成田空港A滑走路を間近に望む「さくらの山公園」で満開の桜と飛行機を同時に楽しむ

投稿者: | 2018年4月6日

 さて、FUJIFILM X-H1とXF100-400mmの組みあわせを試すには、やはり最初は飛行機だろうと言うことで、さっそく空港へ出かけてみることにしました。最初は羽田の展望デッキにしようかと思ったのですが、時はちょうど桜が満開の時期。都心の桜は異常に開花が早く、そして散るのも早くて先週末の時点ですでに終わりかけていましたが、、関東地方全般的にはまだちょうど見頃ということで、ふと思いついて成田空港そばの「さくらの山公園」に行ってみようと思いつきました。

 この公園はその名前の通り、ソメイヨシノを中心に桜の木がたくさんあります。満開の頃はさぞかし綺麗だろうと思っていましたが、実際に桜の咲く時期に訪れたことはありません。ならば今年こそがチャンス! 天気も穏やかでとても良いし、飛行機も満開の桜も両方が楽しむ贅沢をしてみようではありませんか。

 晴天で桜満開となれば、当然花見目当ての人達および航空(写真)ファンで混雑するはずと予想して、早朝に出発して成田を目指します。現地到着は午前8時前でしたが、すでに駐車場は半分以上埋まり、多くの人が公園内に繰り出していました。

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 さてテーマは「桜と飛行機」と書きましたが、別々に撮るのではなく、せっかくだから桜と飛行機を同時に、つまり同じフレームの中に入れて撮ってみましょう。そんなことが出来る場所は世界中でも成田だけかもしれません。そんな貴重なチャンスに初めて使うカメラとレンズの組みあわせはやや不安ですが、そこは挑戦あるのみです!

さくらの山公園の桜は満開だった

 まずはさくらの山公園の場所と概略を確認しておきましょう。この公園は成田空港のA滑走路北端にある成田市の公園です。

 飛行機の離発着を間近に見られる他、桜を中心に自然が豊かな遊歩道があり、さらには「空の駅 さくら館」が併設され、成田市地場の観光物産が販売されています。

 さらについ先月末からは、さくら館内に成田在住の飛行機写真家、チャーリー古庄さんによる飛行機グッズ販売およびカフェの店「FLIGHT SHOP CHARLIE’S」がオープンしています。

 飛行機ファンはちょっと心引かれますね。いろいろ細かいグッズが売られていましたし、カフェになっているので休憩も可能です。

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 それはともかく、早速公園内に入ってみましょう! 入り口からすでに見事な満開の桜並木が見えています。

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 さくらの「山」というからには、公園内はわりと高低差があります。大した高さではないですが、その頂上部がもっとも飛行機を眺めるには適した場所です。その広場にはこうして桜とともに菜の花も咲いています。飛行機見物だけではなく自然が豊かで色々遊べる公園です。

 お酒を飲んで大宴会しているグループはいませんでしたが、家族単位でレジャーシート広げてのんびりしている人達がたくさんいました。

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 さて、ここで写真を撮るとなると、いつもは木々を避けて飛んでくる飛行機がちゃんと見通せる場所が人気撮影ポイントになりますが、この日ばかりは桜と飛行機を絡めようと、私と同じことを考えている人達がほとんどだったと思われます。なので普段は人がいないところ(桜の木と飛行機が被るところ)に立派なカメラを持った人達が集まっています。

 さて、どんな風に撮れるのでしょうか?

飛行機×桜

 桜と飛行機を絡めるのは初めてなので、撮影ポイントがよく分かりません。同業者達が集まってる場所を探しながら、あちこち移動して色々試してみました。

 なお、出発機ラッシュの朝のうちは北風運用されていましたが、すぐにランウェイチェンジされ、南風運用に切り替わりました。そうすると、さくらの山上空を通過する飛行機はほとんどありません。午後に北米便の到着ラッシュを迎えるまで、概ね写真撮影はお預けとなってしまいました。

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 北風運用されていた短い時間のうちにやってきた僅かな出発機のうち、ちゃんと撮れたのはこのバニラエアのA320だけ。国内線LCCはあっという間に高度を稼いで行ってしまうので、かなり高いところを通過していきました。桜の木の下からちょうど見上げる形で、隙間に機体が見えたところをすかさず撮るのは相当に難しいです。これもほとんど偶然の産物です。

 次はどこで撮ろうか?と考えていたら、ランウェイチェンジされてしまい、離陸機はさくらの山とは反対方向に飛んで行ってしまう一方で、着陸機はみんな遙か遠くのB滑走路に降りていってしまうという状態。なのでしばらく暇な時間を過ごしました。

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 でも時々、パイロット側からのリクエストでA滑走路に降りてくることがあります。このガルーダインドネシア航空のB777-300ERもそんな一機です。大型機なので長い滑走路を使いたかったのか、単に駐機スポットに近い方を選んだのか?

