復活のsmc PENTAX DA★300mm F4ED[IF] SDMで飛行機を撮ってみる

投稿者: | 2019年2月18日

 先日マップカメラの夜市で衝動買いしてしまったDA★300mmF4ED[IF] SDMですが、やっぱり使ってみるとすればまずは飛行機撮影だろうということで、羽田空港と成田空港に試し撮りに行ってきました。DA★300mmF4を使うのはもちろん、PENTAXのカメラで動体を撮るのも実は久しぶりです。

 昨年からこの分野はニコンD500に任せたわけですが、本気の動体撮影(とはなんぞや?)はともかく、羽田や成田あたりの民間機の撮影は、なんというか慣れすぎてしまっていて、あまり目的意識を持たず、短時間で気楽に撮りに行くことが多いので、そういう場合に色々ギリギリに追い込んで秒間10コマでズババババッ… とあっという間に1000コマ単位で撮影されてしまうのも、後処理などを考えると気が重いなとも思っています。

IMGP2713.jpg
 ということで、300mm単焦点を買い戻したのを機に、連写速度とかAFとかバッファ量とか手ぶれ補正とか、色々と不便なところも多いけど一方ですっかり手に馴染んだPENTAX K-1 IIで、ゆる~い気持ちで飛行機撮影のリハビリをしてみました。

青い海と飛行機:羽田空港第2ターミナル

 まずは良く晴れた日の午後、冒頭に書いた通り「ゆる~く」がテーマなので面倒くさいことは考えず羽田空港のデッキへと向かいます。午後ですから順光で東京湾がよく見える第2ターミナルが定番ポイントです。

IMGP2425.jpg
 気温の低い典型的な冬晴れだったので、てっきり北風運用されていると思い込んでいたのですが、なぜか南風運用されていました。そうなると離陸機と東京スカイツリーの絡みは撮れませんが、青い東京湾と対岸の千葉県沿岸はよく見えますから、背景に不足はありません。

 それにしてもいきなりこんなにしっかり撮れてしまって、DA★300mmF4とPENTAX K-1 IIをかなり見直しました。設計が古いレンズと言いながらフルサイズ36Mピクセルという高画素センサーでもビクともしない描写性能を持っています。

IMGP2328.jpg
 東京スカイツリーを掠めてB滑走路22へアプローチしてくるANAのB787。この日は城南島に行っても良かったのかも知れません。さすがに地表付近の遠景は空気の揺らぎの影響は避けきれませんが、これだけ透明度があるのは真冬だからこそ。

IMGP2365.jpg
 ANAが最近になって再び増強し始めたエアバス機A321neoと、背後には東京湾を南に向かって進むコンテナ船。羽田空港の展望デッキは機体だけ撮ってるつもりでも、背景に色んなものが映り込んでくるので色々楽しめますし、狙いどころが一杯あります。

 ちなみに最初に貼ったスカイマークの写真と比べてもらうと良く分かるのですが、離陸機はこのように様々な条件が絡んでローテーションの位置がまちまちなので難しいです。

IMGP2467.jpg
 特別塗装されたAIR DOのB767と後は東京ゲートブリッジ。ゲートブリッジの手前の荒涼とした茶色い土地ははいまだ埋め立てが続く中央防波堤(江東区と大田区で領有権争い中)ですが、ここもそのうち開発されて街になるのでしょうか?そうするとまた羽田空港からの眺めも大きく変わりそうです。

IMGP2458.jpg
 展望デッキからは駐機中の機体を間近に見られるのも楽しいです。その点、第1ターミナルは展望デッキの位置が悪く眺めがイマイチなのですが、第2ターミナルはこの通り間近によく見えます。

 この写真は出発準備中のANAのB777ですが… 機長さんがなにやらタブレットのようなものを左側にセットしているようです。それに、機種付近は山ほどリベット打たれていてボコボコですね。

