LUMIX LX100 IIはLUMIX GX7 Mark IIの代わりになるのか? レンズ交換式から固定式への乗り換え

投稿者: | 2018年11月9日

 LUMIX GX7 Mark IIを手に入れたのはちょうど1年くらい前のことでした。一眼レフを持ち出すまでもない時(ほぼ飲み食いの席ばかりですが)に使うためのもので、当然ながら小型軽量を重視した選択です。

 PENTAX QもNikon 1もなき今、最小のレンズ交換式カメラシステムと言えばマイクロフォーサーズをおいて他にはありません。しかもモデル末期だったLUMIX GX7 Mark IIは、大手量販店でも普通にボディのみ3万円台という激安で売られていました。つい手が出てしまったのも仕方ありません。

 で、約1年間使ってきて思ったのは「期待以上に使える」でした。と言ってもK-1のサブカメラにはならないし、本気で写真を撮ろうという場合にちょっと物足りない気もしますが、記録用としては大きな不満もなく、レンズも含めて気に入っていたのは事実で、手放すどころか新型のGX7 Mark IIIに買い換えたいと思っていたくらいでした。

 そんな中、何気なくある新製品のニュースを見てふと思いついてしまったのです。あれ? GX7 Mark IIやMark IIIよりもこっちの方が自分の使い方には合ってるんじゃないか?と。

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 その新製品とは同じPanasonicのLUMIXシリーズの一台で、レンズ交換式ではなく固定式(つまりコンパクトカメラ)のLX100 IIです。

LUMIX LX100 IIとはどんなカメラなのか?

 先代のLX100(無印)は2014年に発売されたカメラで、4年経った今年の10月に2代目としてモデルチェンジしたLX100 IIが発売されました。コンパクトカメラ市場が壊滅したと言われている今の時代に、わざわざ新製品で出てきたからには、根強い人気があるのだろうと思います。

 で、いったいどんなカメラなのか?と言えば… あまり口コミやカメラ系の情報サイトにレビューなども載っていないので、詳細については、メーカーの商品情報ページが一番詳しくて分かりやすいです。

 と、メーカWEBサイトに丸投げしてしまうのも何なので、以下手に入れた実物を開封しながらどんなカメラなのか、ポイントを説明していこうと思います。

Unbox!

 まずはお決まりの箱です。

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 コンパクトカメラとしては大きいですが、レンズ交換式に慣れている身からすると、かなり小さいと感じます。

 MFTのGxシリーズ同様に黒ベースの落ち着いたデザイン。写真はありませんが、中も黒基調でそこそこデザインされたパッケージです。というか、Apple製品じゃないしそんなことどうでも良いですよね。(^^;

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 ドキュメント類を除いた同梱品はこんな感じです。本体にレンズキャップ、ストラップに電池とACアダプター、USBケーブルです。カメラ側のコネクタはUSB-CではなくMicro USBです。いわゆる充電器はなくて本体充電を前提にしているのはGX7 Mark IIと同様です。

 あと、レンズキャップの周囲にある細い円形のヒモは、レンズキャップをボディかストラップにつないでおくためのものです。

 とりあえずこの中で使用するのは電池だけ。他はそのまま箱にしまっておきました。(レンズキャップについては後述します)

ボディとレンズ

 早速本体を見ていきましょう。

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 本体はこんな感じです。これは電源をOFFした状態なのでレンズが沈胴しています。この状態でサイズは幅115.0mm x 高さ66.2mm x 奥行64.2mmです。GX7 Mark IIは幅122mm x 高さ70.6mm x 奥行43.9mmですから、LX100 IIは一回り小さいです。

 コンパクトカメラと言えば、いまは1インチセンサーが主流ですが、このLX100 IIはさらに一回り大きい4/3型センサーを搭載しています。総画素数は2177万画素でG9やGX7 Mark IIIにも使われている最新世代のものと思われます(まったく同一かどうかは不明)。

