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酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

チャンスは年に2回だけ! 東京ゲートブリッジからダイヤモンド富士を狙ってみる

 毎年2月23日は「富士山の日」だそうです。とはいえ富士山はいまだ雪に閉ざされており、登るには適さないわけですが、空気が澄んでいるこの時期は、雪を被った綺麗な富士山の姿が都内からでも良く見える日が多くて、眺めるには絶好の季節です。もちろんこの日が選ばれたのは単なる語呂合わせ(223 → ふじさん)であるのは承知の上ですけど。

 さて、そんな「富士山の日」の前後は、東京近郊各地から日没がちょうど富士山方向に重なり、所謂「ダイヤモンド富士」が見られる季節でもあります。

 中でも先週末の土日は、東京ゲートブリッジそばの若洲海浜公園からダイヤモンド富士が見えるとの情報をキャッチ。太陽の位置的にベストと思われた土曜日は、残念ながら朝から曇りの天気でとても富士山も日没も見えそうになかったのですが、日曜日は朝から快晴! これはいけるかも?と思い立ち、車を走らせて行ってきました。

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 その結果は上に貼った写真の通り。完全な失敗ではありませんでしたが、残念ながら夕方にかけて西の地平線に沸いてきた雲に遮られ、富士山はかろうじて頂上部が見えるだけ。位置的にもやはり前日土曜日がドンピシャだったらしく、日曜日はわずかに北にずれていました。

 せっかくですので、その前後に撮った写真などもここに貼っておきたいと思います。ダイヤモンド富士のことを忘れれば、そこそこ楽しめました。

情報源

 さて、どこでいつダイヤモンド富士が見られるかは... ググればたくさん情報が出てきます。まとめ情報もありますし、日没の方位を調べGoogleマップなどを駆使して、ベストの日時や場所を割り出していくことも出来るでしょう。富士山との位置関係の問題ですから、大抵いつもどこかでダイヤモンド富士は見られるはず?

 ですが今回はそうやって自ら積極的に情報収集したのではなく、たまたまTwitterに流れてきた以下のツイートを見たのがきっかけでした。


 お役所の公式アカウントも結構役に立ちますよね(上から目線)。この写真が昨年のこの時期のことなのか、秋のことか分かりませんが、こんなに綺麗に見えるのか~。ということで、この写真に誘われて、久しぶりに若洲まで行ってみることにしました。


 こうして地図で見ると東京ゲートブリッジは近すぎるし、富士山が見えるような場所とは思えませんが、実はそれなりによく見えるんです。そうでなくてもここはとても良い写真スポットなのです。上の地図に引いた赤線は、ずっと西へ(左へ)たどっていくと富士山の山頂に当たるように引いてあります。このように東京ゲートブリッジとちょうどクロスします。

午後4時

 若洲海浜公園に到着したのは午後4時ごろ。日没の1時間以上前です。もしやとは思っていましたが、やはり同じことを考えるカメラおじさん達(実際は老若男女いましたが、以後"おじさん"を代表として扱います)で、いつも以上に混雑していました。まだ日はかなり高いです。
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 公園の南端部の岸壁にはこうして三脚が並んでいます。ベストポイントは公園の南端角で、この写真にシルエットで写ってるのは大体そのあたり。良いところから埋まっていくのは当然です。私はもう少し右の方の岩の上に陣取りました。

 ちなみにこの位置取りで変わるのは、富士山と東京ゲートブリッジの位置関係だけです。富士山と太陽の位置関係にはほぼ影響はありません。


 さて、現場をGoogleストリートビューで見るとこんな感じのです。海辺はこうして人工の岩場になっています。この岩の向こうは海。柵も何もありません。足を滑らせると、かなりの大事故になりかねませんので注意が必要です。子どもが遊ぶにもちょっと岩が大きすぎるようです。岩の隙間にレンズキャップ等を落としたら回収はかなり困難です。三脚を立てられるポイントを見つけるのも一苦労。ですが、足場はしっかりしていますので、必ずしも水平である必要はなく、うまい石突ポイントを見つけて、水準器を見ながら丁寧に足の長さを調整すれば何とかなります。

 なお、若洲海浜公園のこの場所には、2020年東京オリンピックのセーリング競技会場を作る計画が数年前に持ち上がりましたが、いろいろな揉め事が起こる前にあっさりと撤回されました。この何もないワイルドな雰囲気が大好きな一都民としてはホッとしています。

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 さて、そのワイルドな岩場に張り付いているのは、カメラをおじさんか、釣り人だけです。釣り人は水際ギリギリまで行きますので、お互いが交錯することはありません。また時々ネットで聞くような、傍若無人なマナーの悪いカメラおじさんはおらず、逆に釣り人も特にわれわれを気にすることもなく、みんなのんびりと日没を待ちます。

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 さて、まだ太陽はゲートブリッジの遥か上にあって、日没までは時間がありそう。岩の陰に隠れると風も遮られ、思ったほど寒くはありません。もうしばらく待ちましょう。

午後5時前

 さて、この日の東京の日没時刻はネットで調べたところ午後5時27分頃となっています。日没30分前くらいからいよいよ周囲に緊張が高まってきます。

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 超広角レンズで撮ってるとは言え、東京湾にまだこんな景色が残ってるなんて!って思いませんか? こののどかな海辺の風景が大好きです。

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 さて、太陽が東京ゲートブリッジの下に下りてくるのももうすぐ。しかしこの時間になって、どんどんと雲行きが怪しくなってきます。この時点では「これはダメかもね...」という諦めの空気が周囲に流れていました。

 隣にはマミヤの中判フィルムカメラを構える見知らぬおじさん(おじいさんと呼んだ方が良いかも)は、「ここからダイヤモンド富士が綺麗に撮れたら、おれ写真を辞めようと思ってるんだ...」という何かのフラグのような発言。思わず苦笑いしてしまいます。

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 あ! もしかして富士山見えてる? 地平線近くの雲の塊の上に、少し突き出しているそれらしきシルエットが見えてきました。がんばれ富士山! 頑張れ夕日! 消えよ雲!

