PENTAX K-7 補正機能いろいろ

投稿者: | 2009年7月12日

 PENTAX K-7の3回目の使用感レポートです。レンズ沼からは脱出できていませんが、少なくとも今時点ではさらに追加購入はしていません。次はどうするか楽しく悩んでいるところです(A^^;
 さて今回のテーマですが、前回のエントリーではサラッと流してしまったダイナミックレンジ補正とレンズ補正について、もう少し詳しく試し撮りをして調べてみました。使い物になるのかどうか?どの補正機能をどういう場合に使えばいいのか?などを探るために。

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DA70mmF2.4, 1/1000sec, F4.5, ISO200, ハイライト補正+シャドー補正:中。お台場に現れたガンダム。

○ハイライト補正とシャドー補正
 まずはダイナミックレンジ補正です。PENTAX K-7では、ハイライト補正とシャドー補正は独立にON/OFFでき、しかもシャドー補正は強さが3段階に選べます。従って組み合わせは全OFFから全ONまで8通りあることになるのですが、ここではハイライト補正のみONした場合と、シャドー補正(強)のみONしたサンプル画像を代表として貼っておきます。なお、ハイライト補正をかけると、最低感度がISO200になるので、補正OFFの写真も含めすべてISO200に固定しました。ホワイトバランスも太陽光固定です。

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DA21mmF3.2AL, 1/1000s, F6.3, ISO200, WB:太陽光, Dレンジ補正:OFF

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DA21mmF3.2AL, 1/1000s, F6.3, ISO200, WB:太陽光, ハイライト補正:ON

 まずはハイライト補正ですが、意外に効果は微妙です。このサンプルはわざと空を大きく写して、しかもややオーバー気味に設定。そのままだと空は飛び気味なのですが、ハイライト補正をかけると少し階調が戻ってきます。ただし、どっちがイイか?という問題が残ります。あと、なぜか少し画角が変わっているように思えます。特に縦方向? 三脚に固定しているのに2枚の画像はぴったり一致しません。何枚撮っても同じでした。謎です。

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DA21mmF3.2AL, 1/1000s, F8.0, ISO200, WB:太陽光, Dレンジ補正:OFF

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DA21mmF3.2AL, 1/1000s, F8.0, ISO200, WB:太陽光, シャドー補正:強

 次にシャドー補正ですが、こちらは効果がより分かりやすい場合が多いようです。上のサンプルの補正OFFは、わざと少しアンダー気味にしているせいもありますが、シャドー補正をかけると空はそのままで地上の建物がかなり明るく持ち上がっています。強だと少しやりすぎでやや不自然かも。

 と言うことなのですが、正直なところハイライト補正は非常に使いにくい気がします。効果が微妙ですし。シーンによりますがダイナミックレンジ補正をかけるなら、露出を少し抑えめにしてシャドー補正で調整する方が、仕上がりがイメージしやすいと思います。

○HDR補正
 ハイライト補正とシャドー補正とは別に、K-7にはもう一つダイナミックレンジ補正機能があります。それがこのHDR補正。これは、撮影時に自動的にブラケット撮影をして(1回シャッターを押すだけでミラーアップ中に3枚撮影される)、撮影後の画像合成により、広ダイナミックレンジな1枚の画像を得るもの。3回シャッターが切れて3枚撮影するために、三脚に固定するなどしてフレームが動かないようにしないといけません。多分同じ理由から手ぶれ補正も効かなくなります。更に、撮影後の処理時間はかなりかかります。感覚的には10秒以上。

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DA21mmF3.2AL, 1/1000s, F8.0, ISO200, WB:太陽光, HDR補正:強調

 上のシャドー補正の例と同じシーンでHDR補正(強調)をかけてみました。強さは標準と強調の2段階が選べます。標準ではもう少しおとなしいですが、違和感は変わりません。ダイナミックレンジの拡大効果は分かりやすいのですが、これが必要とされるシーンは相当に特殊な状況と思われます。これは使い方が難しすぎる…。

