金曜日のフリー走行は絶好の撮影チャンス:F1 2016 日本GP 観戦記(その2)

投稿者: | 2016年10月14日

 10月7日金曜日はいよいよF1の走行が始まります。午前中にフリー走行1回目が、午後にはフリー走行2回目が予定されています。フリー走行とはその名のとおり、各チーム、各マシンが自由に走れる練習およびセットアップのための走行で、レースではありません。予選に向けて一発の速さを確認したり、決勝に向けてタイヤとの相性や燃料満タンでロングランを試してみたり、とにかくコース上ではいろいろな事が行われます。

 両セッションはそれぞれ90分あり、レース並みの長さがあります。午前と午後を合わせると実に3時間! この間全マシンがずっと周回を続けているわけではないですが、今回は翌日にウェット、決勝はドライと予想されるために、金曜日中にできる事をすべてやってしまおうと言うことなのか、集中的に周回を重ねるマシンが多く、写真は撮り放題でした。

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 今年もカメラマンエリア用のチケットを買ったのですが、この日は昨年行くことができなかったポイントを集中的に巡ることにしました。

ヘアピン Iスタンド下

 金曜日午前のフリー走行1回目は10時から走行が始まります。朝一で鈴鹿サーキットに到着してまず向ったのは、ヘアピンコーナー。観戦ポイントとしても大人気の場所です。ヘアピンコーナーをぐるっと囲むように撮影ポイントはたくさんあるのですが、中でも立ち上がり側にあるスタンド席の下が一番人気となっています。

 昨年は土曜日の午前中に行ってみると、すでに満杯になっていて諦めた経緯があります。今年は金曜の朝なら大丈夫だろうということで朝一に行ってみたのですが、残り僅かのところでぎりぎり滑り込みました。カメラマンエリアも年々撮影場所の争奪戦が激しくなっています。というか、先着しているこの人達はメインゲートからここまで走ってくるのだろうか?と、不思議に思います。

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 マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソがやってくると歓声が上がります。しかしアロンソはこの後、セッションのわりと早い段階でコースアウトし、クルマを壊してしまいました。ただ大ダメージではなく、セッション終盤にコース上に復帰します。しかし、セットアップの予定は大幅に狂ったことでしょう。

 で、ここが撮影ポイントとしてそんなに大人気なのは、こんな写真が撮り放題だから。コースに近く、位置が低いというのが特徴。普通観戦エリアから撮影すると、距離もある程度遠い上に、上から見下ろすかたちとなるのが普通です。低い位置から撮れるポイントはとても貴重で人気の理由となっています。

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 レッドブルの新進気鋭ドライバー、マックス・フェルスタッペン。まだたったの19歳。時折ラフなドライビングを見せますが、それも若さ故でしょうか。将来が楽しみです。

 そしてこの撮影ポイントは、コースまでの距離が近い分だけ撮影は難しいです。AFなどカメラに求められる性能も厳しくなります。ヘアピンは速度が遅いものの、立ち上がり側はフルスロットルで猛烈に加速してくるので、フレームに収めるべく追いかけるだけでも大変。久々にこのポイントの難しさを味わいました。

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 フェラーリのキミ・ライコネン。日本人ドライバーが参戦していない今となっては、恐らく鈴鹿で最もファンが多いドライバーです。

 撮影データにあるとおり、今回の撮影ではカメラはK-1にレンズはDFA150-450mmを使いました。サーキットの撮影はAPS-Cで連写も速いK-3IIのほうが適しているのは分かってるのですが、あえて今回はK-1で。使ってみないと分からないこともいろいろありますから。なお、撮影時にクロップはしていませんが、トリミングはしています。

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 今季限りで引退を表明しているフェリペ・マッサ。尖ったドライビングをしていた時代もありましたが、最近は確かに歳を感じさせます。その愛すべきキャラクターから日本でもファンが多いです。今回の日本GPが鈴鹿を走るマッサの姿の見納めです。

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 マノーのエスティバン・オコン。ちゃんと下位チームも撮っておきました。マノーのマシンはよく見ると結構格好いいし、塗装も凝ってるんですよね。

 この日の天気予報は晴れのち曇り。午前中は日が出ていましたが、雲は大目で流れていきます。そのため日が差したり曇ったりめまぐるしく光線状態は変わりました。

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 昨日はニコニコしながらコース上を歩いていたセバスチャン・ベッテル。最近のレースでは精彩を欠いてますが、ここ鈴鹿ではどうでしょうか?

