2年3ヶ月ぶりに登場したDFAレンズは使ってみるしかない:HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW を手に入れる

投稿者: | 2018年8月17日

 先月の中旬にリコーイメージングから久々のDFAレンズが発売されました。それまで最新のレンズと言えば、K-1と同時に登場したDFA15-30mm F2.8とDFA28-105mm F3.5-5.6でした。その後ロードマップにもなかったDA55-300mmPLMが突然登場したりしましたが、フルサイズ用のDFAレンズとしては実に2年3ヶ月ぶりの新レンズです。このスパンの長さはちょっとどうかしてると思いますが、まぁそういう文句はTwitterだけに止めておいて、ここでは止めておきましょう。

 いずれにしても何度か延期を繰り返してようやく登場した新レンズとは「HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW」です。超高性能レンズであることを示すDFAスターシリーズでは初の単焦点レンズでもあります。50mm F1.4というオーソドックスに過ぎる標準の中の標準レンズでありながらこれだけ難産だったのは、相当に性能を追求したからと言われています。おかげで超大型、超重量級となりましたが、20万円を超えるかも?と思われたお値段は実売15万円以下と、思ったより安くなりました。

 2年3ヶ月ぶりに登場したフルサイズKマウント用のレンズには当然興味はあるのですが、50mmF1.4というレンズが欲しいかと言われると、ちょっと使い道が思い浮かばないこともあって、予約もせず、発売日当日ゲットもせず、しばらく様子を見るつもりでいました。でもまぁ、それも結局のところ時間の問題です。やはりK-1/K-1 IIのためのレンスとなれば最終的には使ってみなくてはなりません。

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 ということで、発売から約半月。当初は品薄だったものの最近はようやく各カメラ店でも即納状態になってきたところで、半ば予定通りの衝動買いをしてきました(A^^;

超巨大な標準レンズ

 まずはいつも通り箱を空けて中身を確認してみましょう。

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 箱はいつものシルバー基調の化粧箱です。特に大きいな、とは思わなかったのですが…

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 蓋を開けてみたら中身はこうなっていました。本体は最初からポーチの中に収まっています。いや、それは良いのですが、四方を囲む段ボールは完全にダミーです。取り出してみましたが何も入っていません。

 発泡スチロールを廃しつつ、耐ショック性確保のためにこうなっているのかもしれませんが、ちょっと箱サイズを水増ししすぎではないかと思いますが、どうなんでしょう?

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 さて、同梱品はこんな感じです。本体に前後キャップ、専用フードとポーチです。まぁ極々一般的な内容物で特に変わったところはありません。

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 さて、レンズ本体はこんな感じです。長さ106mm、外径は80mmほどある堂々とした姿。そして一番すごいのは重量で、なんとこのレンズ910gもあります。強大な出目金レンズであるDFA15-30mm F2.8よりも少し軽いくらいで、フィルター径が82mmもあるDFA24-70mm F2.8よりも圧倒的に重たいのです。手にした時のずっしり感は相当なものです。

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 フィルター径は72mmとペンタックスにしては珍しいサイズですが、特に巨大と言うことはありません。レンズ構成は9群15枚で、特殊ガラスを3枚使用し、さらに非球面レンズは1枚だけ使用しているということで、特に数字を見ただけでは重量級になる理由は見当たりませんが、おそらく分厚いガラスがぎっしり詰まっているのでしょう。

 ペンタックスお得意のコーティングは、HDコーティング、エアロ・ブライト・コーティングII、SPコーティングと、フルコースとなっています。特にエアロ・ブライト・コーティングIIはDFA★70-200mm F2.8に続いて採用された2本目のレンズであり、スターレンズの証でもあります。正面から覗き込んでも光学系は存在してるのかどうか分からないほど黒く沈んでいて、コーティングの優秀さが窺えます。

 なお設計時にこだわったと言われている最短撮影距離は40cmとなっています。撮影倍率は0.18倍。近接撮影に強いとは言えませんが、DFA24-70mm F2.8より若干劣るだけと考えれば悪くはありません。標準レンズらしく万能に使える幅は広いと思います。

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 もちろん後玉も巨大です。マウントはいわゆるKAF4と呼ばれている仕様で、特徴的なのは完全電子化を果たしていること。つまり絞りも電磁駆動となり絞りレバーがマウントから消えています。さらにボディ内モーター駆動用のAFカプラーもないので、使用できるボディはかなり限定されます。確かファームウェアアップデートをしたK-50、K-3以降のボディで使えるはずですが、K-50はDA55-300mmPLMには対応したものの、正式にはこのレンズはサポートしていないかもしれません(メーカーに要確認)。

 AF駆動は新型SDM内蔵とのこと。DA★時代のSDMは動作がのんびりしていて、しかも故障をよく起こすことで有名でしたが(私自身は遭遇したことありません)新型はどうなのでしょうか?