IMGP2501.jpg
 ルフトハンザのB747-8iが見られるのも羽田の名物です。もはや世界的に見てもこの大型4発機はレア機となってきましたから。長距離便で燃料もたくさん積んでいることもあって、他の国内線とはちがってたっぷりと滑走距離を取って、目の前をだいぶ過ぎ去ってからゆっくりと離陸していきました。

 そろそろ日没の時間も近づいてきたようなので、第1ターミナルへ移動してみましょう。

夕日と富士山と飛行機:羽田空港第1ターミナル

 羽田空港の国内線ターミナル間移動は、地下の連絡通路を歩いても良いですが、到着ロビーから出る連絡バスに乗る方が楽ちんで早いと思います。今回もバスに乗って陸側の第1ターミナルへやってきました。そしてお茶を飲みつつ少し休憩し、日没直前1時間くらいになってから展望デッキに出てみました。

IMGP2642.jpg
 うん、良い感じの光になってきました。午後の第1ターミナル展望デッキは目の前のA滑走路に対して全面的に逆光なのですが、このくらいの時間になってくると、それがむしろ良い雰囲気を作り上げてくれます。

 ちなみに夕日が反射しすぎて良く分からないですが、このJALのB767はディズニーの特別塗装が施されていました。

IMGP2699.jpg
 ベトナム航空のA350-900がローテーションし始めるのはちょうど展望デッキの真正面あたり。地面が夕日を反射して黄色に輝くのはほんの短い時間なので、これもある意味マジックアワーです。

 フルサイズに300mmというと今となっては大した望遠レンズではないですが、さすがにこの距離でA350クラスの機体だと半分はみ出てしまいます。

IMGP2667.jpg
 先ほどのディスニー塗装のB767もほとんど同じような位置で離陸していきました。国内線のはずだしB767は離陸性能が高いので、もっと早い段階で上がると思っていたのですが。

 ちなみに単焦点レンズでレンズ構成枚数が多くないとは言え、このくらいの逆光状態では場合によってフレアまみれになる瞬間がありました。このB767のカットもわりとフレア気味でコントラストが下がっています。こういったあたりにやはり最新のレンズとの差を少し感じます。いや、でも悪くないですよ、少なくともこの場合は。

IMGP2741.jpg
 ベトナム航空に続いてシンガポール航空のA350-900もA滑走路から南に向けて離陸していきました。A350も各エアラインで導入がすすみ、かなり目にするようになってきました。JALのA350も今年いよいよ就航するはずです。

 最近になってようやくB787には飽きてきたところですから、今後しばらくはA350に注目していきたいと思います。

IMGP2624.jpg
 さらに離陸機を追いかけて行くと、背後は川崎の工場地帯が見えてきます。このガチャガチャした工場群と、煙突から立ち上る煙や炎を背後に飛行機が離陸していく… という風景もまた羽田空港の特徴のひとつ。その場合、やはり真昼よりもこのくらいの夕方の光の中の方が映える気がします。

 撮影データにあるとおり、ここまでの離陸機のカットでは、背後を少し流すことを意識して1/160secまでシャッター速度を落としてみました。PENTAX機で流し撮りするのは久々です(A^^;

 PENTAX機の手ぶれ補正と流し撮りの相性については、色々と文句を言ってきましたが、こうして水平にほぼ一定速度で振り抜く限りはちゃんと動作するんですよね。逆光で難しい条件の中、AFも不審な挙動を見せることなくしっかりと付いてきます。ニコンD500を使うようになって、もはやK-1 IIで流し撮りとかするのは無理かと思っていましたが、思ったほど感覚は鈍っていませんでした。なので、もっとシャッター速度落としてみれば良かった… とか思ってしまいます。

IMGP2727.jpg
 さて、川崎の工場群とは逆方向に目を向けてみれば、こんな感じです。遠くに見える高層ビル群は武蔵小杉のタワーマンション街。なのでこれは最近見られるようになった景色です。でもって、

 この日は本当に空気が澄んでいたので、更に遠くの山々(方角的に高尾山方面と思われます)までよく見通すことが出来ました。

IMGP2765.jpg
 ということで、そろそろ日没です。ちょうど真正面、国際線ターミナルの向こうに太陽が沈んでいきました。このあと訪れるわずかなマジックアワーが、実はこの日の一番の目的だったりします。

