酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

夕暮れの江川海岸で海上電柱列と夕日と富士山と工場夜景と星景写真を撮る

 昨夏に初めて訪れた千葉県木更津市の江川海岸を再訪してきました。ここは海に延びる電柱列が有名な撮影スポットなので、季節を問わずたくさんの人が訪れています。電柱列は東京湾に面して南東を向いているので、夕方から日の入り前後がベストな時間帯です。

 まったく同じ場所でも季節が違えば太陽の位置や気候などなど、見える風景は意外なくらいに変化しています。特に江川海岸は潮干狩りができるとあって、潮の満ち引きによっても大きく景色が変わります。前回撮影後にとある友人から「江川海岸に行くなら潮目を事前にチェックしろ」とのありがたいアドバイスを頂いていました。

 昨夏に訪れた時はほぼ満潮の時間帯で、風も強く海面はさざ波が立っていましたが、今回は逆に日没前後は引き潮とのこと。しかも穏やかな冬の晴天で風も強くありません。海面のリフレクションが撮りやすい条件が整いそうということで、前回とはまたひと味違った海上電柱列が撮れるのではないか?と思い、午後になってから車を走らせ出かけてきました。

 さらに江川海岸が有名ポイントとなっている理由は、電柱列の向こうに君津沿岸の工場夜景が広がっていることも大きいと思います。さらに電柱列とは方向が違いますが、晴れていれば東京湾を挟んで富士山もよく見えますし、さらに都心よりは星もたくさん見えるはず!

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 ということで、夕暮れから日没後にかけての江川海岸は撮影対象に事欠きません。カメラ一台では足りない~!と嬉しい悲鳴を上げながら、いろんなものを撮って遊んできました。

夕暮れの江川海岸


 思い立って都内の家を出発したのは午後2時過ぎ。アクアラインで一気に木更津に渡るなら、多分1時間もかからずに江川海岸に着いてしまいそうですが、ドライブがてらと言うことでわざわざ京葉道路から遠回りし、途中のサービスエリアで遅い昼食を食べながら時間調整しました。

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 そして現地に到着したのが午後4時ごろ。すでに結構太陽は低い位置にいます。冬至から約一ヶ月経っていますが、まだ日の入りは4時台でしたっけ。前回は地平線付近はモヤモヤしていて全く見えなかった富士山の姿がクッキリ。これから日没、マジックアワーにかけて良い景色が見られそうです。

 それにしても天気が良いとは言え、非常に冷え込みの厳しい日だったので、より寒さが応える海辺にやってくる物好きな人もそんなにいないだろうと思っていたのは大間違いでした。電柱列付近はすでに三脚の列がズラッと並んでいました。やはりここは人気があるようです。

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 さっそく望遠ズームに付け替えてアップにしてみると、一面夕日で黄金色の世界です。

 混雑していると言っても、スペースがなくて撮れないと言うことは全くなくて、何とでもなります。幸いベストポイントが一カ所に限られると言うこともなく、どこから撮ってもそれなりに楽しめます。

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 前回は確か電柱を左手に見るこの辺りから撮ったはず。どこでも楽しめると言いつつ、それでもここがやはり一番人気のポイントなのか、一段と人の密度が高くて混んでいました。

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 午後2時過ぎから潮が引き始めてるはずですが、日没前のこの時間はまだ結構水位は高いです。でも海面に広がる波紋の動きを見ていると、潮が引き始めてるのが分かります。それにしても全体的に海面は落ち着いてますね。これは結構綺麗なリフレクションになるかも? と期待が高まります。

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 カモメ? いやもしかしてカモ? よく分からなかったのですが海鳥の大群が水が引き始めた砂浜で羽を休めていました。あの鳥が邪魔だな〜と言ってる人がいましたが、そうですかね? 海の風景だから水鳥は欠かせない存在だと思います。

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 なお上空はまだ光がたっぷりあるようです。木更津上空は羽田空港への着陸アプローチコースなので、頭の上を次々に飛行機が飛んでいきます。お腹から見ると真っ白でなんだか分かりませんが、どうやらJALのB767のようです。超望遠レンズを持ってきたら、飛行機撮影もそこそこ楽しめたかも。

