SIGMA 18-250mmF3.5-6.3 DC OS HSM

 ということで、色々あった末に手に入れたSIGMA製の14倍ズームレンズ、18-250mmF3.5-6.3 DC OS HSMのインプレッションです。このレンズの特徴は何と言っても、広角から望遠までカバーする高倍率なお手軽ズームであることですが、その上でさらに、超音波モーター(HSM)によるAF駆動と、光学手ぶれ補正(OS)が内蔵されていることも大きなポイントです。特にPENTAXボディに使用する場合、純正レンズでは超音波モーター駆動のレンズは一部の高級レンズに限られますし、光学手ぶれ補正を搭載したレンズはありません(PENTAXはボディ側に手ぶれ補正を積んでいる)。焦点域含め純正にはない機能、性能を持ったレンズと言うことになります。

画像
サイズは大きめで重さもあります。K-7でもそこそこバランスは取れます。

画像
望遠側にズームするとかなり鏡胴が伸びます。

○大きさと重さ
 まず目につくのはその大きさと重さ。全長は101mm、フィルター径は72mm、重さは630gで、14倍クラスの高倍率ズームレンズの中でもかなり大きくて重たいほうと言えます。当初はこの大きさが気になって敬遠したのですが、実際K-7に取り付けてみると、バランスは思ったほど悪くありません。が、コレ1本きり付けっぱなしで常用するとなると、ちょっと考えてしまいます。私的基準では、カバンに入れたり、肩からかけておくにはギリギリ許容範囲外。その代わり、望遠時にしたときのホールディングの安定感はわりと優れています。

○操作性
 ズームリングはかなり重め。おかげで自重で勝手にズームリングが動いてしまうようなことは(今のところ)ありません。一応、ズームリングを広角端で固定しておくストッパーもあります。ズームのトルク感には途中に一カ所段差が感じられます。新品開封当初は特に気になったのですが、だんだん馴染んできました。使っているうちに馴染んでくると言うことは、そのうちストッパーが必要になるのかも。

 ホールディングは上に書いたように、大柄なこともあって望遠端にズームしても悪くはありません。レンズ内のAF駆動モーターと手ぶれ補正を内蔵するため、それぞれON/OFFスイッチがついています。この辺はまるでニコンやキヤノンのレンズのよう。

画像
250mm, 1/250s, F6.3, ISO400, AWB 蓮の花。午後でしたが日陰ではまだ若干花が開いてました。

画像
32mm, 1/200s, F6.3, ISO100, -0.7EV, AWB 不忍池の弁天堂と蓮の花。

画像
18mm, 1/125s, F9.0, ISO100, -0.7EV, AWB ワイド端パンフォーカスで不忍池と蓮の花と雲とビル。

 なお、光学手ぶれ補正を使う場合は、ボディ内手ぶれ補正をOFFにしないといけないのですが、コレが結構面倒です。レンズ付け替え時に切り忘れ、入れ忘れが時々発生します。自動でOFFになればいいのに(って、それはボディ側の対応が必要なので、SIGMAに言っても仕方ありませんが)。

 あと、前回も書きましたが、ズームリングとピントリングの回転方向がPENTAX純正と逆です。ズームはコレ一本だけならいいですが、他に純正のズームと合わせて使うときはちょっと戸惑いそうです。

○オートフォーカス
 AFの駆動はさすがにレンズ内のHSM駆動だけあって、非常に静かで高速でスムーズです。望遠側でもストレスなくAFします。やはりコレはこのレンズの非常に大きな利点です。AFの精度という点では広角端付近の遠景がやや怪しい感じ。色々テストして、結局K-7側で少し後ピン寄りに補正をかけました。

 残念なのは、超音波モーター駆動でありながら、いわゆるフルタイムMFに対応していないこと。AFスイッチをONすると、ピントリングはカチッとギアに噛んで、ピントリングは手動では回せなくなります。噂によるとこのレンズのHSMは、いわゆる円環状の超音波モーターではなく、円筒型の小型モーターを使用しているとのこと。駆動方式がDCではないにしても、結局ギアでレンズ駆動しているのでしょうか?その割り動作音は非常に静かなのですが。

画像
250mm, 1/320s, F6.3, ISO640, AWB カルガモのどアップ。250mmあれば多少遠くても余裕です。

画像
250mm, 1/320s, F6.3, ISO800, AWB 亀さんたちの会議。

画像
250mm, 1/320s, F6.3, ISO400, +0.7EV, AWB 閉じた蓮の花。

○光学手ぶれ補正(OS)
 PENTAX機に使うに当たって、このレンズの一番の価値はHSMよりもむしろOS機能だと思います。もちろんK-7はそれなりに強力な手ぶれ補正機能をボディ側に積んでいます。なのにわざわざ光学手ぶれ補正を敢えて使う理由は、何と言ってもファインダー像がピタリと安定すること。特に望遠端でのその恩恵は量り知れません。というのは、まともにホールディングする技量もない私にとっては、という前提条件がつきますが。

 ファインダー像が安定すると、手に力が入らず却って手ぶれは減るのではないかと思いますし、AFポイントも安定するのでピント合わせにも有利です。もちろんフレーミングもしやすくなり、ファインダーの隅まで気を配る余裕が出てきます。高倍率ズームを生かす上でも、この光学手ぶれ補正はとても重要であることを再認識しました。

画像
18mm, 1/50s, F5.6, ISO160, AWB 弁天堂の手水舎。

画像
53mm, 1/30s, F4.5, ISO100, AWB, モノトーン とある古い民家。ベタに白黒で。

画像
28mm, 1/4s, F4.0, ISO1600, AWB 上野の山から眺める夜景。三日月が出てました。

○画質
 画質についてはあまり語るべき所がありません。というのも私がそこまで細かくコメントできるだけの目がないからなのですが。それでも広角側はちょっと甘いなぁ、と思います。開放付近では周辺はかなり流れていますし、中心付近も解像度も、等倍で見るにはちょっと厳しいレベルです。やっぱりピントが合ってないのかと思うくらい。

 ただし、50mmよりも望遠側になるとそこそこ良いのではと感じました。少なくとも実用上十分。この手の高倍率ズームは、望遠側でも周辺光量落ちが目立つと言われていますが、それほどでもありません。それよりもやはり暗いF値が気になります。ファインダー像は心配したほど暗くありませんが、ちょっと日陰になったり、曇ったりすると、とたんに感度を上げないと絞れなくなります。結局今回のテスト撮影でも、望遠端はほとんど開放しか使ってませんでした。ちなみに全域に渡って意外なほどに歪曲は感じません。これは予定外に良かった部分です。

 なお、K-7内蔵の歪曲補正と倍率色収差補正ですが、これらは対応していないことを分かっていて、わざと試してみましたが、やはり効きませんでした。補正できない旨のメッセージが出るわけでなく、補正前と補正後の画像には何も差がありませんでした。

画像
PENTAX用も超音波モーター駆動と光学手ぶれ補正が使えます。

○まとめ
 このレンズ、本来は選外にしたわけで、消極的な理由で手に入れたわけですが、逆に期待していなかったためか、使ってみるとなかなか気に入ってしまいました。ネガティブな要素として捉えていた、大きさ重さもむしろホールディングを安定させるための必然に思えてきます。持ち運びを考えなければ。