IMGP2777.jpg
 コレです! 何年か前の冬にも撮りにきたことがありますが、羽田空港から眺める富士山はまた格別に美しいのです。そして以前の経験から感覚的に300mm前後の画角が一番合うと言うことを覚えていました。なので、K-1 IIにDA★300mmの組み合わせでいけるはず!という目論見通りになりました。

 日没直後、富士山の上部にはまだ陽の光が残っています。そして手前の大山や丹沢山の稜線も富士山の宝永山もクッキリ。そして国際線ターミナルとJALのB777がちょうどプッシュバックされたところ。もう少し空港の灯りが欲しいのですが、時間的に仕方ありません。

 国際線ターミナルは拡張工事中なのか、右に立ってしまったクレーンを嘆く声もあるのですが、これはコレでスクラップ&ビルドを繰り返している東京らしくて良いのだろうと思います。ただ、この第1ターミナルからの富士山ビューが見えなくなることだけはないように配慮してもらいたいものです。

IMGP2826.jpg
 日没をすぎると急に離陸機の撮影は難しくなってきます。シャッター速度は更に落とさないといけないし、カメラの高感度性能も重要になってきます。F2.8まであると理想的ではあるのですが、F5.6やF6.3と言った望遠ズームのテレ端の暗さと比べると、F4という1段の明るさは非常に効いてきます。

 このまま夜景撮影も… と少し思ったのですが、寒さに耐えきれず今回はこのあたりで引き上げることにしました。PENTAX K-1 IIとDA★300mmF4のリハビリとしては十分な結果が得られたので満足です。

 と、ここでこの記事を締めても良いのですが、思いつて後日もう一カ所出かけてみることにしました。

青空と離陸機を遙か見上げる:成田さくらの山公園

 ということで、更に1週間後にK-1 IIとDA★300mmを持って訪れたのは成田空港そばのさくらの山公園です。

K1M25499.jpg
 成田空港のA滑走路は4,000mもあるので、国際線のB747といえどもかなり遠くで離陸して行きます。ここではフルサイズに300mmというのはいかにも短すぎるのですが、クロップ前提であればなんとでもなります。とはいえ、このカットでクロップ倍率(トリミング率)は約1.2ですから、APS−Cサイズよりも広いくらいです。

 なおこの日の前日は千葉県全域で雪が降り、成田空港内にもまだ雪が残っていました。もっと真っ白だったら面白かったんですけどね、やはり関東の雪はすぐに解けてしまいます。

K1M25534.jpg
 離陸機はさくらの山公園の真上をすぎる頃にはすでにギアをすっかり上げ終わっています。が、300mmではB777クラスの機体は半分はみ出す程度には近いです。飛行機のお腹の写真はつまらないといわれることもありますが、私は結構好きです。

K1M25563.jpg
 この日は思いがけず珍しいものを撮ることができました。それがこの3発機。今はボーイングに吸収合併されてしまったマクダネルダグラス社が開発したMD-11です。DC-10の後継機として開発されましたが、デビュー時点から性能に問題があり、また時代はちょうどB777などの双発機にシフトし始めたところで、従ってセールスも悪くマクダネルダグラスの経営にとどめを刺した機体と言われています。

K1M25572.jpg
 燃費や航続距離が今ひとつなため、旅客型としては失敗したMD-11も、大型で真円のボディは貨物機として使いやすいらしく、JAL始め各エアラインが旅客機としては早々に退役させた中古機は砂漠にうち捨てられたり、解体されることもなく、軒並み貨物型に改修され今でもまだこうして飛んでいる姿を見ることができます。

 とは言え機齢も20年を大幅に超えてきた上、貨物型にも双発化の流れがあるようなので、この姿を見られるのも時間の問題でしょう。

K1M25605.jpg
 3発機どころか4発機だって先行きは怪しいものです。折しもA380の生産終了のニュースがありましたが、B747も新規発注はほとんどないので、早晩終了することになりそう。航空貨物の世界はまだハブ&スポーク型だとすれば、超大型機の需要はあるような気がするのですが、今後それもB777などに置き換わっていくのでしょうか?