 しかし有効画素数は約1700万画素(4:3の場合)となっており、ここにちょっとしたカラクリがあります。それについては後述します。

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 左がGX7 Mark II + 12-60mmF2.8-4で、右がLX100 IIです。レンズはともかくボディ部の大きさの違いはだいたいこんな感じです。LX100 IIでもMFTのGFシリーズよりは大きいのですが、EVFを内蔵していると考えると、このサイズは圧倒的に小さいと言えます。

 さらにレンズまで含めて考えるとその差はさらに大きくなります。

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 ちなみに電源をONするとレンズがニョキッと伸びてきます。左がワイド端で右がテレ端。4/3センサー搭載と言うことで、それなりにレンズ部は立派な大きさです。

 レンズのスペックは10.9-34mmでフルサイズ換算24-75mmの3.1倍ズームです。ズーム比は控えめですが、開放F値がワイド端でF1.7、テレ端でF2.8という明るさがある点がポイント。MFTでもこんなズームレンズはありません。

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 レンズには一応LEICAブランドが付いており、VARIO-SUMMILUXを名乗っています。

 先代LX100から言われてきたようですが、このズームレンズの沈胴とズーム動作は結構もっさりしています。電動で滑らか且つ静かではあるのですが。光学系が重たいのかもしれません。一方AFはキビキビ動くので、撮っていてそんなにストレスは感じないと思います。急にチャンスがやってきてとっさに撮ろうとするとイラッとする場合があるかも。

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 レンズ先端にはMFTのズミルックス15mmF1.7と同様に絞りリングが装備されています。これがまたポイント高いです。質感やクリック感も15mmF1.7とだいたい同じ。コレは素晴らしい!

 絞りリングの手前にあるリングは、コントロールリングとなっており、フォーカスリングにもズームリングにもなります。このリングの設定と挙動はしっかり掴んでおくことが、このカメラを快適に使う上で重要かと思います。

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 AF/MFの切替スイッチも鏡胴脇に物理スイッチが付いています。AFは通常モードとマクロモードがあるのですが、マクロに設定しておけば最短撮影距離から無限遠までをカバーするので、むしろ通常モードの存在意義が分かりません。ピントを見失ってピントスキャンする場合の高速化や、電池への負荷などがあるのかもしれませんが、主にテーブルフォト用途としては近距離主体になるので、このスイッチは常にマクロモードに設定しておくことにします。

 なお最短撮影距離は通常AFモードだとズーム域にかかわらず一律50cmという役立たずなスペックですが、マクロAFに設定すれば、ワイド端でレンズ前3cm、テレ端で30cmとなります。センサーサイズを考えると十分な近接撮影能力だと思います。

マルチアスペクト

 さて、LX100 IIの最大の特徴はマルチアスペクトに対応していることです。これはMFTのGシリーズも含め他社にもほとんど無い機能です。と言っても、かなり地味な機能ですが。

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 レンズ鏡胴上部根元にあるこのスイッチがアスペクト比切替スイッチです。4:3/3:2/16:9/1:1の4ポジションが選べます。このうち、1:1を除いて「マルチアスペクト」に対応しています。

 いや、こんなの普通にどのカメラでもできるでしょ?と思うかもしれませんが、本物の「マルチアスペクト」はちょっと違うのです。

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 LX100 IIの商品ページにもあるのですが、その違いを図にしてみました。左が「真マルチアスペクト」なLX100 IIの場合、右は普通のカメラのアスペクト比変更の場合。とりあえずここはGX7 Mark IIと言うことにしておきます。

 4/3センサーはその名前からも明らかなように、4:3のアスペクト比を持っています。この撮像素子を使ってAPS-Cや35mmフルサイズと同様の3:2の画像を得ようとすると、通常は右のように4:3画像の上下を少しずつカットすることになります。この場合の欠点は有効画素が大幅に減ることと、画角がレンズ本来のそれと比べて少し狭くなってしまうことです。

 しかし左のLX100 IIの方式では、どのアスペクト比を選んでも同じイメージサークル(≒レンズ画角)が得られるようになっています。なのでワイド端24mm相当は、4:3だろうと3:2だろうと、あるいは16:9だろうと、きっちり24mmの画角で使用できます。

