F1日本GP2011 番外編

投稿者: | 2011年10月17日

 予選が行われた土曜日から明けて日曜日。この日も朝から穏やかな快晴です。鈴鹿で3日間を通して文字通りの晴れが続いたのは、一説によると2002年以来だそうです。私が通い始めたここ数年では必ず一日は雨の日がありましたっけ。
 ということで、いよいよ決勝の日です。土曜日と同じく6時50分の近鉄特急に乗って名古屋を出発。鈴鹿サーキットには8時頃に到着しました。

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小林可夢偉

 と言っても決勝が行われるのは午後3時から。それまで7時間もあります。その間何もないかというとそうではなく、サポートレースに始まり、中嶋悟のデモラン、そしてドライバーズパレードなど、見逃せないイベントが目白押し。このエントリーでは、決勝前にコース上で行われた様々なイベントの模様を、番外編としてお届けしたいと思います。


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風が吹き抜ける、気持ちいい丘の上です。

 決勝の観戦&撮影ポイントはEスタンドの上。ここは去年の決勝でも来た場所です。コースが遠く位置も高いため、あまり写真撮影に向いてないと言われますが、コースが広く見渡せて流し撮りもしやすく、そしてなんと言っても風が吹き抜けて気持ちの良い場所なのです。なので、朝早めにきて場所を押さえてしまいました。


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ドライバーズパレード

 決勝に続くこの日の目玉はやはりドライバーズパレード。特に鈴鹿のそれはF1カレンダー中でも名物と言われています。単にトラックに全員乗せてぐるっとコースを1周するのではなく、一人一人をクラッシックカーに乗せてゆっくりと走ります。登場するクラッシックカーは公募で集めるらしく、ドライバーはオーナーの方々です。以下、私の独断と偏見により選んだダイジェスト版です。

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 まずはなんと言ってもチャンピオンのセバスチャン・ベッテル。パレードの先頭でやってきました。ボトルから何か(もちろんレッドブル?)を飲みながら、そして音楽を聴きながら手を振ってます。目線が来てるような気がします(よね?)。

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 ブルーノ・セナ。シーズン途中からニック・ハイドフェルドに代わってルノーに乗っています。かのアイルトンの甥として有名。確かに顔には面影があったりします。何故か両手上げていて中途半端な万歳状態。

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 最近すっかり影が薄いヤルノ・トゥルーリ。あまり好きなドライバーではないのですが、ベテラン中のベテラン。F1ドライバーの中でも特に日本好きらしく、パレードでは日の丸を手にしていました。

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 ヘイキ・コバライネン。注目すべきはドライバーではなくてこのクルマ。やはりフランス車乗りとしては押さえておきたいですよね。シトロエンDSのデカポタブルです。超かっこいい!

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 ちょっと猫背のフェルナンド・アロンソ。今やフェラーリの顔ですね。最年少2年連続チャンピオン記録はベッテルに塗り替えられてしまうのでしょうか?

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 帰ってきたチャンピオン、ミハエル・シューマッハ。復帰2年目のシーズン後半にしてようやく調子が出てきたようです。遠くから見ていても40代おやじのギラギラ感があります。昔は嫌いなドライバーだったのですが、最近は何だか好きになってきました。

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 ハイミ・アルグエルスアリ。最近CDデビューしたらしいですが、どっちが本業なのでしょうか?

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 暴れん坊ぶりに磨きがかかって、何かと物議を醸しているルイス・ハミルトン。パレード中にiPhoneで写真撮ってました。「鈴鹿でパレードなう」とかやってるのかも。このメルセデスのオーナーは女性の方ですね。

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 ニコ・ロズベルグは、予選を走れなかったせいか元気がないように見えました。

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 予選では絶好調だった(けど惜しかった)ジェンソン・バトン。このメルセデス、ミラーの取り付け位置が左右で違うところが良いですね。

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 すっかり影が薄くなったと思っていたら、最近はハミルトンの天敵として急に目立ち始めました。でもなんだか元気なさそう。それに、なぜアロンソと並んでこなかったのでしょう? 車列はチームごとに並んでいるはずなのに。

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 そして大トリはなにやら一段と賑やかです。

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 小林可夢偉。昨日の予選の興奮冷めやらぬ中で、大歓声で迎えられました。所々でクルマを降りてスタンドに近寄って挨拶するという大サービス。大統領就任式並みの演出です。これまた目線が来てるような気がします。丘の上で紫色のビブス着てカメラ構えてる集団は目立つのでしょうか。

※そのた他のドライバーたちの写真はFlickrにまとめてアップロードしてあります
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中嶋悟×ロータスのデモラン

 ドライバーズパレードに先立って行われたのが、今年の特別企画、中嶋悟によるデモランです。黄色いロータスで走るということだったので、ホンダのターボエンジンを積んだやつと信じて疑わなかったのですが、実際はNA化された時代のロータス・ジャッド101でした。1989年のマシンです。
 そう、大雨のオーストラリアGP、アデレード市街地コースでファーステストラップを記録したマシン。日本人ドライバーでファーステストラップを取ったのは、現時点で中嶋悟のこのレースだけです。

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 浮かれて3枚も貼ってしまいましたが、約20年前のF1マシンは現在と比べると相当に造形が違っています。ドライバーの首から上が出ているのが特に目立つし、ノーズが短く、全長も詰まって見えます。実際そうなのかも知れません。また、空力という考え方はすでにあったのですが、現代とはレベルにかなりの差があります。レッドブルRB7をデザインしたエイドリアン・ニューウェイはすでにこの時代F1マシンを手がけていたのですが。

