3回修理しても直らないiMacのその後と自宅の電源環境を改善のためにやったこと

投稿者: | 2017年3月29日

 昨年末来たびたび記事に書いたのですが、修理を3回繰り返してもなお直ることのなかったiMacにとうとう我慢できなくなり、癇癪を起こした末に捨ててしまいました。いえ、正確には「捨てた」のではなく、壊れた状態のまま無料で友人にあげてしまい、もう私の手元にはありません。

 それは、原因究明やら修理やらを諦めて、もうこのiMacに関わりたくないという気持ちが半分あるのですが、それだけではなくて、別の環境に問題のiMacを持って行ってどうなるか?を確かめることで、我が家のAC電源に問題があるかどうかハッキリさせる、という目的もあります。

 日々使うパソコンはMacBookで何とか繋いできたところですが、いつまでもこのままというわけにも行かず、次をどうするか考えなくてはなりません。そのためには、我が家の電源に問題はどうしても白黒つける必要がありました。

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 ということで、2〜3月中の約2ヶ月間かけて検証した結果と、それに対してとった対応と対策について、報告がてらまとめておきたいと思います。

これまでの経緯

 昨年11月から2月に至るまでの問題発生と修理を繰り返した経緯は、以下の記事にまとめてあります。問題の現象はランダムなタイミングで何の前触れもなくストンと電源が落ちてしまう、というものです。


 3回の修理によって、一時は完全に直ったかに思えたのですが、結局2月5日になってまたもや電源断現象は再発してしまいました。

 以下はその2月5日以降の経緯となります。

問題のiMacは手放した

 前の記事にしたがって時系列でその後の経過を説明します。

2017年2月10日:アップルに報告

 2月5日に電源断現象が再発した時点で問題のiMacは使用するのをやめてしまいました。それから6日経って一応アップルケアに報告の電話を入れてみたのですが、結局アップルの言うことは11月下旬の状況に逆戻りしただけで、これ以上は話しても無駄と判断しました。なお、別に先方の対応に腹を立てて喧嘩別れしたわけではなく、お礼を言って電話を切りました。

 今回の一連の経験で、Apple Japanの修理対応は「迅速である」という取り柄はあるものの、問題点の原因を調べ的確な対応を取る体勢にはない、私個人的には判断しました。初期の電話対応はとても親切で丁寧な一方で、最後には「ハズレ品ですね。私たちに出来ることはもうありません」と言い放つドライさも併せ持っています。

 だったら最初からずっとドライな対応してくれれば、もっと早くに諦めたのに… と、少し勝手な逆恨みをしています。

2017年2月11日:iMacを手放す

 さて、こうしてアップルからも私からも見捨てられたiMacは、「もし捨てる気になったらオレにくれ」と言っていた、とある古い友人にあげることにしました。私的には捨てたも同然のつもりです。これまでの状況と経緯についてはその友人も理解しており、ダメ元でいろいろ試してみるとのこと。最終的にどうにもならなくなって処分するときのために、リサイクルシールもちゃんとつけておきました。

2017年2月24日:友人宅で現象再発

 友人宅に引き取られていって以降、約2週間は問題なく動作していたようですが、とうとう現象が再発したとの報告が入りました。発生現象は私が見たのとまったく同じ。その友人はかなりMacに精通しているので、私には出来なかった深いところまでいろいろチェックし、問題点が特定できれば、自力で分解修理するつもりとのこと。頑張れ!

2017年3月25日

 さらに約1ヶ月経ったところで状況を聴いてみると、いよいよ分解してみる直前になってパタッと現象が発生しなくなったらしいです。直近の2週間くらいは問題なく動いているとかで、現在は様子見だとか。うむ、こんなに気まぐれでは修理に出してもまた「現象未確認」で戻ってくるところでした。

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 いずれにしてもすでに私の手からだけでなく心からも離れたiMacであり、もう未練はないのでどうなっても構いません。

自宅のAC電源の状態を調査

 ということで、友人宅でも再現したことから、やはり我が家の電源に問題はなくて、あのiMac自身に何か原因が潜んでいる可能性が非常に高くなりました。

 一方で、ごくわずかな可能性としてまだ我が家のAC電源に問題がある可能性は残っています。3回目の修理完了後は何も問題がなかったのに、その後3週間我が家で使ってる間に再々度電源ユニットを壊してしまったのかも知れません。