 フルスロットルで加速していくため、以前はエンジンの爆音で耳がやられてしまいそうになり、「音圧」で体が押されるような不思議な感覚を味わったものですが、ターボ&排気回生付のハイブリッドになってからはかなり静かになりました。よく言われてることですが、やはり少し寂しいですね。

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 フォースインディアのセルジオ・ペレス。可夢偉とともにザウバーに乗っていた時代が忘れられません。なんでこいつはこんなに速いんだ、と嫉妬したものです。

 背景がアスファルトだけになってしまうと絵として寂しいので、なるべく縁石を絡めるようにしました。本当はもう少しクリップに近いところでとりたいのですが、そう考えるとベストな撮影ポイントは非常に限られているのでしょう。

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 ルノーのケビン・マグヌッセンと、マノーのエスティバン・オコン。バトル中… と言いたいところですが、フリー走行ですからそれはありません。

 今年はどうなるか分かりませんが、ヘアピンは伝統的にオーバーテイクポイントでもあります。レースだと複数のマシンが絡むシーンとかが見られて面白そうです。2012年の可夢偉を思い出してしまいますね。

 さて、フリー走行開始から1時間ほどが過ぎました。残りはあと30分。念願の撮影ポイントではありますが、同じような写真ばかり撮っていると飽きてくるので、まだ走行は続いていますが、少し移動することにしました。

ヘアピン~200R 中間付近

 移動にあまり時間を使うのは勿体ないので、Iスタンドのすぐ横へ。事前に下見して置いた場所だったりします。過去にここで撮ったことはない初めてのポイントです。

 ヘアピンを立ち上がって200Rに向けて加速していくマシンが目の前を過ぎ去っていきます。土手状になっていて高いフェンスもあるので、撮影位置は高くて少し見下ろす形になりますが、それは仕方ありません。ちなみにこのポイントはとても空いていました。

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 ポイントリーダーで目下のところ絶好調のニコ・ロズベルグ。フリー走行1回目のトップタイムを記録したのも彼です。速いマシンは追いかけるのが大変です。

 ここでは定番の横流し撮り。左から右へと流すのは鈴鹿ではあまりやった事がありません。それに、ここもコースまで十分すぎるほど近いです。フルサイズで150mmのワイド端でマシンが横幅いっぱいになります。最高速ではないとはいえ、この距離でF1を追いかけるのはなかなか厳しくて楽しいです。

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 日本とは何かと縁が深いジェンソン・バトン。離婚してからちょっと関係が薄れてしまいましたけど。アロンソがコースアウトしつつも、そこそこのタイムを出したのに対し、バトンはまったくタイムが出ません。レースのセットアップに集中してるだけなら良いのですが。

 インラップ、アウトラップで流しているときはそうでもありませんが、本気で走ってるときのF1は相当な速度です。しかも加速中なので一定速度で流すわけには行かず、なかなか苦労します。それを言うと、サーキットでの撮影はどこでもそうなのですが。

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 トロロッソのカルロス・サインツ・ジュニア。開発が止まってしまったのか、トロロッソは最近調子が悪そうです。同期のフェルスタッペンがレッドブルに昇格してしまい、内心は穏やかじゃないのかも。

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 K-3IIに続きK-1は手ブレ補正に流し撮り検知機能がついています。特にこうしたシーンでは有効だと思うのですが、撮影結果を見ると、やはり時折不審なブレ方をしてるような気がして、結局手ブレ補正はオフにしてしまいました。ブレるもブレないもすべて自分の腕にかかってるほうが諦めがついてすっきりします。