 このマシンはどこかのコレクターの方が動態で保存しているものだそうで、中嶋氏曰く、エンジンがかかるかどうか心配だったとのこと。彼自身も相当な歳ですし、パレード並みにゆっくり流すのかと思えば、思ったよりは飛ばしていました。やっぱりエンジン回さないと迫力ないですからね。V8とはいえせっかくの3.5リッターもの排気量を持つエンジンですし。

 考えてみれば、中嶋悟がドライブする姿を生で見るのは初めてでした。思ったよりも感動しました。

サポートレース

 F1の各セッションの合間には色々なサポートレースが行われています。今年はFCJポルシェ・カレラカップが行われました。日曜日の午前中にはそれぞれ決勝が行われていました。「F1ファンといえどもモータスポーツファンとは限らない」と言いますか、私などはその典型でF1以外のカテゴリーをほとんど知らないわけで、こういう機会は非常に貴重です。

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 FCJ(フォーミュラチャレンジ・ジャパン)の決勝。実は第9戦と第10戦の2レースがF1期間中に行われていました。土曜日の第9戦は移動中だったので見られなかったのですが、日曜日に行われた第10戦は観戦できました。日本の自動車メーカーが共同で出資しているレースシリーズ。フォーミュラルノーと同等なマシンとエンジンはワンメイクで、セッティングも大幅に制限され、ドライバーの腕だけで差がつくようになっているそうです。
 わずか10周のレースでしたが、トップ争いは熾烈でとても面白いレースでした。ラップタイムは上位選手で2分5秒台。F1より30秒遅いですが、たった30秒と言えるのかも。中には17歳のドライバーとかいるんですよね。ここからステップアップしていけば、いずれはF1にたどり着けるのでしょうか。FCJをチェックしていれば、いつかF1に現れたときに「何を今更騒いでるんだ? 俺は大昔からあのドライバーを知ってるぜ!」とドヤ顔できるかも。

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 もう一つ行われていたレースが、ポルシェ・カレラカップ・ジャパン。その名のとおり、ポルシェ911カレラのワンメイクレースです。これ、7ヶ国で同様のレースが行われており、世界シリーズもあります。ポルシェはF1こそやっていませんが、こうして市販車ベースで地道にモータースポーツ活動してるところが流石です。
 で、これもまた土曜日と日曜日に2回決勝レースが行われていました。日曜日にはFCJに続いてカレラカップもしっかり観戦しようと思っていたのですが、お昼の日差しと涼しい風とポルシェの爆音に眠気を誘われて、レース中は芝生に横になって昼寝してしまいました。なんとも贅沢なことをしたものです。
 ラップタイムは2分9秒前後。FCJより3秒ほど遅いだけです。すごいですね、下位カテゴリとはいえフォーミュラカーに迫っているのですから。

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 次に、これはサポートレースではないのですが、フォーミュラニッポンのデモランが行われました。中嶋悟の二人の息子が参戦しているシリーズですが、今回のデモランには二男の中嶋大祐はじめ、4台のマシンが走りました。
 シャシーはアメリカのスウィフト製のワンメイク、エンジンは国内の2社が供給しています。日本国内のローカルシリーズとはいえ、GP2レベルのフォーミュラシリーズであり、鈴鹿のラップタイムは1分40秒前後だとか。F1のトップチームよりも10秒遅れ、と言うよりは、F1の下位チームとほとんど同じタイムで走れるということになります。
 ということで、今回は本気のレースではないとは言え、やっぱりFCJやポルシェ・カレラに比べると、スピードも音も迫力が違いました。周囲も含めてけっこう盛り上がっていました。

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 そしてサポートレースやデモランの合間にもコース上ではいろんなことが行われています。マーシャルの皆さんはコース上を掃除したり、コース脇で色々準備をしています。さらにFIAのセーフティカーによるインスペクションが行われたり、鈴鹿サーキット所有と思われるCR-Zがひっきりなしに走っていたり、プレスカメラマンを乗せたバスが走ってきたり。レースは多くの人たちに支えられていることがよくわかります。

その他いろいろ

 鈴鹿サーキット内にはグランドスタンド前のGPスクエア以外に、コース各所に「オアシス」という名の屋台街があります。飲み物食べ物だけでなくグッズやお土産なども売っています。大きなテントの休憩スペースがあり、トイレや喫煙所、女性用のパウダールームとか、救護所などなどがあり、快適な観戦のために色々工夫されています。

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 決勝日はEスタンド脇のオアシスを利用しました。ここでは東北支援ということで、東北のB級グルメが売ってました。気仙沼ホルモンが特に人気があるようでした。私は浪江焼きそばをいただきました。うどんみたいな太麺でお腹にたまります。

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 もちろん地元三重県の食べ物も売ってます。伊勢うどんとか。ここでは伊賀牛バーガーが大人気。

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 晴天の下、生ビール飲みながらコースをボケッと眺めるなんて贅沢もできます。

 ちなみにお値段は至って常識的。カレーライスは650円、焼きそば500円、500mlペットボトルは150円、生ビールは500円、MUMMのシャンパンは900円、朝食バイキングは1200円。小林可夢偉スペシャルのお弁当がやや高くて1000円越えていましたが、1000円のサンドイッチとか、1万円のお弁当なんてものはどこにもありません。

 とまぁ、日曜日は午前中からお昼過ぎまでこんな感じでゆるりと過ごしていました。時間によっては食べ物や飲み物買うにも、トイレに行くにも行列になったりしますが、多くの人が集まるイベントなので仕方ありません。好天が続いたこの週末、小林可夢偉効果もあってか、決勝日の観客数は昨年を上回り10万人を越えたそうです。ブリジストン含め日本メーカーの参戦がゼロの中での観客増は、その数字以上に大きな意味があるかと思います。

 さて、準備はすっかり整いました。いよいよ決勝が始まります。

 <決勝につづく>

※他の写真も含めFlickrにまとめてアップロードしてあります
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