 これまでは簡易測定器で電圧を測るだけでお茶を濁していましたが、ここまで来たらさすがに我が家のAC電源の状態を徹底的に調査する必要があるだろうということで、プロに調査を依頼し問題があれば対策をすることにしました。

東京電力に相談

 まずは上流からということで、東京電力にここ最近我が家のある地域で電気供給に関する障害が起きていないか聞いてみました。

 東京電力のWEBは恐ろしく分かりづらく、問い合わせ番号にたどり着くまでかなり時間がかかりました。
 やっとこのページを見つけ「その他の電気に関するご用件」に電話し、オペレータと話しました。その結果、過去数ヶ月にわたって瞬時停電などの障害は特に起きていないとのこと。

 一応状況を説明して相談したところ、その場合はまず下流から調べてくれとのことでした。つまり家庭内配線の問題だとすると東京電力の設備ではないので、電気工事店で調べてもらうべきと。もちろん東京電力でも調査は受けられるが、有料になってしまうそうです。

 うまくあしらわれた気もしますが、確かに一理あります。なので、ここはありがたくそのアドバイスに従いましょう。

電気屋さんに電源状況を調べてもらう

 次に長年付き合いのある地元の電気工事屋さんにお願いして、我が家の中の電源状況の調査してもらいました。ちなみにその電気工事屋さんも、この地域での電源に関するトラブルは全く聞いてないとのことです。

 かなり時間をかけてあちこち調べてくれたのですが、結果をざっくりまとめてしまうと、iMacの電源を取っていた部屋のコンセント含め、家中のコンセントにきているAC電源に、特に問題は見つかりませんでした。

 電子レンジや洗濯機、エアコンなどを運転しても目立った変動もノイズも見られないし、長時間の安定性も問題なし。壁の奥の配線までは確認していませんが、各コンセント部や分電盤周りの配線状況も点検してもらい、最終的に「問題なし」のお墨付きを得ました。

念のために電源環境改善のためにとった3つの対策

 ここまでの結果で「AC電源には問題がなく、やはりiMacのどこかにH/W的な問題がある」と結論づけても良かったのですが、ここまで来たら徹底的にやろうと言うことで、いくつか電源環境改善に繋がるかも知れない対策を打ちました。

1. 分電盤からパソコン専用の電源を直接引きだす

 まず最初は、我が家の電源状況を調べてくれた電気工事店のおじさんが提案をしてくれた対策案です。というのは「分電盤の予備回線が余っているので、そこからパソコン用にコンセントを引いてみるのはどうか?」とのことです。壁の中の配線で何か起きているとか、同じ回線につながっている他の電気製品の影響を受けているなどの場合、ブレーカーの先で分ければある程度影響を防げるかも? という考えです。

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 ちなみに我が家の分電版はこういう状態になっています。50A契約で漏電ブレーカーの先に7個の子ブレーカーがあり、それぞれ電気使用量に合わせて配分してあります。今まで使っていなかった予備回線が1系統あるので、そこから2口のコンセントボックスをパソコン部屋まで引いてもらいました。

 パソコンといっても24時間運転のサーバーを動かしているわけでもなく、せいぜいiMac程度ですからどんなに多くても300Wにならないので、これはかなり贅沢なことではあります。でも余裕があるに越したことはありません。

2. UPSを導入する

 続いてもう一つの対策はUPSの導入です。元のAC電源の質が悪く、それを安定化する目的であれば、本格的な常時インバーター出力のUPSが必要ですが、家庭用パソコンにはかなりオーバースペックで、お値段的にも合いません。一般家庭用の小容量なUPSは常時商用電源出力がほとんどで、通常時はサージフィルタとしての役目しかありません。それでも規格外の大きな電圧変動が発生したり、瞬時停電が起きているときには役立つかもしれません。気休めかも知れないと思いつつ、導入することにしました。

 いろいろ調べて考えた結果、オムロン製のBN50Tという製品を導入して見ました。

 これはラインインタラクティブ方式という常時商用出力を基本としながらも、常にトランスを経由した出力が得られ、通常時も電圧安定化の効果が得られるタイプ。またサージ対策だけでなくノイズフィルタも内蔵され、バックアップ時はちゃんと正弦波出力されるUPSです。

