2013年F1第15戦 日本GP観戦記:FP3&予選

投稿者: | 2013年10月16日

 昨日の金曜日編からの続きです。明けて翌日は土曜日。相変わらずの晴天ですが少し風に涼しさが混ざってくるようになりました。宿泊している名古屋を早朝に出て鈴鹿サーキットへの到着は午前8時。ちょうどゲートオープンと同時です。この日は午前中に60分だけのフリー走行3回目と、午後にはいよいよスターティング・グリッドを決める公式予選が行われます。観客は昨日金曜日より一段と増えています。

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Caterham Renault CT03, Giedo van der Garde /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/500sec, F8, ISO100, -1EV, AWB

 午前中は遠征をして西コースの一番端、スプーンコーナーまでいってみることにしました。午後は戻ってきて再びヘアピンを狙います。最も移動距離の長い一日。グランドスタンド裏のGPスクエアからスプーンコーナーまでは道のりにして3km以上、時間にして30分以上かかります。日頃運動不足の体には堪えます。

フリー走行3回目

 セッション開始は金曜日よりも遅めで午前11時から。時間も30分短くて1時間だけです。午後の予選に向けて最終的なセットアップを行うために、非常に重要なセッションです。コンディションも安定しているので、まるでレースを見ているかのように次々にマシンがやってきます。写真を撮るならこのフリー走行3回目が実はベストかもしれません。

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Mercedes F1 W04, Lewis Hamilton /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/400sec, F7.1, ISO100, -0.3EV, AWB

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Force India Mercedes VJM06, Adrian Sutil /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F13, ISO100, -0.3EV, AWB

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Red Bull Renault RB9, Mark Webber /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/160sec, F7.1, ISO100, -0.3EV, AWB
 スプーンコーナーは鈴鹿名物の一つと言える難しい中速の複合コーナーです。メインスタンドなどがある東コースに対し、このあたりは自然豊かなうっそうとした森に囲まれ、広大なエリアに小さな常設スタンドがひとつあるだけ。あとはエクストラビューエリアと、カメラマンエリアが土の土手の上にあるだけ。食べ物を売る売店もなくとても寂しいところです。しかしここは根強い人気があって、フリー走行が始まる頃には見渡す限り人で埋まっていました。

 見晴らしは良くて200Rを立ち上がったあたりから緩い右コーナーを抜けてスプーンコーナーを回り、裏ストレートへ加速していく寸前あたりまでが見渡せます。ここは難しいコーナーなので、各車の挙動やドライバーの腕がとてもよく分かるところでもあります。

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Lotus Renault E21, Kimi Raikkonen /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F10, ISO100, -0.3EV, AWB

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Red Bull Renault RB9, Sebastian Vettel /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F9, ISO100, -0.3EV, AWB

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Mercedes F1 W04, Lewis Hamilton /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F13, ISO100, -0.3EV, AWB
 ここからは午前中はやや逆光となります。この日は少し雲が出て日が差したり、陰ったりめまぐるしく変わりました。露出やホワイトバランスがずれてしまい、今ひとつ統一感がありません。それはともかく、午後に順光になると言うことで、昨年は土曜日の午後、つまり予選セッションの時にこのスプーンへやってきたのですが、このエリアにはなんと大型モニターも設置されておらず、予選や決勝となるといったい何が起きているのか、非常に分かりづらくなってしまうことが欠点です。

 また、予選が終わってからバス乗り場まで延々と歩くのも疲れますし、時間がかかり非常に辛いものがあります。そういう諸々を学習して、今年はスプーンへ足を伸ばすなら土曜の午前中、と決めてきました。11時台なら日も高いので逆光と言ってもたいしたことはありません。逆手に取れば面白い写真になるかも(実際は何も出来ませんでしたが)。

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Lotus Renault E21, Kimi Raikkonen /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F10, ISO100, -0.3EV, AWB

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Caterham Renault CT03, Giedo van der Garde /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F11, ISO100, -0.3EV, AWB

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Lotus Renault E21, Kimi Raikkonen /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F13, ISO100, -0.3EV, AWB
 フリー走行3回目のすぐ後には予選が控えているので、一番やってはいけないのがクラッシュすることです。しかし今回、スプーンを立ち上がった後の裏ストレートで、フォースインディアのスーティルがコースアウトしてしまいました。私のいた場所からは裏ストレートは完全な死角で全く見えませんでしたが、幸い大事には至らなかったようです。ただ、予選まではわずかな時間しかなく、マシンの修復のためメカニック達は大忙しとなったことと思います。

