苔の森は、以前にデジカメWatchの記事を見て気になっていた場所で、長野県の北八ヶ岳周辺にあります。距離的にも日帰りにはちょうど良いし、梅雨の天候不順な季節ですが、幸いこの日は雨が降ることはなさそうです。と言っても苔の森は標高が2100メートル以上の高地にありますので、天気については行ってみないと分かりません。
でも苔に覆われた原生林の中は、少しくらい雨が降っているほうがむしろ雰囲気があって良いかも?ということで、気軽な思いつきで出かけてきました。果たしてそこは想像以上の素晴らしい神秘的な世界が広がっていました。
苔の森とは?
さて、ここまで目的地を「苔の森」と表現してきましたが、正しくは北八ヶ岳自然休養林(の一部)であり、「白駒池」の周辺に広がっています。
八ヶ岳を横断する国道299号線沿いにあって、標高は2,100メートル越え。そんなところまで車で何の苦労もなく上っていけます。
なので観光バスも多くやってくる、わりと有名な観光スポットのようですが、私はデジカメWatchの以下の記事で初めて知りました。車でこんなところに行けるのか!と驚き、そのまま行きたい場所リスト入れておきました。
むらいさち氏の写真の威力もあるのですが、これは魅力的ですよね。
その気になればすぐに行ける範囲内ながら、なんとなくチャンスがなくて忘れかけていたのを、今回急に思い出して再びネットを検索。改めてこの記事を読んでみれば、季節はやはりちょうど今ぐらいのことのようで、苔も見頃を迎えているようです。
基本的にはこの記事をモデルコースとして、白駒池と苔とキノコの森を巡ってみることにしました。
駐車場から白駒池まで
諏訪ICは標高800m弱ですが、そこから気持ちの良いクネクネとした山道を1000m以上登って行きます。そして麦草峠を越えたところに白駒池入り口の駐車場がありました。駐車料金は500円ですが、ちょっとしたお土産屋さんや有料トイレが設置されています。この時期、平日の午前中は十分空いていましたが、紅葉等のハイシーズンは早朝に満車になるそうです。
この日東京などは30℃以上の真夏日となりましたが、さすがにここは標高2000m以上ですから、駐車場を降りた時点ですでに風が冷たく長袖は必須な涼しさでした。ちゃんと防寒対策も準備しておいて良かった。
駐車場から白駒池方面への入り口には立派な看板が立っていました。ここから白駒池までは森の中の遊歩道を徒歩15分ほどの道のりです。やや上りになりますが、ちゃんと整備されており軽装で十分楽しめます。早速行ってみましょう!
おぉ!といきなり声を上げてしまいます。人の手が入っていない原生林と地面一面が緑色に覆われた神秘的な世界。快晴ではないもののそんなに天気は悪くなかったのですが、森の中は非常に薄暗いです。なのでこれらの写真を撮るにも、普通にISO800とかISO1600くらいの感度が必要になってきます。
この周辺には10カ所ほど「苔の森」が点在しているそうで、それぞれ名前が付いています。もっともアクセスの良いここは「白駒の森」と呼ばれ、代表的な苔は「カギカモジゴケ」です。もちろんそれだけでなく、非常に多くの種類の苔が群生しています。
倒れて朽ち果てた木なのか、どこかから転がってきた岩なのか? 凸凹した地面に生える一面の苔。前日までは雨が降っていたようで、見たことないような渋くて生き生きした緑色の世界に、思わず息をのんでしまいます。
そんな中にところどころシロツメクサみたいなのが生えていたりして。苔の森はとてもフォトジェニックで、広角で引いても、グッと寄ってアップにしても楽しいです。ファインダーを覗いていると何でも絵になりそう。
空を覆い尽くす森の隙間から時折日が差し込んでくると、また一段と神秘的ですね。今回はあちこち歩き回ってしまいましたが、お気に入りの場所を見つけてじっと日が射すのを待っているらしき人もいました。会心の一枚というのは、そうやって粘って粘って撮るものなんでしょうね。
ということで、写真を撮りながらだったのでかなり時間をかけてしまいましたが、白駒池まで到着しました。池のまわりはぐるっと遊歩道があるので一周することが出来るそうです。ですが、この日は風もあって空模様もこんな感じなので、池自体はあまり綺麗に撮れなさそう。ということで、池を一周するのは省略することにしました。
高見の森をよじ登って高見石へ
白駒池から山道をひたすら登ることになりますが、45分ほどで到達できると書かれています。短いなりにかなり急で本格的な山道なのでそれなりの装備が必要です。少なくとも半袖短パンサンダルでは無理です。
池の畔には白駒荘という立派なロッジがあります。ここでは食事なども出来ますが、苔の森の遊歩道とは明らかに違う出で立ち人達が増えてきました。この辺一帯は北八ヶ岳自然休養林の登山ルートが複雑に入り組んでいるところですからね。
白駒荘から高見石に向けての上り坂周辺は「高見の森」と呼ばれており、白駒池周辺とはまた苔の植生が変わっているそうです。この辺りの代表的な苔は「コセイタカスギゴケ」です。風景も一段と暗くて緑が濃く、神秘度が増してきました。