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 秋葉原のヨドバシカメラには在庫があったので店頭で買ったのですが、大きくて重たいので持って帰ってくるのが大変でした。中身はほとんど鉛蓄電池ですので重量も11kgもありますし、設置場所もそれなりのスペースを確保する必要があります。

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 出力コンセントは6口。合計で500VA/450Wまでの供給能力があります。これでもラインインタラクティブ方式の中では最小容量の製品。iMac 5K Late 2015の特盛り仕様は100%負荷をかけても消費電力は300W以下ですし、PFC電源が搭載されているので、力率はほぼ”1.0″と考えて問題ありません。なのでVA表示でもW表示でも”300″という数字を上限とみなせば問題ないはず。なので500VA/450WのBN50Tで供給能力としては十分なはずです。

 BN50TをパソコンとUSBで接続し、電源監視と停電時に自動シャットダウンを行ううためのPowerAct Proというソフトウェアがあります。Mac版はなかなかインストールが面倒なのですが、一応入れてみました。

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 iMacなら停電しても10分以上動かすことができるはずです。と言っても、iMacはサーバーではないので外出時は電源OFFまたはスリープしていますし、震災時も含めこの30年ほどの間に我が家は停電したことはない(電気使いすぎでブレーカーが切れたことはありますが)ので、停電時に自動シャットダウンする事をあまり重要視してはいません。でも、せっかくなので一応設定はしておきました。

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 それよりもこうして電圧や周波数、負荷の状態などをモニターしたり、ログを取ってくれたりするので、AC電源の状態を長期間にわたって監視するために入れておきました。

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 こちらは過去ログの表示画面。データファイルをダウンロードすることも出来ます。すでに1ヶ月ほど運用していますが、今のところ変な数字は確認できていません。入力電圧も±3V程度の変動に収まっており、瞬時停電が起きてバックアップ電源に切り替わった形跡もありません。

 ちなみに純粋な停電対策(またはブレーカー遮断対策)としては、パソコン本体よりNASのほうを何とかしたいところです。QNAPのNASはUPSに対応しているようですので今後検討しようと思います。

ノイズ対策にフェライトコアをつける

 最後の対策は、それこそおまじないのようなものです。

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 iMacの電源ケーブルには見たところフェライトコアが付いていません。データが流れる信号線ならまだしも、電源ケーブルに必要なものかどうかわかりませんが「損はないし騙されたと思ってつけておけ」というアドバイスを頂いたので、取り付けることにしました。

サンワサプライ フェライトコア TEL-NF2

サンワサプライ フェライトコア TEL-NF2

 Amazonを探すといろいろ出てきますが、購入したのはこれです。一般的な電源ケーブルならφ13mmだと緩すぎ、φ9mmくらいでちょうど良い感じです。2個入りを買って、UPSの電源ケーブルと、iMacの電源ケーブルにそれぞれ付けておくことにしました。

新しいiMac 5Kを買った

 ということで、少し話が前後してしまいましたが、とりあえずMacBookだけで過ごすのは非常に辛くなってきたし、上記の調査や対策を打つのと平行して、新しいiMac 5Kを買いました。それも約1ヶ月前、2月末の話です。

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 iMacの現行モデルは2015年の秋にモデルチェンジして以降、今まで1年以上そのまま放置されています。今年中に新モデルが出るという噂がありますが、出るとしても秋ではないかという噂が根強くあります。ちょっとそこまでは待てないので、中身が古いのを承知でLate 2015を買うことにしました。

 これまで使っていたLate 2014と比べると、CPUが第6世代になっていること、パネルの色域がsRGBからP3に広がっていること、内蔵SSDが高速化していること以外に目立った違いはありません。良くも悪くも使い勝手はこれまで通りです。

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 スペックを落とすわけにいかないので、今回も特盛り仕様です。ただし、iMac 27インチはメモリーの増設が可能なので、メモリーだけは最小構成の8GBで買って、別途DDR3L-1867のSO-DIMMを8GBx4枚用意しました。

 ちなみに購入したSO-DIMMはこれです。CrucialブランドのMicronチップ搭載品で、iMac 27インチ Late 2015での動作報告があるモジュールです。iMacはそれほどメモリーの相性問題はないらしく、これ以外にも動作報告のあるモジュールはたくさんあります。Crucialを選んだのは気分的なものです。

