酔人日月抄

東京下町に暮らす写真とPENTAXとスキーと時代小説とお酒とプジョーを愛するある男の日常

俳句の街 松山のシンボル:山上に聳える連立天守群が美しい伊予松山城を見に行く

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 今年も引き続き100名城スタンプ集めをしています。特にマイル修行と100名城巡りは相性が良く、飛行機に乗ってマイル(と言うより搭乗回数)を稼ぐにあたっては、まだスタンプを押していない100名城のある街を優先的に目的地に選び、飛行機に乗って城跡へ出かけ、スタンプを押してそのまま帰ってくると言う、贅沢なような勿体ないような気ままな旅がし放題です。

 今回目的地に選んだのは愛媛県の松山。昔から俳句の街として有名ですが、そうじゃなくてもポンジュースとか伊予灘線とかしまなみ海道とか道後温泉とかとか、有名な行ってみたい観光地には事欠かないわけですが、私の今回の目当ては松山城のみ。

 松山城は現存天守12城のうちの一つで、平山城として松山の街から見上げる連立天守群の景色はとても有名で、現存だけでなく再建された櫓も数多く、城マニア達の評価も高い城跡です。

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 訪れた日はとてもお天気が良く、ちょうど八重桜の見頃を迎えておりとても美しい姿を見てくることができました。

 なおタイトルにわざわざ「伊予」を付けたのは、全国に「松山城」を名乗る城跡がいくつかあるから。同じ100名城且つ現存天守を持つ「備中松山城」というのもあります。通常無印で「松山城」と言えば、愛媛県のこの松山城を指すのですが、なんとなく「伊予松山城」という字面の方が格好イイと思ったので、そうしておきました。

 でも面倒なので以下本文では「松山城」と表記します。

松山城への道

 松山空港に到着したのは午前9時。この時間帯はANAとJALがほぼ同着とあってリムジンバスに乗ろうとしたら、すでに満席で20分後の次便を待てと言われてしまいました。いや~、弾丸旅なのでこの20分のロスは痛い。と言うことで、仕方なくタクシーを利用することにしました。


 こういう観光地方都市のタクシーの運転手さんはとても優れた旅行ガイドさんであることが多いのですが、今回当たった運転手さんもそんな感じの人でした。「半日で日帰りする」「100名城スタンプを押すことがとりあえずの目的」と話したら、最初は呆れ気味でしたが、その後は一生懸命ベストプランを考えてくれました。

 そうして話してるうちに「なるほど、明確な目的があるならそういう旅行もアリだなー」と、やっぱり呆れ半分で納得してくれました。

 いずれにしろ松山空港は市街地に近く、バスでも30分、タクシーなら20分くらいで行き来できます。

シングルリフトに乗る


 松山城は典型的な平山城で、勝山という標高約130mの山の上に城郭が広がっています。平山城の中でも100m超えはかなり高い方で、歩いて登るのはかなり大変。

 ということで、軟弱な観光客のために勝山にはロープウェイとリフトがかかっています。乗り場と降り場も同じで、チケットも共通なので、好きなほうに乗ることができます。

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 私はリフトに乗りました。気持ちの良い晴天でしたし、ロープウェイを10分待つよりはこちらの方が結果的に早いし、スキーヤーですからリフトには慣れています。所要時間は6分ほどです。

 なお乗るときにリュックは前に担ぐように言われます。確かにそうしないと危ないです。今回はPeakDesignのEverday Backpack 30Lを持って行ったので、前に担いで椅子に座るのは結構大変でした。

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 リフトを降りると山頂... ではなくてまだ山の中腹辺りです。天守がある山頂までは10分ほどのゆるい山登りが待っています。その途中にこんなものを見つけました。

 噂には聞いていたけど本当にあるんですね、俳句ポスト。松山城は景色の良いところなので、良い句が一杯出来そうですが、私はそういう詩心がないので何一つ浮かびません(^^;

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 少し行くといきなり結構な高石垣が表れました。これはなかなかの規模で、角度も急な綺麗な切込接ぎの石垣です。