 それよりもやはりこのレンズの大きな武器は、OSとHSMに尽きます。これらの恩恵はやはり絶大。今回貼った写真もやはり望遠端が多いわけですが、実際の所物珍しさもあって、このレンズを付けると望遠端を多用しがちです。そんなときHSMとOSは非常に有効です。

 この手の便利ズームがあると、結局コレばかり多用しそうですが、重たいこともあって多分そうはなりません。当初の目的通り、基本的には望遠端が必要と思われる時だけ使うことになりそう。いや、意識してそうしたいと思います。

○K-7関連エントリー
 高倍率ズーム選び(18-250mm/F3.5-6.3) (2009/07/20)
 PENTAX K-7 高感度ノイズ特性 (2009/07/18)
 PENTAX K-7 補正機能いろいろ (2009/07/12)
 PENTAX K-7 + DA70mmF2.4 (2009/07/06)
 PENTAX K-7 + DA21mmF3.2AL (2009/06/30)

2009年F1第10戦 ハンガリーGP

 ブダペスト郊外のハンガロリンク・サーキットで行われるハンガリーGPも今年で24回目。東西冷戦時から唯一の東欧圏のF1レースという特徴もさることながら、そのクネクネと曲がった狭いコースでは数々の伝説のレースが見られました。1996年のアロウズ・ヤマハに乗るデイモン・ヒルの独走、2006年、第三期ホンダの初優勝などなど。今年のレースも事前に全く予想できなかったような結果となりました。

「KERSの威力はなかなかのものだよ」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン
 復活の手応えはあるとはいえ、レースが始まるまでは本人もチームもまさか優勝できるとは思っていなかったことでしょう。予選4番手と不利な偶数側のグリッドからのスタートでありながら、KERSパワーを使って順位を一つあげただけではなく、早々にこの抜きにくいコースでウェバーをパスして2番手へ。相変わらずアグレッシブなハミルトンの動きでしたが、接触も自滅もなく今回は上手く行ったようです。その後も周回ペースは十分速く、もしトップを行くアロンソにアクシデントが無くても、彼がトップでチェッカーを受けた可能性が高いと思えます。昨年までの強いマクラーレンが帰ってきたかのような隙のない力強いレースでした。

 KERSはこの低速コースでの効きはあまり良くないと言われていましたが、むしろ使い所(=メインストレート)が絞られただけに、ハミルトンはその効果を迷い無くフルに使い切ったのではないかと思います。ちなみに今回のハミルトンにより初のKERS搭載車の優勝となりました。でも、もしかしてこれが最初で最後、となってしまうのか?

「どうなっていたのか教えてくれると助かるんだけどな」 キミ・ライコネン/フェラーリ
 ハミルトンに続き2位でチェッカーを受けたのはフェラーリのキミ・ライコネンでした。まるで昨年のレースを見ているような結果。レース後のインタビューでハミルトンが大喜びし、ライコネンが白け気味なのも去年通りです。今シーズンのフェラーリにしてみれば、2位チェッカーは望外の成績に違いありません。それもレッドブルとブラウンGPを押さえての2位です。そうは言ってもやはり優勝と2位では雲泥の差。これではまだまだ満足できない、というのはチャンピオン経験者の本音なのでしょう。

 ライコネンの今回のレースのポイントは、スタートに尽きます。KERSパワーを使って1コーナーを抜けるまでに7番手から大きくポジションアップ。その間、2台のレッドブルとホイールをぶつけ合いながらかなりアグレッシブなライン取り。レース後のインタビューでは、この間の経緯を覚えていない、とコメントしました。本当なのか、トボけたのか分かりませんが。

 何となくモチベーションが下がり気味と思われがちな最近のライコネンですが、やはりレースでは本性をむき出しにする瞬間があります。ただ、やっぱりレース後半でダレてくる感じも。絶好調の頃は最後まで鋭い走りが見られたのですが。そう考えるとまだまだ彼自身本調子ではないようです。

「あれは非常に不運でとても異常な事態だ」マークウェバー/レッドブル
 彼のこの言葉が指しているのは、もちろん予選中のフェリペ・マッサの事故のことです。バリチェロのマシンから脱落したスプリングがコース上を跳ねて、後ろを走っていたマッサのヘルメットを直撃してしまいました。スプリングの重量は約800g、その時マッサのマシンは200km/h以上出ていたと言われています。カーボン製のいかに頑強なF1のヘルメットとはいえ、そのような事態を完全に想定してはいません。当たり所がバイザー近くだったことも、もしかしたら不運だったのかも。

 落下物の直撃を頭に受けたマッサは、気を失いマシンはそのままタイヤバリアへ。ただし、幸運にもタイヤバリヤへの衝突速度は100km/h程度まで落ちていたようで、その衝撃は現代F1なら十分に吸収できる範囲であり、クラッシュ自体によるダメージは大きくなかったと思われます。

 飛来物衝突は、オープンコクピットのフォーミュラマシンでは想定されるリスクなのですが、これを防ぐには基本的にはクローズド化するしかありません。しかしその場合救出の妨げになると言う別の問題も出てきます。F1マシンは過去多くのドライバー、マーシャルの人々の犠牲の上に、現在の強固な安全性を得てきました。一昨年のカナダGPでのクピサのクラッシュなどは、10年前だったら恐らく命が危なかったことでしょう。今回も何か対策が施されるのかもしれません。安全性は何よりも優先します。レースの現場でさえも。

 マッサは頭蓋骨骨折でいまだ集中治療が必要な状況ですが、幸い麻酔がとければ手足も動き言葉も喋れるそうです。でもでも、思っていたよりもかなり重傷な感じ。なんだかとても心配です…。

「こういったことはレースなら起こり得ることさ」フェルナンド・アロンソ/ルノー
 その点、今回久々にポールスタートを決めたルノーのフェルナンド・アロンソのマシンに起きたトラブル… というかチームのタイヤ交換ミスは、レースの安全上非常に重大なミスでした。過去マシンから外れたタイヤに当たって命を落としたレース関係者は何人もいます。そのために導入されたホイールテザーも今回のようにホイールがハブから外れてしまっては機能しません。コースを飛び跳ねていくタイヤの映像を見てゾッとした人は少なくないはず。

 次回のレースはバレンシア市街地でのヨーロッパGP。事実上の2回目のスペインGPです。そこにスペインの英雄、元チャンピオンのフェルナンド・アロンソがペナルティにより出走できないなんて、それこそ大変な事態です。興業としてのF1そのものに傷がつきかねません。安全問題は重要ですが、起きてしまったことに対するペナルティについては、もう少し柔軟に運用しても良いのではないかと思います。いや、そうして欲しい!