 音がするのでだんだん飛行機が近づいてきたの分かるのですが、満開の桜に隠れた完全ブラインドからいきなり現れたので慌ててしまいました。

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 そして同じく超大型機のB777-400FもやはりA滑走路を選んだようです。747はデルタとユナイテッドから引退してしまったとはいえ、貨物型はまだまだ現役でたくさん飛んできます。

 シャッター速度を稼ぎたくてわりと開放より(とは言えF5.6)で撮りましたが、桜の木との距離は微妙で中途半端なボケになってしまいます。もっとふんわり前ボケするのをイメージしていたのですが、なかなか思い通りにいきません。

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 そして見ての通り、桜の木は花の付いてない枝が結構長く伸びていたりするのですが、当然AFポイントがその枝にかかると、ピントは枝に引っ張られてしまいます。まぁ、これはこれで「桜×飛行機」写真としてアリですよね。

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 なお、X-H1には動体追従AFに関する特性の設定がありますが、まだその内容をちゃんと理解していません。とりあえずいくつか用意されているプリセットの中から、障害物などがあってもピントの保持特性が強い設定にしてみました。K-3 IIやK-1では弊害が強すぎた「AFホールド特性」みたいなものかと思います。とりあえず試してみたら、AFの初動が遅いとか追従性が悪くなるみたいな感じはありませんでした。

 ただし、今回の条件は一般的に考えてかなりAFにとっては難しい条件です。本当はAFを諦めてMFすべきか、あるいは親指AFをうまく使うべき条件なのだろうと思います。どちらも私はうまくできないので、とにかく数打ちゃ当たる戦法をとりました。

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 さて閑話休題。今となってはレア機のA340もA滑走路へ降りてきました。ETOPS時代到来直前にデビューしてしまった不運の機体で、同じボディを使った双発型のA330がベストセラーとしていまだに生産されてる一方で、4発型のA340は急速に退役が進んでいたりします。

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 何機か撮っていると、だいたいどの辺から飛び出してくるのかも掴んできました。いきなり現れた機体に対してもAFはズバッとすぐに合います。ゾーンAFでは心配なので結局一点に設定しましたが、AFポイントの移動や微調整もジョイスティックで簡単にできるので、状況に合わせて微調整するのも非常にやりやすいです。

もっと桜の前ボケを!

 さて、ここまで撮った写真を見ていて、まぁまぁだけどちょっと思ってたのと違う… と感じていました。イメージしていたのは最初に撮ったピーチエアみたいに、桜が盛大に前ボケでフワッとしたやつ…

 ということで、さらに場所を移動してみました。

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 こんな感じでどうでしょうか? 遠くからアプローチしてくる飛行機を桜の木の隙間から見ることができます。

 ちなみにこの日はそんなに暑くはなかったのですが、全体的に空気の揺らぎがすごくて遠景は軒並みメラメラで、シャープさのかけらもありません。これだとAFとか手ぶれ補正とかよく分からないかも…

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 もっと近寄ってきた時にちょうど桜の隙間から機体が見通せる場所は、わりとピンポイントにあるようです。そういう場所にはカメラを持った人が不自然に固まっていたりするのですぐに分かります。

 ここだと機体と桜の距離差が十分あって、しかも桜に日が当たっていて、だいぶ良い感じです。それでも空気はメラメラですけど。

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 もっと近くまで粘って…

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 さらに… と粘ってると、機体は桜にほとんど覆われてしまいます。AFが手前側に飛んでくる直前と言ったあたり。でも個人的にはこういうの好きです。

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 でも、ちょっと場所撮りが違うと、こんな感じになってしまったり。

 ちなみにこの写真は空気が揺らいでる以前にピントがどこにも来てませんね。というか、こうなるとAFはちょっと無理です。X-H1のコンティニュアスAF性能を確かめるという目的にしては、条件が厳しすぎました。

 でもこれはX-H1のせいとか、像面位相差がどうとか言う問題ではなく、もちろん一眼レフでも同じことに悩む結果になったはず。

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 良く探してみれば前ボケふんわり写真が撮れるところはいくつもあって、あちこち試してみました。こんな風に紅枝垂れ桜を通してみたり。でも、これだと何が画面に被ってるのかよく分からないですかね。