 なお石垣の上にチラッと見えているのは隠門櫓。その上に本丸跡があるようです。先へ進んでみましょう。

重要文化財だらけの門をいくつも抜ける


 高い石垣沿いにクランクを繰り返しながら、いくつもの門をくぐり抜けないと本丸までは到達できません。執拗なまでに九十九折りの通路と門の配置から、なかなか守りの堅い城だったことが窺えます。

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 最初に行き当たる門は戸無門。城郭の本丸に通じる最初の門としては、驚くほど質素ですが、松山城の築城当初から残っている現存建築物のひとつで、こう見えても国の重要文化財です。名前の通り門と言いながらも扉がありません。が、本丸に上がるにはこの細くて低い門を抜けないといけないわけで、防御の効果は十分に果たしていたと思われます。

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 戸無門を抜けてさらにコの字型にクランクを抜けると、急に立派な櫓付きの門が表れます。これが筒井門。ここに三葉葵の幕が掛かっていますが、この松山城は江戸時代のほとんどの期間を通して、徳川将軍家の血筋を汲む松平家の居城でした。現存12天守の中でも徳川親藩の城はここ松山城だけです。

 なおこの筒井門は幾度の火災も戦禍も免れて国宝として現存していたのですが、戦後間もなく失火により焼失してしまいました。この筒井門に限らず松山城は多くの建物が廃城令による破却を免れたものの、明治から昭和初期にかけて幾度も火災に見舞われ、さらには太平洋戦争によって半数以上の建物が失われてしまったそうです。

 ですが、その多くは戦後コツコツと手間暇かけて木造で再建されました。現在は現存建築物と見分けがつかないくらい溶け込み、古の姿を見せてくれています。

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 さて、本丸の玄関口とも言える筒井門の脇が不自然に出っ張っていたわけですが、その奥には筒井門と平行した隠門があります。こうして両脇の石垣が張り出した奥に隠された埋門形式で作られています。これももちろん防御のためのもの。

 筒井門と並んでいるこの隠門は、火災を免れ築城当時から残る現存建築物であり国の重要文化財に指定されています。やはりこうして石垣の奥に埋まってるからこそ焼失を免れたのでしょうか?

 そしてさらに奥に進み、石垣と櫓でがっちりと囲まれた太鼓門を抜けると本丸です。

広々として眺めの良い本丸広場


 ようやく本丸までやってきました。

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 と言っても、城跡の常として本丸はただの広場になっています。山の形で制限されているためか、かなり細長い形状で平屋の大きな御殿を建てるには向いてない感じですが、本来はここにも建物がが建っていたのでしょうか? それとも昔からこの状態だった?

 いずれにせよ現在は桜の木がたくさん植えられています。3月下旬から4月上旬の桜満開の季節は壮観だったことでしょう。私が訪れた時は完全に散っていたものの、まだ花軸が残っているのか新緑の中にもほんのりと紅く色づいている木が多くありました。

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 一部にはこうして八重桜が咲いていました。トップに貼った写真のはF16まで絞り込んでパンフォーカスにしてみたのですが、こっちは八重桜にピントを合わせていつも通り背景はボカしてしまいました。

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 さらに本丸からは松山の市街地が一望できます。お天気も良くて素晴らしい眺めでした。

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 天守を見る前に、あまりに天気が良くて暑くなってきたので、いよかんソフトクリームを食べて一休みしました。甘酸っぱくて美味しくて、しっかりとクールダウンできました。

 さて、ではいざ天守へ!

本丸本壇に建つ連立式天守群


 いよいよ松山城の中心部にやってきました。大天守と小天守にいくつかの櫓と渡櫓で”ロ”の字に接続された、かなり大規模な連立天守群です。本丸広場までは無料(リフト代だけ)でしたが、この先は有料となります。

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 本丸の上にまた切込接ぎの見事な石垣が積まれ、大きな建物がギュッと密集して並んでいます。最後、天守の入り口に到達するにはまたもやいくつもの門を通過しないといけません。

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 最後の関門、内門をくぐり、ロの字型になった連立式天守群の内側にやってきました。正面の三葉葵の垂れ幕が下がっているのは玄関です。ちゃんと玄関がある天守群というのも珍しい感じがします。