 空を見上げながらそんなことを考えてしまいました。成田は羽田よりも飛んでくる飛行機のバリエーションが豊かなので、写真はさておき飛行機見物としてはかなり楽しめます。

DSC_7854.jpg
DSC_8025.jpg
 さて、この2枚はNikon D500 + AF-S 200-500mmF5.6のテレ端で同じく成田空港で撮影したもの。この組み合わせだとフルサイズ換算すると750mm相当になるわけで、K-1 II + 300mmと比べると倍以上の望遠効果が得られることになります。遠方の引き寄せも圧倒的だし、ぐっと引きつけた場合の迫力もやはりちょっと違います。

 ということで、決してNikon D500に早くも飽きてまたPENTAXに戻ると言うことではなく、撮影対象と目的とその時の気分で使い分けていこうと思います。とりあえずD510とかK-3 IIIが出てくるまでは…。

PENTAX K-1 IIで動体も悪くはない。DA★300mmF4は最高!

 久々にPENTAX K-1 IIで飛行機を撮ってみましたが、思ったよりもずっと快適で歩留まりも仕上がりも期待以上でした。こんなに撮れるんだったら、もっと激しい動体もいけるんじゃないか?なんで諦めてしまったんだっけ?とか考えてしまいました。

 いや、分かっています。このくらいの動きと300mmという長さが「ちょうど良い」ところだっただけだし、それにK-1 IIには連写性能(速度ではなくバッファサイズと書込の遅さ)という重大な弱点があります。それは今回も同じように感じました。

 それにしてもDA★300mmF4EDはやっぱり良いレンズです。「これぞKマウント望遠の決定版」という以前の感想は、今回試しに使ってみてやっぱり実感しました。K-1/K-1 IIと組み合わせることでイメージサークルを使い切ることが出来るようになり、ますます本領発揮という感じがします。これだけの描写性能があれば、450mm相当あたりまでならクロップでも対応できる範囲じゃないかと思います。

K1M25470.jpg

 それに最短撮影距離が1.4mで撮影倍率も0.24となかなか寄れる方なので、飛行機以外にも使い道は色々ありそうです。例えば↑こんな感じ。近距離でもシャープだしボケも悪くないし。AFも言われるほどトロくないと思います。

f:id:hisway306:20190217155113j:plain
 K-1改に続いて、DA★300mmF4もフードにステッカーチューンしてしまいました。以前はこういうのあまり好きではなかったのですが、だんだん趣味が変わってきたかも。今となってはK-1改のAOCOマークとともに愛着の証です(^^;

 それにしても軽量コンパクトなのが本当に助かります。最近はどこのメーカーもバカみたいに大きくて重たいレンズばかりですが、本当にそれ必要なの?みんな求めてるものなの? と思えてきました。となると、DA★200mmF2.8にもちょっと興味が沸いてきます。DFA★70-200mmの代わりになったりして? とか…

 使い道もあまり考えずに、値段だけで衝動買いしてしまったレンズですが、買い戻せて本当に良かったです。今度は手放さないようにしたいと思います。

PENTAX スターレンズ 超望遠単焦点レンズ DA★300mmF4ED[IF]SDM Kマウント APS-Cサイズ 21760

PENTAX スターレンズ 超望遠単焦点レンズ DA★300mmF4ED[IF]SDM Kマウント APS-Cサイズ 21760

PENTAX 一眼レフ K-1 Mark II ボディ  15996

PENTAX 一眼レフ K-1 Mark II ボディ 15996

関連エントリー

復活のsmc PENTAX DA★300mm F4ED[IF] SDMで飛行機を撮ってみる」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 羽田空港から眺める冬の夕暮れ空と富士山と飛行機 – 酔人日月抄外伝

コメントは停止中です。