今月初めにCESでお披露目されて以来話題の、富士フイルム渾身の最新鋭デジタルカメラ、X-Pro1がいよいよ1月26日に日本でも発表となりました。そのプレス向けの製品発表会とは別開催ながらも、一連の発表イベントの一つとして(だと思いますが)、夕方から「X-Night」というイベントが渋谷で開催されました。幸いなことにみんぽすさん経由で招待いただけたので、期待に胸を膨らませ行ってきました。
また、事実誤認時の修正と本定型文の掲載以外、メーカーから記事の内容に対する関与は受けていません。
このイベントの内容は、プロ写真家による作例の展示、そしてX-Pro1の試作機にさわり放題のタッチ&トライコーナー、そしてDJが音楽をかけドリンクが振る舞われるクラブイベントなどです。もちろん私の一番の目当てはタッチ&トライコーナーです。
会場となった松涛ギャラリーの入り口。事前にWEBで確認したこの会場の雰囲気が、かなりアウェイな感じだったので、ドレスコードがあるのではないか?などと心配しましたが、腹をくくって普通に普段着で行ってきました。招待客はプロの写真家の方たちもちらほら見かけましたし、私と同じような素人衆らしき人々、業界関係者っぽい人々、そしてモデルさんではないかというような、違う世界の人々もいたり、かなり不思議な雰囲気のイベントでした。
まずは手に持った感じですが、数字から想像はしていましたが、第一印象として「コンパクト!」とは感じません。上の写真はXF35mmF1.4 Rを取り付けたところ。ボディの幅や高さはそれなりにあります。厚み方向はちょうど良いくらいではないかと思います。そこそこ大きさがあるためか、重量はかえって軽く感じます。実際にボディ単体で500gを切っているそうですし、レンズのほうは思っていたよりもずっと軽いです。外装はマグネシウム合金製だそうですが、梨地仕上げなどはされておらず、アルミかプラスチックではないかと思うくらい素っ気ないです。
上の2枚もそうですが、妙に白飛びした写真でスミマセン。照明のスポットライトがきつくて明暗差が激しく…(^^; 閑話休題。こちらにはXF60mmF2.4 R Macroがついてます。普通に四角いボディなのですが、ホールディングはごく自然にでき、誰が構えてもこうせざるを得ないほどしっくりくる感じです。ある程度の大きさがあるおかげでファインダーも無理なく覗けます。
ちなみに基本的な露出モードの設定ですが、レンズの絞りリングとシャッターダイヤルにそれぞれAポジションがあり、その組み合わせで露出モードが決まります。この仕組みはフィルム時代のペンタックス機と同じで非常に分かりやすいです。ただし、ボディ側のシャッターダイヤルにはロックがありますが、絞りリング側にはありません。
こちらはレンズ単体。標準付属の角形のフードがついていました。これらのレンズも金属鏡銅とのことですが、仕上げはやはり素っ気ないほどシンプル。しかも超軽量。絞りリングは1/3EVステップでクリック感がありますが、1EVステップ毎により強いクリック感がついており、細かい調整をするにも、一気に回すにも非常に操作感はいいです。私が持っているペンタックスのFAレンズよりずっと上品な感触。
そして鏡銅のほとんどはピントリングになっています。いつでもくるくる回るのですが、フルタイムマニュアルではなく、MFモードにしたときだけピント調節ができるようです。
XF35mmF1.4 Rだけひっくり返して見ました。また、写真を撮り忘れたのですが、XF18mmF2 Rの方は噂通り後玉が飛び出していて、ショートバックフォーカスの様子が良く分かります。一方、XF35mmF1.4 Rのバックフォーカスはごく普通です。マウントは見ての通り機械的なリンクは一切なくフル電子制御。つまりピント調節も絞り駆動もすべてモーターで動かしているようで、レンズ単体では絞りリングを回しても、ピントリングを回しても何も起きません。
ちなみにまだF/Wは詰めている段階で最終版ではないとのことですが、AFについては特別すごくはないけど不可もなく、と言った感じでした。私にとっては十分と思えるスピード。XF60mmF2.4 R Macroでは撮影距離によって激しくフォーカスがずれたりしますので、やはりその状態からコントラストAFするにはちょっと時間がかかります。また「これにピント来ないの?」と思うようなミスもありましたが、その辺は製品版でブラッシュアップされてることに期待。
ちなみに、背面十字キーの上にマクロモードボタンがあるのですが、その機能がよく分かりません。自動的にEVFモードになるのは分かるのですが、それ以外にAFの範囲や制御でも変わるのでしょうか? これはマクロレンズ使用時だけ効果があるのか、他のレンズでもある程度近距離になると入れた方が良いのか、聞きそびれてしまいました。
で、こちらがボディ側のマウント。オリジナル配列のカラーフィルターを使用した、ローパスレスなX-Trans CMOSが丸見えです。マウント面からすぐそこにあって、ショートフランジバックな様子がよくわかります。
ちなみにシャッターはフォーカルプレーンですが、シャッターは開いてる状態がデフォルトで、シャッターを切るときに一度閉まってから動作する、という辺りは他のミラーレス機と同様です。
X-Pro1はレンズ無し時もシャッターが切れるようになっている(メニューで設定可能)ため、電気的な連動のないマウントアダプターで色々なレンズを使って遊ぶことができるはず。実際にレンズ外してシャッターが動いているところを見せてもらいました。思ったよりもシャッター膜が手前の方(センサーから遠いところ)にあるのでびっくりしました。
