20年前の羽田空港

投稿者: | 2011年2月10日

 富士山定点観測に続き、発掘した20年前のフィルムシリーズです。当時、羽田空港にも時々写真を撮りに行っていたようで、懐かしい飛行機が写ったフィルムが何本かありました。当時の羽田空港は沖合展開する以前の古い空港で、昨年開業した新国際線ターミナルの少し北、現在のB滑走路南端辺りにターミナルビルがありました。旧B滑走路は現B滑走路の北側に、旧C滑走路は現A滑走路よりも陸地側にありました。20年前の時点ではすでに旧A滑走路は使用されていませんでした。
 古いフィルムの中に写る機体は、とうの昔にすでに引退してしまった飛行機ばかり。空港の風景もどことなくのどかです。いや、当時から超過密空港であったことには変わりないですが。以下、かなり枚数多いですが懐かしい飛行機や旧羽田空港の様子が写った写真を貼っておきます。

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撮影年月不明(1990年前後), JAL, Boeing 747-346SR, JA8184, Ektachrome 64

 B滑走路を離陸する日本航空のB747。アッパーデッキが長いので、最近まで飛んでいたB747-400Dと一見そっくりですが、これは旧型の-300SRタイプです。国内線用に2機だけ導入されていたそうです。メモがついておらず撮影年月が不明なのですが、この頃はちょうど導入されたての新造機だったと思われます。

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1987年7月, ANA, Lockheed Martin L-1011-385-1 Tristar, JA8519
Nikon F-501, AF Nikkor 70-210mm F4, Ektachrome 200

 不遇の名機、トライスターの在りし日の姿。日本では大きな政治スキャンダルを巻き起こしつつ、全日空が合計21機導入しました。当時最先端の電子制御を導入したハイテク機で、高性能な上に今では珍しい3発機として美しいフォルムを持っていました。ロッキードはこれを最後に民間機から手を引いていますし、全世界的に見ても現在も運用されている機体はきわめて少ないと思われます。全日空から消えたのはすでに10年以上前、1995年のことです。
 また、トライスターの背景にはすでに沖合展開工事が進められている様子も写っています。それにしてもこの写真、古くさい色をしていますが、これが当時のエクタクロームの色でした。またISO200の特殊なフィルムをなぜか使っていますし。少しでもシャッタースピードを稼ぎたかったのでしょうか。

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撮影年月不明(1990年前後), JAL, McDonnell Douglas DC-10-40, JA8549, Ektachrome 64

 トライスターのライバル機、DC-10。全日空がトライスターを導入したのに対し、日本航空はDC-10を採用。エンジンをB747に合わせるために、マイナーな-40型を導入しています。トライスターよりは長生きして日本航空でのラストフライトは2005年のことです。ちなみに、日本航空と合併した日本エアシステムも国際線進出のために、DC-10-30を2機だけ飛ばしていました。

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1989年11月 JAL Boeing 747-346SR, ANA Boeing 747SR-81
Nikon F-501, AF Nikkor ED300mm F4, Kodachrome 200

 もうまもなく日本の空から消えようとしているB747ですが、この時代は国内線においてもやたらにB747が飛んでいました。羽田発着の主な幹線はほとんどがB747だったと言っても差し支えないでしょう。狭い羽田空港でも飽きるほど見かけたものです。

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1990年10月 JAS, Airbus A300B2K-3C, JA8478
Nikon F-601, AF Nikkor ED300mm F4, Kodachrome 200

 日本エアシステム時代のエアバスA300ですが、現在でもまだ日本航空で飛んでいる-600R型ではなく、これは古いB2型です。外見上の差は少ないのですが、実は全長がやや短くエンジンカウルの形状なども違いますし、ウィングレットもついていません。また、操縦システムは旧式で中身は全く異なっています。
 A300は東亜国内航空時代に初めて導入されたワイドボディ機にして、日本初のヨーロッパ製の機体でした。当時から私は羽田で見られる飛行機の中では最も好きだった機体です。アメリカ製の飛行機にはない、ラインの美しさがあると思います(^^;

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1988年10月 ANA Boeing 747SR-81
Nikon F-501, AF Nikkor ED300mm F4, Kodachrome 64

 旧羽田空港の展望デッキにて。飛行機だけでなく、人々の姿になんだか時代を感じますね(A^^; 今回発見した写真の中では、個人的に結構気に入っています。

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1987年3月 ANA Boeing 727-281A, JA8352
Nikon F-501, AF Nikkor 70-210mm F4, Kodachrome 64

 いったいいつの写真かと思われるかも知れませんが、私が高校生の頃に撮ったものです。まだモヒカン塗装のB727がいたんですね。当時も珍しくてシャッターを切ったのかも知れません。ナローボディのリアエンジン3発機で、1960年代から1970年代にかけてのベストセラー機。日本にもたくさん飛んでいました。
 全日空のB727にも小さい頃に乗った記憶はあるのですが、社会人になってからアメリカでユナイテッドのB727に乗ったことが1度だけあります。全日空から退役したのはこの写真を撮った数年後、1990年のことです。

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1989年6月 TDA NAMC YS-11A-502, JA8809, いこま, ANA Boeing 747SR-81
Nikon F-501, AF Nikkor ED300mm F4, Kodachrome 200