 フォーカス群は後群側となっており、ピント合わせに伴う全長の変化はありません。実際にピントリングを動かすと後玉がに動いているのが観察できます。フォーカス群はかなり重たそうですが、それを動かすだけの力が新SDMにはあるようです。

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 さっそくK-1 Mark IIに取り付けてみました。ちょっと長さはありますが、見た目のバランスは悪くありません。前玉も大きいしピントリングも幅広だし、格好良いです。でも手にすると重たいです。それもそのはず、この組み合わせでほぼ2kgになりますから!

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 フードを付けるとさらに格好良くなってこうなります。専用フードはこれもDFA★としてこだわって作っているのか、肉厚のプラスチック製で、バヨネット近辺の剛性感が非常ににしっかりしており、取り付け後の一体感も申し分ありません。もちろん単焦点ですから効果も最適化されているはず。

 PENTAXロゴの反対側にはPLフィルター用の窓があります。ですが相変わらず蓋は着脱式です。うーん、このレンズ用にPLフィルター買うかな〜? ちょっと悩みます。

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 AF/MF切替スイッチの下には、燦然とDFA★のロゴが輝いています。ちなみに鏡胴はがっしりしていてどこにもガタはなく、作りはさすがに良く出来ています。

 ピントリングもしっとりしたトルク感があってMFもしやすそう。新型SDMによるAF駆動は爆速ではありませんが、DCモーターと遜色ない程度に速くてしかも完全に無音で、スパッとキレが良い動きをします。

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 さて、DFAズーム2本と並べてみました。こうして見ると、径こそ一番細いですが、大きさ感としてはDFA24-70mm と遜色ありません。そして上に書いたとおり、重さはDFA24-70mmより重いわけです。DFA15-30mmは色んな意味で別格だから仕方ないです。

 いずれにしてもこの3本の組みあわせはなかなか良いかもしれません。状況によってこれにDFA100mmマクロかDFA★70-200mmを足せばほぼ完璧。…と妄想しています。現実はそんなにぴったりはまることないんですけどね。

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 そしてもう一つ、並べてみなくてはいけないのがこれ。FA50mmF1.4との比較です。どちらもKAFマウントのフルサイズ対応、焦点距離50mmで開放F値はF1.4という同じ基本スペックを持つレンズ。FA50mmF1.4は約25年前のフィルム時代の製品で、基本的な光学設計はさらにずっと前のMF時代に遡ると言われています。でも十分にK-1で使うことが出来るレンズです。

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 この大きさの差は本当にすごいです。笑えてくるくらいですね。超高画素デジタルカメラの時代になって、レンズに求められる性能は何倍も厳しくなったと言われていますが、それがこの体積差に表れているのでしょう。もちろん、複雑な光学設計、新しいガラス材、製造技術も向上したことによる面もあるのでしょう。要求されてる一方で、作れるようになったから、と両面の循環で製品は進歩しているはず。

 このレンズの開発コンセプト等はこのスペシャルサイトに詳しく書かれています。というかこんなスペシャルサイトを作るほどに力を入れて作ったレンズということなります。

 この開発者インタビューの中で、光学設計に関しては、従来の50mmF1.4が採用していた変形ガウスタイプの光学系を丸々後群(兼フォーカス群)として、その前に補正光学系を置いた形になっているそうです。

 ですから、このサイズ差はある意味当たり前というか、そういう風に作った結果だと言うことになるのでしょう。

 なお現時点の流通価格はだいたい14万円弱くらいです。主立った量販店やカメラ店では予約分が捌けて即納となっています。Amazonにもまともな商品が登録されたのは数日前でした。今回私は下取り品があったので、マップカメラで買いました。新品のフリー在庫は一点のみだったそうです。

さっそく撮ってみる

 新レンズを手に入れたらとにかく撮ってみるしかありません。と言っても、このレンズは「あれが撮りたいからこのレンズ」という正当な理由ではなく「このレンズを使ってみたい」という本末転倒からスタートしているので、何をどう撮ったら良いものやら、まだよく分かっていません。

