東京ゲートブリッジの夜景でFUJIFILM X-Pro2の高感度を試す

投稿者: | 2016年4月3日

 この季節、桜ばかりだと飽きてしまうので、ちょっと目先を変えて東京ゲートブリッジを撮りに行ってきました。と言ってもここも先月にも来たばかりで「またか」という気がしないではないのですが(A^^; X-Pro2と一緒にお借りした35mmのレンズで、ちょうどいい感じに撮れる風景といえば真っ先にここが思いつきました。そろそろ日没後の寒さも和らいできたことですし、仕事の後に海風に吹かれるのも悪くありません。

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 夜景と言うことで小さな三脚も持って行ったのですが、ここで思いついてX-Pro2の感度別比較をしてみることにしました。

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東京ゲートブリッジ

 感度比較の前に、普通に撮ってきた写真を少し貼っておきます。撮り慣れた被写体ですのでマンネリになりつつありますが、美しい橋とライトアップ、静かな海と飛行機の軌跡、遠くに見える東京の街灯りなど、何度見ても、何度撮っても飽きません。

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 まずは定番。東京ゲートブリッジの南側へ。羽田空港のB滑走路にアプローチする飛行機が上を掠めて行きます。海もこの日は比較的穏やかでした。

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 軌跡と言えば飛行機だけでなく、船も結構頻繁に行き来します。ちょうど帰ってきた遊覧船と、出て行く貨物船が東京ゲートブリッジの下で交差します。ここで飛行機が来てくれたら「軌跡三昧」で面白かったんですけどね。一瞬合成しようかと思って止めておきました(A^^;

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 これは釣りポイントで有名な堤防の上から。この堤防はゲートブリッジ沿いにずっと海のほうへ張り出しています。夜は閉まってると思ったのですが、ゲートは開いていたので先へ行ってみました。先端にあった灯台は撤去されたようです。

 飛行機の軌跡は綺麗にカーブしていてこっち側から撮った方が面白いのですが、30秒では足らずに尻切れトンボになってしまいます。NDフィルターとケーブルレリーズを用意して、バルブで1分くらい露光時間を取りたいところです。

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 堤防の上からは海を挟んで東京の街並みが見渡せます。

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 橋脚を入れるのもアリかも。この日は良く晴れていたものの、微妙にモヤがかかっていておかげで空が明るく感じましたが、もっと空気が澄んだ真冬などにインターバル合成して星の軌跡が写らないかな?などと考えてしまいました。一度やったことあるので今度挑戦してみたいと思います。

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 蛍光塗料が塗ってある看板がぼんやりと暗闇に浮かび上がっていました。海はすぐそこですが、公園の土手の上なので思ったよりは海抜があります。恐らく我が家のある辺りよりも高いと思われます。

 なおこれらの写真を撮るに当たっては、わざとホワイトバランスを「電球」に設定し、青っぽく写るようにしました。その方がクールで都市夜景っぽいと思います(個人の意見です)。

感度別比較

 さてではX-Pro2の高感度はどの程度の実力があるのか見てみましょう。シャドウ部が多い夜景はノイズが目立ちやすいですが、逆に言うとコントラストが高くて色に乏しく、高感度の実力を正しく反映しているとは言えないかもしれませんが、一例と言うことで。夜景を撮りたいと思ったときに、いつも三脚があるとは限りませんからね。

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 なおX-Pro2の感度設定はダイヤル式です。シャッターダイヤルのリングを持ち上げながら回すと中の感度設定ダイヤルが回転します。設定された感度は背面液晶やファインダー内に表示されるので、暗闇でも問題はありません。

DSCF0679.jpg
 なおテストシーンはこんな感じです。絞り優先でF8に設定しシャッター速度は自動。フィルムシミュレーションはデフォルトのPROVIAでJPEG書き出し。ノイズリダクションの設定はデフォルトのままで、ホワイトバランスもAUTOです。最初に貼った数枚と違って実際はこのくらい黄色く写ります。

 以下、各感度毎に設定して撮影したカットから、一部を等倍に切り出したサムネイルを貼っていきます。クリックするとFlikrにアップロードしたオリジナルの画像に飛びます。なお感度設定は1/3段ごとに設定可能ですが、ここでは拡張感度を含め1段ごとに変更して撮影しました。

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 ISO100(拡張感度)