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 ザウバーのマーカス・エリクソン。私の腕では1/125secが限界だったのですが、ダメもとで1/60~1/100secで撮ってみました。1/60secはさすがに全滅ペース。少なくとも手持ちは無理。1/100secなら何とかなりそうな雰囲気です。

 ということで、フリー走行1回目が終了。午後のセッションまで2時間半の休憩ですが、お昼ご飯を食べたり移動したりしていると、意外に時間が足りません、次はどこへ行くか悩んだのですが、さらに鈴鹿の奥へと分け入っていくことにしました。

フリー走行1回目の撮影場所


 黄色い印がIスタンド下、青い印が200Rへの進入手前です。

スプーンカーブ

 やってきたのは鈴鹿の西の端。スプーンカーブです。複雑な形状をした複合コーナーで鈴鹿名物のひとつ。西コースエリアは今年から指定席が廃止され、「西コースエリア」として自由席化されました。グランドスタンドとは違う、のどかなサーキットの原風景がそこにはあって、ここはここでとてもいい場所です。

 ただし、スプーンコーナー周辺には食べ物や飲み物を売るテントも少なく、情報を表示する大型スクリーンもなく、状況を把握するのが非常に難しい場所です。

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 そんなスプーンカーブを望む土手の上の一部にカメラマンエリアが設定されています。目の前のフェンスにカメラホールが開いており、250Rからスプーンへと続く短いストレートを真正面から撮る事ができるのを見つけました。珍しいポイントながら誰もいなかったので、挑戦してみることにしました。あまり見たことのないアングルですが、450mmではマシンを大きく撮るにはかなり足りないようです。

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 ハースのロマン・グロージャン。彼もまた昨日のコースウォークで間近にその姿を見ることができた一人。彼のTwitterは面白いのでファンになってしまいました。実力のわりにチームにあまり恵まれていませんが、がんばって欲しいです。

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 この位置からだとコースのアップダウンが良くわかります。スプーンに向けては少し下ってくるんですね。

 それにしても真正面から撮るのは初めてなのでどうしたら良いのか分かりません。流すわけにいかないのでシャッター速度を変えてみたり、手ブレ補正を入れてみたり、いろいろカメラの設定を変えて試してみましたが、正解が分かりません。もっと経験が必要かと思います。

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 ハースのもう一人のドライバーがエスティバン・グティエレス。彼も昨日会った一人。それだけで親近感を感じてファンになってしまったりして。

 さて、このカメラホールから撮っていると、250Rにマシンが現れた!と思ってから、カメラを構えファインダーを覗いたころには、すでにマシンはスプーンへのアプローチを始めています。恐るべきF1のスピード。かといって3kgを超えるカメラとレンズをずっと構えているわけに行きません。ここで撮るには絶対に一脚が必要なことを痛感しました。

 超望遠を使う限り他のポイントでも一脚は正しく使えば役に立つはずなわけで、今更なのですが、ちゃんとした一脚を買って使い方を覚えようと思い直しました。手持ちを気取ってる場合ではありません。

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 スプーンへと切り込んでいくマシンはとても迫力があって、新鮮な写真が撮れます。F1はすごい勢いで急激に向きを変えるので、単純な横方向の流し撮りよりも何倍も難しいのですけど。

 この写真はトロロッソのダニール・クピアト。ロシアGPでベッテルに2回も追突するという愚行の後、レッドブルをクビになりトロロッソに戻されてしまいました。可哀想ですが仕方ありません。

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 前はニコ・ロズベルグ、後はフェリペ・マッサ。

 セッション後半はカメラホールは諦めて、土手の上に移動し、フェンスの上から普通にコース上を撮影することにしました。スプーンカーブは独特の曲率を持っており、アプローチの仕方も独特です。これまた速度変化が大きく、斜めに進入してくるので、追いかけるのが大変。ヘアピン同様に赤白の縁石を絡めるのが定番でしょうか。

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 ロズベルグを追いかける立場になってしまったディフェンディング・チャンピオンのルイス・ハミルトン。何かと言動が話題になる彼は、鈴鹿でもアンチとファンが入り乱れています。

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 きっちりクリップに付いてスプーンをクリアしていくフェリペ・マッサ。この難しい複合コーナーはライン取りが本当に難しそう。午前中はアロンソが填まったように、失敗してコース外に飛び出すシーンもよく見かけるポイントです。

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 レッドブルのエース、ダニエル・リカルド。前戦マレーシアでの勝利が記憶に新しいところ。鈴鹿ではどうでしょうか?

