昨今は各社のフルサイズ・ミラーレス新登場の話題で持ちきりですが、我らがペンタックスはそんな流行はどこ吹く風とばかりにまったく蚊帳の外にいます。ニコン Z 7やキヤノン EOS Rを実際体験すると未来を感じる一方で、手に馴染んだPENTAX K-1/K-1 IIのずっしりとした分厚いボディを持ち、光学ファインダーを覗くとホッとします。やっぱりこれだよね、と。まだ私はしばらくこのカメラからは離れられないな、と再確認しているところです。
さて、もうずいぶん昔のことのような気がしますが、今年のCP+でPENTAX K-1 Mark IIが発表されるとともに、従来のPENTAX K-1に対してもアップグレードサービスが行われることがアナウンスされ、当時はそれなりに話題になりました。実際のアップグレードサービスは5月から始まっていましたが、私は追加でK-1 Mark IIのボディを手に入れたこともあって、2年以上前から使っているK-1のアップグレードについては様子見をしていました。
ですがここまで半年くらいPENTAX K-1 Mark IIを使ってみた結果と、さらに2台体制で今後もまだまだ使っていこうという決心したことで、この際 PENTAX K-1 もアップグレードしてMark II化してしまうことにしました。機能性能の向上はもちろん、オーバーホール的な意味もありますから。
アップグレードサービスの受付は現時点で今月末までとなっています(延長のアナウンスはありません)。私は念のため事前に9月前半枠の予約を取ってありました。ここまで引っ張って保留してきたわりに、いざとなったら少しでも早くアップグレードしたくて、受付開始初日の9月1日に新宿のリコーイメージングスクエアに持ち込み、3週間が経過した9月21日に受け取ってくることが出来ました。
もう今さらな内容なのですが、一応経緯と結果をまとめておきたいと思います。
PENTAX K-1 アップグレードサービスとは
まずはこの前代未聞のアップグレードサービスの概要をおさらいしておきましょう。
一言で言ってしまえば旧型のPENTAX K-1を新型のPENTAX K-1 Mark II相当に生まれ変わらせることができるメーカー公式の改造サービスです。実際、外観に一部違いが残るだけで旧型のPENTAX K-1の中身が完全にPENTAX K-1 Mark IIになってしまうというもの。
過去マイナーチェンジしたデジタルカメラは各メーカーに色々ありますが、メーカーが自ら旧機種を新機種にアップグレードしてくれるというサービスは、私が知る限りはじめてではないかと思います。
作業にかかる時間は現時点で約2ヶ月となっていますが、事前に予約を取ってあれば3週間ほどで完了します。予約無しで受け付け終了の9月末に出すと、恐らく帰ってくるのは11月になると思われます。なお費用は54,000円と、なかなかのお値段がしますが、使い古したK-1がK-1 Mark IIになる上に、事実上のオーバーホール作業を兼ねてると考えれば、そんなに悪くはありません。
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ちなみに、値崩れしたK-1を買ってアップグレードすればK-1 Mark IIを買うより安くなる… ということはなさそうです。そもそもK-1自体ほぼ流通在庫はなくなってきてるみたいですし。
さて、実際にアップグレード作業で何が行われるか?については↑こちらのデジカメWatchの記事が詳しいです。
この記事にあるとおり、メイン基板を丸ごと交換することになるわけですが、逆に言うとそれ以外は一切交換されません。またメイン基板を交換したことで各種キャリブレーション作業がやり直されます。AFセンサーとファインダーのピント位置調整とか、測光センサーの位置合わせ、ホワイトバランスの調整、ファインダーとSR位置合わせとか水準器の調整とか、もろもろ通常の点検整備では恐らく実施されない、かなり深くて基本的な初期調整が全てやり直されます。
なので2年以上使い込んで色々とガタが来ているかもしれないK-1のボディをリフレッシュすることにもなります。私的にはどちらかと言うと、機能がPENTAX K-1 Mark II相当になることより、そちらのほうが魅力的に感じました。
アップグレードが完了したPENTAX K-1改 をじっくり眺めてみる
と言うことで、冒頭にも書いた通り9月1日に預けて、丸々3週間後に戻ってきた我がPENTAX K-1改を眺めてみましょう。もともとは2016年4月のK-1発売日当日に手に入れた、K-1の超初期ロットの一台です。当初からトラブルもなくピント精度も完璧で安定した当たり個体で、雨や雪や炎天下などなど2年半近く色々使い込んできた愛着あるボディです。
