K-7に対するK-5のアップデート点は多岐に渡っていますが、その中の一つとしてカスタムイメージに「銀残し」という設定が追加されたことがあげられます。すごく重要な機能というわけではなく、どちらかというとおまけに近いのですが。
PENTAXのカスタムイメージは「鮮やか」や「ナチュラル」のような、広い範囲に対応できるバランスの取れた設定だけでなく、非常に極端で特定の効果を追い求めた尖った設定がいくつかあります。K20D世代からサポートされている「雅」もそうですし、K-7で加えられた「ほのか」や「リバーサルフィルム」もかなり極端で飛び抜けています。そしてK-5では新たに「銀残し」が加えられました。
PENTAX K-5, SIGMA APO120-400mmF4.5-5.6 DG OS HSM, F8.0 Auto (1/1250sec, ISO200, -1.0EV, CTE, 400mm), 銀残し
羽田空港に着陸しようとしているJALのB767-300のどアップ。夕日を浴びてキラキラと光っていました。「銀残し」を使うと、ローキーになってボディの質感が浮かび上がってくるようです。
ただアンダー目に露出を設定するのとは違い、ローキーで彩度は非常に低くコントラストは高く、調色が加わります(上の写真はオレンジに設定)。もともと「銀残し」というのはフィルムの現像手法の一つで、引き締まった渋い映像を得るために、わざと現像工程の一部を省くなどして、現像を未完に終わらせ、フィルムや印画紙に感光剤である銀を残留させる手法だそうです。
K-5にカスタムイメージの一つとして搭載された「銀残し」は、そのフィルム時代からある映像表現をエミュレートしたものです。そりゃデジタルなら簡単にできますからね。そして、得られる結果からして、上に貼った飛行機のような金属製の物体や、もともとコントラストの高いシーンにおいて、その雰囲気を強調するのに向いているのではないかと思います。
PENTAX K-5, DA FishEye Zoom10-17mmF3.5-5.6ED, F6.3 Auto (1/800sec, ISO100, AWB, 10mm), 銀残し
金属製の物体といえばスカツリ。魚眼レンズで真下から見上げてみました。空の青色がより深くなってとても奇麗です。もともと逆光ぎみなのですが、銀残し効果でよりコントラスト感が強くなっています。
PENTAX K-5, DA 21mmF3.2AL Limited, F5.6 Auto (1/15sec, ISO400, AWB), 銀残し
夕方の風景も明暗差の大きなシーン。本当は夕焼けの奇麗な発色を期待したいところですが、敢えて銀残しで撮ってみると… 確かに色は薄いですが、それほど極端な画質調整をしたとは思えない、意外なほどに自然で普通の写真になりました。
PENTAX K-5, FA 31mmF1.8AL Limited, F8.0 Auto (1/320sec, ISO200, AWB), 銀残し
明暗差の大きいシーンということで、西日の差すとある駅のホーム。目で見てもほとんど色が感じられない状況でしたが、まさに見た目の印象そのものという感じに写りました。調色をデフォルトのグリーンのままにしているので、何となく緑がかっています。
PENTAX K-5, DA★60-250mmF4ED, F4.0 Auto (1/1000sec, ISO200, +0.3EV, AWB), 銀残し
ここで一転、もっとも銀残しに合わなさそうな、カラフルで奇麗で柔らかそうなものを敢えて撮ってみるとどうなるのか? ということで菜の花畑です。逆光じゃないのに逆光で撮ったみたい。うーん、でもやっぱりこれはイマイチかな。
PENTAX K-5, FA 31mmF1.8AL Limited, F1.8 Auto (1/2000sec, ISO100, AWB), 銀残し
次に挑戦したのはポピー。何だかとても怪しげな雰囲気になりました。もともと怪しげな花ですし、これはこれで意外に合うかも。わざと色の濃い被写体を撮ると、独特の何とも言えない発色になります。これは面白い!