日没と夕焼け空の富士山


 さて、午後4時40分を過ぎるといよいよ日没です。日没後しばらくは電柱列よりも富士山が美しすぎて、夕焼け空にシルエットで浮かぶ富士山ばかり撮ってしまいました。

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 あたりはより一層景色が赤みを帯びてきました。海面も空を反射して真っ赤です。こんな綺麗な夕焼けの景色を見たのは久しぶりかも。

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 さてその富士山の姿はこんな感じ。逆さ富士のリフレクションとはいきませんでしたが、穏やかな海面に立つ波紋が夕焼けに染まる姿も美しいです。これ、湖じゃなくて海ですからね。

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 さらに少し時間が経過して、良い感じに暗くなってきたところで、スローシャッターにして海面を溶かそうと思ったのですが、NDフィルターを持ってくるのを忘れてしまいました。仕方ないので思い切り絞り込んで、RAWなのを良いことに、あとで現像でカバーすることにして少しオーバー目の8秒シャッターを切ります。海面の質感が消えて不思議な感じになりました。

 色が変わっているのは恐らく水深が違うのだろうと思います。手前のより穏やかで赤く反射している部分は、引き潮でもうすぐ砂地が露出してくる部分のようです。

 それにしても雲が出れば出たで文句言うくせに、こうなるともう少し雲が欲しいとか思ってしまいます。

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 そうこうしているうちに電柱列の方も良い感じになってきました。君津の工場群の灯りも見えるようになってきました。カメラを慌ただしく右に左に振って撮っていました。

 こちらも手前の海面は鏡面とまではいかないものの綺麗に空と電柱列と対岸の風景を反射してくれています。

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 そして富士山もますます赤みが増し、リフレクション逆さ富士もそれなりに姿を見せてくれました。潮は順調に引いていき、ここへ来てどんどんと遠浅の砂浜が姿を現し始めます。

 うん、富士山は近くに行って見上げるのも良いですが、千葉からでもこんなに綺麗な姿が見えるんですよね。素晴らしい!

電柱列と工場夜景のリフレクション


 さて、日没から45分ほどが経過した午後5時半ごろ。あたりはだいぶ暗くなってきました。でもまだうっすらと夕焼けの色が空に残っています。肉眼ではもう夕焼けのマジックアワーは終わったかに思えましたが、デジカメで撮るとまだまだその色が鮮やかに出てきます。

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 ほら、こんな感じですでもまだ工場群の灯りが足りない... かな。

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 ということでさらに10分経過するとこんな感じになりました。うん、なかなか良いですね!

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 位置を変えて電柱の南側に回り込んでみました。するとこちらはすっかり潮が引いて、すでにほとんど砂浜が露出しています。これはこれで面白いですね。

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 そして今回のベストショットはトップに貼ったこの一枚。この時間帯になると絞り込む必要はなく、F8で25秒ほどの露光時間になりました。もちろんISOは100固定です。ズーム位置も130mmくらい。風がないのでブレる心配もほとんどありません。

 なおホワイトバランスはCTE(PENTAX独自の光源色強調のホワイトバランスモード)で撮影し、RAW現像時に調整しましたが、これで6500K(色かぶり補正は+30)程度ですので、特に極端にスライダー動かして無理矢理黄色味と赤味を強調したということはありません。もちろんカスタムイメージは風景相当を選んだので、それなりに彩度は上げていますが。

 肉眼ではかなり暗い中でもたっぷり露光時間をかけて写真に撮ると、こんなに濃い色が出てくるのに驚きました。

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 しかしながら、昨夏に撮ったときはこんな色になったんですよね。この時もCTEを使いったのですが、色温度は3000K(色かぶり補正は+15)程度で、こちらは明確に青みを強調しているのですが、いずれにしても同じ場所で撮った写真とは思えません。季節(日没の方位)と気候が違うとは言え、工場の照明なんかは同じはずですから。