 ちなみに今回はAppleCare加入は保留しています。入っていても直せないんじゃしょうがない、と思いつつ、かと言って調子が悪くなったら毎回買い換えるものでもないし。それについては1年の猶予があるので、もうしばらく考えたいと思います。

 さて、専用電源を引いてUPSを導入し、フェライトコアも取り付けた上で、このiMac Late 2015を使い始めてから既に約1ヶ月が経過していますが、問題なく動いています。電源が急に落ちることは「今のところは」ありません。そうだ、パソコンなんてこのくらい当たり前に動くモノだったんだ! と感激しています。

 でもアレですね、こうなると1年くらい経たないと確信が持てないですね。そのくらい今回の件では消耗しました。もし万が一これでダメなら… そろそろApple製品を見限る時かも知れませんが、Windowsに戻りたくないので、そうならないことを切に祈っています。

Apple iMac (Retina 5K Display 27/3.3GHz Quad Core i5/8GB/2TB Fusion/AMD Radeon R9 M395) MK482J/A

Apple iMac (Retina 5K Display 27/3.3GHz Quad Core i5/8GB/2TB Fusion/AMD Radeon R9 M395) MK482J/A

カテゴリー: Mac

3回修理しても直らないiMacのその後と自宅の電源環境を改善のためにやったこと」への6件のフィードバック

  1. xufeiknm

    初めまして。
    私も購入半年で同じ時期に同じ症状で苦しんでいたので、ずっと注視していました。すっきりしない結果で残念したね。
    私の場合メモリが特殊なiMac (27-inch, Late 2013)でしたが、差し替えで増設していたメモリを最初付いていた物に戻したら、全く発生しなくなりました。コワくて他のパターンは試せません。

  2. hisway306

    x.u.f.e.i. (id:xufeiknm) さん、
    はじめまして。コメントありがとうございます。
    似たような症状が起きてますか。以前の記事にも同様のコメントを頂いたのですが、私の例含めてモデルは見事にバラバラです。iMacはデスクトップでありながら、狭い空間にロジックボード押し込んであって、造りはラップトップだったりしますから、いろいろ気難しいところがあるようですね。
    ただ、メモリーに原因があったことが見つかっているなら良かったです。

  3. oyakesan

    同じ現象で目下苦しんでおります。やはり、同様なことが起きているということは、根本的にiMacそのものに欠陥があるのでしょうね。
    小生のiMacは、iMac Retina (27-inch, Late 2014)です。メモリーの増設の問題でしょうか?小生も16GBに増設しています。
    今度、サポートに言ってみます。

  4. hisway306

    id:oyakesan さん、コメントありがとうございます。
    同じ現象が出ていますか。やはり2014モデルには何かあるのかも知れないですね。
    私のところではメモリー増設は関係ありませんでした。明らかに電源関係の何かだと思います。
    なお、友人にあげた問題のiMacはだましだまし使っているようです。私の新しいiMac(2015モデル)はもちろん問題なく快適です。

  5. haranex

    iMacは排熱が弱いので、熱でコンデンサが劣化して電源が落ちるという噂を昔聞きました。
    10年くらい前に聞いた話ですが、今も昔もエアフローが悪そうなデザインなのは変わらないので可能性あるんじゃないかと思います。
    ロジックボードと電源以外にも部品ありますよね?そこのコンデンサが劣化したんじゃないかと。
    なかなか症状が再現しなかったのも輸送中に貯まった電荷が放電されたせいと考えられますし。
    大して知識ない素人の憶測ですが、気になったので書いてしまいました。
    今度のマシンは故障ないといいですね。

  6. hisway306

    haranex さん、コメントありがとうございます。
    ご指摘の内容は全く同感です。同感なのですが、そういう想像力をメーカー側が持ってくれないと、ただ電源ユニットの交換を繰り返すだけなんですよね。なので本文で書いたとおり、「アップル日本法人は、問題点の原因を調べ的確な対応を取る体勢にはない」と判断しました。
    それもこれも廃熱の弱い筐体の問題、というのも多分その通りで、Apple製品はBTOしてはダメ(→標準構成で使うべし)という話もあります。でも私が悩まされたトラブルは東京でも気温が低い真冬に起きていたのが、一筋縄ではいかないところです。
    今のところ新しいiMacは当たり前に何も問題なく動いています。

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