PENTAX怒濤の新製品発表

投稿者: | 2012年9月13日

 フォトキナの開幕を前に各社から新製品発表ラッシュが続いています。まるで2月のCP+前のよう。中でも私が最も興味を引かれるペンタックス・リコーからも、いつになく大量の新製品が発表されました。その内容については2週間くらい前から、ガセ情報含めしきりに噂が流れていたわけですが、蓋を開けてみれば期待通りだったこともそうでなかったところも、予想外のものもあります。でも何に一番驚いたって、8製品同時発表という数の多さに一番驚きました。

K-5IIs 

 回りくどいことを書くのも何なので、それぞれ「買う」か「買わない」か、という超個人的観点で感想をまとめてみました。いえ、予定は未定で過去何度も「買わない詐欺」をしてきたことは自覚していますが(^^;

K-5 II / K-5 IIs:買うかもしれない

 およそ2年前に発売されたK-5のマイナーチェンジ機で、外見はほとんど変わりません。いかにK-5が完成度が高いとは言え、このK-5 IIはなかなか地味な新製品だと思います。ある意味予想していなかったカメラです。
 変更点はAFユニットが新型になり、-3EVからAF可能だったりF2.8光束に対応して大口径レンズでの精度が高まったりする一方、9点クロスの11点測距というセンサー配置は変わっていないようです。さらに背面モニターが強化ガラスのギャップレス液晶というものに変わっていますが、噂された上下アングル可変式ではありませんでした。
 変わっていないと言えば、センサーも約16Mピクセルと変わっていないのですが、それよりも画像処理エンジンもK-01やK-30で採用されたPRIME Mではなくて、K-7以来のPRIME IIのままです。基本的に問題ないのですが、UHS-I未対応とかレンズ収差補正の速さとか、動画性能とか、能力的に今ひとつ古くさいところがあります。ここが新しくなっていると、地味なようでいて実用上は大きな改善になったのですが。

 そしてある意味一番インパクトあるのは、ローパスレスのK-5 IIsがラインナップされていること。APS-Cで16Mピクセルのベイヤーセンサーでローパスなしというのはどうなんでしょうか?こればかりは出てくる絵を見てみないと何とも言えません。エンジニアの端くれとしては、デジタルサンプリングをする上で事前にローパスを掛けないというのが今ひとつ納得いかず、ローパスレス=高解像度=高画質みたいな安易な流れがどうも気に入らないのですが。

 なのでK-5を置き換えるとしたらノーマルのK-5 IIのほうが良いと思うのですが、K-5と共存させるならやはり多少の欠点や使いづらさがあっても、尖った特徴を持つK-5 IIsかな?と言う気がします。いずれにしても、買う理由は大きくありませんが、K-5で完成形と思っていたプレミアムスモール路線が、さらに完成度が上がったとなるとジワジワと欲しくなってくるかも。あるいはAFの進化度合いによっては、実機を触った瞬間にやられてしまうかも知れません(A^^;

smc PENTAX-DA 18-270mmF3.5-6.3ED SDM:買わない

 Kマウントの新レンズです。CP+で発表されたロードマップに載っていた高倍率ズーム。既存の18-135mmの7倍を遙かに超える15倍ズームで、以前ラインアップされていた18-250mmをも超える18-270mmというスペック。

DA18270
 AF駆動用のSDMを内蔵していますが、クイックシフトには対応せず簡易防滴もされていません。そしてスペックを眺めていて気付くのは、このレンズは恐らくタムロンのOEMだろうと言うこと。光学手ぶれ補正を省き外装をペンタックス仕様に仕立てたものと思われます。その辺は以前の18-250mmも同様でした。
 高倍率ズームは何かと便利で、私も18-135mmは予想以上に気に入っているのですが、少し大きいものの望遠端が270mmまで伸びるなら高倍率ズームとしての威力は計り知れません。タムロンの元製品はKマウントが用意されないので、このスペックのレンズがラインナップに加わったのは良いことだと思います。

 でも、私は多分買わないでしょう。大きさと重さのバランス、見た目、AFの速さとクイックシフト、そして簡易防滴であるという点で、いくら望遠端が倍あるとは言え、18-135mmを置き換える気にはなれません。

HD PENTAX-DA 560mmF5.6ED AW:買えない

 CP+で参考出品されていたKマウントの超望遠レンズです。これまで純正では300mmまでしか用意されていませんでしたが、それが一気に560mmが追加されました。

DA5656
 天体望遠鏡の光学系を流用しているそうで、確かに最近のレンズにしては5群6枚構成と非常にシンプルな光学系です。しかし遠景の描写性能は抜群だそうですし、コーティングは”smc”ではなく新開発の”HDコーティング”が採用されています。
 残念ながら光学手ぶれ補正は採用されていませんが、AF駆動モーターはSDMでなくDCモーターが採用されており、もちろん防塵防滴仕様となっています。重さは3kg越えの重量級。