なお、以下ではアップグレードしたK-1を「K-1改」、もともと生まれながらのK-1 Mark IIをそのまま「K-1 Mark II」と呼ぶことにします。
はい、こんな姿で帰ってきました。と言っても、見た目は今まで通りほぼ普通のK-1です。こう見えても中身のメイン基板はごっそりと新しくなって、アクセラレータなる追加デバイスが搭載されているはず。
この通り、左肩の機種名ロゴはK-1のまま。つまりSRバッジ部分以外、外装はまったく手つかずで元のままです。なのでK-1改とK-1 Mark IIとは外観ですぐに見分けが付きます。
2年半、わりとガシガシ使ってきたつもりですが、外装はもともとあまり痛んでいない方かもしれません。自覚があるもので言うと、スマートファンクションのダイヤル上部とペンタ部右脇のGPSボタン周囲の擦れ痕、そしてSDカードスロットとそのボディ下角あたりにも小傷がありました(いずれも写真を見ただけでは汚れにしか見えないかもしれません)。
これらはもちろん全てそのままですし、液晶の保護シールも貼られたまま戻ってきましたから、明らかにこれは私が2年半使っていたK-1そのものに違いありません。いえ、別にまるごとリビルド品に置き換わって戻ってくるんじゃないかとか疑っていたわけではないのですが、念のため色々確認してしまいました。
しかしながら底板部のラベルはK-1ではなくK-1 Mark IIとなっています。これもちゃんと貼り替えらています。ただし、シリアルナンバーは変わらず元のK-1時代のままです。
そしてグリップとマウントの隙間の部分に貼ってあったSRバッジが IIマークに変わっています。外観上一番の変化点はこのバッジですが、街中でK-1を持ってる人を見かけたとして、それがK-1なのかK-1改なのかを見分けるのはかなり難しそうです。
なお IIマークに貼り替える前のSRバッジはなぜかこうして返してくれました。自分で元に戻しても良いよ、ってことなのでしょうか。うーん、そう言われるとSRバッジに戻して外観ではまるでK-1と見分けが付かないようにしてみたい気もします。作業の難易度など今後検討したいと思います。
ちなみに個人的にはメイン基板も返して欲しかったんですけどね(^^; まぁ普通に考えて無理な話です。公然の秘密とは言え、それなりにメーカーのノウハウが詰まってるものですから、みすみす生基板を市場にばらまくようなことは普通のメーカーはしません。
さて、念のためメニューからファームウェア情報を確認してみると、ちゃんとK-1 Mark IIになっていました。バージョンは最新のVer 1.0.2です。そしてリアル・レゾリューションの設定を見てみると、K-1 Mark IIの目玉機能である手持ちリアル・レゾリューションが設定できるようになってます。と言うことで、見えないけれども中身もしっかりと交換されてることが確認できました(これまた別に疑ってたわけじゃないですけど ^^;)。
なお、アップグレードサービスが完了してK-1改を受け取る際には、K-1 Mark IIの取扱説明書と最新版の現像ソフトが入ったCDも付いてきました。そうか、そうなりますよね。
さらに…
説明書とCDが入っていたビニール袋の中には、なにやらお手紙らしき封筒も入っていました。窓口の人は何にも言ってなかったけどなぁ…
なるほど、これはリコーイメージングからのメッセージですね。K-1を買ったユーザーは、Kマウントというかペンタックスブランドに対してロイヤリティの高いユーザーが多い、と言うことをメーカーも十分分かってる、と言うことなのでしょう。そういう認識があってこそのアップグレードサービスな訳ですね。
また、受け取り時に付いてくる黄色い作業伝票は、今後半年間の保証書代わりになります。アップグレードサービスに起因すると思われる不良が発生した場合は、無料で直してくれます。何もないとは思いますが大切に取っておかなくては。
K-1改とK-1 Mark IIの微妙な関係
今年の4月に新品で買ったK-1 Mark IIと、今回アップグレードによってK-1から変身したK-1改と、計2台のPENTAX K-1 Mark IIが手元にあります。出自は違えど中身は同じなので、気にすることはないのかもしれませんが、何となく気分的にメイン機を決めておきたいと思っています。
K-1改とK-1 Mark IIを並べてみました。この2台は左肩のロゴとSRバッジで見分けが付きます。でも操作性も同じ、機能も性能も同じ、出てくる絵も同じ(はず)わけですが…
やはり本来はシャッターカウントも少なく、メイン基板以外のメカなどなど全てが新しい「生まれながらにしての」K-1 Mark IIをメインにするのが理に適っていそうですが、心情的には待ちに待ってようやく手に入れた初のフルサイズ機であり、ここまで2年半色々な写真を撮ってきた「元々はK-1だった」K-1改の方が、色々と愛着があってより安心感があるんですよね。
