2010年F1第3戦 マレーシアGP

投稿者: | 2010年4月9日

 せっかく時差のないアジアのレースなのに、地上波放送はいつもどおり深夜の録画放送。F1人気がないのだから仕方ないですが。で、放送を楽しみにネットを巡って暇つぶしをしていたら、うっかりF1通信にアクセスしてしまい、しっかりと結果を見てしまいました。自分のせいなので仕方ないけど結局放送を見る気を失い、録画観戦をしたのはようやく木曜日。しかし結果を知っていても十分に楽しめるレース内容でした。

 マレーシアはF1カレンダー中、もっとも暑いレースであるとともに、もっとも天候不順なレースと言えます。去年の途中打ち切りのハーフポイントレースも記憶に新しいところですし、今回も予選から天候に大いに翻弄されました。決勝も雨の可能性を無視できない状況でスタート。何が起こるのか?予断を許しません。

 それにしても今年のレースは白熱した面白いレースが続きます。トップチーム間に明確な実力差がなくなり、多くのドライバー達が入り乱れた混戦模様となっているためですが、これがレギュレーション変更によるものだとしたら、批判の多い昨今の制限の厳しいレギュレーションも、やはり方向性は一応正しいのかもしれません。

「ある段階では雨が降らないかなと思っていた」 レッドブル/セバスチャン・ヴェッテル

 不運なマシントラブルによって勝てるレースをすでに二つも落としてしまっている中で、三度目の正直とばかりに臨んだレースでしたが、予選結果は奮わず。天候を読み違えて下位に沈んだフェラーリやマクラーレンよりはマシでしたが、得意なはずの雨のなかでフロント・ロウに並べなかったのは、彼にとっては大きなミスだったと思います。
 しかしそのミスはスタートで全て取り返せました。一気にニコはおろかウェバーまでも見事に抜き去りオープニング・ラップを取ると、あとは過去二戦と同様に逃げ切り体制に入ります。しかし誰もが思う「二度あることは三度ある」のか?あるいはスコールに足元をすくわれたりしないのか?
 途中、あまりの暑さに雨を望んだという彼の言葉ですが、レース戦略上、トップを走るドライバーにとっては本来波乱要因となる雨はあまり望ましくないはず。しかし、彼にとってみればマシンさえ問題なければ、どんな状況にも対処できる自信と手応えがあったのでしょう。
 やはり今年のチャンピオンシップはヴェッテルなしでは語れません。これからの快進撃を期待したいところです。

「先頭を走っていたらもっとひどいことになっていた」 フェラーリ/フェルナンド・アロンソ

 失ったポイントはたった2ポイントだけ、という意味のコメントですが、なんというか強がりととるべきなのか、今回のレースへの諦めととるべきなのか。レース中盤頃からは車載カメラの映像と音声からも、明らかにシフトダウンの不調がわかる状態でした。それでも果敢に走り続け、終盤にバトンにアタックする様はやはりアロンソです。こんなドライバーはそうそういません。
 そして最終ラップの1コーナー飛び込み。やけっぱちで突っ込んでマシンにとどめを刺したのか、ダメを承知で最後に魅せてくれたのか? いずれにしても(良い意味での)素晴らしいエンターテイナーです。バトンに当てることなく、ギリギリのラインとタイミングでインを刺し、止まりきれなかった上のエンジン故障。
 全ては偶然かわかっていて演じたことなのかわかりませんが、いずれにしろ今回の裏の主役は彼だったのではないかと思います。

「8位争いでこんなに苦労するとは思わなかった」 マクラーレン/ジェンソン・バトン

 前戦の勝者にとって今回のレースはさんざんなものになりました。その躓きは土曜日の予選から始まっています。天候を見誤りQ1で敗退してしまいスタートグリッドはなんと17番。マクラーレンのマシン性能を持ってすれば挽回は可能だったわけですが、それは思ったほど簡単ではなかったようです。
 同じく予選で下位に沈んだハミルトンやフェラーリ勢と共に、決勝では早々にポイント圏内に上がってきたとはいえ、バトンのレースぶりは全く冴えません。ハミルトンには前に行かれ、マッサにも抜かれてしまいます。
 結局彼の最後の見せ場は終盤のアロンソとのバトル。しかしアロンソは手負いのマシン。圧倒的に有利なはずのバトンはそれでもつつき回されてしまいます。それが上に引用した正直なコメントに出ているのでしょう。こう素直なところが彼の憎めない部分かも知れません。
 それにこのコメントが今期のレースの面白さを表しているとも思います。8位争いを元チャンピオン同士が繰り広げるレース。これはとても贅沢なことです。

 その他、ニコとスーティルの活躍、引き続き上り調子なルノー、特に今回はルーキーのペトロフも目立ちました。そして暴れん坊ハミルトンの悪い癖も炸裂。ミハエルは未だリハビリ中なのか、パッとしないまま。レース後のコメントも落ち着いたものです。以前のあのがむしゃらな闘志はいつ出てくるのでしょうか? 心配なような、ちょっと見てみたいような。

 次のレースは来週末。春のアジア連戦終盤となる中国は上海GPです。

カテゴリー: F1