ニセコ 2014(前編):ディープパウダーを堪能する

投稿者: | 2014年2月27日

 今年もニセコへ行ってきました。毎年訪れるようになってこれで5回目、通算6回目です。年々少しずつ、ニセコの奥深いところへと入り込んで行っていますが、今年は思い切ってガイドさんを雇い、ニセコの神髄が隠れていると言われる、管理区域外のバックカントリーツアーに出てみることにしました。もちろん狙いはゲレンデでは味わえないディープパウダーです。
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 問題は天気と新雪の量ですが、そればかりは祈るしかありません。2月も末になりそろそろ春の兆しが現れ始め、ハイシーズンは終わりに向かっています。しかし結論から言うと、想像を遙かに超える素晴らしいディープパウダーに巡り会うことが出来ました。

 興奮冷めやらぬ状態で書いているので、かなり長文&写真多めです。

1日目は足慣らし

 羽田発6時半の飛行機で新千歳空港へ。そこからバスに乗りニセコへ到着すると、もうお昼になっていました。宿泊は昨年と同じ、ヒラフゴンドラ下にある「ランドマークビュー」というコンドミニアムです。

 チェックインを済ませ別送してあった荷物を受け取り、準備をしたら早速ゲレンデへ。もう午後も良い時間になっており、滑れる時間はそう長くはありません。バックカントリーツアーに出る明日は朝が早いのでナイターも自粛です。

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 天候は晴れ時々曇。気温も低くて麓で-10℃、山の上では-15℃を軽く下回っているようです。時折雪が舞うものの、風もなくニセコにしては穏やかな天候に感じます。

 おかげでキング第4リフトに乗って、森林限界を超える山頂エリアにやってくることができました。強風が吹くとすぐにリフトの運行が止まり、過去数えるほどしかここまでやって来たことがありません。リフトの届かないアンヌプリ山頂付近もよく見えます。午後遅い時間とあって雪面もそれなりに荒れていますが、軽くて引き締まった雪質はさすがニセコです。

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 とりあえず様子を確かめるため、花園エリアの中にあるストロベリーゲートを出てみました。話によると前日金曜日には相当降雪があったそうです。もちろんここもかなり食い荒らされていますが、雪はまだ柔らかさを残しています。積雪量はまったく申し分なし。全体的に例年よりもかなり雪の量は多いようです。

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 ヒラフエリアのゲレンデからはどこにいてもよく見える羊蹄山は、雲に隠れたり表れたりを繰り返しています。上空の風はそれなりにあって雲は流れています。夜の間に雪雲を運んできてくれるでしょうか?

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 夕方、早めに上がり夕飯を食べにヒラフの街に繰り出しました。新しいコンドミニアムやお店ができて、その様子は年々様変わりしています。ふと気がつくとまるで海外のリゾートにいるかのような風景が広がっています。実際のところ外国人率は相当高く、日本語が通じない場面も少なくありません。ニセコ恐るべし。

2日目は本番!ディープパウダーツアー

 翌日日曜日は今回のニセコへのスキー旅行のメインイベント、バックカントリーツアーの日です。朝7時前にホテルを出発し、まだ誰もいないゲレンデを目指します。

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 ニセコではたくさんのガイドツアーがありますが、私たちが利用したのは花園スキー場が公式に運営するHANAZONOパウダーガイドです。ここで半日のプライベートツアーをお願いしました。目的はゲート外のパウダーを楽しむこと。それほど本格的な山登りを必要とせず、基本的にリフトでいける範囲で管理区域外のガイドをお願いしてみました。

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 迎えの車に乗ってまずは花園スキー場のベースにあるHANAZONO308へ。一通り説明を受け、ビーコン、スコップ、ゾンテと言った必要な装備を借りて出発したのは8時前です。当然スキー場はオープンしていません。私たちのために搬器をワイヤーにかけてもらいつつゲレンデ上部を目指します。

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 まず最初は花園エリア内にあるブルーベリーエリアとストロベリーエリアへ。前夜に降雪があればファーストトラックをほぼ独占出来るのがこの花園スキー場公式ツアーの特徴ですが、残念ながらこの日はあまり積もっていませんでした。これでは「ディープパウダー」はおろか、まだまだ「パウダー」とも言えません。

 ちなみにこの方が本日我々をニセコに神髄へと連れて行ってくれるガイドさんです。ここで私たちの足前がどの程度か、じっと観察をされていたのではないかと思います。どうやら無事に合格したようです。

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 その後少しずつ高いところへ移動し、少しずつ奥深いところへ入っていきます。花園第3クワッドリフトを降りたところから5番ゲート(花園ゲート)を出て、藤原の沢を下るルートは、それなりに積雪がありますが、まだ底付きする状態で「ディープパウダー」には達していません。でもこれはこれで楽しい! と思ったら、ガイドさん曰く「イマイチですね…」とのこと。