なので精神衛生上の理由で、今後は基本的にK-1改をメイン機と位置づけて使って行きたいと思います。
なお、気の早いことにすでにK-1改の試写に行ってきました。いずれにしろ使い慣れたカメラであることに代わりはないですが、このボディでDFA★50mmF1.4を使うのははじめてですし、アップグレード作業で調整されたというピントやファインダー等々、色々動作チェックをしてみないといけないですから。そこで撮ってきた写真については、また次回エントリーで報告します。
なおExifに記録される機種名は↑この通り「Ricoh IMAGING COMPANY, LTD. Pentax K-1 Mark II」と長ったらしいのも「生まれながらの」K-1 Mark IIと変わりません。また、シャッターカウントはリセットされていました。
おまけ:「とっておきPhotoコンテスト」に入賞しました
さて、先月のことなのですが、リコーイメージングが時々実施している「とっておきPhotoコンテスト」で私の応募作が採用されました。
このコンテストはガチのやつとは違って、撮影機材の縛りがあるものの気軽にネットからファイル送信するだけで応募できるコンテストです。なので私は普段はあまりコンテスト類に応募しないのですが(落選してガッカリするのがイヤなので ^^;)、今回はちょっと思いつきで応募してみました。K-1 Mark IIで撮ると採用されやすいんじゃないか?という下心もありましたし。
で、見事採用して頂けたのですが、その結果発表もWEBで公開されています。何も考えず本名のまま出ております(^^;
いくつかテーマ別に部門が設定してあったのですが私は「アウトドア」部門に応募しました。と言っても中身は星景写真なので本当は「星」部門に応募すべきだったのかも。「星」部門はアストロトレーサを使った作品限定なのかと勘違いしていました。
ちなみにこの応募作は今年のゴールデンウィークに茨城県の大洗で撮ったものです。
これがその時のエントリーです。採用された写真はこの中の一枚です。この日はK-1とPENTAX K-1 Mark IIの2台体制でしたが、このカットはK-1 Mark IIで撮ったものです
ちなみに応募時の機種選択リストには「PENTAX K-1 Mark II」と「アップグレードされたPENTAX K-1 Mark II」に分かれていました。そこ区別するんだ、と思った記憶があります。ただ、採用作品一覧を眺めていると、K-1とK-1 Mark IIのどちらかしかありません。K-1改からは応募がなかったのか、採用作がなかったのか、あるいは最終的に全てK-1 Mark IIと表記してあるのか? ま、どうでも良いんですけどね(^^;
なお採用作は秋葉原ヨドバシカメラなど、一部の大手カメラ量販店で販促に使われるそうです。さらにリコーイメージングスクエア新宿では昨日9月22日から10月5日まで↑この写真のような感じで展示されています。リコーイメージングスクエア大阪でも展示していたのですが、9月前半で終わってしまいました。
さて、比較的カジュアルなコンテストなので賞金とか賞品とか、そういうのはないのですが、こんなものが後日送られてきました。
採用作と認定書なるものがセットになったフォトスタンドです。ハガキサイズのプリントですが、こうしてもらうととても嬉しいです。ただ、私の応募作はあまりプリント映えする写真じゃなかったようです…。
さらにおまけでこんなシールも同梱されていました。GRやTHETAのロゴも混ざったリコーイメージングステッカーです。あまりステッカーチューンは好きではないのですが… これを眺めていたら、ちょっとやってみるか?という気分になってきました。
PENTAX K-1改にステッカーチューンを施す
ということで、さっそくステッカーチューンをK-1改に施してみました。
まずはペンタ部にAOCoマークをペタッと。ちゃんと六角形に沿って切り取って貼りました。位置的にもうちょっと下の方がバランス良かったかも。
もう一つ、横長のPENTAXロゴマークを液晶画面下の空きスペースに。ガラスフィルム貼ってあるのにその上から被せたのでちょっと出っ張りすぎですが。
いずれもただの紙シールであって、こういう用途を必ずしも念頭に置いてるシールではないので、使っているとすぐに擦れたり剥がれたりしてしまうと思います。でもまぁ一時の遊びとしては良いのではないかと。思いつきでやってみただけですが、結構気に入ってます。
ピンバック: PENTAX K-3 Mark IIIのペンタプリズムをもらった – 酔人日月抄外伝