一部で非常に大人気のPC用地デジチューナーカード、PT2を手に入れました。このカード、そこら辺にたくさん売っている地デジチューナーカードとはちょっと違っていて、かなり上級者向け。環境のセットアップにはかなり手間暇が掛かるのです。
それはなぜなのか?は、ここでは一応書かないことにします。興味がある方はググってみてください。今回のエントリーでは備忘録としてセットアップ手順の要点をまとめておくことにします。
カード本体は至って普通のPCIカードです。3波対応のデュアルチューナー仕様で、これを空いているPCIスロットに挿すだけ。そしてアンテナ線をそれぞれ接続。我が家はケーブルテレビ経由の地デジのみなので、BS/CSのラインは使いません。ハードウェアのセットアップはとても簡単です。
しかしPT2はこれだけではテレビを見ることはできません。もう一つ機器が必要です。それはスマートカードリーダー。
こんなやつです。 PT2との組み合わせにおいて実績が多数あるという、NTT-ME製のSCR3310-NTTComを入手しました。これは空いているUSBポートに接続します。このカードリーダーはe-Taxなどの公的認証サービスで利用するものですが、今回はデジタル放送用のB-CASカードの読み取りに使います。なお、B-CASカードはPT2にはついてきませんので、別途自力で入手する必要があります。
セットアップ
さて、具体的な手順ですが非常に煩雑かつ複雑です。各パッケージのReadmeファイルなどを注意深く読み、ある部分は自分の環境に合わせて想像力を働かせることも必要です。
細かい手順はここに再録せず、参考にしたWEBのリンクだけ張っておきます。これらをしっかり読んで真似るだけで、うまくいきました。
ちなみに私はWindows7 Professionalの64bit版上にインストールしました。32bit版やその他のOSにインストールする場合と、基本的には同じですが、ドライバー周りで少し注意する点があるようです。
- PT2 まとめwiki
- アースソフトPT2まとめWikiの補完
- 相方が携帯紛失:Windows7 64bitでPT2を使う(2009年11月4日)
- coneco.net:PT2 & Windows7(64bit) 導入記 その3(2010年1月22日)
- Lavistaの日記:【備忘録】PT2をWindows7 x64で動かす(2010年2月10日)
これらはいずれもWindows7 64bit上でPT2を使用し、TVTestとTVRcokで視聴録画再生環境を構築した先人達の記録です。少しずつ手順や内容が異なっていますが、その辺は自分の環境に合わせて適当にやれば問題なさそうです。
以下は、2011年5月時点で私の環境で使用したドライバー、ソフトのパッケージ一覧です。
- PT2純正ドライバー: PT2-Windows-Driver-200.exe
- PT1/PT2 SDK: PT-Windows-SDK-201.exe
- PT1/2 Windows64bit署名問題対策ドライバ(ドライバ署名の強制を無効とテストモードをなしで動作可能) @猫◆tCHWINGPEI: up0255.rar
- BonDriver_PT-ST(人柱版2): up0272.zip
- TVTest ver.0.7.19r2: up0576.zip
- RecTest ver.0.3.1: up0470.zip
- TvRockOnTVTest (Mod 9.1): up0634.zip
- TvRock Ver 0.9u2: TvRock09u2.zip
1〜4がドライバー、それ以降はアプリケーションです。TVTestが基本的なテレビ視聴用のアプリ、RecTestは録画専用のアプリ、TVRockが複数チューナーの管理や予約録画をするための統合環境アプリ、TvRockOnTVTestはTVRockをTVTestで使うための(表現的に逆かな?)プラグインです。64bit版もあるようなのですが、全てx86版を使用しました。
これ以外にMicrosoft Visual C++ 2005/2008の再頒布可能パッケージが必要になるかも知れません。一応私はx86版を両方とも入れておきました。(64bit版はAMDのドライバーを入れる際に同時にインストールされていました)
最終的にデバイスマネージャの表示はこのようになりました。EARTH SOFT PT2が2箇所に現れてますが、これが本体。SCR3310-NTTCom USB SmartCard Readerがスマートカードリーダーです。びっくりマークなどがついていなければドライバー的にはOKです。UACやドライバ署名チェックの設定などをいじる必要はありません。
注意点備忘録
細かいインストール手順は、先に挙げたリンク先に詳しいのですが、いくつか私が填まったポイントだけ注意事項として書いておきます。
- インストール先
- 全てのソフトウェアはインストーラーではなく、自力でファイルをコピーしていかなくてはなりません。幸いフォルダ構成にあまり制限はなく、どこに置いてあっても良いようです。一応アプリケーションなので、Program Files(x86)に置きたいところですし、もちろん可能なのですが、Windows7ではProgram Filesは特殊な管理がされていて、マニュアルで操作するのは気持ち悪いので、別途Cドライブ直下にフォルダを作ってしまいました。TVTestもRecTestもTVRockも全て同じフォルダにコピー。
- TVTestの設定
- まずは基本となるテレビ視聴の設定。デコーダーはWindows7が標準でサポートしているMicrosoft DTV-DVD Decoderに。別途DVD再生ソフトなどを入れていると、別のデコーダーも選択できます。私の環境の場合、PowerDVDのデコーダも選択可能でした。でもMicrosoftのデコーダーは割と優秀なようです。次にレンダラの設定です。デフォルトで問題ないようですが、試しにVMR9 Renderlessなどに設定すると、画面が崩れてしまいました。Windows7ではEVRが一番いいようです。旧来のOverlayも選べますが、Windows7ではOverlayは基本的にイレギュラー扱いですし、Windows Aeroと共存できないので、テレビが起動するたびに画面がちらつきます。Overlayはビデオカードでテレビ画面だけ独立に画質が設定できるので良い面もあるのですが。
