Nikon 1のような超小型レンズ交換式カメラに未来はないのか?

投稿者: | 2016年8月25日

 薄々前から分かっていたことではあるのですが、PENTAX K-1でフルサイズ一眼レフデビューを果たしてから、明確に実感するようになったことがあります。それは「センサーの大きさは正義!」であると同時に「小さいカメラは正義!」であると言うことです。この二つ「正義」は、一台のカメラで実現しようとすると相反しますが、複数台持つことを前提にすれば、なんら矛盾しません。

 「K-1は小さい」と言ってみたところで、それは「フルサイズ一眼レフの中で比較すれば」という相対的なものであって、いつでもどこでも持ち歩ける万能カメラにはどうがんばってもなり得ません。少なくとも私にとっては。

 だからこそPENTAX Qシリーズを「いつでもどこでも気軽に持ち歩けるカメラ」として使ってきたわけですが、新製品が出なくなり動きが止まってしまったQシリーズに代わり、昨年にはNikon 1を手に入れて、「また新しい沼に填まったりして参ったな… てへぺろ」などと暢気に考えていたところです。

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 私が手を出したから、というわけではないのでしょうが、そのNikon 1シリーズは昨年春のJ5以来、新しいボディも新しいレンズも、肝心な製品は何一つ発表も発売もされないという状態が続いています。これはいったいどうしたことでしょう?

 そして追い打ちをかけるように、以下のような記事がデジカメInfoに出ました。


 いえ、この記事の中身にそれほどの意味があるわけではありません。実際ニコンは何も言ってないし、業界の中の人からのリークでもなく、実際目に見える範囲で流通状況に不審があるようにも見えません。PENTAX Qシリーズとは明らかに状況は違います。

 しかしもし本当に、PENTAX Qマウントに続いてNikon 1までもが消えていくとするならば、いったい上に書いた私にとっての二つの「正義」を実現させるにはどうしたら良いのか? 途方に暮れてしまいます。

Nikon 1 J5はいいぞ!

 Nikon 1 J5についての感想は昨年も以下のエントリーに書きました。

 ここで改めて私が持っているJ5を例にとってNikon 1の良さをざっと再確認してみたいと思います。

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 Nikon 1の撮像センサーは13.2mmx8.8mmの1インチ。フルサイズに対する換算倍率は2.7倍です。地味に気に入ってるのが、APS-Cセンサーやフルサイズと同じ3:2のアスペクト比を持っていること。私にとってはここは大きなポイントです。

 データの読み出しも比較的高速で、J5の場合は完全電子シャッター化されています。画面全体に広がる109点の像面位相差AFセンサーをもち、通常のコントラストAFと合わせてAFに関する機能はとても豊富で高速で正確。

 このセンサーはJ5から20.8Mピクセルの新型が使われているようですが、それまでと比べていろいろな面で格段に進化したと言われています。なので、この新センサーと最新のExpeedを搭載したV4が待ち望まれているのですが、登場する気配はまったくありません。

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 PENTAX Q-S1とNikon 1 J5を並べて見ると、ボディはほとんど同じボリューム感です。標準ズームを付けた状態では電動沈胴機構のおかげもあって、Nikon 1 J5のほうがカバンへの収まりは良いくらい。

 マイクロ4/3はもちろんAPS-Cサイズのセンサーを搭載したミラーレス機でも、ボディだけは頑張って小型化したカメラはありますが、レンズを含めるとその大きさと重さの差はどうしても埋まりません。

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 で、実際のところJ5はとてもよく写ります。場合によっては「カメラってもうこれで良いんじゃない?」と思えてくるほど。本気で使うならEVFが欲しいところですが、私の大好きな望遠域で動き物を撮るにしても、Vシリーズのボディに1 Nikkor 70-300mmがあれば事足りてしまいそう。いや、より良い結果が得られるんじゃないかと妄想してしまいます。

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 1年間使ってきて感じたNikon 1 J5の不満点は、タッチシャッターを完全にオフに出来ないことくらいです。

 タッチ操作はAFポイント選択のみに限定し、シャッターは切れないように設定できるし、この状態で電源ON/OFFしても、電池を入れ替えても、モードを変更してもちゃんとその状態を保持してくれるのは良いのですが、なぜかレンズを取り替えるとクリアされ、タッチシャッターに戻ってしまう謎仕様なのです。これにはいつもイラッときます。

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 もちろんNikon 1シリーズがディスコンしたところで、今手元にあるJ5とレンズが使えなくなるわけじゃないのでそれはいいのですが、レンズ交換式のカメラで先がないというのは、実用機でありながらとてもつまらないことです。歴史ある往年のマウントと違って旧レンズが中古で山ほど流通してるわけでもありませんから。

DLシリーズとNikon 1の関係?

 ところで1インチセンサーを搭載したレンズ固定式のカメラはソニーやキヤノンから幾つも出ています。結局このサイズのカメラはレンズ一体型でいいんじゃない?という疑問に対しては、実はニコン自身が今年のCP+でDLシリーズを発表したことで答えを出してしまった感があります。

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 DLに搭載されるレンズは、Nikon 1マウントにはない魅力的なスペックのレンズです。18-50mm(相当)/F1.8-2.8とか、24-85mm(相当)/F1.8-2.8とか。これらがなぜ1 Nikkorとして発売されず、DLシリーズという形で登場するのか?

