もうすぐ100周年を迎えるPENTAXブランドとRICOH製品だけ見てきたCP+2019見物記

投稿者: | 2019年3月6日

 先週の木曜日から日曜日まで、毎年恒例のCP+がパシフィコ横浜で開催されていました。経済ニュースでは「スマホに押されて縮小を続けるカメラ市場」みたいな斜陽業界として扱われがちですが、そんな伝統的カメラ業界によるコンシューマ向け展示会としてのCP+は、ひどい混雑が話題になる程度には盛り上がり、実際今年も天候が悪かったわりに過去最高の入場者数を記録したそうです。めでたい、めでたい。

 さて、そんなCP+に私も行ってきたわけですが、今回は色々とあって金曜日の夕方のみ、滞在時間はわずか1時間半ほどしかありませんでした。ミラーレス機を中心に多くの新機種が発表または発売された直後とあって、注目の製品には事欠かなかったわけですが、新製品はいずれ店頭で触れるし、そもそもあまり興味の沸く製品がなかったのでバッサリ割愛し、問題の(?)リコーイメージングブースだけ見てきました。

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 なので、このレポートには参考になりそうな情報は何もなくて、私個人のかなりいい加減な見物記録および独り言となっています。

RICOH GR III

 リコーイメージングブースの目玉商品は、約4年ぶりにモデルチェンジされたGRです。発売は来週の金曜日3月15日と決定しました。一般の人が実機に触れるのはCP+が初めてではないかと思いますが、2週間もすれば店頭に並ぶはず。

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 フィルム時代から含めて歴代GRがずらっと並んでいました。デジタル版はマニアじゃないとなかなか見分けが付かないのではないかと思えます。それだけデザインも中身もコンセプトが一貫して守られていることが分かります。なお、上段の一番右が新製品のGR IIIです。

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 これです。APS-Cセンサー化されてから横幅が少し大きくなっていたのに、1/1.7インチ時代の大きさに戻っています。SR搭載したというのに!

 ちなみに私はフィルムのGR1を今でも持っているし、デジタルになってからも1/1.7インチ第2世代のGRD2を使っていたことがあります。GRD2は発売からかなり経ってから買ったのですが、たしか4万円以下で衝動買いした記憶があります。しかしAPS-C化されて3世代目となる新しいGR IIIは初値で10万円超えるようです。

 まぁ、実物は発売されてからじっくり触って楽しむことにしましょう(意味深)。

DFA★85mmF1.4(仮称)などレンズ関係

 次にKマウントの新レンズです。K-1発売当時からロードマップに乗っていた大口径中望遠レンズで、DFA★50mmF1.4に続くDFA★の単焦点レンズです。

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 試作品ではなく実際にレンズは入っていないモックアップです。そう言えばDFA★50mmF1.4も2年前にこんな感じのモックアップ展示から始まったんでしたっけ。その前例から行けば外観デザインはほぼこれで確定なのでしょう。

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 レンズ名は「HD PENTAX-D FA★85mmF1.4」という仮称が付けられていて、ほぼこれで確定であること以外にあまり情報はありません。いや、最近の命名規則で考えると末尾に「SDM AW」が付け足されるくらいでしょうか。

 しかし焦点距離が85mmですから当たり前ですけど、ガワがデカいですね。重量ももしかして1.5kgくらいになってしまうのでしょうか。もしそうだとしたらDA★300mmF4の方が軽いってことになってしまいます。

 正直言って個人的にはあまり興味の沸かないレンズです。FA77mmF1.8は大好きなのでこの焦点域は使わないとか、そういうことはないのですが、何というかこのサイズ感はもう「とりあえず持っておく」レベルではなく、明確な使用目的を要求するレンズではないかと思います。

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 そう言えばDFA★50mmF1.4のカットモデルが置いてありました。当たり前ですが、レンズ構成図そのままでレンズがぎっしり詰まっています。フードは良いとして、リアキャップ付けたままなのはどうしたことでしょう?

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 Kマウントのレンズロードマップも更新されていました。写真よりもWEBにあるPDFを見た方が良く分かると思いますが、昨年よりいくつか変更が加わっています。もちろん、変更すること自体は悪いことではありませんが…。

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 問題はこの部分ですよね。これから出るであろうレンズ計画。目につくところでは、DFAフィッシュアイが消えてDAの標準ズームが追加されています。70-200mmF4は昨年のロードマップでは「2019年春」予定だったのですが、全体的な遅れの影響を受けたのか時期は明示されず、試作品はおろかモックアップの展示もありませんでした。でも一説にはかなり具体化してきていると言う話もあります。

 いずれにしても新レンズの発売にはちょっと時間かかりすぎだと思います。DFA★50mmF1.4が特に難産だったのかも知れませんが、ロードマップに掲載から発売まで2年半、モックアップ展示から1年半かかりました。今年モックアップ展示された85mmF1.4はもう少し早めに発売にこぎつけて、その後のレンズ開発と発売につなげて欲しいと思います。

KPカスタム?