シャッターフィールも極自然で、正しく「カシャッ」っていう擬音がピッタリな感触です。レフレックスミラーがないので振動もほとんど無いですし、さすがに上品で緻密な感じがありありと伝わってきます。シャッターを切った時にフォーカルプレーンシャッターが閉じて開いて閉じて…と複雑な動きをしているリズムの悪さはまったく感じません。
非常に多機能なカメラですが、メニュー構成&デザインもよく考えられています。その場ですぐにすべてが把握できたわけではありませんが、カメラに慣れた人なら、一日もいじっていればすぐに使いこなせるようになると思われます。
で、上の写真はクイックメニューを表示したところ。撮影パラメーターとして重要かつ頻繁にアクセスすると思われる機能を集めたショートカットメニューで、”Q”とプリントされた専用ボタンがあります。これ、ペンタックス機で言うところの”INFO”ボタン(で呼び出されるコントロールパネル)と全く同じ思想のメニューですね。多機能なカメラでは本当に便利なメニューだと思います。
十字キーで機能を選び、ダイヤルで設定を変えるのですが、ちょっとダイヤルのクリックが細かすぎ&クリック感が弱いように感じました。メニュー操作のレスポンスが非常に良いこともあって、かなり繊細な操作が必要で思った所で止めるのに気を遣います。
EVFまたはライブビューモードにしていると、絞りが動作している様子を前玉側から見ることができます。が、この写真、肝心の絞り羽根にピントが来ていなくてスミマセン。7枚羽根(XF60mmマクロは9枚)でどんな絞り値でも綺麗な円形がでるように気を遣ってあるそうです。
オプションで用意されるハンドグリップを装着した姿。このグリップは三脚穴を利用して取り付けるもので、ボディの高さが少しかさ上げされます。グリップ部がボディ上部まで来ていないのは、ファインダーの切り替えスイッチの操作性を考えてのことと思われます。うーん、どうでしょう? 私の好みではこれは付けないほうがすっきりしていて良いかも。
こちらはXF60mmF2.4 R MacroにクリップオンフラッシュEF-X20を取り付けた姿。このEF-X20は汎用品として既に発売中のものです。純正品ならちゃんとTTL調光ができます。これつけると一気にレトロ調になりますね。
動画の撮影、編集および提供 by yonhongiさん
そしてX-Pro1の目玉機能とも言える、ハイブリッドマルチビューファインダー。OVFとEVFを融合させたもので、X100に搭載されたハイブリッドビューファインダーの進化型です。その特徴は倍率が2段階になっていること。装着するレンズに合わせて自動的に最適な倍率に切り替えられるとともに、スイッチで任意に変更することも可能です。倍率の切り替えは機械的にレンズを出し入れすることで実現されており、そのギミックがなかなかおもしろいです。基本的に18mmと35mmに最適化してあると思われます。
私はX100のファインダーもあまりまじまじと覗いたことがないのですが、クリアで緻密なOVFの映像にフレームやAFポイント、撮影データなどがくっきりとオーバーレイされる様は、非常に新鮮に感じました。これぞ理想のファインダーか!と思うくらい。やっぱりファインダーはOVFだなぁと再認識。
とはいえ、マニュアルフォーカス時や、深度を確認したい場合、パララックスが出やすいマクロ撮影時、今後出るであろう望遠レンズ、マウントアダプターで他社レンズをつけた場合等は、EVFの独壇上です。こうやってスイッチ一つでEVFとOVFを切り替えてみると、EVFのファインダー像にはやはりがっくりくるものがありますが、両方サポートしていればうまく使い分ければ良いだけの話。
ちなみに気になった点といえば、なぜかX-Pro1では視度補正が内蔵されていないこと。X100では内蔵していたのに!なお、私はコンタクトレンズをつけていたので、ファインダー像はOVFでもEVFでもよく見えました。メガネだとどうなんだろう?
タッチアンドトライコーナーには巨大な作例写真が飾ってありました。畳三畳分くらいあるとかないとか。こちらの女性のポートレイトは中判で撮ったかと思うような精細感。産毛が綺麗に再現されていました。
そしてこちらの静物は、陶器の質感も艶かしく、小さな埃まで写り込んでいたり。大きくて高精細になると、ものすごく立体感を感じます。プリントが大きすぎて本物っぽくはないのですが。
3階はイベント会場。飲み物が振る舞われていました。シャンパン、ワイン、ビールもあったのかな?あとはレッドブルに各種ソフトドリンク類。シャンパンを一杯だけ頂いてしまいました。
音楽がずっとかかっていて、ここだけ何だか妙な空気。客層も2階のタッチ&トライコーナーとはちょっと違うようです。何か製品に関するプレゼンテーションが行われるかと思ったのですが、それは既に早い時間に終わってしまっていたのか、あとはよくわからないステージが行われていました。チラッと見てみたのですが、お腹一杯になったので早々に退散してしまいました。
さて、発売日は2月18日。お値段はAmazonの予約価格でボディのみ13.5万円、レンズは18mmと35mmがそれぞれ5万円弱、60mmマクロは約5.4万円となっています。とりあえずレンズ一本付きで買っても18万円ちょっと。全部一気に大人買いすると30万円近くなります。
この値段がリーズナブルかどうかは別にして、モノとしてこのカメラはほとんど妥協を感じさせず、一貫したコンセプトに沿って作られた非常に芯のあるレンズ交換式デジタルカメラだと思います。使っていてとても楽しいだろうなぁ、と思わせるモノとしての魅力に溢れています。正直なところとても欲しいです。欲しいですが… が…(A^^;
が…
買っちゃいました(笑)
に1票。
○ふさん、
多くの人にそう思われていそう(^^;