公式予選

 フリー走行3回目終了からわずか2時間後、いよいよ公式予選が始まります。私はこのお昼休みの間に、スプーンまでの長い道のりを少し戻り、ヘアピンへ再びやってきました。

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Williams Renault FW35, Pastor Maldnado /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F8, ISO100, -0.3EV, AWB

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Lotus Renault E21, Romain Grosjean /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/125sec, F10, ISO100, -0.3EV, AWB

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Red Bull Renault RB9, Mark Webber /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/250sec, F7.1, ISO100, -0.7EV, AWB
 ヘアピン周辺はぐるっとコースを取り囲むように土手があって、立ち上がり側にある常設のIスタンド以外は、すべてカメラマンエリアに設定されています。昨日の午後に訪れたIスタンド下は一番人気で、隙間を見つけるのが大変なので、予選はクリップ外側にある土手の上に陣取ることにしました。

 位置はやや高くて見下ろす形になり、南を向いてるので時間にかかわらず微妙に逆光なのですが、ヘアピンへ飛び込んでくるところから、クリップを低速で抜け、ヘアピンを立ち上がって行く真後ろの姿を見ることができます。

 変化があって中々面白いところです。ただし、写真を撮る上では速度変化と進路変化が大きいので、カメラを振り回すのは大変です。

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McLaren Mercedes MP4-28, Jenson Button /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/250sec, F11, ISO200, -0.7EV, AWB

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Red Bull Renault RB9, Sebastian Vettel /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/400sec, F7.1, ISO100, -0.3EV, AWB

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Ferrari F138, Fernando Alonso /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/200sec, F6.3, ISO100, -0.3EV, AWB
 昨日、とらえるポイントによっては何が何でも流す必要はなく、場合によっては高速シャッターもありと言うことを学んだわけですが、ここでもいろいろ試してみました。やはりヘアピンのようなコーナーでマシンを正面から捕らえるなら、むしろ少し速いシャッターを切った方が歩留まりも上がるし、マシン全体がクッキリとして、それはそれで迫力が出るようです。ただし、今回のように見下ろす場合だとちょっと微妙かもしれません。

 ちなみにK-30の使い心地ですが… 思ったほど快適ではありませんでした。セレクトエリア拡大に期待していたのですが、このモードにしているとピントの食いつきがむしろ弱くなるように感じます。それは、多少センターを外しても大丈夫なはず、という慢心が招くものかもしれず、スポットAFで確実に対象(たいていの場合はドライバーのヘルメット)を捉えるようにした方が、結果的にピントの面でもブレの面でも歩留まりは上がるような気がします。

 また、SIGMAのAPO50-500mmですが、焦点距離のレンジという面でも画質の面でも、アマチュアにとってこれ以上サーキット撮影に向いたレンズはないのですが、どうもPENTAXの一眼レフとの相性は良くないようです。実はK-5で使っているときから出ていた症状なのですが、AF.Cで動くものを追いながら連写すると、4,5枚目で必ずピントが抜けるという現象が発生します。ポールを横切るとかそういうこととは関係ありません。SIGMAに相談してみたほうがいいのかもしれませんが、何となくこのレンズはもうこれ以上使わなくて良いかな?と思い始めています。

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Toro Rosso Ferrari STR8, Jean-Eric Vergne /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/250sec, F6.3, ISO100, -0.3EV, AWB

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Toro Rosso Ferrari STR8, Jean-Eric Vergne /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/250sec, F11, ISO100, -0.3EV, AWB

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Jean-Eric Vergne /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/250sec, F8, ISO100, -0.3EV, AWB
 さて、今回の予選セッション中に目の前でトロロッソのベルニュのマシンが燃えるというトラブルがありました。ヘアピンへ進入してくる時点でスローダウンし、マシンの後部からは白い煙を吐いていたのですが、ヘアピンを回ったところで既に炎が後部ホイールから上がっていました。どうやらブレーキトラブルのようです。両輪ともきっちりとブレーキローターまわりが燃えています。あまり見ないトラブルです。

 すぐにマシンをコースサイドに止めたのですが、さすがは鈴鹿サーキットのマーシャル達の仕事は速く、ドライバーが降りる前にあっという間に消火作業が行われます。もちろん、消火器を運ぶためにF1マシンの目の前を消防車が走ったり、いきなり粉末消火器をマシンにかけたりはしません。このトラブルによって予選は一時赤旗中断となりましたが、消火後すぐにマシンは撤去されセッションは再開されました。

 ベルニュとトロロッソチームには気の毒ですが、なかなかいいものを見せてもらった気がします。

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Mercedes F1 W04, Lewis Hamilton /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/250sec, F11, ISO200, -0.7EV, AWB
 ヘアピンはオーバーテイクポイントですので、観戦ポイントとしてはレースにうってつけかもしれません。