 次のレースは3週間後。アロンソの去就について色々生臭い噂も飛び交ってます。ちょうどフェラーリにシートが空いてるとか…。まさかシーズン途中にそんなことは起きないと思いますが。だって、スポンサーとか何とか、そう簡単にはいかないでしょう。でもでも… F1ならやりかねないかも。いや、やりかねない気がしてきました。

上野精養軒

 梅雨の間しばらく休止していたビアガーデン活動を再開しました。今回の目的地は上野公園の高台にある精養軒の屋上ビアガーデンです。ここに来るのは2年ぶり。今シーズン通算8回目のビアガーデンです。先週までは梅雨が戻ってきたかのようなぐずぐずした天候が続いていましたが、この日はカラッと晴れ渡って真夏の暑さ。夕涼みがてらビールを飲むには最高の天候です。

画像
精養軒の入り口。上野の山の森の中にあります。

画像
久々に生ビールで乾杯!真夏のビールは美味い!

 当日になって思い立って行くことになったので、予約が取れません。幹事さんが電話してみると、混むかもしれないので開店時間よりも早めに来いとのこと。ということで開店30分前の16:30には精養軒のロビーに到着していました。ここでちょっと一悶着あったのですが、無事に涼しいロビーでビアガーデン開店待ち。同じようなお客さんがわらわらと集まってきます。暑くて飲まなきゃやってられねぇと思ってる人は多いようです。
 

画像
ミックスフライ。おつまみメニューですがさすが高級レストラン。本格的です。

画像
物珍しさに頼んでみたナマズのフライ。これがものすごく美味しい!

画像
隣で食べていたのが気になって、真似て発注した薄焼きコーンブレッドのサーモンロール。

 いよいよ開店時間。屋上に上がって臨戦態勢。受付にやや手間取ったものの何とか席に着けました。様子を見ていると別に30分も早く来なくても十分に席はあったようです。

 飲み放題は2時間で\2,400と少し高め。飲み放題で飲めるのは生ビール、各種サワー、ウーロンハイ、夏祭りカクテル、ソフトドリク類です。が、その他別料金で焼酎やワインなど色々揃っています。料理も別料金ですが、さすがにここは高級レストランだけあって、単なるビールのおつまみ風ジャンクフードとは違います。それなりにお値段はしますが。我々は結局飲み放題終了後に、赤ワインを一本あけてしまいました。

画像
スイカ味がする夏祭りカクテル。さっぱりしていて甘すぎず結構美味しいです。

画像
ようやく日が沈んできました。いつの間にか満席です。

 それにしてもこの日は風の強かったこと。空は晴れ渡り嵐が来ているわけでもなく、普通に街を歩いているときには特別風が強いとは感じませんでしたが、なぜか精養軒の屋上は風がビュービュー吹き抜けていました。周囲に何もない山の頂上なので、ビル風でもありません。ビアガーデン会場の一部にかけてあった斜めの屋根がいけないのではないかと思います。

 おかげで箸は飛ぶ、メニューも飛ぶ、グラスは倒れるの大騒ぎなビアガーデンでした。シラフの間は神経が行き届きますが、酔ってくるに従ってどうでも良くなり、かなりの惨事を招きかねません。でも、どこからとも無く飛んでくるビールの泡や、ワインのしぶきや、ポップコーンに打たれながらのビアガーデンはなかなか面白かったです。

画像
不忍池の夜景が一望。

 この日は7月の最終土曜日。折しも毎年恒例の隅田川花火大会の日です。精養軒の屋上からも花火が少し見えました。風上だったので音は全く聞こえませんでしたが。

 ここは絶好のロケーションと美味しい料理が特徴で、とても良いビアガーデンだと思うのですが、ロビーから客席入り口までの受付接客があまり良くありません。高級レストランの割りにはちょっと感じ悪いですし、手際はもっと悪いです。ただし、ビアガーデン内の接客は非常に良いので問題なしとしましょう。

 上野精養軒 屋上ビアガーデン
 〒110-8715 東京都台東区上野公園4番58号
 TEL: 03-3821-2181  FAX: 03-3822-1330
 営業時間 17:00 ~ 21:00 ラストオーダー 20:30
 期間中無休 (強風・雨天等 悪天候時は中止)

—二次会
 午後5時から飲み始めて2時間以上が経過し、ようやく日が沈んで暗くなったものの、まだ夜は始まったばかり。上野公園を出て駅の方に向かうと、まだ花火をやっていました。駅前のちょうど見晴らしの良い場所は、花火見物の人だらけ。しばしその中に混じってみた我々は、飲み屋を探して上野駅周辺をさまよいます。

画像
なぜか無性に食べたくなったトマトベーコン。こういう姿で来るとは思いませんでした。

画像
焼酎のラインアップはかなり豊富にあります。日本酒もレベルの高いカップ酒が多数。

画像
レバがあれば幸せ。とってもレバらしいレバでした。

 いや、さまようまでもなく、勘で駅前のちょっと小じゃれた感じのバー、立喰酒場Buri というお店に入ってみました。内装はバー風なのですが、料理とお酒は和風です。人数が6人もいたのですが、横並びにのカウンター席という変な状況。遠くの人とは会話ができない… と思ったら普通に声が聞こえます。酔っぱらいの底力か? うるさいと言われなかったので大丈夫だったのでしょう(A^^;;

 真夏の上野の夜は泥酔しつつ淡い記憶とともに更けていきます…。

奴の小万と呼ばれた女:松井今朝子

奴の小万と呼ばれた女 (講談社文庫)

奴の小万と呼ばれた女 (講談社文庫)

 

  江戸時代の後期、大阪に実在した一人の女性をモデルにした小説です。現在は一般に良く知られている人ではありませんが、当時の大阪では知らない人はいないくらいの有名人だったようで、人形浄瑠璃や歌舞伎の題材になるなど、いろいろと資料も残っているそうです。

 松井今朝子さんがこの”奴の小万”に興味を持った経緯は、この本の中でも序章と終章として語られています。最初のページをめくると大阪の地下街から話が始まったので、ちょっとビックリしてしまいました。しかしそこは何やらファンタジーな世界で、読者の空想をかき立てます。はっきりした種明かしはなく、単に作者自ら作品の解説をしているのか、あるいはこれも物語の一部なのか判然としません。ある意味この部分にも松井今朝子さんの物語力を見た気がします。

 ”奴の小万”と呼ばれていたのは大阪の豪商木津屋の一人娘のお雪です。このあだ名が付けられた由来の詳細については、本を読んでいただくとして、その文字面からも分かるように、これは決して女性としての美貌や才色を称える意味で付けられたものではありません。彼女は並の男を見下ろすほどの体格で、やくざ相手に喧嘩を買い、角材を振り回すほどの型破りな女性でした。それが闇の世界に生まれ育ったどこの馬の骨とも分からない女性というのではなく、歴とした社会的地位のある大店の娘なのだから痛快極まりありません。

 彼女をそうさせたのは何だったのか?これはこの本の一つのテーマだと思います。そのテーマには「家、家にあらず」にも通じているものがあるように思えます。女性の人生とは何なのか?女の幸せとは何なのか? 江戸時代と現代では社会状況が全く違うとはいえ、そこにはなぜか今でも同じ問題が横たわっているのかも知れません。と言っても、決してこれら松井今朝子さんの本が、フェミニズムを直接的に訴えてるものではありません。上手く言えませんが、もっと人間の根幹に関わる話ではないかと思います。

