昨年秋に購入した HD PENTAX DA16-85mm F3.5-5.6ED DC WR は理想的なズームレンジを持つ標準ズームの決定版と期待して、しばらく集中的に使っていたのですが、その中でどうにも納得いかないことがありました。それはワイド端開放時の周辺画質。と言いますか、そもそも過大な期待をしているつもりはないのですが、左側だけやけにモヤモヤとボケるのが気になったのです。
ということで、年末年始を挟んでリコーイメージングに里帰りさせて調整してもらいました。
左側片ボケ症状
この症状に気づいたのは購入直後で、以下の「買ったよ!」エントリーを書いた時点です。
近くの公園でテストとして撮った一枚。どんよりした曇りでそもそもスッキリしない写真ですが、これが一番分かりやすいです。左側の木や遠くの高層マンションなんかはボケボケです。一番酷いのは左下。もしかして被写界深度から外れてる?と思ったのですが、右下と比べると明らかにボケすぎです。
しかしこれがF8まで絞るとウソみたいにクッキリします。被写界深度とかそういう問題なんでしたっけ?それとも収差?
とりあえずしばらく色々撮ってみて様子を見ようということで、以下のエントリーはすべて調整前のこのレンズを使って撮ったものですが、特に普通に撮っていて実害はないんですよね。ズームしたり、絞ったり、あるいは高感度を使ったり、日の丸構図だったり… あまりワイド端開放で隅っこまで使い切るような写真ってなかなか撮りません。
敢えてワイド端の開放で撮ったカットを2枚だけ上げてみます。
グリップを上に構えているので、画面の下側にあるドームがホヤけています。肝心のスカイツリーはクッキリしているのに。ただこのシーンだったら別にこれはこれで気になりません。ちなみにレンズ補正すべてONになっています。
このカットはK-30で撮りました。やはりレンズ補正はすべてON。するとなぜかそんなに悪くないんですよね。センサーの解像度の問題でしょうか? あるいはカメラとの相性? もしくはたまたま? それでも左下の看板は怪しいですけど、私的にはこのくらいは別に良いでしょ、という範囲です。
しかし、ふとしたときに開放にするのをためらってしまったりして、やはり何となくモヤモヤして精神衛生上良くないので、一度メーカーに見てもらうことにしました。
調整1ヶ月
リコーイメージングフォーラムで症状を確認してもらった結果、やはり左側、特に左下が基準よりも悪いと言うことで、預かりで調整してもらうことになりました。年末年始を挟んだので約1ヶ月かかってしまいましたが、先日ようやく私の手元に戻ってきました。
戻ってきたレンズに添付されていた作業伝票にはこのように書かれていました。交換部品はなく調整したとのこと。
ところで、こう言うのってやはり分解してから再度組み立て直すのでしょうか? 最近のレンズもそういう調整余地が残されているものなのか、ちょっと不思議に思います。
そんなことはさておき、戻ってきたレンズがどの程度改善したのか早速見てみましょう。
調整前後の比較
まずはこれが調整前。紅葉が終わりかけてる季節。天気があまり良くないです。
そしてこれが調整後。同じ場所で同じ設定ですが、真冬の快晴で木々の葉は落ちてしまっています。同じ場所ですが全く違う写真になってしまいましたが仕方ありません。
以下等倍拡大比較です。左が調整前、右が調整後。ほぼ同じところを切り抜きました。
まずは中心部。東京スカイツリーが写っています。調整後のほうがボヤッとしてるのは、ピントが甘かったのか、手ぶれのせいか?