 気になるお値段は諸説ありましたが、やはり常識的なところで60万円ほどと予想されています。残念ながら用途が思い浮かばない以上に、とても手が出る値段ではありません。

Q10:買わない

 Qの発売から1年以上が経過し、システムが拡充する前にQマウントの2号機が登場しました。一応廉価版的位置づけなのかも知れません。

Q10
 センサーは新型だそうですが、1/2.3インチの約12Mピクセル裏面照射CMOSなど、スペックの数値的には大きな変化はありません。その他画質やレスポンスが良くなっていると言うことですが、基本的な機能も初代Qと大きく変わるところはなく、K-5とK-5 IIの関係以上に、内容的には地味なマイナーチェンジとなっています。
 大きな変更点は外装。マグネシウム合金をやめてプラスチック化されたようで、基本的骨格は変わらないものの細かいディテールのデザインが変わっています。そして目玉はカラーバリエーション。ボディ20色、グリップ5色の計100色から選べるようになっています。
 当初からカラバリはQにこそ似合うのに、と言われていましたがようやく実現したことになります。本当におもちゃみたいになってしまうかも知れませんが、それもまた一興でしょう。

 でもまぁ、これもまた私としては買わないでしょう。やはりQマウントも新しくするなら中身が刷新されたボディを待ちたいと思います。幸い現在持っているQは限定のシルバー仕様で、カラー的にも気に入ってるので、カラバリも今のところ決め手にはなりません。

Kマウントレンズ用アダプターQ:買う

 ずーっと待っていた純正のK-Qマウントアダプターです。CP+の参考出品からもずいぶん待たされた感があります。

KQ
 すでに販売されているサードパーティ品と大きく違うのは、シャッターを内蔵していること。Qボディの電子シャッターでは、ローリングシャッター歪み出やすいのですが、メカニカルシャッターがあればその心配はありません。そしてもう一点は、DAレンズ用に絞りコントロールのリングがついていること。AFこそ対応していませんが、この2点があるだけでもかなり実用性が高くなります。
 とは言え、Qの超小型センサーではフルサイズ比で5.5倍の焦点距離に相当する画角となるわけで、Kマウントの多くのレンズは、Qにしてみれば軒並み望遠レンズになってしまいます。また、Qの超小型センサーに対応した解像力を持っているレンズも少ないため、実際のところどのくらい有用なのかは分かりません。

 でもQもKも持っているならば、やはり嗜みとしてこのマウントアダプターは買わざるを得ません。いっそのこと望遠ズーム付けて超望遠遊びをするのも一興かと思います。

PENTAX-06 TELEPHOTO ZOOM:買う

 Q発売当初から開発中と公言されていたQマウントの6本目のレンズにして初の望遠レンズです。そのスペックもようやく判明したわけで、フルサイズ換算で83~249mmに相当し全域でF2.8となっています。

06tele
 もちろんトイレンズシリーズではなく、絞りもシャッターもAFモーターも内蔵しています。見た目が標準ズーム並みに非常にコンパクトですが、沈胴機構を採用しているそうで、実使用時にはどんな姿になるのでしょうか?

 いずれにしてもこれはQシステムには必須のレンズと言えるでしょう。これは遅かれ早かれ手に入れる予定です。

HD PENTAX-D FA645 MACRO 90mmF2.8ED AW SR:買わない

 最後は私にとって一番縁のない製品。645D用のマクロレンズです。

DFA645-90
 しかしこのレンズにはペンタックスユーザーなら気になるものが搭載されています。それというのは光学手ぶれ補正。恐らくペンタックス製品では初となるものです。645Dはさすがにボディ側にも手ぶれ補正は搭載されていませんので、やるとするなら光学手ぶれ補正をレンズに搭載するしかありません。
 今回同時発表されたKマウントの超望遠560mmには搭載されませんでしたが、是非今後はKマウントへの展開も期待したいところです。基本はボディ内手ぶれ補正で、望遠系のレンズだけは光学手ぶれ補正を採用するみたいな両方のいいとこ取りシステムが理想的ではないかと思います。

 ということで、残念ながら645Dは持っていないし買う予定もないので、このレンズも買いません。

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 これらの製品は10月から11月にかけて順次発売されるそうです。今回「買う」と心に決めたのはQ用の望遠ズームとマウントアダプターの2点です。今後も引き続きKおよびQマウントのレンズや、あるいは新ボディに期待したいところです。
 今後と言えば、今年の他社製品はフルサイズ機の新型が目立ちます。システムの大きさや重さのバランスを考えると、私的にはAPS-Cがいいとは思っていますが、やっぱりフルサイズ機も気になってきました。ペンタックスはフルサイズやらないのかな?と…。この世界のことなので何があるか分かりませんからね(A^^;