 ということで、レンズの話題が少しあっただけでKマウントのボディに関しての新製品情報は何一つなかったわけですが、そんな中で「KPカスタム」なるものが参考出品されていました。

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 木製のグリップと思い切り張り出したペンタ部が特徴的で、カラバリ展開されています。まずはマットブルーにグレーがマットと通常の2種類。それぞれ木製グリップの仕上げも異なっています。

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 こちらはブラック&ゴールドとネイビーの2種類。

 ペンタ部の出っ張りが異常に長いですが、これは後付けパーツとなっていて簡単に取り外せるそうです。実際取り外さないと使えないレンズがあるのだとか。なるほど、そういうことなのか。

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 で、これは遠い上にブレブレの写真でアレなのですが、マウント部も特殊なコーティングがされています。左が普通のマウント、右はカスタムされたマウントで、ガンメタリック風味の色合いで格好良いです。が、通常カメラとして機能する状態ではまったく見えないわけで、ここをカスタマイズする意味とは?ということを考えてしまいます。もしかして、レンズ付けずに飾っておきたくなるかも。

 これらのKPカスタムは目の前のディスプレイの上に置かれていて、ガラスケースにも入っていないわけですが、写真にもあるように「お手を触れないでください」ということで、手にすることは出来ません。その代わり、デザイナーらしき方が尽きっきりで色々説明していました。

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 ふむふむ、大量生産できないと言うことは職人さんが手作りしたりするんでしょうか。参考出品はそうかも知れませんが、ハードル高いのはカラバリではないかと思います。後付けパーツだけではなくボディ自体に思い切り手が入れられていますから。

 ちなみにGRの展示もそうでしたが、リコーイメージングのブースは全体的にブラックベースなのに、ちょっとホコリの処理が甘いのではないかと思います。外に出ているものはある程度仕方ないにしても、ガラスケースの中のGRやレンズのカットモデルなどは、写真映えを考えてもう少し気にして掃除すれば良いのに、と思いました。

 さて、閑話休題。このKPカスタムはあくまでも「参考出品」ですが、反響次第では市販化も考えるということでした。私的にどうかというと、まぁKPを持っていないこともありますが、あまり今回展示されていたようなカスタムデザインには興味が沸きません。ウッドグリップは良さそうでしたけど。

 KPもすでに発売から2年が経ちましたし、やるならKP IIあたりでやるのが良いのかな?と思います。

APS-Cフラッグシップは?

 リコーイメージングのブースでは、もちろん小さなステージがあって各種セミナープログラムが開催されていました。その中には毎年恒例となった田中希美男さんによる「企画開発者と開発秘話を語る」みたいなプログラムがありました。

 今年は残念ながらそのステージ自体は見ることができなかったのですが、別途開発企画を担当されている方に田中さんとのステージで口頭リークしているという、いわゆる「K-3 II後継機」について、短時間ですがこっそりお話を聴くことができました。

 その内容については、すでにあちこちに情報が出ていますが、私なりに箇条書きでざっくりまとめてしまうと、

  • APS-Cセンサーフラッグシップは鋭意開発中である
  • K-3 IIまではPENTAX的にはAPS-Cフラッグシップだったけど、市場内では中級機として扱われた。そういう意味で今度の新型は「K-3 II後継」ではなく他社比でAPS-Cフラッグシップとなることを目指す。
  • だからと言って巨大なカメラになるようなことはしない。
  • AFももちろん手ぶれ補正も改善する

 みたいな感じでした。ステージの情報ではさらに「センサーも画像処理エンジンも一新する」とか「時期的には早くて2020年」みたいな話もあったみたいです。

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 お話を聞いたついでに、AFや手ぶれ補正などについて勝手に思ったことをお話ししてきました。試しに「ボディ内モーターはもう要らないと思います」と言ってみたら「Limitedレンズが使えなくなるじゃないですか!」と即座に反論されました。たしかにそれはそうだ…。先日出たばかりのHD FA35mmF2もボディ内モーター駆動ですし、あのサイズで収めるにはボディ内モーター駆動はひとつの解なんだろうと思います。

 それはともかく、APS-Cフラッグシップは100周年記念モデルとして発表まで秒読み!でないのはちょっと残念でしたが、とにかく開発中というのは確かな話っぽいので、その点は本当に良かったです。

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 というか、この分野で一眼レフが2020年まで生き残れるのかどうか? そっちの方が心配です。ニコンもキヤノンもD500やEOS 7D IIの後継機についてはまったく噂が聞こえてこない状態ですから…。

THETAは見てこなかった

 リコーイメージングと言えばTHETAも主力商品となっているわけで、先日1インチセンサーを搭載した新型が発表されたばかりです。

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 しかし私的には、THETAの使い道がイメージできず、面白いカメラだなとは思うものの、手にしてみたいと思うほど惹かれるものがないので、今回もやはり何となく見てきませんでした。あれは実際に触ってみないとその面白さがわからないカメラなのかも? と勝手に思っています。その機会がくるまで仕方がありません。