 やはりこのサイズのカメラは「レンズ交換式」という形では受けず、他社のように一体型に流れていくということなのでしょうか? でも、コンパクトデジカメはスマホに押されて市場が壊滅し、カメラメーカーはみんなレンズ交換式に力を入れる方向なんじゃなかったの?と思ってしまいます。

 いずれにしろDLシリーズとNikon 1シリーズは無関係ではいられないはずです。SoCの不具合を乗り切ってなんとかDLシリーズが発売されるまでは、Nikon 1シリーズも動かしようがないのだと考えて、来年のCP+あたりまで静観したいと思います。

Nikon 1 J5で最近撮った写真

 Nikon 1 J5は普段は外食先で食べ物を撮ることにばかり使ってるのですが、久々にそれ以外の用途でも使ってみました。

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 キットになっていたレンズ以外に1本だけ追加で買った18.5mmF1.8の単焦点レンズ。画角的にはほぼ50mm相当の標準レンズです。1インチといえども開放付近を使えばよくボケます。

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 ほら、こんな感じで。ちょっと絞り開けすぎたかな?と反省するくらい。もちろん、フルサイズで同じようなことするともっとすごいことになるのですが、1インチだとやり過ぎにならない程度で気軽に遊べます。

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 これはキットになっていた標準ズーム。10-30mmF3.5-5.6 PD。電動の沈胴式でレンズバリアも内蔵。しかもパワーズームと、ほとんどコンパクトカメラのような使い勝手になります。便利なのですが、こうなるとレンズ交換式なんだぞ!という味わいは皆無。でもこれも良く写ります。

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 遠景だってお手のもの。お盆休み中の東京は変な天気でした。おかげで夕方は空の状況から目が離せませんでした。期待したような空一面真っ赤になるような焼け方はしなかったですけど。少し露出を切り詰めると急に色が濃くなるのはなんだかフィルムっぽいな、と思ってみたり。

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 最新のデジタル用のレンズだし、恐らく電子補正も入ってるし、極小ピッチのセンサーなので、こうなると開放付近が最も美味しいところなんだろうと思います。もはや絞りなんて気にせず、フレーミングと露出だけに集中するのが正しい使い方かも。なのでこのレンズを付けるときはPモードにしてしまいます。

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 そしてダブルズームキットに付属していた望遠ズームの30-110mmF3.8-5.6。こちらも沈胴式なれども手動です。これも安っぽい造りに似合わずとても良く写るんですよね。手ぶれ補正も入っているのは良いのですが、こうなるとライブビューで使うのがやや辛いところで、EVFが欲しくなります。

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 ほぼワイド端。ウソみたいにカリカリです。AFだって標準ズームと変わらないスピード。

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 テレ端でもまったく問題なし。カリカリです。1インチセンサーに高倍率ズームを積んだカメラは既にいくつかありますし、DLシリーズでも計画されています。でもそれらと比べると、Nikon 1にこのレンズの組みあわせの方が圧倒的に小型軽量。滅多に使わない超望遠のために巨大なカメラをいつも使うより、絶対こっちの方が良いですって。

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 で、最後はやはり単焦点へ戻ってきてしまいます。このレンズもまた外観は超安っぽいですが、写りは完璧。Exifを見せなければAPS-Cの一眼レフで撮ったって言っても、たいていの人は納得すると思います… よね?

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 でもまぁ、今後もNikon 1の主な用途はこういう写真になると思います。単焦点レンズは手ぶれ補正がないので、こういう薄暗い室内の近接撮影だとブレてしまうことがあります。そこもNikon 1のマイナスポインといえばそうかもしれません。

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 ということで、Nikon 1 J5には今のところとても満足しているのですが、やはりこのままシステムが更新されないというのは寂しいですし、新しいレンズやボディなんかをどんどん出していって欲しいと思ってます。多少J5より大きくなっても、EVFが使えるならV4は欲しいなぁ、と思っていますし、そうなれば70-300mm(換算189-810mm!)なんか使ってみたいな… と色々妄想していますので。

Nikon 単焦点レンズ 1 NIKKOR 18.5mm f/1.8  ブラック ニコンCXフォーマット専用

Nikon 単焦点レンズ 1 NIKKOR 18.5mm f/1.8 ブラック ニコンCXフォーマット専用

Nikon 1のような超小型レンズ交換式カメラに未来はないのか?」への2件のフィードバック

  1. Nikon1J2dejicame

    Nikon1いいですよね~、私はV2使いですが、6.7-13mmの広角レンズで遊んでました。が、その広角レンズを紛失してしまったため、いまはFT1つけて望遠で遊んでおります。
    18.5mmはたしかにみためはチープですが、軽いですから子供たちでも楽しく使えますから、女子ウケよりも子供と一緒に、、、というコンセプトにすればいいのになーっておもっちゃいます。

  2. hisway306

    nikonity (id:Nikon1J2dejicame) さん、
    私もワイドズームは欲しいと思っています。楽しそうですよね。ただ、今の状況だと買って良いものやら迷ってしまいます。
    J5のオーソドックスな路線はそれなりに当たったようですが、SシリーズとかAWとか、面白いことやってるんで、がんばって欲しいですね。
    でも口うるさいカメラおじさん的にはVシリーズが本命ですけど。

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