○レンズ収差補正
 次にレンズ収差補正機能です。レンズ収差補正には歪曲収差補正と倍率色収差補正の2つの機能があり、それぞれ独立にON/OFFできます。どちらの収差もワイドレンズのほうが出やすいそうですが、私の持っているDA21mmF3.2ALは、プレーンな単焦点レンズですので、あまり収差は(特に歪曲収差は)大きくないかも知れません。それぞれON/OFFで比較するためにテスト撮影してみました。

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DA21mmF3.2AL, 1/1000s, F6.3, ISO200, WB:太陽光, レンズ収差補正:OFF

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DA21mmF3.2AL, 1/1000s, F6.3, ISO200, WB:太陽光, 歪曲補正:ON

 歪曲収差補正の効果はかなり微妙です。もともと歪んでいたかどうかは別にして、左右端の建物の線の角度は変わりました。さらに、補正のために画角が少し狭くなってしまっています。倍率色収差は等倍で観察しないと見えません。以下は、補正前と補正後の等倍切り抜き画像です。

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補正前画像の一部を等倍で切り抜いたもの。建物のエッジに色つきが見られます。

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倍率色収差補正をONして撮った画像の等倍切り抜き。輪郭の色つきがかなり減りました。

 ということで、歪曲収差補正も倍率色収差補正は十分に効果が見られます。ただし欠点は撮影後の処理時間がかかること。シャッターを切ってからプレビューが表示されるまで3秒くらいかかります。その間液晶はブラックアウトしたまま。だからといって連射できないわけではありませんが、何となくこの”間”が気になります。

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DA21mmF3.2AL, 1/500s, F7.1, ISO100, AWB。補正機能は全でOFF。コレが自然で一番イイかも。

○結論
 当たり前かも知れませんが、やはりこれらの補正機能は必要に応じて使うに限る、と思います。やはり露出のコントロールが基本中の基本で、必要に応じてPC上のレタッチでやったほうが良い結果が得られそうな気がします。レンズ収差補正は効果もありそうなので常用したいとも思うのですが、歪曲補正は画角が微妙に変わってしまうのと、あとはやはりレスポンスが大きな問題です。

 と言うことで、私個人的にはやはり全てOFFで常用することにしました。快晴炎天下など、見た目に明暗のコントラストが激しくて露出に迷うときだけ、シャドー補正を少し入れるくらいな使い方で。収差補正はレンズによりますが、他は基本的に使う場面はないのではないかと思います。

 あ、K-7の補正機能と言えば、水平補正もあったのにチェックするのを忘れてしまいました。多分使わないのでまぁいいか。暇があったらまた試してみます。

○むしろデジタルフィルター
 今回簡単にテストした各種補正機能は、デジタルカメラならではの機能ですし、写真の質を上げるためにまじめに考えられた機能かと思いますが、それに対してデジタルフィルターは、デジタルならではとはいえ、ほとんど遊びのための機能です。撮影自体は素材を手に入れるための一つの作業として、イメージしたものを作り上げる手立てとしても使えそう。まぁ、PC上のレタッチと変わらないわけではありますが、K-7内蔵のフィルターは手軽で秀逸なものばかり。

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DA21mmF3.2AL, 1/800s, F8.0, ISO100, -1EV, AWB。
ハイコントラストフィルターとトイカメラを重ねてみました。こういう”作った写真”というのもアリではないかと。

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DA21mmF3.2AL, 1/640s, F8.0, ISO100, -1EV, AWB。
ハイコントラストにモノトーンフィルターの合わせ技。アニメっぽくなりました。

 むしろこのくらい飛び抜けた補正機能というか、フィルター機能の方が、かえって色々と使ってみたくなりますし、実際使い道は多いのではないでしょうか。シーンモードもないようなある意味真面目なカメラのK-7に、こういう機能が搭載されていることに、最初は?と思いましたが、使ってみれば納得です。この機能でできあがる写真は、良い悪い、正しい間違いといった理屈ではないですし。使い方によっては遊びの範囲を超えて、表現手法の一つになり得そう。堅いことは抜きにして、写真を楽しむための一つの方法に違いありません。

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