引きでも撮ってみる

 さて、さくらの山では着陸機はかなり近くを飛んでいくので、超望遠レンズがなくても飛行機撮影は楽しめます。ということで、XF35mm F1.4でも少しだけ撮ってみました。

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 斜面の下には枝垂れ桜、上にはソメイヨシノ。ちょっと絞りが中途半端だったかも。飛んできたのはユナイテッドのB777。確かヒューストンから13時間以上かけてやってきた超長距離線です。大変お疲れ様です。

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 そしてこういう写真も見たことあるよなー、と試してみたのがローアングルからの菜の花絡み。桜もちゃんと写っていてとても贅沢なシーンです。

 どうやらここもとても有名撮影ポイントで、菜の花脇の狭い範囲に多くのカメラマンがひしめいていて、ちょっと場所取り合戦が激しい感じでした。いずれにしてももう少し長いレンズがあった方がよさそう。実際70-200mmクラスのレンズを使ってる人が多かったように思います。なるほど!来年の宿題にしたいと思います。

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 そしてこれはカメラが違いますが、ほぼ同じ場所から立ち上がって撮るとこんな感じ。実際はこれだけの人で溢れています。とにかくこの日は多くの人出で大賑わいでした。

X-H1は旅客機撮影には使える?

 ということで、FUFJIFILM X-H1とXF100-400mm の組みあわせ初撮りでした。動体と言っても旅客機は比較的簡単な方ですから、ちゃんと撮れることは分かっていたので、むしろ使い心地が主なチェックポイントです。

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 とはいえ、繰り返しますが今回はちょっと条件が特殊すぎたかもしれません。桜に被りつつ飛行機を追いかけるというのは、やはりAFにとっては難問過ぎ。手前の桜にピントを引きずられる現象は当然頻発しましたが、ウォブリングなどの動作はみられず、レンズのAF駆動も速いし、明後日の方向へピントが飛んで行ってしまうこともありませんでした。

 AF性能についてはもう少し色々撮ってみる必要があると思うので、判断は保留しておこうと思います。

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 ファインダー像も手ぶれ補正が効いてピタッと安定している点は、ペンタックスの一眼レフを使ってきた私にとっては新鮮で感動するポイントです。

 ただしそのファインダー像に関しては不満もあります。高速連写時でもX-H1のEVFはブラックアウトフリーですが、ポストビューが細切れに挟まるので、動くものを追いかけていると前後にガタガタとEVF像が揺れるように見えて、実際の被写体がどこにいるのかよく分からなくなってきます。

 さらに、その途中に挟まるポストビュー画像は、レンズ補正(特に歪曲補正?)がかかったあとの映像らしく、ライブビュー画像とは見かけの倍率が変化して見える(機体のサイズが少し拡大されて見える)ので、ますますファインダー像のガタつきは激しくなり混乱します。

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 なので、やはりEVFで動体追従というのは難しいな… というのが偽らざる感想です。慣れの問題かどうかも今のところちょっと自信はありません。なのでこれも保留…

 なお、今回はスロット1にRAW(UHS-II)、スロット2にJPEG(UHS-I)と設定して、CHモードで撮りました。AFの状態によって連写速度が変化するような挙動もないし、バッファフルで書き込み待ちが発生するようなこともありませんでした。この点は期待通りでした。この辺の軽快さに関しては場合はシャッターボタンの軽さも生きてくるようです。

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 そして最大の問題はやはり電池だと思います。フル充電の専用電池を1個で、約800枚撮影後に残量が10%を切るといった感じです。撮影枚数はカタログスペックよりだいぶ多いですが、連写しているのでこんなものでしょう。なお、今回はほぼEVF使用で時々ブーストモードも使い、Wi-Fi経由でiPhoneへの転送も行いました。

 なので、概ね丸一日使うには電池は2個必要というのが目安ではないかと思います。予備電池は現時点で1個買ってありますが、もう1個あったほうが良さそう。そして連写速度を上げるためではなく、電池交換の頻度を減らすためにもバッテリーグリップがやはり欲しくなりそうです。これももう少し考えたいと思います。

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 さて次はもう少しAFに厳しいものを試してみたいと思います。EVFの違和感が克服できるかどうかを確認するためには、流し撮りもやってみなくてはなりません。

FUJIFILM ミラーレス一眼 X-H1ブラック X-H1

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FUJIFILM 超望遠ズームレンズ XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

FUJIFILM 超望遠ズームレンズ XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

FUJIFILM 単焦点標準レンズ XF35mmF1.4 R

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