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PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/800sec, F6.3, ISO200, -0.7EV, AWB
 国際映像を撮るためのカメラがヘアピンの内側に設置され、長いアームが自由自在にマシンを追いかけていました。オペレータは一人。これもまたプロフェッショナルな仕事です。

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Ferrari F138, Felipe Massa /PENTAX K-30, SIGMA APO50-500mmF4.5-6.3 DG OS HSM, 1/200sec, F18, ISO200, -1EV, AWB
 ヘアピン立ち上がりから200Rに向けてまっすぐ加速していくマシンのバックショットが撮れるのもこのポイントの特徴です。逆光でアンダー気味に撮ると、味わいが出てきます。やたりにたくさんシャッターを切ってしまいました。

 予選内容はいまさらおさらいすることもありませんが、レッドブルの2台による一騎打ちとなりました。ベッテルにはKERSがなかったという話もありますが、最後のアタックでヘアピンのブレーキングでフロントタイヤをロックさせてミスをしていたのも事実です。結局は久々にマーク・ウェバーがポールポジションを獲得、ベッテルが2位。それにハミルトンとグロージャンが続くという展開となりました。フェラーリはここでも今ひとつ。アロンソはまたしてもマッサに負けてしまったというのが気になります。

 さて、いよいよ明日は決勝です。<続く

2013年F1日本GP 関連エントリー

2013年F1第15戦 日本GP観戦記:FP3&予選」への8件のフィードバック

  1. rio_t

    初めまして。
    私もSIGMAの50-500をNikon D800で使用しています。サーキットで使うことが多いのですが、同じようにAF-Cでの連写中にピント抜けが発生します。
    異常かと思いSIGMAに送って修理をお願いしたところ、「問題なし」と言われてしまいました。なので仕様なのかと思って諦めていますが困ったものです…。
    非常に便利なズームレンズなので手放したくはないのですが、これが続くと使うのをやめようかなという気になってしまいますよね。

  2. Yamagen

    こんにちは、はじめまして。
    テクニックを教えて下さい。
    AF.Cのピント抜けの記載がありましたが、置きピンは使わずに撮影していらっしゃるのでしょうか。
    あと、手ぶれ補正はどうされていますか?
    一脚プラス補正OFFといった感じでしょうか。
    教えて頂けるととても嬉しいです。
    来年、鈴鹿に行きたいと思っているので・・・。

  3. hisway306

    Yamagenさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
    置きピンしようか迷ったのですが、今回はやりませんでした。意外にマシンが通るラインがまちまちで、目標位置が定まらないと感じたので。AF.Cで追いかけながらシャッター切りました。
    SIGMAの50-500mmにに内蔵されている手ぶれ補正はモードが二つあって、一つが流し撮り用(垂直方向の補正のみ)となっていますので、それを使いました。斜め方向に振ることがあるので、そういう場合はどうするのか正しいのか分かりません。ボディ側の手ぶれ補正は切っています。
    ちなみに私は一脚は使っていません。上にも書いたように、結構カメラを振るので、一脚で動きが制限されてしまうのがイヤなのです。でも、本当はちゃんと使ったほうがいいのだろうと思います。周囲の大砲級の人々は皆一脚使ってました。
    来年、是非鈴鹿で思う存分写真を撮りましょう!

  4. ichiro_s

    ベルニュの表情、よく撮れましたね!すごい。

  5. hisway306

    りおつ (id:rio_t) さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
    Nikon D800でも同じような現象が発生するとは! 驚きです。PENTAXマウントは少数派なので、ちゃんと調整されていないのかな?と勝手に思っていました。
    メーカーで問題と認識していないならどうしようもないですね。動体の連写では本当にストレスが溜まります。
    他に代わりのないレンズなので、惜しいので、何とか使いこなしたいのですが。

  6. Yamagen

    返答ありがとうございました!
    参考になりました。
    週末はWECを撮りに富士へ行こうと思っています。

  7. hisway306

    id:ichiro_s さん、
    ありがとうございます。ベルニュはちょうど私がいた所からよく見える場所に置いてあったパイプ椅子にこんな感じでしばらく佇んでいました。
    その後迎えに来たバイクかクルマに乗るために私のすぐ目の前を歩いて行きました。その写真も撮ったのですが、やはりがっかりして黄昏れてるこの写真が一番上手く撮れたと思います。

  8. hisway306

    Yamagenさん、
    WECですか、良いですね! 私はF1以外のカテゴリを見たことがなくて、写真の面でも、純粋にレースを楽しむという面でも、もっと幅を広げないと上手くならないかな?と思っています。

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