。つまり、上の性能指標の数字自体は大したことないように見えますが、消費電力当たりで考えると非常に高性能となるはずです。ということで、上記システム全体の消費電力をワットチェッカーで測ってみました。
新2号機 | 1号機 | |
---|---|---|
電源OFF | 1W | 0W |
スリープ | 2W | 3W |
Windows7起動中 | 42W (peak) | 140W (peak) |
Windows7起動後(Idle) | 28W | 82W |
Firefox起動 | 40W (peak) | 120W (peak) |
Prime95(CPU全負荷) | 43W | 193W |
新2号機が今回組み立てたFusion APUのPC。1号機は参考データで、現在私が主に使っているPhenom II X6 1090T(6コア/3.2GHz)のPCです。もう1年半前の組み立てたもので、現在でも十分な性能を持ったATXマザーボードのミニタワーPCです。
E-450自体のカタログ上の消費電力は18Wなのですが、周辺回路諸々合わせてピークで42Wほどになりました。概ね1号機の1/3くらい。これでCPU性能はともかく、グラフィクス性能は同等なわけです。1TBの3.5インチHDDを含んでいますし、これでもデスクトップPCとしてはかなり低消費電力です。このくらいの消費電力ならACアダプタ運用もできてしまいそうです。
あともう一つ、マザーボードがファンレスなのでかなりの静音PCとなりました。ケースファンも回さずに電源ファンだけでエアフローを確保すれば大丈夫なようです。少なくとも冬の間は。そうなると、電源ファンの音が気になってくると言うのは静音スパイラルの入り口わけですが、しばらくはこのままで使おうかと。
とりあえず問題はこのPCの使い道です。特にないんですよねぇ(^^;
関連エントリー PCの消費電力(2011年3月30日)