 また有効画素数も4:3で1700万画素に対し、3:2を選んでも1630万画素を保持することができます。

 ただし、上の絵でも分かるとおり、マルチアスペクトを実現しようとすると、センサーの実サイズに対し常に余白が必要となってしまいます。なので、例えば総画素数2177万画素の4/3センサーを積むGX7 Mark IIIの有効画素数が2030万画素あるのに対し、LX100 IIは同じセンサーを使ってると言いながら、実際は10%ほど狭い1700万画素(4:3の場合)で撮影されるわけです。

 で、「そんなのどっちでも良いんじゃね?」あるいは「どうせ4:3で使うから関係ない」と言う人も多いかと思いますが、私の場合はAPS-Cやフルサイズの3:2に慣れきっていて、4:3の画像はどうにも居心地悪く感じてしまうため、どんなカメラでも3:2で使用する癖が付いています。なので4/3センサーをベースにしていながら、3:2できっちり撮れるこのカメラには、非常に魅力を感じます。

操作系

 さて、マルチアスペクトについて熱く語ってしまいましたが、続いてLX100 IIのその他の部分を見ていきましょう。

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 まずは背面の様子。普通のカメラのように見えますが… なぜかこのカメラは背面液晶が今時珍しい固定式となっていてチルトすらできません。これは明確なマイナスポイントです。が、私にとっては許容範囲内。

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 その代わりというわけではないのですが、視度補正付きのEVFが内蔵されています。倍率はフルサイズ換算で0.7倍、視野率はもちろん100%、276万画素の液晶パネルを使用していますが、なぜかEVFパネルは16:9なので、3:2や4:3で撮る場合は左右が無駄になっています。

 また、このEVFは今時懐かしい「フィールドシーケンシャル式」と書かれています(GX7シリーズと同じではありません)。カラーブレイクとか問題になっていた大昔のEVFがフィールドシーケンシャル式でしたよね? それと同じものであるとすれば、最低限動体には使えないEVFであると言った方が良いかも。ただし表示の精細さには有利ですから、静物を見る分には問題ないとも言えます。

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 ボディ正面のダイヤル類はこんな感じで、なんだか懐かしい感じのシャッターダイヤルに、露出補正ダイヤルが独立しています。シャッターボタン周辺はズームレバーで、この辺はいかにもコンパクトカメラ的。電源スイッチはシャッターダイヤルの根元にあるレバー式です。ちょっと操作しづらいですが、押しボタン式よりはこっちの方が良いと思います。

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 背面の十字キーまわりは常識的な感じで、十字キー周辺がダイヤルになっています。これ、あまり操作感良くないですが、LX100 IIにはいわゆる電子ダイヤルがありません。これが唯一のフリーな電子ダイヤルです。

 背面液晶上部にもいくつかボタンが並んでいますが、他のいくつかのボタンと合わせて、いずれもFnキーとしてカスタマイズが可能です。このカスタマイズも自分好みの操作系に仕上げるために重要な部分だと思います。

 さらに、ボディを一通り眺め回して気がつくのは、このカメラにはフラッシュが搭載されていない、ということです。ホットシューはあるので外付けは可能です。

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 レンズ交換式のGX7 Mark IIには内蔵フラッシュ(非常に光量は小さい)があったのに、レンズ一体型のLX100 IIにはありません。フラッシュについては色々な考え方があるかと思いますが、私はまったく使わないのでフラッシュがないというのは欠点と言うよりむしろ、余計なものがないという点でプラス点だとすら思っています。

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 電池とSDカードスロットはボディ底面にあります。GX7 Mark IIで気になった電池室蓋のロックはいくらかLX100 IIのほうがマシではないかと思います。とりあえず何も対策は施さず、このまま使ってみようと思います。やはり勝手に空いてしまうようなら、また対策を考えたいと思います。