DSCF0679-Edit.jpg
 ISO200

DSCF0680-Edit.jpg
 ISO400

DSCF0681-Edit.jpg
 ISO800

DSCF0682-Edit.jpg
 ISO1600

DSCF0683-Edit.jpg
 ISO3200

DSCF0684-Edit.jpg
 ISO6400

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 ISO12800

DSCF0686-Edit.jpg
 ISO25600(拡張感度)

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 ISO51200(拡張感度)

 標準感度はISO200〜12800までで、低感度側のISO100と高感度側のISO25600, ISO51200は拡張感度となっておりJPEG記録限定となります。

 という前提で見てみるといかがでしょうか? やはりISO1600まではなんてことない感じです。ノイズもほとんど気にならず、解像感もほぼ保っていると言えるでしょう。私基準ではISO3200は十分普通に使える範囲じゃないかと思います。ISO6400からはさすがにノイズも増え、柵などの解像も怪しくなってきますし、その傾向は標準感度のISO12800まではほぼリニアに思えますが、高感度側の拡張感度に入った瞬間にたしかに画像はかなり崩れてしまいます。ISO12800とISO25600の間には明確な壁があるようです。

 一方の低感度側はどうかというとISO100になると確かに照明が当たるトラス部分が白飛びする範囲は広がり、ダイナミックレンジは狭くなってることは分かりますが、このくらいなら露出と現像で何とか出来るとすれば、RAWで記録させて欲しいという気がします。

 最近はISO感度のインフレが起きていて、何十万とか何百万とか桁がよく分からないスペックを持つカメラも増えてきましたので、標準でISO12800まで、拡張でISO51200までというX-Pro2のスペックは大したことないですが、ISO3200程度までの実用的な範囲の画質という点では、APS-Cサイズのカメラとしてはまだまだトップクラスではないかと思います。これが24Mピクセルで実現できているのだから、バランス的にも優れていると思います。

X-Pro2感度設定の注意点

 感度設定がダイヤル式であるという話はすでにしましたが、拡張感度を使うにあたっては少し注意点があります。

DSC_3766.jpg
 感度AUTOを挟んだ両側のLとHというポジションが拡張感度設定ですが、H側は設定可能なポジションが一つしかないのに、拡張感度自体はISO25600とISO51200の二つがあります。これはHポジション設定時にどちらの感度を使うか、あらかじめメニューで決めておく必要があります。この仕様は覚えている限りX-T1からそうだったのですが、なぜかこの謎仕様はX-Pro2まで引き継がれてしまいました。ダイヤル配置の問題かもしれませんが、そこは工夫してH1とH2の2ポジション用意して欲しいところです。

DSC_3764.jpg
 それから拡張感度はL側もH側も電子シャッターを有効にしていると使えません。X-Pro2のメカニカルシャッターは1/8000secまで対応していますが、標準感度がISO200下限と言うこともあって、明るいところで大口径レンズを使う際に、シャッター速度の連動範囲外になってしまう場合があります。これは以前からXシリーズの弱点だったのですが、X-T1のファームウェアアップデートで電子シャッター併用モードが追加され、メカニカルシャッターの上限を超えると自動的に電子シャッターに切り替わるようになり、その弱点がかなり解消されました。

 なので今回もX-Pro2を受け取ってから、真っ先に電子シャッター併用に設定変更したのですが、この場合拡張感度が使えないということに今回初めて気がつきました。ダイヤルをLにしても液晶表示はISO200のまま変わらないので、かなり悩んだ末に、もしやと思ってこの画面を開くと、ちゃんと画面下に「ISO12800-200」と注意書きがされています。こんなの気がつかなかったよ!

 まぁ、拡張感度は基本的に使わないとすればこの制限も「仕方ない」と思えてきます。

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 ついでに感度設定関係でもう一点。感度AUTOについてはかなり至れり尽くせりで、上限と下限、および最低シャッター速度(感度が上がるポイント?)を標準感度ISO200-12800の間で自由に設定できます。しかもその設定を3つ別々に持たせることが可能で、メニューから切り替え出来ます。

 デフォルトでAUTO2が下限ISO200、上限ISO1600に設定されていたのでこれを主に使おうと思います。ただ最低シャッター速度はデフォルトで1/60secだったのですが、それだとちょっと早すぎる気がするので1/30secまで落としてみました。手ぶれ補正がないことを考えるとちょっと低すぎるかもしれませんが… がんばりたいと思います(^^;

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