 お雪の本心を吐露した一文があります。これをどう思うのか、人それぞれかもしれません。

まっとうな人の生きる道を無心に信じ、かたちだけでも、真似事なりとも、人並みの暮らしをしたいと殊勝に願う者。こういう者には、己なんぞはとうてい太刀打ちできないという思いがした。もしかすると、何が強いといって、これほど強い者はいないのかもしれない。京の天皇や江戸の将軍でさえ、こういう者には敵うまい。何が怖いといって、この手の者ほど怖いものはないだろう。

 江戸時代の人々には”自由”という概念はほとんど無かったのでしょう。むしろ武士や大商人など、身分の高い人ほどそうだったはず。木津屋の主一家に生まれたお雪には、世間が決めたまっとうな人生というものがあらかじめありました。女性として自由な人生を求めると言うことは、そのまっとうな人生からはみ出し、社会から逸脱することを意味します。

 しかし、彼女はそれをやり遂げたのでしょうか? なぜ”奴の小万”という不思議なあだ名で、後生まで名前が残るようなことになったのでしょうか? この本は同じ女性として松井今朝子さんが解釈した彼女の半生の物語です。

 男性の私からすれば、この物語の中の”奴の小万”は「格好いい!」とも思えますが、女性から見るともしかしたら全く違うのかも。なんか、そんな風にも思えました。

 ところで、古本屋の老婆はいったい何者なのか? そこが気になって仕方ありません。

 お勧め度:★★★★★(痺れました。こんな読後感の本はなかなか他にはありません)

梟与力吟味帳と居眠り磐音江戸双紙

 以前から愛読している時代小説シリーズもの最新刊二冊の読書記録です。

鬼雨 梟与力吟味帳:井川香四郎
 今作の「鬼雨」は梟与力吟味帳シリーズの第六巻目になります。基本的に捕り物小説に分類されると思うのですが、主人公の梟与力こと藤堂逸馬は、現場の最前線で犯罪を追いかける、岡っ引きや同心ではなく、奉行所の幹部役職である吟味方与力です。なので、捕り物と言うよりは裁判ものと言った方が当たっているのでしょう。

 時代は江戸後期にさしかかる頃。実質上の幕府権力者である筆頭老中は水野忠邦、南町奉行が鳥居耀蔵、北町奉行が金さんこと遠山影元の時代。小説の題材としてはうってつけの面白い時代です。藤堂逸馬は架空の人物ですが、ある意味遠山の金さんの分身みたいなものです。

 主人公の藤堂逸馬をはじめ、その他主要な登場人物達も当時のセレブ(死語)というかエリート階級の人たちばかりなためか、何となく物語から感じられる空気というか、雰囲気が綺麗で余裕がある感じがします。それがこのシリーズの一つの特徴ではないかと思います。かといって、庶民達の生活感というものも忘れていないところがポイントです。上手くできすぎているようですが。

 今作も、非常に入り組んだ深い事件の連続。庶民の間で起きた殺人事件から、政治に絡むある詐欺事件などなど。ある意味ミステリーでもあります。登場人物が面白くて魅力的な上に、ストーリーも緻密で手が込んでいて、笑いあり涙ありの盛りだくさんな展開。過去五作同様に読んでいてとても楽しい小説でした。

 お勧め度:★★★★☆(ちょっと事件の中身が複雑すぎてわかりにくかったかも)

鬼雨 梟与力吟味帳 (講談社文庫)

鬼雨 梟与力吟味帳 (講談社文庫)

 

 
侘助ノ白 居眠り磐音江戸双紙:佐伯泰英
 とうとう第三十巻まできた居眠り磐音シリーズ。つい最近二十九巻目を読んだばかりなのに、もう新作が発売されていました。およそ三ヶ月に一巻ずつのペースで発行されているようです。ぐずぐずしているとあっという間に周回遅れになりまねません。

 で、今作の内容ですが…。まぁ特にコレと言って何もありません(A^^; 完全無欠のウルトラスーパーヒーローは健在です。年の瀬を迎えた佐々木道場は、相変わらずあれこれ慌ただしいながらも、基本的には至って平和。むしろ今作では、初めての国元入りをした、でぶ軍鶏こと重富利二郎の高知城下での奮闘が主要なお話になっています。

 その他磐音の周囲には新しい人物が登場したりして、いろいろな部分で今後への布石が打たれているような気がしました。このシリーズ、このまま落ちを迎えずにエンドレス気味に続いていくのでしょう。いや、もしかしたら大事件がそろそろ起こるのかも?なんて勝手に妄想してしまいました。

 ということで、もうすでにこの一冊だけ取り上げて面白かった、面白くなかった、という次元の世界ではありません。磐音の人生を共に歩んできた我々読者は、二十九巻を費やした過去を想い、そしてただひたすら、未来を想うより他にはこのシリーズの楽しみ方はありません。

 お勧め度:測定不能 (スーパーヒーローだらけになるのか?

侘助ノ白 ─ 居眠り磐音江戸双紙 30 (双葉文庫)

侘助ノ白 ─ 居眠り磐音江戸双紙 30 (双葉文庫)

 

高倍率ズーム選び(18-250mm/F3.5-6.3)

 またかと(もしくはバカかと)お思いの方も多いかと思いますが、またまたレンズを買いました。いや、言い訳をさせてもらえれば、今回のは当初から予定していた買い物です。決してレンズ沼に深く深くはまり込んだ末の行動ではありません。その証拠にDA70mmF2.4の衝動買いなど若干手違いもありましたが、デジタル一眼レフ購入計画は、今回の買い物でほぼ完了です。多分、恐らく… 当分は(A^^;

 で、今回の買い物は200mm程度の望遠ズームなわけですが、50mmくらいから始まるいわゆる3~4倍望遠ズームは、小型でお値段もお手頃なものが純正はじめいろいろ出ています。機能とコスト重視で選べば良いのですが、どうもその手のズームには惹かれるものがありません。かといって純正の60-250mmはあまりにも高くて(市場価格約15万円!)とても手が出ないし、大きくて重たすぎます。

画像
TAMRON AF18-250mmF3.5-6.3 Di II。K-7のコンパクトなボディに合っています。

 そこで目先を少し変えて、望遠ズームではなく、標準域からの高倍率ズームを物色することに。18-200mmクラスの高倍率ズームはPENTAX純正にはありませんが(18-250mmがなぜかディスコンになってます)、レンズメーカ製は力を入れているらしく、新製品も出てますし、選択の幅が広がります。

 いろいろ調べて考えた結果、候補に残ったのはタムロンのAF18-250mmF3.5-6.3 Di II(A18)シグマの18-250mm/F3.5-6.3 DC OS HSM。これらのレンズはフルサイズ換算だと、28~380mmズームに相当し、広角から望遠までを1本でカバーする超便利なお手軽レンズ。どちらも明るさはF3.5-6.3で、最短撮影距離も45cmまで。シグマはPENTAX用もHSM(超音波モーター)駆動で、レンズ内に光学手ぶれ補正が搭載されています。タムロンはそう言った新機能がない代わりに、シグマより小さくて軽量で少しお安くなっています。