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 もう一点、これも細かいことですが、三脚ネジ穴はボディ小型化のためか、レンズ光軸から少しオフセットしています。ほぼ中心ですしまぁこのくらいは良いのではないでしょうか。というか、私は多分このカメラを三脚に載せることはないと思います。

レンスキャップの自動開閉化

 さて、LX100 IIと同時にちょっとしたアクセサリーを同時に購入しました。

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 ↑コレです。LX100 IIはレンズバリアが内蔵されておらず、普通のキャップが付属しています。レンズ交換式ではそれが当たり前のことですし特に問題ないのですが、せっかく自動化できるなら自動化したいなと思います。

Panasonic 自動開閉キャップ DMW-LFAC1-K

Panasonic 自動開閉キャップ DMW-LFAC1-K

 そこで、純正のDMW-LFAC1という自動開閉キャップを買ってきました。旧型のLX100にはシルバーボディがあったようで、色違いで2製品ありますがLX100 IIはブラックのみ。なのでこの自動開閉キャップもブラックを当然買いました。

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 レンズ先端部はバヨネット式のアクセサリーマウントがあるので、まずはダミーのリングを外して、DMW-LFAC1に付け替えます。

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 こんな姿になりました。まぁ格好イイとは言えませんが実用製は抜群。でも3枚の蓋の間にはそれなりの隙間があるので、完全なゴミ防止にはなりませんが、前玉むき出しよりはかなりマシです。うっかり前玉に触れてしまうことはこれで確実に防げます。

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 そして電源をONし、レンズが飛び出すとこうなります。ますます格好悪いですが気にしません。さすが純正だけあって動きは滑らかですし、音もそんなにしません。

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 最後に、Peak Designのアンカーを両ストラップ環に付けて、カフかもしくはリーシュを取り付ければ準備は完了です。これでいつでも写真を撮りにいけます。

ちょっとだけ撮ってみた

 早速少しだけ試し撮りしてみました。本来こういう使い方はあまりしない予定ですが、まぁ慣熟のために色々触ってみました。

 なお、3:2アスペクト比に設定しRAWで記録しました。最新のLightroom Classic CCならカメラプロファイルもすでにサポートされています。

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 いきなりマクロ。ワイド端で絞り開放です。バシッとピントは来るし背景も4/3並にボケます。

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 テレ側ならでマクロ&開放ならこんな感じ。うん、結構良いんじゃないでしょうか。

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 これはマクロってほどではないですがほぼテレ端。しかもISO1600です。全体的にノイズ感を判断するようなシーンではないですが、少なくとも解像感はまったく問題なさそうで、高感度っぽさはほとんど感じさせません。

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 これはズーム域の中間くらい。難しい光と色合いですが、上手いことまとまってると思います。産毛でワシャワシャしてる感じも何となく写ってますし。

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 ワイド端でちょっと絞ればだいたいパンフォーカスっぽくなります。コレはちょっと絞り込みが足りないですけど、F5.6まで絞ればほぼ間違いないんじゃないかと思います。電子補正されてると思いますが、隅っこの方もしっかりしてます。

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 これももっと絞れば良かった!

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 手持ちのままシャッター速度をわざと落として滝を流してみたのですが、手ぶれ補正もしっかり効いていて夜景でも手持ちでかなり行けそうな気がします。

 今回はすべてシャッターダイヤルをAポジションにして、絞りリングで絞りを選びました。つまり絞り優先AEです。適宜露出補正もしています。色々操作するダイヤルがあって便利なのですが、ガチャガチャやろうと思うと、ちょっとボディが小さいな… などと本末転倒なことを思ってしまったりしています。

 今度は本来の用途である飲み食いのシーンでまたじっくり使ってみたいと思います。

GX7 Mark IIは手放してしまいました

 今回LX100 IIを手に入れるにあたり、昨年来使ってきたLUMIX GX7 Mark IIと2本のレンズは下取りのために売却してしまいました。差し引きでおつりが来るくらいの取引となりました。

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 レンズも含め、わりと気に入っていたんですけどね。とは言え、LUMIX Gシリーズはまた手に入れる機会が来るような気が何となくしています(A^^;

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