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 ちなみに玄関の内側はこうなっています。やはりお屋敷や御殿とは違って質実剛健な感じです。閂付きの大きな扉があることも分かります。

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 内部はこんな感じで、連立式天守群がロの字型を構成する建物内部は全てぐるっと巡ることが出来ます。ここは十間廊下と呼ばれている部分。外観もそうですが内部も特徴的です。

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 鎧を着て兜を被り写真を撮れるコーナーなど色々ありますが... それよりもこの建物の内部構造がなかなか面白いです。

 天守ですから基本的に板張りなのは良いのですが、柱間に敷居がありその間には畳が敷けるようになっています。さらに敷居には襖が設置できそうなレールも掘られていたり。もしかしたら巨大な天守を普段使わないのはもったいないとばかりに、天守内部も座敷にして使っていた、あるいは座敷として何かに使う計画が合ったのでしょうか?

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 でも一方で、建物の隅はこうして鉄砲口と石落としがあります。なのでやっぱりこの建物は戦のこともちゃんと考えていたと思われます。

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 小天守からさっき見た玄関辺りを見下ろしてみました。正面は十間廊下の部分です。大天守は写っていませんが右側にあります。

 実は松山城の連立式天守群の中でも現存建築物は大天守だけで、小天守や十間廊下含めそれ以外の建物は昭和初期に放火により焼失し、昭和43年になって再建されたものだそうです。焼失を免れた大天守を生かすためにも、コンクリート等ではなくちゃんと木造でオリジナルに忠実に再建されました。

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 そして城らしい急な階段を登って天守の最上階までやってきました。と言っても、松山城の大天守は3層3階建てなので、そんなにたくさんの階段を登る必要はなく、あっという間に最上階に到達しました。

 天守の最上階にしてはかなり広いです。周囲には回廊(ベランダ)はなくて大きな窓があるだけ。床の間みたいなものが作り付けられていたりして、やはりちょっと変わっています。ここも座敷にして宴会でも出来そう。

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 窓には格子もなくとても開放的で良い眺めでした。

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 松山城の大天守は現存天守12城のうちの一つですが、その中でも建築年代は一番新しくて、現在の建物は1854年に建てられました。幕末が始まる頃でペリー来航の翌年です。もちろんそれ以前にあった天守が焼失したことによって再建されたものです。

 とは言えそんな時期に(政治的にも財政的にも)これだけの規模の天守を建築できたことが驚きです。徳川親藩の松平家の城であったたことも無関係ではないでしょうし、それにまだまだ武士の世は続くと思っていたのでしょう。

 しかし、再建から間もなく明治維新を迎え、廃城令とともに城としての役目を失うわけですが、幸いなことに破却を免れました。が、その後明治から昭和にかけて、松山城は幾多の火災に見舞われ、少しずつ建物を失っていったわけですが、奇跡的にこの大天守は生き残って現在に至ります。

 松山城全体では、大天守門の他にも櫓など合計で21の建物が残っており、全て重要文化財に指定されています。

38個目の100名城スタンプゲット

 と言うことで、肝心のスタンプですがもちろんちゃんと押してきました。

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 天守の入り口にわりと無造作に置いてあり、100名城スタンプ帳を持たない人達もカジュアルにパンフレットなどに押しているため、わりと待ち行列になっていました。それ、そういうスタンプじゃないんだけどなー、と若干イラつきつつも待つしかありません。

日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき

日本100名城に行こう 公式スタンプ帳つき

 そんな状態でも、私がスタンプ帳を持っているの目敏く見つけた受付のおじさんが、私に向かって「81番だよ~」と教えてくれました。「はい、ありがとうございます」と答えつつ、スタンプ帳を持たない周囲の人々が「81番って何?あ、これ専用のスタンプ帳があるの?」って感じでざわつくのを見て、やや優越感を感じました。おじさん、よく分かってる。場を上手く収める知恵でしょうか。

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 スタンプはまぁまぁ上手く押せました。

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 そして、現存天守と言えばこれも欠かせません。昨年に高知城で偶然見つけた現存12城限定の城カードです。松本城に続いて3枚目をゲットしました。こちらはあと9枚集めなくては!