 ちなみに対岸に立っているクレーンは、最近まで大騒ぎしていた海の森ボート競技場の建設現場です。周辺は公園になるはずなので、高い建物は出来ないはずですが、ここから富士山が見えなくなる日も来るのかも?

いよいよダイヤモンド富士!

 時刻は午後5時を過ぎました。いよいよショーの始まりです。辺りには波の音とシャッター音だけが響き渡ります。

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 むむ? 富士山はどこだ? 消えたか? いや、いる!

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 かかった!山頂の少し右側です。やはり本当は前日の方が位置的にはベストだったようです。

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 引いて東京ゲートブリッジをしっかりと入れてみました。でもこうなると富士山がそこにあることはほとんど分からないですね...

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 完全に沈みきる直前。こうなるといかに太陽の動きが速いか(地球の自転の速さ)がよく分かります。見る見るうちに太陽は隠れていき、もはやレンズを交換する暇などありません。ズーミングしてピントを合わせる暇さえもどかしく感じ、これはもはや動体撮影ではないか?と思いました。もちろん、秒間10コマで連写する必要はありませんが。

 このカットを撮影した時点で時刻は午後5時16分でした。K-1の時計はGPSと同期してるので正確です。事前にネットで調べていた日没時刻より大分早くて少し慌てましたが、日没とは「太陽の上辺が地平線に一致する時刻」という定義なので、富士山に隠れる時間は当然少し早くなるわけです。それに「東京」と言っても若洲は東の端に近いですし。

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 あっという間に静かに太陽は消えていき、空に富士山が作る影が見えてきます。海面も夕焼け色に光っていてこれはこれで綺麗ですね。

 ということで、微妙な結果を残してショーは終了しました。

日没後

 完全なる敗北ではなかったけど、今日は今ひとつだったね、という雰囲気を漂わせつつ、周囲のカメラおじさん達は機材を片付けて引き上げていきます。でも私はしばらく居残りすることにしました。

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 だって、これから空が完全に暗くなるまでの時間がとっても綺麗だから。みんな残れば良いのに。

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 岩場は疲れたので、内側の芝生の丘に場所を移動しつつ、超広角で空を一杯に入れて撮ってみたり。東京ゲートブリッジもライトアップが始まりました。うーん、この位置でこのレンズでインターバル合成すると星が写るだろうか? それも次回挑戦しなくては。

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 そしてそのインターバル合成もちょっとだけやってみました。奇しくも富士山の姿が日没時よりもハッキリしてきました。空に描かれてる軌跡は羽田を離陸した飛行機です。ラッシュ時だったのか5機もやってきてくれました。軌跡が途切れてるところがインターバルの谷間です。

 K-S2/K-70/K-1では、K-3/K-3IIよりも撮影インターバルの設定やレリーズ方法の選択肢が増えたりして、インターバル撮影はより使いやすくなっています。今回は撮影感覚を「最短」に設定し、撮影回数は100回、カメラ内で比較明合成しました。レリーズはセルフタイマーを使いました。

 また、ライブビューでフレーミングし、ショックをすこしでも抑えるために電子シャッターをONにしたつもりでしたが、実際の動作を見ているとメカシャッターが動いていたようです。設定ミスか、インターバル合成時には電子シャッターが使えないのか、今のところ明確に分かってないので、後日要検証です。

KONE1854.jpg
 ゲートブリッジの北側に出てDFA24-70mmのワイド端で同じく100回インターバル合成してみました。右端に見切れているひときわ明るい軌跡は金星によるものです。それ以外にもうっすらと星の軌跡が写ってますが、残念ながらこの時間になって急速に雲が広がってきたので、ここで終了。時刻はもうすぐ午後7時という頃です。日没後1時間以上グズグズ遊んでいたことになります。

いつかリベンジを!


 今回主に使ったレンズはDFA★70-200mmF2.8ですが、DFA24-70mmとDFA15-30mmも使ってみました。広くてのどかな海と東京湾岸の町並みが混ざる風景は、どんな画角のレンズでも使い道があります。というより、こういう場合は標準域より広角か望遠か極端なほうばかり使いたくなりました。特に、超広角は楽しいですよね。F2.8通しの3本を持っていれば本当に心強いです。

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 私自身は隣にいたおじさんのように、ダイヤモンド富士を撮ることに特別な思い入れはないのですが、ここは好きな撮影スポットですし、夏至を過ぎて秋分の日に向かう頃に、再び太陽はここを通るはずですので、天候等々鑑みてまたチャンスがあれば挑戦してみたいと思います。


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