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 夏は夕暮れの空が綺麗に焼けることが多いですよね。この日はそんなに目立って焼けた方ではないですが、雲の表情が細かくて綺麗でした。ということで、まずは無限遠を絞って普通に撮ってみました。当たり前に綺麗にビシッと写ります。

 ちなみにLightroom Classic CCはすでにレンズ補正データをサポートしていますが、レンズ補正を当てても当てなくても、見た目に何が変わってるのかまったく分かりません。歪曲もほぼないし周辺光量も(このカットは絞ってるから当然ですが)十分すぎるようです。

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 夏の音と言えば蝉。そろそろ最盛期は過ぎたでしょうか。公園の木立に出かけるとそこら中抜け殻だらけです。ここぞとばかりに絞りを開けて背景ぼかし。いやいや、上は開放で下は0.7段絞ってF1.8です。

 メーカー自身もボケ味にはかなりこだわったと言ってますし、発売日に買った人達による作例などを眺めていても、ボケの美しさはすごいなと思っていましたが、実際自分で撮ってみてもそれは裏付けられました。後ボケの柔らかさと玉ボケの美しさはFA77mmF1.8以上ではないかと思います。

 それでいてピント面はキリッとしています。近距離で開放だと一眼レフの位相差AFは精度の問題が出てきますが、K-1 Mark IIとの相性は悪くないようです。というか、このレンズにとってはメインターゲットのボディなので当たり前ですかね。ただやはり丁寧に合わても手持ちだと自分がふらふらとわずかに動いてしまうことがあるので、何枚か撮らないと安心は出来ません。

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 気をよくして、木漏れ日ボカしを何枚も撮ってしまいました。超綺麗! これもF1.8。9枚羽根の円形絞りですし、F1.8程度でも画面端がラグビーボールになることもありません。巨大レンズならではと言ったところでしょうか。

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 ザワザワとしがちな場面でもトロッとボケます。いや、これは豊富なボケ量のおかげでしょうか。

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 ボカしまくりはこのくらいにして、再び遠景をキリッと撮ってみましょう。隅々まで隙がありません。

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 発色もペンタックスらしくて良い感じです。

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 強力なLEDによる光源はちょっと厳しすぎたでしょうか。ややライト周辺はコントラスト下がってますが、まぁ、これだけの明暗差をちゃんと写してしまうところはなかなかではないかと思います。いや、ISO400でこれだけダイナミックレンジを持っているK-1 IIのおかげか? さすがフルサイズです。

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 この308SWを真横から撮ったカットに顕著なのですが、フリンジが目立つ場合があります。これ、大口径レンズだと仕方ない面があるのかもしれませんが、このレンズ使う上でちょっと要注意ですかね。

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 中距離のものを開放で何気なく撮って背景がふんわりボケる… っていう写真に憧れているんですが、上手く撮れないです。このレンズはそういうのに向いてそうですから、今後色々試してみたいです。

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 ということで、とりあえずのファーストインプレッションはこんな感じです。

レンズ資産を整理した

 なお、このHD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AWを手に入れるに当たって、手持ちレンズラインナップの見直しを実施しました。

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 これが見直し前。

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 これが見直し後。

 DFA★50mmF1.4と入れ替わりに放流したのは、DA★55mmF1.4とDFA150-450mm F4.5-5.6です。DA★55mmは気に入っていたのですが、やはりDFA★50mmF1.4とかなりの部分被るので、入れ替えはやむを得ないだろうと思います。

 そして悩んだのは超望遠のDFA150-450mm。このレンズは色々思い入れがあって、PENATXIANの広告にも使ったレンズだし、とにかく気に入って使ってきたし、Kマウントでは代わるもののない唯一無二のレンズとして気に入っているのえすが… やはりこの領域はD500+Nikkor 200-500mmに任せたからには、今のところ使い道がなくなってしまたなと、言うのが事実です。K-1 IIに150-450mmを付けて飛行機を撮るか?と言われたら、多分もう撮りません。

 あまり出番のないまましまい込んでおくよりは、素晴らしいレンズだからこそ誰かにまた使い倒してもらいたいということで、苦渋の決断をしました。今後K-3 IIIが出てきたときにまた再導入含めて考えたいと思います。あるいはKマウント機を使う飛行機写真家の洲崎秀憲のように、いつかは5656に手を出してみるべきかと思っています。その辺はゆっくり考えていくことにします、

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