 K-7はボディ側の手ぶれ補正を積んでいますが、光学手ぶれ補正があるとファインダー像が安定するし、HSMのなめらかで高速なAF動作にはとても惹かれます。しかし結局K-7のボディに合うと言うことで小型軽量を最重要視し、タムロンのA18を購入しました。実はこのレンズ、今はなきPENTAX純正の高倍率ズーム、DA18-250mmのOEM元と言われています。であれば、PENTAXのボディとも相性は良いはず(と思ったのですが)。

画像
50mm, 1/100s, F5.6, ISO320, AWB 大雄山最乗寺の入り口。マイナスイオン浴びまくりです。

画像
250mm, 1/125s, F6.3, ISO640, +1.3EV, AWB 最乗寺敷地内に咲いていた百合の花。

画像
65mm, 1/60s, F6.3, ISO400 AWB 巨大な杉の古木の並木が見事でした。

 タムロンA18の全長は約84mm、重さは430g、フィルター径は62mmです。さすがに単焦点のDA Limitedレンズと比べると巨大で重たいですが、13.8倍のズームと思えば大きくはありません。望遠側にズームすると鏡胴が激しく伸びて倍くらいの長さになります。ピント合わせはIFなので、前玉が回転したり全長が変化したりはしません。ガタつきもなくしっかりした手応え。

 ズームリングとピントリングの回転方向はPENTAX純正に合わせてありますが、クイックシフトフォーカス(AFモードでもシームレスにMFできる)には非対応です。この手の高倍率ズームはズームリングの回転角が大きく、しかも鏡胴内のカムが複雑なためか、ズームリングの回転トルクが一定でなく、ギクシャクしてしまうものが少なくありません。が、このレンズはその点も非常に優秀。自重で伸び縮みしにくいように回転トルクはかなり重いですが。ちなみに18mm時にズームリングを固定するロックスイッチがついてます。

画像
100mm, 1/400s, F8.0, ISO200, AWB 山中湖の釣り人。

画像
18mm, 1/500s, F9.0, ISO200, -0.7EV, WB: CTE 山中湖から望む夏の富士山。

 AFは通常のボディ側からカップリングを介しての駆動。ピントリングの回転角は小さいため、思ったほど遅くはありません。しかしギアの減速比がかなり高いようで、ギア音は盛大に鳴ります。DA Limitedレンズだと、ボディモーター駆動であることを忘れるほど上品にAFするのですが、このレンズはなに振り構わず一生懸命回している感じ。「ぎゅい~ん」というAF音は久々に聞きました。20年前のカメラみたい。

 もう一つ心配していたのはファインダーの見え具合です。K-7のファインダースクリーンは、今時の一眼レフとしてはかなりざらつきが目立つ方なので、F6.3などという暗いレンズではまともにファインダー像が見えないのではないかと。ですが、心配するほどではありません。暗い屋内で望遠端を使うことはそうそうないと思いますが、普通に写真が撮れる屋外なら、まずファインダーの見え方に問題はありません。ピントも相変わらずよく見えます。

画像
130mm, 1/320s, F5.6, ISO200, -0.7EV, AWB 夕焼けの富士山のアップ。

画像
29.4mm, 1/30s, F5.6, ISO200, WB: CTE 本栖湖から眺める紅富士。CTE効き過ぎかも。

 で、問題は画質。さすがに高倍率ズームなので単焦点のDA Limitedレンズ並とはいきませんが、少なくとも中心部はそこそこ写っているはず…。と思って試しに撮った写真をPCに取り込んで見てみると… 軒並み等倍では見てられないほどボケています。撮影しているときから何となく気づいていたのですが、どうも前ピン気味なのです。特に50mm以下では顕著(広角の方が同じ被写体に対して等倍観察時の解像感は低くなりがちですが)。無限遠にピントを合わせても、ピントリングは2mを指していたり。ピントリングの目盛りが信用できるとは思えませんが、何となくファインダーで見ていても今ひとつしっくり来ないものがありました。

 ということで、いろいろ実験をしてみました。詳細は省きますが、その結果やはりこのレンズとK-7の組み合わせではかなり前ピンになるらしいことが分かりました。特にワイド側。同時にチェックした純正のDA21mmとDA70mmではこういうことはありません。ですので、ボディ単体のせいではなくレンズ側の問題か、またはレンズとボディの組み合わせの問題と思われます。

画像
テストチャートを使って簡易テスト。18mmでピント位置-10補正時。厳密にテストするまでもなくかなり前ピンです。

画像
K-7はレンズごとにピント位置の微調整を登録しておくことができます。

 K-7には「ピント位置微調整機能」があるので、まずはそれを試してみました。マイナスに補正するとピント位置が後ろへずれます。レンズIDごとに20本まで個別の調整値を覚え込ませることができるので、一度調整すればそのレンズを付けただけで、自動的に補正が行われます。また他のレンズを使用したときに影響しません。

 で、この機能を使ってめいっぱい後ピンに補正してみた結果が上のチャートです。AFフレームは中央固定にして、中央の黒い横線にピントを合わせています。これでもようやく後ろ側の深度の端っこにかかった程度で、圧倒的に前ピンです。ワイド端開放で無限遠を撮影してみると、-10補正ありと無しでは明確に解像感に差が出ます。望遠側では一応ピント位置は深度に入っているのですが、全体的にやはり前ピン傾向。

 ググってみると、交換レンズのピント位置ずれというのはそれほど珍しい現象ではないみたいです。メーカーで調整してもらうと直る場合もあるとか。もちろんボディ側の問題の場合も多々あります。ということで、販売店に相談しにいきました。そこで、同じレンズの在庫品と、K-7の展示機も比較で触らせてくれたのですが、どの組み合わせもあまり違いが感じられません(同じテストをしたわけではありませんが)。これは偶発的な不具合品ではなく、製品全体の傾向なのか、もしくはやっぱりボディ側の問題なのかも…。

画像
結局SIGMAの18-250mmF3.5-6.3 DC OS HSMに交換してしまいました。

 とりあえず別の個体と交換してもらう、またはメーカーに調整出す、返金&別製品に交換、も三つの選択肢がありましたが、結局いろいろ悩んでSIGMAの18-250mmに交換してもらいました。問題解決手法としてはやや荒っぽいですが。

 ということで、手元には結局SIGMAの同スペックのレンズがあります。こちらは全長101mmで主さは630gとかなり大柄。その代わり、光学手ぶれ補正機能を内蔵し、AFもHSM駆動となっています。これ、お手軽便利ズームと思うとかなりもてあましますが、広角まで撮れる望遠ズームだと思うとそれほど気にならないかも。強力な手ぶれ補正ついてますし。レンズ側の手ぶれ補正を使う場合は、ボディ側の手ぶれ補正をOFFする必要があります。どちらが性能良いかは別にして、ファインダー像がピタリと安定するのは、やはり非常に大きな利点です。AFも静かでスムーズで高速。

 ただしこのレンズ、ズームリングのトルク感に段差があります。それよりも一番の欠点は、ピントリングとズームリングの回転方向が、PENTAX純正(=Nikon式)とは逆(=Canon式)なことです。SIGMAのレンズってこうでしたっけ? HSM内蔵したせいかな? これは地味に効きます…。まぁ、ズームレンズはコレ一本でもう十分なので、これに慣れれば良いだけかも。