 スプーンへのアプローチ付近は、かなり遠くてこれまた450mmでは少し足りません。

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 かといって、一つ目のクリップを過ぎて、目の前を駆け抜けていくあたりになると、マシンはかなり近づいてきます。何しろ動きが速いのでズームリングを回している暇はなく、どこでどんな写真を撮るかあらかじめ考えて、ズーム位置は決めておく必要があります。

 さて、今回も調子が良さそうなキミ・ライコネンは、伝説の16台抜きを再び演じてくれたりすると面白いのですが、どうなるでしょうか。フェラーリはここ数戦負けていたレッドブルと良い勝負が出来そうな仕上がりを見せていました。

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 午前中にここでコースアウトしてしまったフェルナンド・アロンソは、丁寧にクリアしていきます。同じ失敗を繰り返すわけに行かないですからね。

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 最後に、250Rの立ち上がりから、先ほど真正面に見ていた短いストレートを狙ってみました。レッドブルのマシンはここで派手に火花を散らします。火花を撮りたくていろいろ頑張ったのですが、これが限界。どうやると綺麗に写るものなのやら。その前に火花が出るのはほんの一瞬なので、何でも良いからまぐれで止まることを願って連写してるようでは、無理なのかも。これは来年以降の課題としたいと思います。

フリー走行2回目の撮影場所


 赤い印がカメラホールから撮った場所、紫の印がそれ以外の通常のスプーンコーナーを撮影できる場所です。ここはGPスクエアからかなり遠く、相当な距離を歩くことになりますが、やはりその甲斐はあると思います。

いよいよ予選

 たっぷり3時間のフリー走行を撮りまくりました。ヘアピンやスプーン以外にも、良い撮影ポイント、行ってみたいところがたくさんあります。翌日土曜日はお昼にフリー走行3回目、午後にはいよいよ予選が行われます。さて、どこへ行こうか、またまた悩みは尽きません。

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 朝は晴れていた空は、予報通り午後には本格的な曇り空に。天気は悪化して翌日は雨が予想されていました。ウェットの予選は波乱が起きやすくそれはそれで面白いのですが、見物する方としては色々大変です。まぁ、私はもう雨の鈴鹿になれてきましたけど。

 と言うことで、観戦記(その3)に続きます。

使用したカメラとレンズ

RICOH PENTAX 望遠ズームレンズ HD PENTAX-D FA150-450mm F4.5-5.6ED DC AW 21340

RICOH PENTAX 望遠ズームレンズ HD PENTAX-D FA150-450mm F4.5-5.6ED DC AW 21340

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  1. Y2

    一脚ないのですか?
    レースではやっぱり必須ですよ。
    先月、超久々にスーパーバイクレースを
    見に行きまして、
    またレース写真撮りたい病にかかりました。
    ただ現状は手持ちの機材はろくなのがないので、
    レンズとボディをなんとかしないとイケマセンね。
    ペンタはシグマ、タムロン入れても
    あまりいい望遠がないですね〜。本当に。
    私は基本ノートリなので、テレコン付けて最低500mmは必要だと思いますが、
    レンズの選択肢がないのがなんとも。
    メーカー、キヤノンにするかな?とか。
    F1鈴鹿以外の国内レースも
    いろいろ面白いですよ。

  2. hisway306

    Y2さん、
    一脚は持ってますが使っていません。これまで回転軸を自分の身体に置いて自由に振り抜く撮り方ばかりしてきたので。ただ、新しいポイントも覚えたりして、そろそろ撮り方を変えるべき時に来たのかな?と思った次第です。次回までの課題です。
    周囲を見てもこの世界では圧倒的にニコンかキヤノンですので、レース写真用にはその方が良いのではないでしょうか。私は敢えて不便なカメラを使うことを楽しんでますけど。

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