 そしていよいよ山頂へと向かうことになります。今まで指をくわえて眺めていたアンヌプリ山頂へ。シングルのK4(キング第4)リフトを降りたら、借り物のバックパックに板をくくりつけ、3番ゲート(ヒラフ山頂ゲート)を出てハイクアップするのです。高低差は約120mとはいえ雪の中をブーツを履き、板を背負っての山登りです。

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 この時点で、すでにスキー場はオープンしており、多くの人が山頂を目指しています。私たちはスピードが遅いので、ガイドさんがメインルートの脇にステップを掘りつつゆっくり上っていきます。

 どのくらい時間が経ったでしょうか? デジカメの写真に記録された時間によると、約25分ほどかかったようです。気温は-10℃を下回る中、汗だくになって息も絶え絶え、ようやく山頂に到達しました。バックパックを投げ出し座り込んでしまいましたが、達成感にあふれています。やったぞニセコ!アンヌプリ山登頂!

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 山頂はガスがかかって霞んでいますが、基本的に周囲の視界、視程はそれほど悪くありません。ガイドさんによればバックカントリーにおいては視界の確保がとても重要とのことです。いくら雪が降っていても、視界がないと雪崩の危険も見分けにくいし、万が一の救助にも支障を来します。そして滑れたとしてもあまり楽しくないとか。今回も視界がなかったら止めましょう、とあらかじめ言われていました。

 そんなことを言っていたガイドさん、山頂に到着してから状況を確認に行ったと思ったら、興奮気味にすぐに戻ってきました。「すごい良い状態です、今すぐ行きましょう!」と、疲れてそのままへたり込んでる我々をたたき起こし早速出発。てっきりゲレンデからいつも見えているヒラフ側の斜面を滑り降りるかと思えば、向かったのはその逆側。イワオヌプリ山が見える北斜面です。

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 ここに本当に素晴らしいディープパウダーが待っていました。積雪量もたっぷり。大げさでなく腰まで埋まるような深さ。そしてとても雪が軽いのです。今まで経験した雪質とは全く異次元でした。

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 木もなくやたらに広大な斜面。そして滑っても滑っても終わらない長さ。雪がありすぎて気がついていませんが、斜度も相当あるはずです。ファットスキーの威力でぐいぐい板が浮き、ターンを切ると自分のスキーのトップが巻き上げた雪を全身に浴び、それこそ頭まで被って視界が奪われるほどです。


 これがその証拠動画です。画質が良くないですが、その尋常じゃない雰囲気が少しでも伝わるかと思います。途中かなりのスピードが出たままフカフカの雪に転んで突っ込んでいますが、何ともありません。ひたすら笑い声が録音されています。そう、笑うしかないのです。

 そして最後にガイドさんが「これはすごい!今日は大当たり!!」と叫んでいます。そこにいた常連さんらしきスキーヤーも「今期で一番だね」と。それらは半分リップサービスとしても、かなり良いコンディションなのは確かです。

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 ファットスキーを履いていても膝までゆうに埋まる様子が分かると思います。昨夜降雪があまりなかったにもかかわらず、なぜここにこんな最高の状態になっていたのかは、ガイドさんにもよく分からないとのこと。積雪量で言えばたっぷり降った翌日などには敵わないと思いますが、それでも雪質と雪面の状態は素晴らしい状態だったようです。っていうか、想像していた何倍も素晴らしい軽くて乾いた「ディープパウダー」でした。ニセコではこういうことがあるからやめられません。

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 その後アンヌプリ山の東尾根をトラバースしながら越え、花園のベースを目指します。途中所々、同じような素晴らしいディープパウダーの斜面を何度も滑り、白樺の密生した森を抜け、時に切り立った崖を降りて沢を渡り… と、ちょっとしたアドベンチャーでした。


 ついでにもう1本動画です。後半はトラバースの様子を撮ってあります。最後に何でもないところで雪にスキーを取られて転倒したところが写っています(A^^;
 このあたりで私はトラバースがかなり苦手なことを自覚しました。ただ斜面を横に滑るだけですが、山側の足が異様に疲れるのです。ブーツのカント調整とかした方が良いのかも。

 山頂から滑り始めてから約1時間弱かけて、何とかHANAZONO308にたどり着き、一息ついたところでツアーの残り時間はあと1時間。もう一度山頂に登る体力は残っていませんが、これだけでは満足できません。ということで、今度はK4リフトから4番ゲート(藤原の沢ゲート)を出て、ずっと東尾根の方に向けて長距離トラバース。そして先ほどとは少し違うルートでまた山を下り、ゲレンデベースを目指します。