 ピントチェックもしましたが、やはり18mmワイド端は前ピン傾向があるのですが、タムロンのA18のように深度を外したりはしていません。微調整でなんとかなる範囲かと思います。


 なんとなくですが、やはりボディ側のAF精度の問題もあるような気がしてきました。位相差検出方式のAFの精度がどのくらいあるのか知りませんが、600万画素クラスの時代なら問題なかったけど、1400万画素ともなると、そもそもAFセンサーの精度(被写界深度)と実際に撮れる画像の被写界深度は一致しているのか疑問になってきます。それにフィルムの時代からAFはワイドレンズを苦手としていたような気もします。

 とはいえ、TAMRONのA18とSIGMAの同スペックのレンズと、純正DA Limitedでは明らかに差ががあるので、なにかレンズとの相性もあるのだと思いますが。謎です。


 さて、以上で怒濤のカメラ関係お買い物月間は終了です。これからしばらくの間はこれ以上レンズを買う予定はありません。幸い身近にPENTAXの一眼レフ仲間ができましたので、持ってないレンズをちょっと借りてみたりもできそうですし。ちなみに、超便利ズームを買いましたが、私的常用レンズはあくまでもDA21mmのつもりです。

 せっかくこれだけ買ってしまったことですし、今度は飽きないように細く長く、趣味として「一眼レフで写真を撮る」ことを続けていければ良いなぁと思っています。

○K-7関連エントリー
 SIGMA 18-250mmF3.5-6.3 DC OS HSM (2009/07/31)
 PENTAX K-7 高感度ノイズ特性 (2009/07/18)
 PENTAX K-7 補正機能いろいろ (2009/07/12)
 PENTAX K-7 + DA70mmF2.4 (2009/07/06)
 PENTAX K-7 + DA21mmF3.2AL (2009/06/30)

PENTAX K-7 高感度ノイズ特性

 PENTAX K-7は発売されてからあちこちにサンプルが上がるようになって、K-7の高感度ノイズ特性はイマイチという声が良く聞かれます。14.6MピクセルのSAMSUNG製CMOSセンサーは、基本的にK20Dと同じであるものの、4チャネル読み出し化などのために、かなり手が加えられているようです。それがプラスに働いていることと、マイナスに働いている点があるようです。高感度時のS/Nは犠牲になったのでしょうか?

画像
DA70mmF2.4, 1/6s, F2.4, ISO100, AWB。宵のガンダム。夜景は低感度で三脚が基本かと。

画像
DA21mmF3.1AL, 30s, F5.6, ISO100, +1.7EV, AWB。営業終了後のガンダム。長時間露光してみたり。

 私は個人的にあまり高感度時のランダムノイズを気にしない方ですが、どの程度の感度でどの程度のノイズが出るのかは、知っておく必要があります。ということで、同一条件で感度をいろいろ変えて比較してみました。なお、K20D等の他のカメラと比べることが目的ではありません。そもそも比較対象となる機材もないですし。

 個人的な使い方では、ISO800までは普通に常用。特にくらい場所では多少のノイズが出たとしてもISO1600までは使いたい所です。それ以上は使い道が思いつきません。使えるに越したことはないのですが。

 以下、同一シーンにて感度だけを変化させて(もちろん同時にシャッタースピードが変化しますが)撮り比べてみた結果です。テスト被写体はお台場のガンダムの夜景です。三脚に設置して手ぶれ補正はOFFして撮影してあります。DA70mmを使い、AモードでF4.0固定、ホワイトバランスはオート。ファインシャープネスはON、その他補正機能類は全てOFF。NRはISO800以上の時に”中”がかかるように設定してあります。

画像
テストシーンはこんな感じです。すっかり夜になってからのガンダム。

 以下、ISO200からISO6400までの撮影画像です(ISO100も撮ったのですが、ブレてしまったので割愛します)。フルサイズのファイルをアップロードできないので、ガンダムの肩の部分を等倍切り抜きした画像を貼っておきました。それぞれクリックすると、1505×1000ピクセルに縮小した画像を見ることができます。縮小時どこまでノイズが残るか?の参考画像ということで。

画像
↑DA70mmF2.4, 1/100s, F4.0, ISO6400, NR: 中, AWB ディテールもかなり失われています。

 結果は以上の通り。シーンによって、露出によってもノイズの目立ち方は違うので、あくまでも一例に過ぎませんが、私個人の感覚ではISO800までは常用可能でISO1600は緊急用途として十分に使えそうです。ISO3200は思ったほど悪くはないのですが、やっぱり使い道が思い浮かびません。ISO6400と合わせて写らないよりはマシ、という場合用でしょうか(そんな場面があるかどうかは別にして)。

 ところで、ISO1600以上ではNRがかかるようになっていますが、NRをかけ始める感度とその強さはカスタマイズ可能です。NRの強さの設定はもう少し簡単に設定できると良いのですが。現状ではカスタムメニューを呼び出す必要があります。さらに、2段階設定可能にして、ISO800からISO1600まではNR中、それ以上はNR強、みたいなことができればなお良いと思います。

 次に参考までにISO1600でNR強にした場合のサンプル画像を下に貼っておきます。上の感度別比較の画像とは同じシーンではないので、比較ができませんが。むしろ、暗部を持ち上げすぎでノイズには厳しい条件になっています。

 ちなみに、本当はNRの強さ別に比較撮影もしたのですが、なぜかNR強以外の画像はピンぼけしてました…(-_-# 暗いところではピントが合わない、というのはこれのことか…? NR OFF/弱/中/強には、それぞれ明確な差があります。強にするとS/Nはかなり良くなりますが、思ったほど塗り絵にはなりません。

画像
テストシーンは照明が落ちた後のガンダム。これはISO200で+0.7補正してあります。

画像
↑DA70mmF2.4, 1/10s, F3.2, ISO1600, NR: 強, AWB いかにもNRっぽいですがこれはコレで良いかも。

 ということで、正直なところ噂通り、K-7はあまり高感度に強くないな、というのが感想です。Nikon D3ほどとは言いませんが、最新のセンサーを積んだ最新のデジタル一眼としては、もう少し… あと1段分くらいがんばってくれれば(ISO1600で今のISO800相当の絵が撮れる)いいのに、と思います。APS-Cサイズのセンサーは、1/2インチ程度のコンパクト機のセンサーよりも、遙かに画素ピッチ等に余裕があるのですから。

 S/N特性ははセンサーの素性で決まってしまう部分が大きく、F/Wアップデートで劇的に改善するとは思えませんが、できればISO値適応の強さ可変NR機能くらいは搭載してくれないでしょうか(A^^;

画像
ISO1000で撮影。食べ物の写真はこのくらいの感度を常用します。これだけ撮れれば十分です。

画像
夜景はやっぱりノイズ大敵。ISO100で長時間露光。

—おまけ
 ということで、お台場ガンダムをやたらに撮ってみたのですが、ここでさらにデジタルフィルターの作例を貼っておきます。ガンダムのいる風景は、あまりに非日常すぎて、しかもフォトジェニックなので、デジタルフィルターでいじり倒すには向いている被写体です。