 国産唯一の旅客機、YS-11も当時はまだ現役でたくさん飛んでいました。この写真に写ってる機体は、YS-11としてはかなり新しい機体で1979年製。2003年までは現役だったようです。
 YS-11は決して商業的に成功した機体ではないものの、国内のローカル線を席巻し、初飛行から40年以上にわたって運用されていました。機体老朽化の問題もありますが、TCAT義務化など運用上の都合で、2006年までに民間路線からは引退しています。が、未だ自衛隊では使用され続けている鉄人機です。

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1988年1月, Nikon F-501, AF Nikkor 35-70mm F3.3-4.5, Kodachrome 200

 レーダーのアンテナも展望デッキからすぐそこに見えていました。管制塔も低くて、ターミナルビル全体的にとても小さく、駐機場も狭く、滑走路も2本だけ。現在の羽田空港から見たら恐ろしく小さな空港でした。

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1989年3月 JAL Boeing 767-246, JA8232
Nikon F-501, AF Nikkor 70-210mm F4, Kodachrome 200

 現在でも日本中のみならず世界中を飛んでいるB767ですが、この写真は今ではほとんど見なくなった短胴タイプの-200型です。全日空のB767-200はすでに全機引退していますが、なぜか日本航空ではまだ2機が残っています。この写真のJA8232もつい昨年末まで在籍していたそうです。後に導入された-300型は、全日空でも日本航空でも、古い機体から退役が始まってるというのに。ちょうどこのサイズがピッタリなニッチ路線があるのでしょうか?

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1987年10月, ANA Boeing 747SR-81, JA8139
Nikon F-501, AF Nikkor 70-210mm F4, Kodachrome 64

 モヒカンカラーのB747です。全日空もクラシック・ジャンボを国内線にたくさん飛ばしていました。GE製のエンジンを積んでいたので、日本航空のSR-46とはエンジンカウルの形状が異なっています。それにしてもこのカラーリング、今となっては懐かしいですが、B747みたいな大型機には似合わないよなぁ、と当時は思っていました。今飛んでいる復刻版のB767モヒカンはなんだか格好いいですけどね。

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1989年3月, Nikon F-501, AF Nikkor 70-210mm F4, Fujichrome 100

 駐機スポットでパドルを振る人。こういう風景も間近に見ることが出来ました。これ、今でも人がやってるのかな?

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1987年1月, JAL McDonnell Douglas DC-8-32, JA8001, Fuji
Nikon F-501, AF Nikkor 70-210mm F4, Kodachrome 64

 レジ番号JA8001と言えば、昭和35年に日本に初めて導入されたジェット旅客機です。そんな古い機体が当時まだ飛んでいたのか?と言えばそうではありません。この写真を撮ったときもすでに現役は引退しており、トーイングの訓練に使用されていたようです。そのため常に羽田空港の隅っこに駐機されており、時折移動していました。飛べないにしてもほぼ完全な形を保っていました。残念ながらその後解体され、現在では機首部分のみが保存されているそうです。

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撮影年月不明(1990年前後), ANA Boeing 737-281A(ER), JA8452, Ektachrome 64

 B滑走路から飛び立とうとする全日空のB737-200。B737と言えば現在は-800型が導入されよく見かけます。最新の-800型はこの寸胴な-200型と比べると、姿形もかなり変わりましたし、中身に至ってはほとんど別物になっていることでしょう。背景は東京タワーや大井付近のマンション群、NEC本社ビルなどが見えています。

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撮影年月不明(1990年前後), ANA Boeing 747SR-81, Kodachrome 200

 夕焼け空に飛び立つB747。微妙な空のグラデーションが綺麗です。


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 ということで、かなり長くなりましたが以上です。この他にもJASのDC-9シリーズとか、当時羽田に就航していた中華航空などの写真もあったのですが。
 なお、もうこれ以上は見せられそうな写真がないので、フィルム発掘シリーズもとりあえずここで終了です。

20年前の羽田空港」への4件のフィードバック

  1. 茶ぼうず

    TDAカラーのYS-11は懐かしかったですね。女満別まで3時間半、ほぼ毎年乗ってました。
    JALは747-400の引退と同時にA600-600Rも全機退役だそうで。
    これも最近の女満別行き定番の機体でした。

    機体バリエーションが減ってしまうのはそれはそれで寂しいもので。

  2. goujiro

    うーん、味わい深い写真ばかり。なんか質感がしっとりしていて良いですね。(良くわかってないけど)パドルを振る人はF子が大好きなようです。

  3. BP

    ものすごく鮮明に機体が写っていますね、びっくりです。

  4. Hi

    ○茶ぼうずさん、
    女満別線はYS-11の最長距離路線でしたね。私は物心ついてからYS-11には乗った記憶がありません。ちょっと残念です。
    ○goujiroさん、
    しっとり、というのはその通りかと思います。結局スキャンしてデジタル化しているのですが、フィルムのしっとり感は出てるかな?と思います。
    ○BPさん、
    古いフィルムですが、ポジはやっぱり長持ちするんでしょうかね。それにしても当時の展望デッキは飛行機に近かったな、と思います。

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