ステッカーをもらう

 リコーイメージングブースではカウンターみたいなところでPENTAXのカメラを見せるとPENTAXステッカーを、GRシリーズを見せるとGRステッカーをもらうことが出来ます。

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 私がこの日持って行ったのはPENTAX Q-S1だったのですが、なぜか最初はGRステッカーを差し出されました。やんわりと訂正してなんとか目当てのPENTAXステッカーをもらってくることが出来ました。なお100周年ロゴも良いですが、実はこの中の一番の目当ては左上に3つ並んだAOCOマークです。

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 以前別の場所で手に入れたステッカーを↑こんな感じでK-1改のペンタ部に貼ってあります。とても気に入っているのですが、その以前もらったステッカーシートにはAOCOマークは1枚しかなくて、今貼ってあるやつが剥がれたり汚れたら終わりだなと思っていたところです。今回のでさらに3枚も予備が手に入りました(A^^;

その他ざっと見てきたもの

 以上でほぼ今年のCP+レポートは終了なのですが、一応他のブースも駆け足でザッと巡ってきたところがあるので、かなりいい加減に大ざっぱに紹介しておきます。

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 国内では初お目見えと言うこともあって、今回のCP+全体でみて目玉新製品と言えばこれでしょうか。Panasonicブースではまったく見ることができなかったのですが、シグマブースにひっそりと置いてありました。

 思ってたとおりかなりデカいです。隣のライカSLと遜色ない感じ。スペック上の数字で奥行きも相当あるのはグリップ分だろうと思っていましたが、実際グリップ部を除いた本体もかなり分厚いように見えます。PENTAX K-1よりも大きくて重いという点にどうも引っかかりますね。それミラーレスとしてどうなの?と。

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 キヤノンも全面的にEOS Rシステム押しでした。とはいえ、このディスプレイに並んでいるレンズはほとんどEFマウントですけど。LUMIX S1とは逆にEOS RPはかなり小さいです。小さいのは良いけど…

 と、大きくても小さくても、どっちにしても文句を付けたくなる一眼レフ派です(A^^;

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 ニコンブースで真っ先に探したのはニコンちゃんでした。メインのカウンターにちゃんと鎮座していました。やぁ!久しぶり!

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 Zマウントの目玉レンズのはずのノクト58mmF0.95はなぜかブースの端っこのすごくわかりづらいところにひっそりと置いてありました。しかもカットモデルとともに。これまだ発売日とか決まってないですよね?

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 オリンパスはEM-1X推しでしたが、相変わらず過去のフィルム時代のOMを持ち出して伝統を語るやり口を捨てきれていません。フィルム時代のOMと今のOMは似て非なるものなんだから、こういうの止めれば良いのに… しかもOM-4はどこ行ったんだよ!と思って、またもやケチを付けながら見ていたら… んん? デジタル機が混ざってる!? え?なんで? と混乱してしまいました。

 どうやら手前の2台はEM-5 IIをベースにした真鍮外装のコンセプトモデルのようです。ご丁寧にマウントアダプター介してOMマウントレンズを付けているという念の入れよう。こうして見るとフィルム時代のOMとそっくりすぎますね。いやいや、ここまで似せるなんてすごい! と結局最後は感心してしまいました。

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 EPSONも昔はレンズ交換式のデジタルカメラ出してたんですけどね。R-D1とか。とは言えCP+ではカメラメーカーとしてではなく、プリンターメーカーとして以前はかなり大きなブースを構えていたのですが、今年はかなり縮小していました。

 そう言えばそろそろプリンター買い換えたいなー、と思ってるところです。今度はA3が印刷できるヤツが欲しいですね。と言っても相変わらず置き場の目処は立っていませんが。

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 ケンコートキナーのブースでは、タッチ&トライ用なのかOpera 50mmF1.4が何本も並んでいました。EFマウントとFマウントのユーザーはこれ買った方が良いよ!

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 あと、CP+では色々な用品メーカーのブースもあって、むしろそっちの方が面白いという通な人も多いわけですが、今年は冒頭に書いた通り時間がほとんど無かったので、ほぼ全面的にパスしてしまいました。唯一、銀一のブースでピークデザイン製品だけサラッと見てきたのですが、知らない間にこんなに小物を一杯ラインナップしてたんですね。昨年末の新製品トラベルパックとともに発売されたのでしょうか。ちょっともうほとんどついて行けていません。バッグ類より現行SLIDEに先代のサミットエディションみたいなカラバリを追加して欲しいと思っています。

 いずれにしろ、ピークデザインはすっかりメジャーになって嬉しいやらちょっと悲しいやら。

とりあえず、また来年!

 ということで、実際には他にもいろんなカメラやレンズ、フィルターや三脚、バッグから小物まで各種写真用品のブースが並んでいて、まともに見ていたら1日かかるのですが、今回見てきたのは本当にこれだけです。

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 ということで、また来年はまたゆっくり見て回る時間を確保して、もっとたっぷり情報量の多いレポートを書けるようにしたいと思いますm(_ _)m

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