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 少し空が晴れてきてとても気持ちの良い空気。そして誰もいない降りっぱなしのディープパウダー。斜度がやや緩いのですが、疲れた体にはちょうど良いコースでした。ただし、やはり帰りの林間トラバースで相当体力を使ってしまいましたけど。


 動画をもう一本貼っておきます。日が差しているので明るくて少しは見やすくなっていると思います。これが4番ゲートを経由して滑った2回目のパウダーコースです。ここだけでも十分に素晴らしいです。
 途中、急斜面で腰が引けて転んでますし、だんだんと滑りのキレがなくなって疲れてきているのが、本人的には手に取るように分かります(A^^;

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 ということでわずか半日のバックカントリーツアーは終了です。もうクタクタに疲れ果てましたが、ものすごい充実感。スキーをやっていて良かった、ニセコに毎年通い続けて良かったと思える半日でした。

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 早朝から滑っていたこともあり、この後はゲレンデ内の緩い斜面を流し、早々にホテルに引き上げました。夕飯も外に出かける気力がなく部屋で済ませます。心地よい疲労感… と言いたいところですが、実際には体を横にしていても気持ち悪くなるくらいの極度の疲労でした。日頃の不摂生のせいとは言え、それでも何とか途中脱落せずに、山頂まで登って長距離を滑りきったのだから、「良くやった!」と本人的には思っています。

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 ちなみにこれがニセコのゲレンデと各ゲート、管理区域外エリアを表す地図です。今回はG3, G4, G5を利用しアンヌプリ山の主に北東側を滑りました。西側も素晴らしいパウダーエリア(バックボウル)があるそうです。が、それはまた次回行こうに取っておこうと思います。(上の画像をクリックするとpdfが開きます)

 もうこれで今回のニセコスキーは思い残すことはありません。とはいえ今回の旅の日程はあと二日残っています。装備もないしルートもちゃんと覚えていないので、山頂ルートは無理ですが、藤原の沢ルートあたりは自力で行けそうな気がしてきました。明日以降ももっと雪が降れば良いのにと思いつつ、あまりの疲れに午後11時前に寝入ってしまいました。

 (後編)に続く予定。

ニセコ 2014(前編):ディープパウダーを堪能する」への8件のフィードバック

  1. スキーなんか数えるほどしかしてないし、最後にやってから10年じゃきかないほどだけど、みてると楽しそう…娘もオリンピックの影響(笑)で興味あるみたいだし、全部レンタルで行ってみようかな…今シーズンはもうダメそうだけど。

  2. hisway306

    ふさん、スキー楽しいですよ。パウダーに限らず、スキー場の緩斜面だって超楽しいです。お子さんにもぜひ体験させてあげてください。最近のスキー場はどこも子連れ客を当てにして、子供向けの施設がすごく充実しているので安心です。

  3. 八木大福

    ディープパウダーツアー良いですね!
    私はスキー始めて5シーズン目ですが目標できました。

  4. hisway306

    八木大福さん、
    はい、ニセコのパウダーツアーは素晴らしいです。是非いつか体験してみてください。

  5. nnhummer

    初めまして
    ニセコで検索してたら、こちらのブログを発見しました。
    素晴らしいニセコと楽さが伝わってきます。
    自分もニセコの中毒にな7年目ぐらいになります。
    今シーズンも始まりましたね。
    今週末にニセコへ出掛けきます。
    ニセコでお会い出来たら幸いです。
    ニセコの

  6. hisway306

    id:nnhummer さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
    ニセコは中毒になりますよね。過去雨に降られたり、嵐になったり、まったく雪が降らなかったりしたこともありましたし、正直なところまだ「本当に最高のコンディション」に出会ったとは思っていないのですが、なぜか毎シーズン行かずにはいられなくなります。
    今年も雪がたっぷりありそうですし、今週末辺りは最高ではないでしょうか。私は2月の初旬を予定しています。
    是非思い切り楽しんできてください!

  7. nnhummer

    こんにちは 、返信有難う御座います。
    自分は今、仕事を終え電車で空港へ向かってます。
    ニセコの魅力にハマリ7年近く経ちました。
    2月初旬は自分も9日間滞在してます。
    偶然ですね。ニセコの北斜面は最高ですよね。
    ハイシーズン中は月に2回ぐらいニセコへ行きます。
    時間が有りましたら是非声を掛けて下さい。
    ニセコのバックカントリーを案内します。
    ニセコをもっと皆さんに楽しんでもらいたいから

  8. hisway306

    nnhummerさん、今週末は寒波がまた来てますし、でも雪はドカドカ降りそうですね。楽しんできてください!
    年に2回も行かれるとは素晴らしいです。でも、そのお気持ちがよく分かります。私もチャンスがあれば2回くらい行きたいし、何だったら長期滞在もしてみたいです。
    機会があれば声をかけさせて頂きます。

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