 ただ今回撮った上の黄色い写真を、このブルー調に仕上げられるかというと、RAWとは言えどもホワイトバランスを弄るだけでは無理です。そもそも写っている「色」の成分が違っているわけで、この色味の違いはそれなりに現実の「色」のを表しているのだろうと思います

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 今回も試しに日没ポイントから十分離れた明後日の方角を撮ってみると、こんな風に青くクールに仕上げられます。やはり空の色が重要なんでしょうかね。そういう意味では黄金に輝く電柱列と工場夜景を撮れるのは冬の間だけだと思います。

最後にインターバル合成で星空を写してみる。


 さて午後6時を回るとあたりは足下も見えないくらいに暗くなってきました。気がついたらあんなに沢山いた人もほとんどいません。帰ろうかと思ってふと空を見上げると... 都内では見られないくらいたくさんの星がきらめいていました。

 なるほど、アレをやってみるか!こんなこともあろうかとDFA15-30mm もちゃんと持ってきていました。

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 はい!これです。年明け直後にも若洲海浜公園でやってみたインターバル合成による星の軌跡撮影です。このカットはISO1600で2秒露出を200回行って比較明合成しました。こんなに上手くいくならもう少し回数を増やせば良かった... と少し後悔しています。インターバル合成は撮影に時間がかかるので、気軽にもう一枚!とはいきません。

 さて、海の向こうにある夜景の灯りはかなり強いですが、やはり都内とは違って星の明るさは比べものにならないくらい強く、かなり賑やかな星の軌跡写真が撮れました。飛行機やヘリコプターも数多く飛んできます。ちなみにこの写真、もう肉眼ではほとんどその姿が見えなかった富士山が右端には浮かび上がっているのがわかります。

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 そして少し位置を変えてもう一枚。こちらはISO3200に上げて1秒露出を同じく200回。寒さが限界を迎えてきたので、ちょっと撮影時間を短縮してしまいました。おかげで星の軌跡の長さもだいたい半分になってしまっています。

 海面には星の軌跡はほとんどリフレクションしてくれませんでしたが、飛行機の灯りは眩しいくらいに反射してくれました。工場の煙突が吐く煙も面白い感じですね。

 ちなみに良く見ると中心付近の星の軌跡が一部破線になっているのにはちょっと訳があります。この原因については仮説を立てているのですが、実験で確かめてみる必要があると思っています。

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 さて、星の写真を最後にもう一枚。これはインターバル合成ではなく露光時間20秒の一発撮り。一応アストロトレーサーをONにして撮りました。サムネイルではほとんど見えないかも知れませんが、中心付近におなじみのオリオン座が写っています。剣の部分に当たるオリオン座大星雲も写ってますし、上の方には牡牛座の一部もよく見えます。もう少し上の画面外にはプレアデス星団が見えていました

 広角レンズではなく望遠レンズで星団とか星雲を狙ってみるのも面白そうですが、露光時間がかなり限られるのでアストロトレーサーの使いこなしはより難しくなりそうです。

潮目が重要、でもいつでも楽しめる

 ということで、江川海岸は季節ごと、潮の状況ごとに色々な顔を見せてくれてなかなか飽きない絶景スポットだと思います。冬の引き潮の時期、良く晴れた夕暮れ時はベストシーズンかもしれませんが、そうじゃなくても楽しめるはずなので是非お勧めです。アクセスもアクアラインの木更津側たもとからすぐなので、車があればアクセスも本当に便利です。


 そう言えば内房のもう一つの電柱ポイント、原岡海岸は電球が復活したそうなので、そちらも冬の間にリベンジしたいなと思っています。

使用したカメラとレンズ

 カメラはいつものPENTAX K-1です。レンズはDFA★70-200mmF2.8を中心に、標準ズームはDFA28-105mmを持って行きました。そしてDFA15-30mmF2.8は星空用です。大三元ではないですがこの組みあわせもなかなかバランス良いです。

PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280

PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280

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