問題の画面左側です。調整前は酷いですね。葉っぱがなくなってしまって今ひとつ分かりづらいですが、それでも調整後はやや改善しているようです。
念のため右側も見てみましょう。こちらはあまり変わらないですかね。少なくとも調整した結果今度は右が悪くなる、ということはないようです。
というか、撮影条件が違いすぎて、見れば見るほどよく分からなくなってきます。なので、ここで調整前との比較はもはや忘れて、調整後の状態だけをもう少し追求してみることにしました。普段は新しいレンズ買ってもこんなことしないのですが、ここは乗りかかった船ということで、気が済むまでやってみます。
調整後の再テスト撮影
新しいテスト場所はこんな感じのところ。最も悪かった左下隅の様子がもう少し分かりやすいのではないかと思います。
以下等倍切り出しです。
まずは中央部。これは文句なし。
左下隅。まぁまぁですかね。
右下隅。これもまぁまぁかと? あまり左側との差もあまり感じられません。
うん、このくらいなら悪くないんじゃないでしょうか。むしろ十分だと思います。このレンズは周辺部に色収差がわりと顕著に見られますが、それはカメラ内で補正できますし、その結果解像感にも影響を与えるかもしれません。。
次にワイド端のまま絞りを変えて見ました。以下等倍切り出しは省略します。
絞り | ワイド端16mm |
---|---|
F3.5 | |
F4.5 | |
F5.6 | |
F8 |
調整前もそうだったのですが、F5.6〜8あたりまで絞ると、画面の隅々までクッキリして、K-3の高解像度を存分に生かし切れるだけのキレを見せます。
さらに今度は開放のままズームしてみましょう。
焦点距離 | 絞り開放 |
---|---|
16mm | |
35mm | |
50mm | |
85mm |
こちらも調整前と変わらず、ワイド端以外は周辺まで均一です。
ということで、慣れないことをここまでやってもうおなかいっぱい。満足しました。
結論
実は「うーん、調整してもこの程度か」というのが、調整後のレンズを受け取ってテスト撮影してみたときの正直な感想でした。基本的にワイド側で少し無理をしているレンズなのでしょう。
でも、実際のところそんなにネガティブに感じているとか、仕方なく割り切っているというつもりはなくて、むしろこのレンズはかなり気に入っています。何より焦点距離レンジが絶妙ですし、今回問題にしたような描写性能についても、DA18-135mmと同じく、レンズ補正をONにすることを前提にして使えば、実使用上では気になることはないでしょう。
それよりもHDコーティングの抜けの良さと、絞ったときのキレ具合は流石最新のレンズだなと感じます。発色の自然さとPENTAXらしさがあってとても良いレンズだと思います。ワイド端の周辺は「惜しい!」と言ったところでしょうか。
AFも速くて防滴仕様ですからK-3と組み合わせるにはぴったり。HD DA20-40mmが雰囲気を楽しむための標準ズームだとすれば、このHD DA16-85mmはまさに実用のための標準ズームです。
ということで、またこれからしばらくはこのレンズで色々撮ってみたいと思います。
K-3のセンサーが優秀すぎてそれにレンズがついていってない印象を受けました。
最新のレンズといえどもやはりズームレンズですし、やはり単焦点レンズで程よく絞って撮った時の解像度は半端ないものだなと改めて気付きますね。
時と場合なのですが、レンズに求めるものは実用性なのか、それとも解像度、個性、見た目、、?
全てを実現してくれるレンズなんてのはやはり存在しないですね。。
ズームレンズの調整は沼にハマり込む事もあるので、ある程度妥協することも必要でしょうね。
HD20-40の写りに今一納得いかないと感じていましたが、昨年末に旅行に行ったりして撮影を重ねるうちに悪くない、むしろ良いと思えてきました。16-85は引き続き気になりますが、こちらを買っても20-40は手元に置いておくことになりそうです。
ペンタックスは平面ではなく立体で描写性能を測定していくと目にした事がありますが、このレンズはどうなんでしょう。公式では初めてMTF曲線が公開されていましたね。
ざっそう (id:kotahorii)さん、
たまたま気になってしまったので、グダグダ解像度のことを掘り下げてみましたが、このレンズはこれで良いのだろうと思います。解像という点でも基本的に素性は非常に良いのは確かですし、少なくとも左右の不均一さが解消しただけで十分です。
仰るとおり、完璧なレンズなんてありません。でも求めてしまうのですが(^^; それこそが沼の正体でしょうか?
toomさん、
HD20-40は見た目以外に特徴のないレンズだな、と思ってたのですが、むしろこのHD16-85を使ってみて、HD20-40の良さが分かってきました。どちらも手放せません、多分。
立体的な描写性能というのはどうなんですかね。DA18-135をは他のレンズと何かがちょっと違うなと感じたのですが、こHD16-85は典型的なPENTAXレンズだなと思います。
私のタムロン10-24/F3.5-4.5とK-5(K-5IIsも同じ)との組み合わせも同じ現象が見える。しかも同じく左のほうはボケがひどい。でもサードパーディのレンズなので、しかも台湾の代理店は調整する技術もないし、そのまま使い続けるしかないと思う。
Hiさんの写真を見るとふと思うんだが、もしかするとこれは中央の解像力を優先する結果じゃないかなと。周辺のボケ具合は左右不均等になるのはセンサーはイメージサークルの真ん中じゃないかもしれない。
ところで、立体的な描写というのはチャージ図、あるいは新聞紙のような完全な平面を撮るに対する身の回りに凸凹するものを撮影した影像を指すことで、公園の景色はもう立派な立体だよ。
masato.chuさん、コメントありがとうございます。広角系のズームレンズでは片ボケの話を時々耳にしますね。組み立て精度だったりボディとの相性だったり色々あるのでしょう。
イメージサークルとの関係は確かにあるかもしれません。ペンタックスはSRでファインダーの調整を代用していますし、そう考えるとK-30で症状が軽い理由も何となく理解できます。
本文にも書きましたが、最終的に私にとっては十分な性能を持ったレンズであると確認できたので、良かったと思います。