ひたすら美しいです…
が、ふと気付くとそこは道なき道になっていました。もはや遊歩道ではありません。しかし登山ルートを示す赤いマークがちゃんとありますし、迷子になることはありません。
さすがにこれだけ険しい登山道になると、人影もかなりまばらです。というか出会ったのは、すれ違ったグループが一組、追い越していったグループが一組だけでした。途中休憩がてら写真を撮りつつゆっくり登っていきます。
そして約1時間ほどかけてようやく高見石小屋に到着しました。しかしこの小屋はまだ木に囲まれていて周囲の眺望はありません。眺めの良い高見石はどこ?と思ったら…
小屋の脇から、この岩の塊の上まで登らないといけないようです。なるほど、これが「高見石」なんですね。もちろん天然の石だと思うのですが、こんな巨石はどこからやってきたのでしょうか? ブラタモリあたりで解説して欲しいです。
最後にして最大の難関を、文字通り手と足を使ってよじ登った結果到達したのがこんな景色でした。
眼下に見える丸い池がさっきまでいた白駒池です。こうした景色を眺めるにはやや残念な天気でしたが、雲や霧に覆われて一切眺望がなくなることも珍しくない場所ですから、これだけ遠くまで見通せただけでも良かったです。
白駒池はタイトルにも書いた通り標高2100mちょっと。そしてこの高見石は2300m以上あります。簡単にこんな高いところまで登ってきてしまったことにちょっと驚きました。
こういう景色に出会うと、昨年大ヒットした某アニメ映画を思い出しますが、ここはそのモデルとなったところではありません。あの湖はもっと巨大で湖畔には人の生活がありましたからね。でも、神秘的な森と巨石に囲まれたこの場所は、何か不思議なことが起きてもおかしくないような気がしてきます。
さて、下りは白駒池から登ってきた道ではなく、駐車場の方へ直接降りていく別のルートを使いました。こちらの方がやや距離はあるけれども斜度は緩やかだとか。実際にその通りで歩きやすい山道でした。
そして周囲の風景がいちいち美しくて素晴らしいです。ホントに。最後の最後までファインダーを覗いてはスゴイ!と感動しつつシャッターを押してきました。
キノコはそんなに多くなかった
それでも良く周囲の苔を見ていると、超小さいやつが時々顔をのぞかせていました。かわいい。
苔とキノコ。かわいい。
キノコ撮るためにマクロレンズも持ってきたんですけどね。いや、ほんの少ししか見つけられませんでしたがマクロも持ってきて良かったです。しかもワーキングディスタンスが自由にとれない場合がほとんどなので、100mm程度の中望遠マクロは威力を発揮しました。
まとめ
ということで、思いつきで苔の森へ出かけてきましたが、期待以上に良い場所でした。高見石からの眺望はリベンジが必要ですが、しっとりと濡れて瑞々しい苔の森は多分この季節ならではで、十分に堪能できました。白駒池は紅葉の名所でもあるそうなので、秋はすごいことになっていそうです。とても混んでいるそうですが、何とかしてまた訪れたいところです。
308SWのおかげで日帰り旅も楽々でした。高速はもちろんですが山道もグイグイ登ってくれます。なのに燃費が良いなんて素晴らしいです。今後もこの車でであちこちに出かけたいと思っています。なお、帰りがけに近くの日帰り温泉に寄って、帰路をナビで検索したら、今度は佐久に出て上信越道ルートを示したのでそちら経由で帰ってきました。なるほど、上信越道経由もアリかも知れません。
なおPENTAX K-1のGPSで記録したジオタグをマッピングしたらこんな感じになりました。駐車場から白駒池を通り、時計回りにぐるっと森を一周した感じです。距離はおよそ3km程度です。左下が山頂で高見石のあるところです。写真をゆっくり撮りながらで約2時間半程度の行程です。とても良い運動になりました(^^;
なおこの日持って行ったレンズは、ワイドズームのDFA15-30mmと、標準ズームのDFA24-70mm、そしてDFA100mmマクロです。実はDFA★70-200mmも持っていたのですが、1回も使いませんでした。ただの重りになっただけ… どんな写真を撮るかによりますが、基本的に望遠は要らないと思いました。次回は置いていこう…。
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苔の森、神秘的で素敵なところですね。私も行ってみたくなりました。でも、日帰りは無理です。
私もこのような森の写真大好きなので、感動して読ませていただきました。
id:sabuyan1953 さん、
ありがとうございます。写真では表現し切れていないと思うのですが、本当にとても美しいところでした。機会がありましたら是非訪れてみてください。
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