画像
カスタムフィルターを作りました。ハイコントラストを少しかけて、ブルーのトーンブレイクを加えてあります。

画像
ミニチュアフィルターをかけてみました。ガンプラの接写っぽくなりました。本当は18mの等身大ガンダムです。

 ガンダム写真はこのくらいでひとまず終了。でも気に入ってしまったので、天候によってはまた撮りに行くかも(A^^;

○K-7関連エントリー
 SIGMA 18-250mmF3.5-6.3 DC OS HSM (2009/07/31)
 高倍率ズーム選び(18-250mm/F3.5-6.3) (2009/07/20)
 PENTAX K-7 補正機能いろいろ (2009/07/12)
 PENTAX K-7 + DA70mmF2.4 (2009/07/06)
 PENTAX K-7 + DA21mmF3.2AL (2009/06/30)

素浪人横町:池波正太郎ほか (縄田一男 選)

素浪人横丁―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)

素浪人横丁―人情時代小説傑作選 (新潮文庫)

 

  文芸評論家の縄田一男さんの選による、短編アンソロジーです。以前にも「たそがれ長屋」という長屋ものの三部作がありました。長屋ものは先の三作で終了したのですが、こんどは「浪人もの」として再スタートとなるようです。その第一作がこの「素浪人横町」です。このシリーズは短くまとめられていて、しかも一話ごとに完結しているため、とても読みやすいです。さらに未読の作家さんの作品サンプルに触れられるという利点もあります。

 さて今回のテーマは浪人。浪人と言えば、簡単に言えば「主を失った武士」なわけですが、要するに実態は失業者です。しかし厳格な身分格差社会においては、職を求めて早々簡単に町人や農民になることもできず(中にはそういう人もいたようですが)、かといって武士としての仕事の口は泰平の世の中にはほとんどなく、彼らの生活は困窮を極めます。「武士は食わねど高楊枝」を実践していられるうちはまだ良いですが、そうも言ってられないことも少なくなかったようです。

 今作に収められているのは山本周五郎、滝口康彦、池波正太郎、峰隆一郎、山手樹一郎の5人の作品。ちなみに山本周五郎と池波正太郎以外の作品は全く読んだことがありません。さて、この5人の作家さんが描いた物語に登場する、5人の浪人達の置かれた状況は様々です。武士としての気位を保ち、やせ我慢を続ける様を面白おかしく、ちょっぴりほろ苦く描いたものもあれば、命のために、家族のために体面を捨ててもがき苦しむ様もあり。わずか200ページあまりに5編が収められた短編集ですが、その内容の濃さはかなりのものです。

 第一話の山本周五郎作の「雨あがる」はとても有名な作品ですが、能力はあるのになぜか浪人し、仕官の口を探して度を続ける夫婦。夫婦の関係というよりも、主人公の伊兵衛のキャラクターが際だっています。でもそれだけでは終わらない物語力はさすがとしか言いようがありません。タイトルの通り、スッキリとさわやかな読後感の物語です。

 第二話は初読となる滝口康彦の「異聞浪人記」がこの短編集の中では最も記憶に残りました。いや、突き刺さったと言っても良いかも。あまりにも理不尽でもの悲しい展開に涙し、そしてあまりにも格好良くて鳥肌の立つような結末に震えてしまいます。武士という矛盾に満ちた立場と、それに抗うことのできないまま落ちぶれていく人々。貧乏でも長屋に暮らす町人だったら、まだいくらでも救いはあったかも知れないのに、と思います。

 そして第三話の池波正太郎氏の「夫婦浪人」は結構悲しい物語なのに、ホッとする暖かな印象が後に残るのはなぜなのでしょうか? 弥五七の優しい人間性が伝わってくるからでしょうか。当初はコメディかと思われた物語は、意外な展開を見せ、どうしようもなく情けない弥五七こそが、真の武士であったことが証明される結末へ。主人公の小兵衛とともに、読者もいつのまにか弥五七贔屓になってしまいます。

 残りの二編も珠玉の短編浪人もの小説です。一つ一つは無関係な独立した小説でありながら、ちゃんと順番も考えられているようです。アンソロジーでありながら起承転結があり、スッキリとさわやかな読後感を導く編纂は、とても上手くできています。

 お勧め度:★★★★☆ (時代小説初心者の方にもお勧めです。もちろん読み尽くしている方にも)

携帯電話機種変更

 携帯電話の機種変更をしました。今まで使っていたのはN906iμというNEC製の端末。別にそんなに古いわけではありません。というかむしろ、昨年の6月に買ったばかりの比較的新しい機種でした。使用期間は13ヶ月。もう少し長持ちすると思っていたのですが…。と言っても壊れたわけではありません。最近はだいたい1年強で機種変更するサイクルにはまっているようです。元来の飽きっぽさを炸裂。

 で、機種変更した理由ですが、5月にdocomoから夏モデルが発表されたときに、WEBニュースの記事を見ていて、なんとなくP-08Aのカラーリングが目について、気に入ってしまったというのがそもそものきっかけです。そんな最中の先日、N906iμを道路に落っことして傷だらけにしてしまった(でも壊れたわけではない^^;)のを機に、早速機種変更する決心がつきました。

画像
P-08Aの色はミントチョコ。パナソニック製のスライド式携帯。昔のDのよう。

画像
開くとこんな感じです。厚みもあってけっこう大きいです。

 ということで、新しい端末はP-08Aのミントチョコです。スライド式の本体デザインと、水色と茶色のツートンカラーが決め手で、機能等の中身がどうなのかはほとんど調べていません。docomoの端末の中ではSTYLEシリーズというのに属しているのですが、スライド式でスピードセレクタというダイヤルがついているあたりは、まるで今はなき三菱製の端末のよう。そう言えばN906iμの前はD903iを使っていましたっけ。サイズもほとんど同じです。N906iμから持ち変えると、かなり大きく感じます。特に厚み方向。つるんとしたデザインで、凹凸もないため(それはそれで良いことですが)、手に引っかかりにくく、そのうちすぐに落としてしまいそうです。

 機能的にはカメラ、ワンセグ、おさいふ携帯、Bluetooth、ミュージックプレーヤーなどなど一通りのものが揃っています。中でも利用頻度の高いカメラは8.1Mピクセルで、AFと手ぶれ防止とライトつき。パナソニック製の携帯電話を使うのは初めてですが、操作で戸惑うことはありません。レスポンスも特に気にならない程度に軽快です。

画像
水平にスライドするのではなく、少し円弧を描いてせり上がってきます。

 それにしても、またまたよく分からないサービスと機能がついてきています。iウィジェットとか、iコンシェルとか。iコンシェルは端末価格の割引と引き替えに1ヶ月の無料お試しに登録させられたのですが… 鬱陶しいだけで不要です。お試し期間中に多分解約するでしょう。

 iウィジェットはさらによく分からない機能です。iアプリの利用率を上げたいのでしょうか。それにしても、よく触るCLRボタンにiウィジェット起動を同時に割り当ててある当たりは悪意さえ感じます。OFFできないし。やっとiチャネルボタンが無くなったと思っていたのに。この手のボタンってうっかり触ってしまうんですよね。まぁ、誤起動させないように慣れるしかありません。