- BonDriver
- PT2でテレビ視聴するためにキーとなるのがこのBonDriverというものだそうです。地デジ用のPT-TとBS/CS用のPT-Sの二種類があります。視聴するサービスによって適切な方を指定しなくてはなりません。また、デュアルチューナーの場合、以前はファイル名を変更して、それぞれチューナーごとに独立したドライバーファイルを用意しなくてはならなかったようですが、最近のバージョンではそのまま1ファイルで複数チューナーを扱えるそうです。ですので、特に二つのチューナーでファイルを分けることなく、同じBonDriverを指定しています。
- スキャン帯域
- 我が家はCATV回線で地デジ配信されているので、UHFではなくCATVでスキャン。主要7局にMXテレビ、放送大学、CATV局の無料チャンネルの計9局が見つかりました。TVRockのセットアップで必要なチャンネル設定は、UHF帯域を前提にしているので、チャンネル番号を自力で書き換えないといけません。BonDriver_PT-T.ch2に書かれたスキャン結果のリストから、チャンネル番号は全て+13で設定。サービスIDはそのままでOKのようです。
- 録画設定
- 録画ファイルはデスクランブルされたTSファイルとなりますが、デフォルトではワンセグもフルセグも、字幕もデータ放送も全て含まれた状態のストリームになります。が、そのままでは再生ソフトによっては上手く再生できませんでした。(WindowsMediaPlayerはワンセグのストリームを再生しようとする)これを回避するために、TVTestとRecTestの設定で、「現在のサービスのみ保存する」にチェック、「字幕データを保存する」と「データ放送を保存する」のチェックを外し、映像と音声のみのストリームだけ録画されるようにしました。こうすればファイルサイズも小さくなるはず。結果、WMPでもVLCでもPowerDVDでも問題なく再生可能なこと確認しました。(ただし私の持っているPowerDVDはAACデコードに非対応で音が出ない…)
- スタンバイ復帰
- 予約録画時の復帰の際、スリープ(いわゆるS3)からの復帰時はカードリーダーが上手く認識できず、デスクランブルに失敗してしまいます。つまり音も映像も録画できないし、この場合視聴も不可能です。スリープから復帰したときにカードリーダーを強制的にリセットする方法もあるようですが、スリープの代わりに休止状態を利用すると問題ありません。なので、TVRockの設定でスリープタイマーは休止を利用することにしました。また、ハイブリッドスリープをOFFし、普段から休止を使うことに。その方がエコですしね。
- 0バイト録画ファイル
- TVRockのセットアップを完了してから、色々いじっていたら、録画ファイルが0バイトになってしまう現象が発生し、設定を見直すだけでは、どうしても解消できませんでした。諦めてTVRockの設定を一度全て消して(UnInstall.batを実行)から、再度セットアップし直して、何とか復旧することができました。BonDriverの設定など基本的なところをあとからむやみに変更しない方が良さそうです。
動作確認
さて、なんだかんだでセットアップは半日がかりになりましたが、ようやくPT2によるデジタル放送の視聴・録画環境が整いました。TVTestもTVRockもフリーソフトとは思えないほどの出来です。わかりやすく、細かいところまで手が届いて、安定性も今のところ問題ありません。へたなメーカー製より数倍マシな気がします。
テレビの視聴画面。デュアルチューナーなので2番組同時に視聴が可能です。そんなことしないとは思いますが。テレビのウィンドウはTVTestというアプリですが、左上の小さなWindowがTVRockのUIで、二つのチューナーの管理をしています。データ放送を見ることはできませんが、字幕情報やその他番組情報、EPGなどは全て対応しています。
TVRockから操作する番組表の画面です。HTMLブラウザで開きます。ここから録画予約や、予約状態を確認することができます。これとは別にTVTest自身が別にEPGビューワーを持っていますが、そこからは録画予約等はできません。試してはいませんが、iEPGも使用できるようです。
ちなみにPCにかかる負荷がどの程度なのか、AMD OverDriveで確かめてみました。2番組同時視聴&録画状態です。Cool’n’Quietが効いていて、CPUクロックも微妙な状態。CPU使用率はそれほど高くありません。これならPCのパフォーマンス的には全く問題ないと言えるでしょう。
ちなみにCPUはAMDのPhenomII X6 1090T、マザーボードはASRock 890GX Extreme3、ビデオはチップセット内蔵、ディスプレイはUXGAで、録画先はSATA2接続の1TBハードディスクです。
さて、これで非常に快適なデジタル放送の視聴および録画環境が整いました。と言っても、私はあまりテレビ見ないのですけどね。録画すると言えばF1くらいです(^^; でも、録画ファイルをエンコードしてiPhoneに送ったりできるので、たぶんとても便利になるはず。環境設定を自力で解決する自信がある方にはかなりお勧めTVキャプチャーです。
- 出版社/メーカー: アースソフト
- メディア: エレクトロニクス
- 購入: 9人 クリック: 1,003回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
NTTコミュニケーションズ 接触型ICカードリーダー・ライター e-Tax Win&Mac対応 SCR3310-NTTCom
- 出版社/メーカー: NTTコミュニケーションズ
- 発売日: 2007/07/24
- メディア: Personal Computers
- 購入: 94人 クリック: 2,093回
- この商品を含むブログ (41件) を見る