 来た道を戻り、やはりリフトを使って山を下りてきました。今日の目的は達成しましたがでもまだ時間は余っています。ちょっと寄り道をしていきましょう。

せっかくなので道後温泉へ寄り道

 松山において、ある意味一番有名な観光地と言えば松山城よりも道後温泉かもしれません。空港から乗ったタクシーの運ちゃんも、是非見ていけとのお勧めイチオシでした。

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 松山城への入り口に一番近い大街道という停留所から市電に乗ります。道後温泉は松山の東の外れにあって、この路面電車の終点です。料金は一律160円でした。

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 ということで、やってきました道後温泉。市電の終着駅からこのアーケードを奥に入っていくと、あの有名な本館の建物があるはず。

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 はい、ありました!明治27年に建てられ、増築を繰り返したこの建物は、松山城の現存建築物群と同じく国の重要文化財に指定されています。ただしお城と違うのは、これがまだ湯屋として現役で使われていること。

 高温の湿気に晒される木造建築は痛みやすいはずなのに、125年経った今でもまだ現役とはすごいです。

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 ぐるっと周りを一周してみたのですが、何しろ大きくて非常に複雑な形をした建物です。内部には神の湯と霊の湯という2種類のお風呂がそれぞれ男女別にあって、2階と3階には休憩用のお座敷があるそうです。

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 しかしながら現在は保存修理工事中で、一階の神の湯だけが営業していました。

 お風呂はともかく、建物内部を見学できるのかと思っていたら、本当に銭湯として営業してるだけということなので、この際お湯に浸かっていくことにしました。料金は410円也。都内の銭湯より安い!

 お風呂には私のような観光客の他にも、明らかに地元の人もいたりして、ここが現役の湯屋であるとうことを実感しました。とてもレトロで良いお風呂でした。

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 ということで、思いがけずひとっ風呂浴びたところで再び駅前に戻ってきました。再び市電には乗らず、ここから直接空港行きのバスに乗ることが出来ました。


 松山は他にも見所が一杯ありそうで、何泊かしてゆっくり遊べそうな街でした。愛媛県にはまだあと100名城が2つ4つもあります(そのうちの一つ、宇和島城は現存天守)ので、いずれまた再訪しなくてはなりません。

 というか、残りの4つの内一つ、湯築城は松山市内で道後温泉のすぐそばにあることをあとで知りました。何というリサーチ不足! タクシーの運ちゃんも教えてくれなかったし!(他人のせいにしてはいけない...)

 どっちにしろ愛媛県にはまた行かなくてはならないことに変わりはないので、そのときは松山をベースにしてゆっくりとしたいと思います。

使ったカメラとレンズ

 今回はGR IIIではなく久々のK-1改を使いました。しかもレンズはDFA15−30mmF2.8です。巨大で重たいレンズですが、城跡を撮るにはこのレンズが一番合います。ということで、今回の旅には潔くレンズはこの超広角一本のみ持って行きました。

PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280

PENTAX 超広角ズームレンズ HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR 21280

 思えば3年前の今ごろ、K-1とセットで買ったのがこのD FA15-30mmF2.8でした。巨大な出目金レンズですし、特殊な用途で使うレンズと思いがちですが、テレ側は30mmと、広角ながらもGRシリーズ並の普通の画角でもあるわけで、これ一本だけというのもアリだな、と見直しました。

 しかも超広角で撮ると何でも迫力が出てくるので楽しいです。自分は望遠好きと自覚していながらも、一方でこの超広角レンズもかなり気に入っています。ただし大きさと重さだけがネックです。あと、発色が他のKマウントレンズと大きく異なっているので、それもわりと大きな欠点かも知れません。

 なのでF4〜5.6クラスで良いのでもう少し小さい超広角ズームが欲しいです。あるいはDA★11-18mmF2.8ってい言う手もあるか... せっかくこのレンズ使うならAPS-Cのボディも欲しくなりますが(A^^;

Pentax HD-DA 11-18mmF2.8ED DC AW

Pentax HD-DA 11-18mmF2.8ED DC AW