 さて、今度こそ2年くらいは使い続けたいものです。


 実はほぼ同時にもう一台の携帯電話も機種変更しました。正確にはPHSですが。こちらは仕事用で会社から支給されているもの。モバイル用途としてのPHS機能とともに、社内の内線と外線通話の端末も兼ねています。PHSといえばWILLCOMなわけですが、これまで使用していたのはJRC製のAH-J3003Sという、いかにもビジネス向けな端末。軽くて小さいのですが、低解像度なSTN液晶などは、まるで10年前の機種のよう。

画像
WILLCOMのWX321J。ストレート型の結構渋いデザイン。今時のケータイらしくなりました。

 新しい端末は同じくJRC製ですが、もうかなり今風でビジネスだけでなくコンシューマ用でも通用しそうな、WX321Jという機種。液晶画面もQVGAのTFTになり、それなりに垢抜けています。カメラもついてmicroSDにも対応していますし、ネットもにも接続できる(メール以外は禁止されていて使えませんが)など、ごくごく普通のケータイになりました。

 黒基調の小型でストレート型のデザインは、むしろ他にはない特徴があります。普通に気に入ってしまいました。携帯電話ってコレくらいでちょうど良いんじゃない?と思ってしまいます。

 こちらは飽きても数年間は使い続けなくてはなりません(クビにならなければ(A^^;;)。

2009年F1第9戦 ドイツGP

 前回のイギリスGPから3週間、F1はちょっと早い夏休みを挟んで、久々のレースがドイツのニュルブルクリンクで行われました。同じドイツのホッケンハイムをはじめ、ヨーロッパには数多くのオールドコースがありますが、このニュルブルクリンクもその一つ。ここはシルバーストーンとは打って変わって、中低速コーナーがメインのテクニカルコース。しかも標高が高い上にアップダウンが激しいという特徴があります。KERSの効きが良いと言われ、マクラーレンに復調の兆しが見えましたが、やはり空力とメカニカルグリップに勝るものはありません。結局レースが始まってみれば、ブラウンGPとレッドブルの一騎打ちになりました。

「一番大事なのは棚ぼたの優勝じゃないってことだ」 マーク・ウェバー/レッドブル
 今シーズン好調なレッドブルで、今期優勝しているのは若いベッテルだけ。ウェバーはそこそこ良い成績を残すものの、すっかりベッテルの陰に隠れた形になっていました。「彼は良いドライバーだけど優勝するような器ではない」と思われていた面も多々あったと思います。実際私もそう思っていました。
 しかし、前戦のイギリスGPからはベッテルに迫る勢いを見せ始め、ここドイツではとうとうポールポジションを取ります。レースではスタートに失敗してペナルティを受け、盤石な一人旅とは行かず出入りが激しいながらも、しぶといレース運びで見事、(結果的に)ポールtoウィンを飾りました。ウェバーのコメント通り、これは2強の4ドライバーの中で競り勝って手に入れた、正真正銘の優勝です。

 ミナルディでのデビューから早8シーズン目。速さと巧さは常に見せてきたのに、これまでは何か一つ足りませんでした。それは何か精神的なものなのか、あるいは単に勝てるマシンだったのか。ポイントランキングでは2位のベッテルにわずか1.5ポイントまで迫っています。

「本当に満足しているなんて言ったらウソになる」 セバスチャン・ベッテル/レッドブル
 強さに陰りが見えてきたブラウンGPを尻目に、今やもしかしたらチャンピオン候補のNo.1に挙げられる勢いのベッテルですが、今回は予選でのスーパーラップが不発に終わり、4番グリッドに沈んだ時点でかなり厳しいレースが予想されました。しかもスタートでは大きくポジションを落としてしまい、第一スティントでコバライネン・トレインにつきあわされてしまうという、不運に次ぐ不運の展開。しかし、基本的な速さはやはり圧倒的で、第2スティント以降でタイムを稼ぎ、なんとか3ストップ作戦のブラウンGPの前に出ることに成功。序盤からは思えば2位フィニッシュは願ってもない結果に思えます。

 まだシリーズチャンピオンに手が届くかも知れないことに実感が沸かないのか、単純に天然なのか、実に陽気で前向きで自然なコメントが目につきますが、気がつけばランキングは2位に浮上。しかし1.5ポイント差でウェバー、さらに1.5ポイント差でバリチェロと争っています。もしポールが取れていれば… いや、せめてフロントロウにいれば…。レースに”もしも”はありませんが、本人は少し悔やむ点があるはずです。

「全てチームのせい」 ルーベンス・バリチェロ/ブラウンGP
 2番グリッドからスタートし、ウェバーと交錯しながらも第一スティントをトップで駆け抜けたバリチェロ。今回こそは優勝できるのでは?と誰もが思ったし、本人もその手応えがあったのでしょう。しかしレッドブルなどのライバル達が2ストップ作戦なのに対し、ブラウンGP勢は3ストップ作戦。そう考えるとペースはむしろ少し足りませんでした。
 一人旅の第一スティントでは十分なギャップが稼げず、1回目のピットストップが終わってみれば、ペースが圧倒的に悪いマッサの後ろに入ってしまいます。そのまま9周を無駄にしたうえに、ペースはその後も上がりません。チームの戦略よりも何よりも、マシンにそれだけの速さがなかった、というのが正しいのではないかと思えます。

 彼がこんなに怒ってる理由は、最後の最後でバトンに前に行かれてしまった点にあるのではないかと思えてきます。バトンも遅い車に引っかかって決してペースが出せていたわけではありません。バリチェロのスピードがそれ以上に足りなかったのも事実ですが、やはり2回目のピットミスも大きく響いていそうです。この点も含め、信頼関係が崩れているのだとしたら、チームにとってもバリチェロにとっても不幸なことです。

「エンジンとギアボックスをセーブしよう」 ルイス・ハミルトン/マクラーレン
 ようやく復活の兆しを見せてきたマクラーレン。ハミルトンは予選でも久々にQ3に残り、スタートもKERSを利用して大きくジャンプアップ。しかし、そのオープニングラップは無理しすぎたのか、結局他のマシンと接触してタイヤをパンクさせてしまい、レースは最後尾からやり直しに。この時点で彼のモチベーションはぷっつり切れてしまったのでしょう。

 ハミルトンは無線で、上のような言葉でもって「もうこのレースをリタイヤしよう」と提案しますが、チームからは「雨が降るかも知れないからそのまま走れ」と説得されます。これはなかなか面白いやりとりでした。ハミルトンの我が儘のようですが、気持ちは分かります。一方で、わずかな可能性に賭けるチームの気持ちも良く表れている会話でした。

 やる気のないマクラーレンが周回遅れになるシーンが何度もTVには写っていましたが、結局ハミルトンは最下位でレースを完走しました。

 その他、因縁のスーティルとライコネンの絡みとか、中嶋はやっぱりポイントが取れなかったけど、ロズベルグはちゃっかり6位に入ったりとか、細かく見ると色々あった盛りだくさんなレースでした。次回のレースは2週間後、ハンガリーGPです。